2.仲よしコンビ、桃と菊
紅撫子の村に仲よしの親友二人組がいた。
ピンクの方が桃、黄色の方が菊という名前。
2人の家は仲が良く、小さい頃からよく遊んでいた。
「菊、どうしよう、生理が来たら…私もお姉さんたちみたいに変わっちゃうのかな?」
「桃ったら、大丈夫だって」
心配性な桃を菊はよく励ましていた。そのような二人を、村の大人たちは彼女たちはまるで姉妹のようだと言っていた。
この二人は、初潮も同じ時期に迎えたので、初潮を祝う宴も、あの「儀式」も一緒に行われた。
紅撫子のお香が焚かれた儀式の間で、村長をはじめ、村の男たちの男根を受け入れるという儀式。
桃と菊はともにその儀式で、村の女になったのだ。
2人は村の女になったが、それでも年ごろの娘に成長していった。
しかし、年ごろの娘がやるような楽しいことをすることもなく、嫁に行くことになった。
「桃、結婚するんだよね」
「うん…結婚相手はどんな人なんだろう…」
16歳になった桃は先に縁談が決まり、高校を中退することになった。
「桃の分も勉強して、あたしが桃に教えてあげる!」
菊はその気持ちで、勉強に熱心に取り組んだ。成績も頑張ってトップになった。
村には女だてらに勉強なんてという人もいたが、構わずに。
しかし、桃は結婚後すぐに妊娠した。
そんなある日、桃の夫は菊の前に現れた。
「お前…村の女だろう?もう桃とは関わるな」
「どうして…ですか?」
「女同士でつるむと、ロクなことにならない。それと…女のくせに勉強しているんだな?」
「!!」
菊は男の言葉に固まる。この村の男は女のことを見下しており、女を同じ人間としてではなく、子供を産む奴隷としか見ていない。
紅撫子の村は、この国でもワーストと言える男尊女卑の風潮が残っているのだ。
そのため、少女が輝かしい青春時代を送ることなく、親としての責任を果たすことを強制されるのだ。
この村での儀式もその例だ。
「女が高校に行く必要はない。義務教育があるから、それで十分だ」
「あたしは桃のために…」
「勉強しても桃のためにはならない!かえって悪影響だ!女が勉強したら、そうやって口答えするようになる!」
「桃の幸せは、桃が決めるの!」
「でしゃばるな!お前に言われる筋合いはない!」
「なんだなんだ!?」
村の男が2人現れた。
「もう桃に会うなって…」
「再教育が必要だな」
菊がそう説明した後、男はそう言った。
「再教育」。それは、村の女たちが恐れていること。
男に対して反抗的な態度をとった女は罰として男への奉仕を命じられる。
その「再教育」の後、その女は口封じさせられる。
桃の夫を含めた男たち3人は菊を連れて村のはずれの小屋に入った。
「ぐっ…嫌……」
嫌がる菊に、男は男根を菊の口に押し込む。
無理矢理されているのに、菊の秘部は濡れてくる。
「こっちも準備万端だな」
桃の夫は菊の中に入れる。
「村の男たちには絶対服従だ!女同士でつるもうとするな!良いな?」
この狂った宴は男たちが満足するまで続いた。
その日の夜、菊は部屋の中で泣き続けた。
菊もまもなく結婚することになった。しかし、菊の表情は暗かった。
「ごめんね、菊…」
桃は菊に謝罪した。
桃と菊は人目を忍んで会った。男たちによって、二人が会うことは禁止されていたからだ。
同性愛もこの村ではタブーとして忌避されていた。
それに、菊が男に反抗的な態度をとったので、桃に悪影響が出るだろうと考えられていた。
「村の男たちは私達を物だと思ってるみたいなの」
「桃…赤ちゃんは?」
桃は泣きだした。
「死んじゃった…そして、二度と赤ちゃんの作れない体になっちゃった…」
菊は桃を抱きしめていた。
二度と子供を作れなくなった女性は「役立たず」のレッテルを張られ、男たちに搾取される対象になる。
(あたしも、桃みたいに赤ちゃんが死んじゃうのかな…?)
菊はそう考えずにはいられなかった。
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