完結編 堕天使たちの惨禍  その3 堕天


 「ぅぁ……ぁっ……ぁ……ぅぁ……」

 媚肉は白濁に和えられていた。長時間の酷使に晒され続けた膣。
 無理矢理に捻じ込まれたアナル。二つの肉穴は精液便所としての役割をこの上なく果たしていた。
 ゴポリ。逆流したスペルマが溢れる。

「あぐっ……うっ……っぐ……うぐ……おぇ……げぷ……うげぇぇ……」

 更に言えば使用されたのはその二つだけではない。長きに渡って延々とペニスを咥えさせられた口腔。
 生臭い精液臭とその苦味が口内に残る。
 どれだけ飲まされたのだろう。吐き気がする。胃の中が気持ち悪い。
 けれど吐き出す度に折檻を受けた。床に零れたものを舐め取らされた。
 髪の毛を掴まれ雑巾代わりに頭で拭き取らされた。この上なく惨めだった。
 沸き上がるのは惨めな自分を嘲笑う声。耳に焼きついた。鼓膜から離れない。
 どうしてかくも惨めなのか。自身の存在が恨めしい。

「うぐっ……うっ……許し……て……もう……許して……」

 許しを乞う。その願いが叶わぬことは知りつつも。

「いいえ。許しません」

 願いは常に非情の声で無下と化す。愉悦を含んだその口調。
 楽しんでいる。嬲る行為を存分に。

「これを御覧なさい。如何ですか?ひひひひ。貴女のせいですよ。貴女の存在はこれほどまでに私を昂ぶらせる」

「ひぃ……嫌ぁ……ぅぁぁ………」

 見せ付けられるのは見事なまでにそそり立つ凶悪なペニス。何度も抉られた。
 この肉槍で臓物を。膣肉がこそげ落ちるほど蹂躙を受けた。肛門が閉じなくなる程、アナルを犯された。
 注ぎ込まれた白濁。子袋にも胃袋にもたぷんと溜まっている。
 それなのに、この男根は一向に萎える気配すら見せない。それどころかより豪壮に。
 より凶悪なまでの絶倫ぶりを存分に晒す。

「貴女には責任を取っていただきますよ。私が心ゆくまでその相手を務めてもらいます。
 ねえ、アメルさん。ひひひ。ひゃはははは。ひゃーはっはっは!!ひゃははははは!!!」

「嫌ぁぁぁあああ!!嫌ぁぁぁあああ!!嫌嫌ぁぁぁあああ!!!」

 そうして白濁塗れのアメルの肉に再び突き立てられるレイムの牙。貪られるアメルはただ悲痛に泣き叫ぶ。

「うぁぁぁ……あぁ……あ…ぅ……あぐぅぅ……」

 ぐにゃりと内臓が歪む感触がした。一気に挿入された男根。膣肉に密着する。
 ねとねとと嫌らしくもまとわり突いてくるように

「あぐぅっ……くひっ!……あぁぅ……」

 そしてそのままぐちゃぐちゃと内側から掻き回された。太くも逞しい肉の棒で。
 愛蜜ただれる膣肉を。力強く、執拗に、ねめつけるようにして。

「ひひひひ。実に素晴らしい。貴女の肉はこの上なく絶品ですよ。アメルさん」

「あぁ……やっ!あっ!ぐぅぅ!……うぁぁ!!」

 ぐちゅ。ぐちゅ。濡れた音を響かせながらレイムの男根はアメルの膣奥を突く。
 子宮に響く衝撃。膣内をかけるドロドロとした粘膜の感触。それと囁かれる言葉。
 その一つ一つにアメルに思い知らされる。慰み者でしかない自分の存在という現実。
 ただ犯され、泣き叫び、喘ぐしかない惨めな自分を。

「ひひひひひ。随分と色のよい声ではありませんか。貴女もそろそろよくなってきたのではありませんか?」

「……っく……違うっ!……違うぅぅぅ!!」

 教え込まされた肉の悦び。言葉では否定する。けれどその言葉をアメルの身体は裏切っていた。
 繰り返される肉棒の挿入。対応するかのようにアメルの膣肉はレイムのペニスを締め付ける。
 自然に動く腰。激しく振り動きより淫らな快楽を得る。身体に染み込まされた一連の動作。
 それは連日の調教の賜物。肉奴隷としてより適した形にアメルの肉体は作り変えられていた。

(感じてる……こんな風に無理矢理犯されてるのに感じてる……あたし……もう……)

 取り返しのつかない身体にされた。そのことを絶望と共にアメルは実感させられる。
 心は確かに悲しんでいる。けれど身体は悦んでいる。むしろ淫らに快楽を欲している。
 なんという矛盾。本当に自分は悲しんでいるのか?それすらも怪しくなる。

「ひひゃははは。アメルさん。貴女は実に良質の肉便器ですよ。貴女ほどの名器は実に稀だ」

「やぁぁぁあああ!言わないでぇぇ!あたしそんなのじゃないっ!嫌ぁぁぁああ!

