廃人の廃人氏・作 廃人の廃人さんによるオリジナル短編です。 同氏による「ばかずきん」に登場する猟師が主人公となった話で、御本人曰く「宇宙人サイコが人間に置き換わっただけかも」とのこと(^^;) ちなみにタイトルにある「キ」とはキチガ(以下自粛) |
ヨーロッパの山奥の村…… 頭に赤い羽飾りのついた帽子をかぶり、チェックのシャツにひざの部分が擦り切れた茶色ズボンを身に着けた少年が、 温かみのある木造の家から飛び出した。 「ハリス!ハリス!あんまり遠く行っちゃいけません!」 「大丈夫だよママ!ワナに動物掛かってるか見てくるだけ!」 「あの森には変な人がいるのよ!あとでお父さんと一緒に行きなさい!」 「大丈夫だってば!」 「ハリス!戻ってらっしゃい!コラ!ハリス!ハーリース!」 周りの人たちが笑ったり怪訝に見たりする中を、ハリスは駆けて行く。 …… ハリスは、村の外れまでやって来た。 「へへっ、何が変な人さ、一度も見たこと無いくせに」 どこからがそうかと言う境界は無いが、周りにはぽつぽつ木が聳え、森の入り口のような場所である事が伺えた。 つい昨日、父親と森の奥に入り、ワナをいくつも仕掛けたのだ。 「ウサギでも小鹿でも、何でも引っかかってないかなあ……」 「なんでもって?」 「!!ワッ!」 後ろにはいつのまにか、幼馴染のメアリが居る。 綺麗な金髪の三つ網をして、赤い繋ぎの服を着て、しかも少し走ったらしく頬も赤くなっていた。 「メ、メアリか……」 「何で驚いてるの?」 「そ、そりゃ僕一人だけかと思って……女の子にはこの先危ないよ」 「男の子だって危ないわよ、お母さんに何度も注意されてるくせに」 「僕はもう……」 ハリスは指折り数えた。 1、2、3、…… 「私の一つ上でしょう?」 「そう、十二歳だ!」 「いつもそれ……ねえ、私にも獲物見せて」 「獲物って……掛かっているかも分からないし、メアリ、とにかく危ないんだよ」 「止めても一緒に行くわよ」 「……知らないよ、ホントに」 ハリスはそう言うと一人で駆け出した。 「あ、待ってよ!」 〜〜〜 森の陰から陰へ、動く者が居る。 「ああ!良い天気だ!」 ボロボロの上着、擦り切れてスネから下が殆どボロキレのようになった乗馬ズボン。 そしてボサボサの髪に無精髭を持った顔は常に引きつった笑いを浮かべている。 何よりも眼光が異常だ。 彼こそはこの森の「陰の主」だった。 ライフル片手に、森を駆ける。 ライフルの持ち手には「OWEN」とロゴが入っていた。 彼の名前か、それとも元の持ち主なのか。 「良い天気!良い天気だ!」 そう言うと彼は太陽に向かい一発撃った。 「熱いんだよ!畜生!」 目の前にはどこかの木こりが立てた森小屋がある。 「おーい!誰か居るか!」 ……中では、銃声を聞いて木こりの妻が震えながら隠れていた。 もしかしたら、噂に聞いた森の主が現れたのかも知れない。 ……とは言っても、森の主がどういう者か知らず、本当の悪魔か何かだと思っていた。 まだこの辺りに来てから日が経っていないのだ。 「おーい!俺だよ俺!」 「俺……?」 木こりの妻は少しだけ身を乗り出した。 「もしもーし!もーしーもーしー」 こんな間の抜けた事を言う者が森の主な筈が無い。 木こりの妻はとりあえず戸を開けた。 次の瞬間、笑みを浮かべた男が、頭にライフルが突きつけてきたのだx。 「ヒ、ヒイッ」 「こんにちはあ!」 ズダン! 「綺麗なお宅ですね!」 「……」 「この花瓶、素敵ですね!」 そう良いながら男は花瓶をライフルの銃底で叩き壊した。 「奥さん!いつまで寝てるんですか!」 「……」 「仕方ないね!良いことするか!」 まだ若い木こりの妻の死体をダランと上げて、 外に引きずり出すと、周りの適当な切り株に腰を上にする様に置いた。 「−−♪ーーー♪ーー♪」 鼻歌しながら身包み剥いで、男は死姦を始めた。 「力が入らないね!」 パンパンパンパンと腰を振るが、当然女の体に力は無い。 「胸だ!胸を!」 死体が揺れるお陰で、胸もぶんぶん揺れる。 半分吹き飛んだ頭部はむしろ笑って見える。 「嬉しいかい!奥さん嬉しいね!美しい家族は美しいセックスから!教会も教えない家族円満の秘密!」 〜〜〜 ハリスはメアリから駆け切る事を諦めた様で、結局一緒に連れていた。 さっきからワナが見つからない。 「この辺り……」 「さっきから見つからないじゃない」 「静かにしてよメアリ……あ、あった!」 「えっ!」 挟みこむワナに、ウサギが掛かっていた。 「エエーっ……」 「ホラ……あんまり女の子が見るものじゃないよ」 「何よ、女の子女の子って……」 「泣きそうな顔してる」 「してないっ!」 『……いね!…ックスから……家族……』 「……!シーッ!」 「……?」 耳を澄ますと、遠くから何かが喜び喚いてるような声がする。 「……誰かいるの?」 「見てくる……ここに居るんだよ」 「う、うん」 ハリスは片手に棒を持ちながら少し先へ進み出て、何かの屋根が見える場所まで来た。 