最終話 悪魔少年再臨


 詩織たちの一件は世間に新たな話題を振りまいた。行方不明になっていた少女達が遠く離れた地で同棲をし、さらにその誘拐事件の犯人ではと疑われた少年によって拳銃乱射というショッキングな事件はゴッシク好きのマスコミの格好の標的となった。あることないこと書きたて、誹謗中傷するような記事が世間を賑わせた。
 様々な憶測が世間を駆け巡り、詩織たちの妊娠がその憶測に拍車をかけた。秀馬と遊馬の過去から現在に到るまでのエピソード、二人が少女達を助けた英雄とする記事、逆に少女達を軟禁していた犯人説、ありとあらゆる記事が週刊誌を、掲示板に書きたてられた。
 書き立てられはしたがどれが真実であるかなど、誰にもわからなかった。生き延びた少女達は硬く口を閉ざし、事件から数日後にはまたどこかへと姿をくらましてしまったからである。何も語らずに姿を消した少女達の行動はさらに様々な想像を掻き立て、噂に拍車をかけた。
 結局、詩織たちが秀馬と遊馬という双子の悪魔から解放されたのかどうか、本当のところは誰にもわからない。ただ、風の噂で、七人の少女が産まれたばかりの子供を愛しそうに囲む姿を見たと囁かれた。そしていつしかみんなが少女達のことを忘れていった。

 そしてもう一つ、最大の謎となったのがその拳銃を乱射したはずの少年の姿だけがその場にはなかったことだった。その場に残された少年、少女の血痕以外の大量の血痕が見つかっており、銃を乱射した少年のものという見方が大勢であった。しかし少年の姿は見つからず、いくら捜してもその行方はようとして知れなかった。
 死んだように偽装しただけだ、少女達がその死体を貪り食ったんだ、第三者がその死体を始末したんだ。ありとあらゆる噂が駆け巡った。そのどれも信憑性がなく、いくら警察が捜しても、その少年の行方はまるでわからないままであった。名前が全国に公開され、指名手配されても見つかることはなかった。
 ただ一人、3歳の男の子の”コアラを見た”という証言に耳を傾けるものなど誰もいなかったという。この事件とはまるで関係ない妄想に耳を傾けはしなかった。たとえそれが真実であったとしても・・・
 そしてこの事件はいつしか人の噂にならなくなる。廃れるのも早いこの世の中で、徐々に見向きもされなくなり、人々の記憶からは消えてゆくのだった。

 そうして人々が忘れ去った頃・・・


 『ああああっっっ!!そ、そこっっ!!』
 大音量で大画面に映された映像を二人の少年が固唾を呑んで見つめる。目を逸らすことも、会話をすることも出来ず、ただじっと画面に映し出された映像を見つめる。大画面のモニターには詩織が片足を秀馬に抱え上げられる格好で後ろから突かれる様子が映し出されていた。
 『ああんっ!んんんっっ!!ご主人さまっ!もっと、もっとはげしくぅっっ!!』
 形のいいおっぱいをプルプルと震わせながら詩織は腰をくねらせ、更なる快感を求める。丸出しの女性器はペニスに突かれるたびに愛液が迸り、詩織の腿を床を汚してゆく。秀馬のほうも詩織のリクエストに答えるように激しく腰を叩きつけ、詩織の膣内を存分に味わっていた。
 『あああっ!!くるっ・・・きちゃうっっ!!』
 詩織は激しく喘ぎながら絶頂が近いことを告げる。秀馬の腰の動きも小刻みになり、彼のほうも終わりが近いことを示している。そして、秀馬が最大限の力で最奥までペニスを押し込むと同時に、詩織の体が大きく飛び跳ね、大きな喘ぎ声を上げる。詩織は悦に入った表情で小刻みに震え、そん快感をかみ締める。やがて全てを詩織の膣内に放ち終えた秀馬が離れる。しばしぐったりとしていた詩織だったがすぐに秀馬のほうに視線を送る。
 『御主人様、今度はこっちで・・・』
 詩織は甘えた声を出しながら両手で尻肉を左右に広げる。詩織のまだ色の綺麗なヴァギナが広がり、その奥から先ほど秀馬が注ぎ込んだ欲汁がドロリと顔をのぞかせる。そしてその少し上ではかわいらしい穴が口を広げて可愛がってもらえるときを待ち構えていた。詩織は腰をくねらせて甘い声を上げておねだりする。その扇情的な姿に秀馬の勢いを失っていたものは復活を果たす。
 『この雌犬め!御主人様を酷使しやがって!お仕置きだ!!』
 『ひぐぅぅっっ!!あがあっっ!!ご、御主人様・・・きつい・・・』
 詩織に歩み寄った秀馬は何の前戯も湿り気も与えないまま詩織に菊門に愛液にまみれたペニスを捻じ込んでゆく。湿り気の少ないアナルを硬い肉棒がみちみちと押し広げ押し進んでゆく。その痛みに詩織は悲鳴を上げるが、その悲鳴の中には艶が含まれていた。乱暴に扱われた喜びが含まれていた。しばしそのきつさに苦しそうにしていた秀馬だったが、すぐに激しく腰を動かし始める。その動きに釣られる様にして詩織の口からは甘ったるい喘ぎ声が漏れ始める。腸液を滴らせて秀馬の動きを助ける。秀馬が突き上げるたびにヴァギナからはどちらのものともわからない液体が溢れ出し、詩織の腿を濡らしてゆく。
 『ぐっ、いいぞ。詩織!!もっと締めろ!!』
 『はぐっ!!うあっ!!御主人様・・・もっと、もっと突いて下さい!』
 お互いに激しく喘ぎながら腰をくねらせ、叩きつけて欲望を貪る。いつ果てるともわからない情事はただただ繰り返される、そのモニターの画面に・・・