 そんな折に、レイムの言葉はアメルの胸に容赦なく突き刺さる。肉便器。シンプルな言葉。
 シンプルなだけに意味は残酷。それを身に刻まれる者にとっては一層。否定したい。
 けれどできない。眼下に映る自身の姿。ただ嬲られる。ただ惨めに犯される。
 まさにその通りではないか。これが肉便器以外の何者だというのだろう。
 ああ、無情。そして惨め。

「ひゃはははは。なんとも味わい深い。犯すほどに滋味ではありませんか」

 そんなアメルの肉を存分に堪能しながらレイムは感嘆の息を吐きながら洩らす。
 言葉通りだった。実に具合がよい。アメルという名の極上の肉便器の使い心地の良さ。
 思わず情念を早くも解き放ちたくなる。

「アメルさん。これならいくらでも貴女の中に射精して差し上げられますよ」

「止めてぇぇぇええ!もう膣内は嫌ぁぁあ!!許してぇぇえええ!!」

 施される膣内射精。その都度、アメルは深淵の絶望に突き落とされていた。
 ああ、また子宮を浸される。悪魔の精液によって。脳裏に浮かぶ『妊娠』の二文字。
 望まぬ種を孕まされる。それがなによりもの恐怖。

「ひひひひひひ。何をおっしゃるのです。さあ、存分に孕んでください。アメルさん。私の種をっ!」

「嫌ぁぁ!嫌ぁぁああ!嫌嫌嫌嫌嫌あああああ!!!!」

 哀願も虚しく、レイムの肉棒はアメルの膣内でビクンと震える。それは合図。
 アメルにとって絶望の瞬間の。ドクン。音が響いた。その音の響きに感覚はゆっくりと追いつく。



「うあぁぁ………あぁぁぁ………」

 生暖かな感触。じわりと染み込む。続けて感じる熱量。熱い。たまらなく熱い。
 ドクドクドク。まだ吐き出されている。グチュグチュグチュ。出されながら掻きまわされている。
 打ちのめされる意識。ドロドロに。白濁に。これは終わりの無い悪夢。絶え間ない絶望。

「はひゃひゃひゃひゃ。まだまだ楽しませて貰いますよ。アメルさん。今宵も存分に」

「嫌ぁぁあああ!嫌ぁぁぁああああ!!もう嫌ぁぁぁあああああ!!!」

 そうして本日、何十度目の膣内射精を施しながらレイムのアメルへの陵辱は続く。
 喜悦に浸りアメルを繰り返し犯すレイム。泣き叫び、悶え狂うアメル。
 痛い。辛い、苦しい、哀しい。汚い、汚された。恥ずかしい、死にたい。
 そんな感情を射精されるたびに感じつづけてきた。

(…どうして…)

 ふいに脳裏に仲間達のことがよぎる。既に肉欲の虜となりペニスを求め腰を振るいよが狂う雌と化した仲間達。

(…どうして…私は…壊れられないの…どうして…どうしてっ!!)

 そんな風に自問するアメル。するとふいに声が掛かる。

「それは貴女が天使の生まれ変わりだからですよ」

「っ!?」

 それはレイムの声であった。屹立した肉棒でアメルの女陰を串刺しにしながらレイムはアメルに語りかける。

「この苦痛は貴女が天使でありつづけるか限り続きます」

 虚ろな瞳のアメルに腰を打ちつけながらレイムは続ける。

「天使は我々悪魔と対を成すもの。陵辱、暴虐、その他我々の嗜好品全てを天使は拒絶します。
 それゆえにその生まれ変わりである貴女はいくら犯されても完全に壊れる事が出出来ないのです」

「そん……なぁ……

 レイムが告げる事実。それはアメルを絶望させる。自分はこの過酷な陵辱の中壊れる事さえ許されないのかと。

「堕ちたいですか?」

「えっ…?」

 するとまるで心を見透かされたようなレイムの問いかけ。アメルはふと言葉に詰まる。

「堕ちられますよ。簡単に。ようは私と契約をすればいいのです。堕天使となる契約を」

 サプレスの悪魔。それは太古の昔天使が堕落したものだといわれている。
 天使から悪魔に変れば今の現状で苦痛は快楽へと様変わりするだろう。だが…

「私は……」

 楽になりたい。でもそれでいいの?そんな葛藤がアメルの中で続いた。
 堕ちてしまえば救われる。そんなことは分かりきっていた。
 しかしそうすることで何か大切なモノを永遠に喪失してしまう。そんな気がした。

「どうなんですか?」

 声をかけられたとたん辛い陵辱生活が頭をよぎった。希望などない。
 ならもういいじゃないか。堕ちても。誰も自分を責めまい。早く楽になりたい。

「お願い…しま…」

(駄目です!!)