近づけば近付くほど、声が大きくなる。 『……楽しい楽しい……奥さん一緒に……楽しい触れ合い……触れ合いすれば皆ニコニコ』 『少しはしゃべったらどうだ!』 茂みの陰からハリスは覗き込んだ。 もう声ははっきりしている。 「こんな所に森小屋が有ったのか……喧嘩かな?……ん?」 良く動く人影が見える。 「……!」 頭が吹き飛んだ裸の女の死体と、背中にライフルを担いだ変な身なりの男が触れ合っている。 「う、うわっ」 思わず声を出してしまったハリス。 男はすぐに気づいた。 「おや、子供が居たのか奥さん」 「……」 どうやら家族構成を知らずに間違えている様だったが、とにかく男は触れ合いをやめてライフルを取り出した。 ハリスは心臓の高鳴りを覚え、すぐに逃げ出した。 「メアリ!逃げろ!」 「ええっ!?」 「キ、キ、キチガイだ!逃げろ!逃げえっ!」 森の中を二人はとにかく駆けた。 しかし男は異様に早く追いかけて来る。 「キャッ!」 「メアリ!」 メアリが木の根に引っかかって転び、ハリスも足を止めた。 「メアリ!早く!キ…キチ…キが来る!キが!」 「だ、ダメ……早く逃げ……」 「何を言ってるんだよ!一緒……」 ズダン! 遠くからの一撃で、ハリスの頭は吹き飛んだ。 「キャアアアアアアアアアアッ!」 メアリの目の前に、羽飾りの帽子が血まみれになって落ちてきた。 「今日の獲物は何だろう〜♪神様のお恵みは永久に〜♪ハレルヤ!ハレルヤ!」 「アアアアッ!ハリス!ハリスー!」 メアリは失禁し、体から力が抜けきった。 「誰がキチガイだ、俺はオーウェンだよ」 オーウェンと言うらしい男はすぐさまメアリに近付き、捕まえた。 「メアリちゃんて言うの、よろしくね」 「ア……アアッ……」 「おとしは?いくちゅ?」 メアリの顔は引きつりきって、言葉も満足に出なかった。 「こ……殺さないで……」 「へえー、ほおー」 オーウェンはメアリを担いで、元の森小屋へ向かった。 〜〜〜 メアリはズドンと机におろされた。 「あーあー、背中が湿って……」 男はメアリを背負っていた自分の背中に手を回し、少し撫でて、またその手をなめた。 「……この味……おしっこだ!お漏らしとはいけないなあ」 「ハッ、ハアアアアッ」 三つ網も振りほどけんばかりにメアリは震えた。 「よーし、おじさんと面白い遊びをしよう、社会体験だ、おじさんは領主、君は一般人、領主が一般人から搾取する」 訳の分からない事を言いながら、男はメアリの衣服を引き裂き、彼女の白い肌があらわになった。 さらに白い下着はベチョベチョになっていた。 「や、やめて……」 「うるさいっ、だまれっ、領主の言う事を聞けっ、奉仕しろっ、税を出せっ」 有無を言わさず下着を剥ぎ取ると、いつの間にか出していた陰茎を、メアリの陰部にゆっくり差し込んだ。 凶悪な形……ライフルに良く似た陰茎はゆっくりずぶずぶ入り込んでいく。 「アッ……アーーーー!」 「お嬢ちゃん!初めてかい!」 「いいいいいやああああああああ!」 「胸が無いね!残念!ボッシュウト!」 陰部から血があふれ出て来た。 男はそれを人差し指の先につけて、なめた。 「うーん……ううむ」 うんうん言いながら男は腰を振り続けた。 「あっ、あっ、あっ……」 「気持ち良いかい」 「ああああっ……」 メアリの目は焦点も定まらず、舌をだらりと出してうめき声を出すだけ。 「あああっ……ハリスゥ……」 「ハリスくんは、おじさんの良い標的になりました!ありがとうハリスくん!」 男がメアリを抱きあげると、陰茎が奥にズッと入り込み、少女はもっと声を上げた。 「ああああっ!」 「そろそろ行くぞお……ッ!」 「あああああイヤアアアアアンッ!」 ビシャアと、別の銃声がメアリの脳内で聞こえた。 「ふうーっ、やっぱり交尾は人間に限るな」 「ああああ……」 「あーあーうるせえな」 その時、外で騒ぎ声がした。 『おいっ!ユリア!ユリアーッ!何が……アアアッ!』 「おっと、ここの主が帰ってきたのかぁ?」 男はライフルを担ぐと、外に駆け出た。 『誰だ貴様ぁ!お前が殺し……』 『オーウェン参上!行くぞ!』 ズダン! 外で男の笑い声がこだまする中、メアリは家の中で床から天井を見続けていた。 『ハッハッハッハッ』 「あああー……ママ……パーパー……ハリスゥ」 『なんだ!木こりでもマッチなんて高級品持ってるのか!』 「……ハリス」 『俺一度これ使いたかったんだよ!』 「……ごめ……ん」 『良いかい、ここをこう擦る……おい、ハイぐらい言えよ』 「……」 『良く見たらあんた頭血だらけだな……まあ良いや、次にこの火を……燃えやすい……この家に!』 周りから轟音がする。 素っ裸のままで体が少し冷えていたメアリは、段々温かくなるのを感じた。 「天使さまが……来たのね……」 『もーえろよもえろーよー炎よもーえーろー♪……フアアアーッ、眠いな』 男は燃え盛る森小屋を見るのも飽きて、その場を去っていった。 (終わり) |