 「すげぇ・・・」
 食い入るように画面に見入っていた少年は思わず感嘆の声を上げる。こんな美少女の情事が無修正で見れたのだ、興奮しないわけがない。事実少年たちのズボンは大きく膨らみ、テントを張っている。その二人の眼の前のテーブルには数十本に及ぶDVDが並べられていた。
 「これ全部こんなのなのかよ・・・」
 そこにあるDVDには全てタイトルがつけられている。『詩織、処女喪失』だの、『ゆかり、アナル開発』だの、直接的表現のものばかりである。そのうちの一本を見てみたのだが、内容に偽りはなく、無修正の、それも激しいセックスシーン満載のDVDであった。
 「これ、ここで撮ったものだよな・・・」
 「ああ、たぶんな・・・」
 二人は部屋の中を見渡す。暗いこの部屋で監禁された少女達は全員調教せれていったのだ。このDVDに映っている少女達に少年たちは見覚えがあった。何年か前に世間を賑わせた少女達だ。みな印象的な美少女達ばかりだったのでよく覚えている。その少女達が繰り広げる情事の収まったDVDを少年たちは見つけたのだ。
 「あの事件ってこれが真相だったんだ・・・」
 「ああ。でも世間は何も知らない。警察も・・・」
 二人がこの家を買ったのはたまたまだった。気晴らしに競売に出された家を購入したのがことの始まりだった。そしてこの部屋を見つけたのも偶然であった。この異様な雰囲気漂う広大な部屋、そこに残されていたDVD。それらを見たとき、あの世間を騒がせた事件の真相を少年たちは全て悟った。そしてこの部屋はまだ誰にも見つかっていないことは、この部屋に残っていたDVDの存在から明らかであった。
 「なぁ、俺たちもこんな事できないかな・・・」
 「・・・できるんじゃないかな・・・」
 少年たちの心の中にいま画面に映っている奴等のように美少女を監禁して調教したいという欲望がこみ上げてくる。その欲望を少年たちは抑えることが出来なかった。うまく立ち回ればこいつらのようなことをすることが出来る。そう考えるようになっていた。
 「幸い、うちの学校にはこいつらみたいな美少女が多いからな・・・」
 「ああ、一人一人狩って行こうぜ・・・」
 心の奥底からこみ上げてくる欲望に少年たちは完全に取り付かれていた。まだ見ぬ美少女達の裸体を、激しく悶える痴態を思い浮かべてさらに股間を大きくする。早く犯りたい、その欲望だけが彼らの心を支配していた。しかし、無計画に行動すればすぐにばれてしまう。画面の向こう側の男達のように誰にも気付かれないように慎重に行動しなければならない。そのためにはターゲットを一人づつに絞り、確実に、目撃者を出さずに進めなければならない。
 「で、誰を一番最初にする?」
 「もう決めてある。今年赴任してきた新米教師だ・・・」
 「確か去年教育実習できた奴だよな・・・確かいい体してる奴だったな・・・」
 その服の下に納められら裸体を想像して少年はジュルリと涎を拭う。あの女教師をこの部屋で徹底的に調教する。嫌がる彼女を組み敷き徹底的に犯しまくる。そして最終的には自分から股を広げてペニスを欲する奴隷にまで落とす。そう、先ほど見たDVDに映っていた女性と同じように。そのことを思い描くと心躍るものだった。そのためにはまずあの女を連れ込む方法を考えなければならない。

 「それならいいネタがある。あいつ、幼馴染みと付き合っているらしいぜ・・・」
 「幼馴染み?そんなのネタに・・・」
 「そいつ、うちの生徒らしいんだ・・・」
 そこで二人の会話は途切れる。生徒と教師の密会。そんなものが世間に知られるわけにはいかないことだ。これ以上のいいネタないあろう。これでここにその女教師が連れてこられる日もそう遠くないだろう。そのことを考えると少年たちの顔に笑みが広がる。その笑みを浮べた顔は瓜二つの邪悪なものだった。

 双頭の悪魔は死なない。新たな肉体を得て甦る。新たな獲物を求めてまた世に放たれるのだ・・・そのことを世間は誰も知らない。こうして悲劇と惨劇はまた繰り返される。

 終わることのない欲望のワルツ、それはこの部屋から聞こえてくるようだった。



        双頭の魔窟   完


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