「っ!!?」

 するとアメルの内から声が響いた。それはアメルにとって何よりもよく聞き覚えのある声だった。

(駄目よ。アメル。メルギトスの誘いに乗ってはいけないっ!)

 気付くとアメルの目の前には自分と同じ姿をした少女の幻影が姿を表していた。

「貴女ですか…アルミネ・・」

 レイムは忌々しげにその幻影の少女を見つめる。アルミネ、アメルの前世である豊穣の天使。
 先の大戦で悪魔王メルギトスと相打ち、いくつもの魂の欠片になって砕け散った天使。
 それが再び集まって人としての形を成したのがアメルである。 

「どうやら天使としてのアルミネの意識と人間としてのアメルさんの意識が分離してしまったみたいですね」

 目の前の不可思議な現象。それを解説するレイムを他所にアルミネはアメルに呼びかけつづける。

(駄目。諦めないでアメル。貴女が諦めなければいつかメルギトスは倒せる。貴女の愛した動物も草木も人間も本当の幸せを取り戻せるのよ)

 呆然とするアメルにアルミネは囁きつづけた。思い出す。懐かしい美しい思い出。それを本当に取り戻せるのなら。

「あぐぅぅ!!う…あぁぁ・・・。」

 アメルに突如苦痛がはしった。地獄の苦痛だ頭の中から地獄が蘇ってくる。

「邪魔されては困りますよアルミネ。決めるのはアメルさんです」

(何をしたんですか。メルギトス)

 問い詰めるアルミネ。帰ってくるのは冷たい返答である。

「少々小細工をしただけですよ。そうですね。記憶の再現とでも言いましょうか。

 脳裏に映るは赤い炎、焼かれる村人、撥ねられる首、噴出す血液。それは故郷レルムの村の終焉図であった。
 逃げ惑う村人。それを容赦なく切り殺す黒騎士。それはすべてアメル1人を狙ったための惨劇。

「嫌ぁぁぁぁぁあぁぁぁ!!見せないで!!こんなもの見せないで!!」

 画面は次々と切り替わる。あの悪夢の処女喪失の日。凶悪な肉棒が破瓜の血で塗れた日。

「やめてぇぇぇぇ!!犯さないでェェェ!!やだぁぁぁぁ!!」

 あの日の苦痛が蘇った。乳肉を引きちぎられるぐらいに弄ばれて、膣肉が引き裂けるほど抉られたことを。
 腸の中がパンパンになるくらい、おなかがはちきれそうなほどの精液を吐き出されたことを。

「嫌…嫌嫌嫌ぁぁぁぁぁ!!!」

 何本ものペニスがあるいはそれに類したものがアメルを陵辱した穴という穴を犯され精液を吐き出す。
 精液便所となりつづけてそれでも解放されず犯されつづける。性感帯が弄られる。気が狂いほどの刺激。
 何度も潮を吹く。意識を失ってもすぐ起こされ白目を剥いてもなお犯される。
 気絶した肢体に降り注ぐ大量のザーメン。魔獣が鬼が屍人が。果てしなく続く輪姦。
 それでも意識を失うことさえ許されず陵辱されつづける恐怖。ペチャリと冷たい肉棒が頬っぺたに当たる。
 腐りかけの肉棒が鼻がひん曲がりそうな腐臭を漂わせ顔に汚液を撒き散らす。
 肛門を魔獣の巨根が引きちぎれるばかりにめいいっぱい突き込む。そしてヴァギナを責めるのは鬼、
 それもかつては祖父であった鬼。

(アメル!しっかりして。これはメルギトスの幻……)
 
 犯されつづけるアメルにそうアルミネは囁きつづける。幻?だからどうだというのだ。
 いま現実にそしてこれからも自分が犯されているという事実は決して変らないのに。
 そのことを棚に上げて偽善を言う。殺意を覚えた。こんな感情は初めてだ。

