最終話 「逆転?奇跡?どんでん返し!見よ、神が舞い降りる!!!」


 遠いくらい黒い星。その人も住まない様な地に二人の男が舞い降りていた。人が住むことを拒む超重力の底に向けて2人はゆっくりと降り立ってゆく。ゆっくりと進む星の底はまだ見えない。2人は身じろぎもせずにゴンドラの手すりに捕まり、じっと底の方だけを見つめていた。
 「先ほどの調査隊の報告ではそろそろのはずだが・・・」
 「パパ。あれがそうなのでは?」
 底の方を見つめていた2人はその先にどす黒い何かを見つけ歓喜の声を上げる。今から一時間ほど前に調査をさせたものたちは事故に巻き込まれて通信が途絶し、行方不明になってしまっている。しかし、そんな連中の事などこの二人には興味のないことであった。そのものたちが発見し、今自分たちの眼の前にあるこれにしか二人の興味はなかった。
 「これでこの戦いは僕のものだね、パパ!」
 「そうだな・・・それどころかこの銀河の全てさえも支配できるぞ!」
 そう叫ぶ2人の声は喜びに満ち満ちていた。今二人の眼の前にあるものを使えば恐れるものなど何もない。そのために今まで姿をくらまし捜し求めてきたのだ。そしてその目的のものが今眼の前にある。喜ばない方がおかしかった。その喜びに満ちた男たちはそのどす黒いものにゴンドラを横付けする。
 「長年こんなところに放置されていたのにまるで痛んでいないね・・・」
 「うむ。さすがは・・・と言ったところか・・・」
 2人は感心したようにそのどす黒いものの表面を見て廻る。その表面には一切痛みはなく、ついこの間出来上がったばかりのような綺麗さであった。普通の人間ならばここでその異様さに気付くものだが、欲に狂ったこの二人はそのことに疑問を挟むことはなく、逆にそのことを喜んできた。すぐにでもこの素晴らしい機体を動かしたいと言う欲望に駆られ、いそいそとコックピットハッチを探す。しかし、どこにもそれらしきものは見当たらない。
 「おかしいな・・・なんでないんだ??」
 『そなたらわれのちからおもとめるか??』
 「??パパ、今何か言った??」
 「いや?お前じゃないのか??」
 『あくなきよくぼうのもちぬしたちよ。そなたらののぞみかなえようぞ・・・』
 その声は自分たちのどちらの声でもない。2人は恐る恐るその声のするほうを見上げる。真っ暗な空、そこに二つの眼が光り、じっと自分たちを見つめている。その瞳の奥にある底知れない恐怖に2人は心底肝をつぶし、悲鳴を上げ逃げ出そうとする。だが、逃げるどころか、動くことさえ出来ない。ズブズブと体がそれに飲み込まれてゆく。いくら足掻こうともそれは彼等を放さない。助けを求めてもそれに答えるものは誰もいなかった。
 『そなたらのいのちとひきかえに!!』
 二人を飲み込んだそれは息吹を取り戻す。力を取り戻したそれは背中の翼を広げると、大きく羽ばたき超重力の井戸から飛び出してゆく。その先にいる2人の男たちが乗ってきた宇宙船を破壊すると、いずこともなく消えてゆく。それが皇星連邦を根底から揺るがす悪夢の始まりであった。




 地球から遠く離れたザムザイール皇星連邦の主星サザン、その皇居で三人の男達が足元に広がる大画面で繰り広げられる戦いに見入っていた。片や鉄球を持った機体、片や真紅の炎を身に纏った機体。戦いは炎の巨人が圧勝する形で片がついた。それを見ていた男たちは思わず唸り声を上げる。
 「むぅ・・・まさかレストンがこれほどの完敗を期すとは・・・」
 「あの機体、全てにおいてスペックが高すぎる・・・」
 「ああ。皇帝陛下ほどの力はないが、我らに匹敵すると見た」
 「皇星連邦の要たる我ら三将軍に匹敵するか・・・恐ろしい若者がいたものだ・・・」
