当たり一面暗闇が支配する部屋に一人の少女がいた。
その少女は一糸纏わぬ姿でその部屋の壁に寄り掛かり天井をジッと見つめている。
見ればまだ十にも満たない年齢と思われる少女の名はミルシュ、元ファレスト王国の王女である。
その可憐な姿から「ファレストの白き花」と称えられたミルシュであったが、今は見る影も無い。
その白く透き通っていた肌は薄汚れており、輝くほどに美しかった金色の髪も今は千路に乱れている。
その上ミルシェの腹は大きく膨らんでいた。
ミルシェはある男によってここに監禁され、今まで想像を絶する辱めを受け続けていた。
その度重なる陵辱の結果、男の子供を孕んでしまったのだ。
「私、どうしてこうなってしまったんだろう・・・・」
天井を見上げながら、先程から同じ自問を何度も繰り返していたが、なんの答えも思い浮かばない。
やがてその大きな瞳から、熱い涙がポロポロとこぼれ出し、声は嗚咽へと変わった。
「うう・・・お父様・・・お母様・・・」
ミルシェは心の中で優しかった父と母の姿を思い浮かべるが、既に二人共この世にはおらず、その事実がミルシェの悲しみをより一層深めてしまった。
それから暫く悲しみに耽っていたミルシェであったが、急にその身を強張らせる。
ミルシェの耳にこの部屋に近づいてくる者の足音が聞こえてきたからだ。
ミルシェは自分の空耳であって欲しいと心の中で強く願うのだが、無情にも足音は段々とこちらに近づいてくる。
そして足音はミルシェのいる部屋の前で止まると、次に軋む音を響かせて扉が開き始めた。
(ああ、今日も始まってしまうのね)
ミルシェは強い絶望と、そして諦めの気持ちで扉の前に立つ男を見た。
「ご機嫌はいかがかなミルシェ姫?」
何が面白いのか、ニヤニヤ笑いながら男はミルシェに近づいてくる。
この男の名はガルド、彼こそミルシェをここに幽閉し、そして思いつく限りの陵辱を与えた張本人なのである。
ガルドは元々ファレスト王国の将軍であったが、彼は数ヶ月前に起したクーデターにより、今はこの国の王となっていた。
クーデターを成功させたガルドは王家の者達を捕らえ、次々と処刑していった。
その中には当然ミルシェも含まれており、前国王が処刑された後、次は自分の番だと覚悟を決めていたが、ガルドは彼女の命だけは奪おうとはしなかった。
ミルシェはまだ九歳になったばかりであり、ガルドもこの幼い王女にだけは情けを掛けたのかと誰もが思ったが事実は違った。
ガルドは幼女を陵辱する事にのみ性的興奮を感じる鬼畜であり、ミルシェを生かしたのも、ただ彼女を辱めると言う目的があったからに過ぎない。
ある理由からガルドの命令に逆らえない生き人形と変えられたミルシェは、彼の許しを得ない限り死ぬことさえ出来なかった。
そして墜ちる所まで墜ちたミルシェは、今日もまたガルドの手によって地獄の様な辱めを受けるのであった。