序章「愚息、旅立つ」



 「ぐひひっ、良い絵が撮れた・・・」
 手にした望遠レンズつきのカメラを弄びながら豚尻傲慢は嬉しそうな笑い声を上げる。今朝のニュースで風が強いことを知った豚尻は女子高生が多く集まる駅前に陣取って風景をとるような振りをして女子高生を一心になって撮影し続けていた。いや、強い風に煽られてその短いスカートが捲れ上がる瞬間を狙って撮影し続けていたのである。
 一頻り撮影を終えた豚尻はカメラのデータを巻き戻して取ったものを確認して、その収穫具合に満足して笑い声を上げたのである。白やピンクに黒、色気のないプリントものや紐パンにTバック、おおよそありとあらゆる女子高生のパンツがカメラには収められていた。これだけでも十分だったが、豚尻はまだ満足しきっていなかった。 
 「さてと、今度は学校に行って撮影を続けようかな」
 ここにいてもこれ以上いい絵は撮れないと判断した豚尻は自分の荷物にカメラをしまうとその大柄な体をゆすって駅に急ぐ。100キロを優に肥えるその巨体は少し走っただけで汗まみれになり、辺りに異臭を放ち始める。そんなこと気にせずに豚尻は電車に飛び乗ると自分の通う学校へと急ぐのだった。
 そして学校に着くとまず最初に向うのは教室、ではなく女子更衣室であった。辺りに誰もいないことを確かめ室内に入り込むと隠しカメラの状態を確認してゆく。それを終えた後は写真部の部室に向い、今日使う予定のカメラをチェックしてゆく。それが終ってから教室に向うので朝のホームルームはすでに終っている有様だった。が豚尻はそれを気にすることなく自分の席に着く。そして今日一日の予定を立ててゆく。
 (しかし、そろそろ飽きてきたな・・・)
 学校内の女子を被写体とした隠し撮りに豚尻はそろそろ飽きてきていた。恐らくこの学校で豚尻が撮影していない女は1人もいない。下着姿であれ、シャワーを浴びている姿であれ、スクール水着姿であれ、体育着姿であれ、豚尻は女子生徒たちのありとあらゆる写真を撮り巻くってきていた。多分1人100枚は下らないだろう。それだけの数を撮影し続けると飽きも来る。
 (何か面白い被写体はいないかな???)
 豚尻は時折街中に出ては女の子に声をかけて撮影を求めたりもする。もちろん豚尻のその外見を見て多くの女子高生は鼻で笑って逃げ出してしまう。だから呼び出すときには自分の舎弟である猿滑余威緒(さるすべりよいしょ)にナンパさせて薬を飲ませたうえで、の行為だった。猿滑は豚尻の目から見ても羨ましくなるほどの美形で、女子からの人気は非常に高かった。そんな猿滑が犯した万引きの現場を豚尻が撮影したことが猿滑が豚尻のこき使われるようになった始まりだった。
 そうやって捕まえた女子高生をホテルに連れ込み、そこで一枚一枚服を剥ぎ取りながら撮影をし、手持ちのスク水を着せたりしながら撮影をした上でその肢体を存分に味わいつくしていた。顔射、膣内射精は当たり前、中には処女の娘がいても容赦なくそれを散らしていった。そうやって何度か他校の女子を強姦していったのだが、最近はそれにも飽きてきていた。
 (ああ、こう、見ただけでチンコが勃起して先っぽからタラタラと汁が垂れてくるような女はいないかな??)
 そんなことを考えながら部室に戻った豚尻はこれまでに集めてきた写真を見返しながらジッパーを降ろし、そこから大切な息子を引き出す。が、目の前に広がる作品の数々を見ても息子は起き上がることはなく、力なく項垂れているだけだった。すでに見飽きた作品に息子が反応しないのだ。
 そんな愚息の状況に溜息をつきながら豚尻は写真を仕舞い、部室を後にする。何か言いネタはないものかと辺りを物色する豚尻の目にふと廊下に落ちている手帳が目に止まった。何の変哲もない、色気の欠片もない男物の手帳。普段の豚尻ならば見向きもしないはずの手帳だったが、今日に限ってはそれが何かお宝のように見えた。
 (なんだ?何か上手そうな匂いがするぞ??)
 その手帳にそんな匂いを感じ取った豚尻はそれを手に取ると、中を調べてゆく。そこには案の定男の文字が書きなぐるように連なっていた。その文字に目を通してゆく。目を通してゆくうちに豚尻の目がらんらんと輝いてくる。そこには女の子の名前や電話番号、住所などが書き連ねられていた。
 しかもそこに書き連ねられている住所は地元ではない。北海道や九州、四国など全国各地に散らばっている。そこには待ち合わせの場所や時間も書かれているのでこの持ち主がここに書かれている女の子と会っていることは間違いなかった。そこまで読んだ豚尻はにやりと笑う。自分の本能は正しかったようだ。
 (持ち主は・・・なんだ、こいつか・・・)
 裏表紙を見た豚尻はそこに書かれていた名前を見て鼻を鳴らす。同じクラスの男子、だが豚尻にはあまり好ましい印象のある少年ではなかった。印象はなかったが、この少年がここまで事細かに手帳に記してある少女たちには異常なまでに興味を覚えた。何かすごくおいしそうな匂いがする、そう感じられてならなかった。その感じは豚尻の下半身に直結し、むくむくと肉棒を大きく勃起させる。まだ見ぬ少女たちを味わいつくしたい、その欲望で胸がいっぱいだった。どんな顔立ちで、どんなスタイルをしていて、どんなエッチを見せてくれるのか、そんなことわからない。ただこのまだ見ぬ少女たちを犯したい、その痴態を写真に収めたいその欲望だけが豚尻の胸を支配していた。
 (ぶひっ、予想外にいいモノが手に入ったぜ・・・)
 鼻を鳴らしながら豚尻はその手帳を懐にしまう。そしてすぐさま行動に移る。まず最初にこの手帳の自分用に写し、その上で何事もなかったかのように放置する。手に入れた情報を元に少年とかち合わないように気をつけながら行動するためであり、少年に手帳が戻るようにしたのは少年に要らない警戒をさせないためだ。
 そのうえでこれまで溜め込んできた写真を裏ルートで何種類か捌き活動資金を集める。学校のこともあるので活動は週末に限られる。その限られた時間の中でここに書かれた少女たちを探し出し、狩らなければならない。そう考えるとさらに下半身が興奮してくる。ビクビクと先っぽから汁が垂れてくるのを感じながら豚尻はほくそえむ。
 (これで楽しい日々が過ごせそうだぜ!!)
 自分に面白いものを恵んでくれた神様に感謝しながら豚尻は旅立つ。
 最初の目的地は北海道だった・・・


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