 ザムザイール皇星連邦三将軍、皇星守備将軍ハール=リップ、情報局長メイローン=シスケン、制圧軍将軍バスケン=ゴーンは息子達の戦いを見つめながら精子朗のその強さに唸ることしかできなかった。シルヴァ姫が見つけ出した逸材ということであったが、当初三人は精子朗のことなど気にも留めていなかった。しかし、連勝を重ね、自分たちが幼い頃から鍛え上げてきた息子達がこうもあっさりと打ち破られるような男となれば認めざるを得ない。
 「正直これほどの男、空中戦が出来ないという弱点などすでに承知していよう・・・」
 「うむ。おそらく20個しかパーツを使っていないのはそのときのためだろう・・・」
 「しかし、20個のパーツしか使っていないものにここまで圧倒されるとは我が息子ながら情けない・・・」
 「そういうな、バスケン殿。これほどの男が戦いに参戦するなど誰が想像した?」
 自分の息子もおそらくは精子朗には敵わないと感じ取ったメイローンは首を振りながらバスケンを慰める。その意見にハールも同意する。精子朗という予想外の異分子の登場は三将軍達にとって予想外のことであった。自分たちの息子が敵わないとなると、残されているのはただ一人である。
 「これであとは宰相殿のご令息ファッタン殿だけか・・・」
 「わるいが、あの愚息では・・・な・・・」
 「我らが将来の皇帝陛下は決まったも同然か・・・」
 「宰相殿がそのことに異議を唱えなければいいのだが・・・」
 もちろん伝統に則って行われた決闘なのでたとえ皇帝であってもこの結果に異議は挟めない。だからたとえ宰相であっても精子朗がシルヴァと結婚することに意義は挟めないはずである。しかし、あの宰相がおとなしくそれに従うとは思えない。何かしら異議を唱えて無理難題を吹っかけて精子朗とシルヴァを困らせてくる可能性は高い。
 「そういえばここしばらくその宰相殿のお姿をお見かけしていないが?」
 「!そういえばこの婚約者選抜大会が始まる少し前から見かけておらぬな?」
 三将軍ははてと首を傾げる。あの宰相がこんなにおとなしいとは考えられない。あの愚息に付ききりで何かしら企んでいるのかとも考えられる。ハールの息子ハーフがファッタンと何かしら繋がりがあったことだけは確認が取れているが、それ以上のことはわからない。何か狙っているにしても不正を働けば即失格になることは宰相自身がよく知っているはずである。それでも息子を勝たせるために何かしらの策を労し、最近姿を見せないのはそれと何か関係があるのかもと勘繰ってしまう。とはいえ、決闘機もまともに動かせないファッタンが精子朗に勝てる可能性は万に一つも考えられない。
 「はてさて、この一大事にどこに行ってしまったのやら・・・」
 「まったくだ。皇星連邦存亡の危機だというのに・・・」
 姿をくらませたままいっこうに居場所のわからない宰相親子に三将軍は思わず愚痴を漏らす。もちろん皇星連邦存亡の危機などとはカケラも思ってはいない。軍人だけあって強きものがトップに立つのは当たり前のことと三人は思っていた。だからこのシルヴァ姫の婚約者を決める決闘での勝者はそれにふさわしいと思っている。だが、宰相の考えは違っていた。頭の中身が空っぽのバカにトップになどたって欲しくないというのが本音である。それは前回大会で現皇帝に負けたことも少なからず影響しているのだろう。
 「このまま期限が来れば勝利数が圧倒的に多いあの少年の勝利は必至」
 「かといって戦いを挑むこともできない。お前の息子と申し合わせていたようだが、無駄だったようだな」
 「まったくもって申し訳ない。あの愚息がお騒がせをして・・・」
 そう言ってハールは残りの2人に頭を下げる。ハールの息子ハーフが宰相親子と内通し、この決闘で最後まで生き延びることができた場合、ファッタンに勝利を献上すること、その代わりハーフには皇星連邦筆頭将軍の地位を与えることが内密に約束されていた。もちろんこれはハーフが最後まで生き残ることが前提条件であるが、ファッタンとしては一目ぼれしたシルヴァ姫と結ばれるためには伝統ある決闘を汚してでも手に入れたいものだったに違いない。三将軍がこの密約を知ったのは宰相親子が姿を消してからしばらくしてからのことであった。自分の息子がこのような密約を交わしていたことにハールは自分の監督責任を恥じ、何度も頭を下げている。