「あぁ…ぐぅぅぅ…うぁぁぁぁぁぁ!!!」

 次々と別の苦痛がアメルに流れ込む。幼い蕾を悪魔たちに引き裂かれたハサハ。
 信じていたレシイに強姦されたユエル。目の前で鬼と化した仲間たちの輪姦を受けたケイナ達。
 娘を守ろうとして甘んじてその身に陵辱を受け、そして守ろうとした娘を目の前で汚されたファミィ。
 自分のために大切な人々が次々と犯されて、自身も愛する母の目の前で犯されたミニス。
 陰惨な過去の記憶に苛まれ、苛烈な調教の果てに乳液を噴出す淫らな乳牛にまで貶められたパッフェル。
 そんな仲間達の絶望がアメルにまるで自分のことのように流れ込んでいた。
 身体を汚された。心を犯された。魂を陵辱された。それが続いている。
 自分の存在全てをアメルは強姦されていた。此の世の全てにアメルは輪姦されていた。
 これは自分?膣が張り裂ける、腸がよじれる。口から吐くほど汚汁を飲まされた。
 顔面にパックのように精子が張り付いた。全身を白濁液で白く染められた。心が痛む。
 信じていたものに裏切られた。大切なモノを目の前で奪われた。家畜以下の存在にまで貶められた。

(アメル、しっかりして。アメル!!)

「もう…いや・・・」

 それは初めての人間としてのアメルの意志だったかもしれない。

「もう…嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌ぁぁぁぁぁ!!!貴女の…貴女の生まれ変わりなんかに生まれたせいで!!
 私は…わたしはっ!!村を焼かれて、犯されて、なぶり者にされてそれでも楽になれなくてっ!!!
 私を楽にさせてっ!!ほっといて!!もう嫌なの全部。嫌ぁぁぁぁぁぁ!!」

(………………)

 そうしてアメルが一気に吐き出すと、すごく哀しそうな表情をアルミネは見せる。

「もう嫌ぁぁぁぁ、壊れさせてぇぇ!!楽にさせてぇぇ!!お願いぃぃぃ!!」

 そんなアルミネにアメルは拒絶の叫びをもう一度あげる。それは己が半身との決別の宣言であった。
 ここにいるのは豊穣の天使の生まれ変わりではない。ただ泣きながら哀願するヒトの少女なのだと。

(アメル……)

 哀しそうな顔をしたまま薄っすらと消えゆく幻影。半身からの拒絶はアルミネの消滅を意味する。
 もう救えない。ここまで傷つけられたアメルの心は。それを理解するとアルミネの存在は希薄になった。
 そうしてフッと息を吹き込むように流れる空気。それに溶けてアルミネの幻影は消滅する。

「アメルさん。忌々しい偽善者のアルミネは消えました。後は貴女が私を受け入れるだけです」

「は・・・い・・」

 レイムの囁きにアメルは迷わず返事した。そしてアメルは自分からレイムの唇に口付けを交わす。
 甘くとろける。舌が絡み合う。一筋の涙。それは安堵の涙か。

(これで…楽に…なれる…)

 続いてペニスがアメルの胎内に挿入されていった。すんなりと何の気持ち悪さもなく。
 嫌悪感もなく初めて受け入れられる肉棒。肉蓑を棒がピストン運動するたびに愛蜜が溢れる。
 火照りだした肉体がこの上ない至福に包まれる。

「ふぁ…」
 
 性交の快楽にアメルは初めて酔いしれた。どうして自分はあんなに嫌がってたんだろう。
 こんなに気持ちのいいことを。

「いきますよ。」

 ビクッっと射精を感じた。精液が胎内に溢れ出す感触。自分の子宮の中で温かいものがとろけだす。
 それもまた快感だった。アメルは絶頂に包まれた。





「キャハハハハハハハハ」

「クククククククク。」

「カーッカッカッカカカ。」

「ひひヒヒひひ…ひゃははは・・・ひゃ〜はっはははっは!!」

 4人の悪魔の哄笑が響いていた。背中から黒い翼を生やした。白濁まみれの少女を見下ろして。
 今日この日をもって豊穣の天使アルミネは完全に死滅した。ここに生まれたのは淫欲の堕天使アメル。
 レルムの聖女でもアルミネでもない。そんな彼女が人間として始めて選んだ選択。
 堕ちることによって哀れな少女は苦痛から解放されたのだ。

「今日はいい日です。忌々しいアルミネは死に、美しいそして愛らしい仲間が生まれたのですから。」

 そして新たなる仲間の誕生を祝して悪魔たちは笑いつづけるのであった。


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