 「まあ、どちらにしろ、この決闘、もはや勝者は・・・??なんだ???」
 ハーフを宥めながらバスケンは勝者が決まったような決闘の様子を見つめながらそんなことを呟く。画面では蒼い新たな決闘機が姿を現していた。これがおそらく残り20個のパーツから作り出された決闘機なのだろう。そしてその強さはあの赤い機体に勝るとも劣らないはずである。この2体に決闘機を駆使すれば宰相がどんな罠を張り巡らせようとも何の問題もないだろう。そうなれば勝者は間違いなくシルヴァ姫とそのパートナーということになる。三将軍全員がそのことを確認しあおうとした瞬間、大きな地鳴りとともに床が大きく揺れる。その大きな揺れに三将軍はたまらず床に転がってしまう。
 「何だ、なにが起こった???」
 驚く三将軍を他所に部屋の明かりは消え、足元のモニターも消えてしまう。代わりに非常事態を告げる赤いランプが灯り、警報がけたたましく鳴り響く。これは本星で何かが起こったことを意味していた。三将軍は慌てて立ち上がると、通信機を通して状況を確認する。
 「なにが起こったのだ?詳細を報告せよ!!」
 『メイローン将軍!実は何者かが本宮殿を強襲してきました!!』
 「なんだと???で、その敵は??」
 『現在宮殿内を移動中!一直線に皇帝陛下の決闘機のもとへ・・・』
 「くっ!婚約者選抜大会で手薄になったところを狙われたか?」
 ハールは悔しそうに舌打ちをする。しかし、ここでどうこうしていても仕方がない。皇居に不法侵入したものを一刻も早く叩きのめさなければならない。それが自分たち三将軍の役割に他ならない。三将軍はすぐさま自分の決闘機のもとに転送で移動すると、その不届き者を倒すべく出撃する。
 「我々がお守りする皇宮に乗り込んでくるなど、どこの愚か者だ?」
 「どこのバカかなど問題ではない!皇宮を汚した罪を償わせるのみ!」
 息巻いて皇宮に降り立った三将軍はその光景を見て絶句する。あの美しかった庭は見る影もなく荒れ果て、白で統一された建物は半壊状態であった。皇宮に足を踏み入れた者が暴れまわり、破壊した爪あとは痛々しいものであった。自分たちが護る皇宮をここまで破壊されて黙っていられるほど三将軍も穏やかな性格をしてはいない。すぐさま皇帝機のもとへ向かった犯人を追って地下へと向かう。皇帝機へと向かう通路も破壊されたあとがそこかしこに刻まれていた。そして何かが這いずった後も残されていた。全速であとを追う三将軍はようやく皇帝機が納められた部屋へと到達する。
 「な・・・・」
 そこに入った三人はまたも絶句する。そこに広がっていた光景は想像を超えるものであった。部屋の中のはなにもない。台座に納められているはずの皇帝機の姿はどこにもなく、残骸すら残されていない。ただ、どす黒い水のようなものが塊がモゾモゾと蠢いているだけであった。各々武器を構え警戒する三将軍のほうに水の塊の頂点が振り返る。そこには禍々しいばかりの赤い瞳がギロリと三人を見下ろしていた。
 『さんしょうぐんか・・・おそいとうじょうだな・・・』
 「貴様か、われらが皇帝陛下の居を汚した愚か者は!?」
 「その愚行、許しがたし!我ら三将軍が成敗してくれる!」
 「せめて名前だけは聞いてやろう!名を名乗れ!!」
 『ヴェズ・・・ヴェズ=ガーム・・・』
 水の固まりは徐々に形を変えながらそう名乗る。その名前に三将軍は聞き覚えがあった。だが、そのことを問い詰めるよりも早くヴェズ=ガームのほうが動く。鋭い爪の生えた腕が三将軍に襲い掛かる。その攻撃をいなし、受け止めると、三将軍は反撃に出る。シュテンカイザーの一撃に匹敵するような攻撃の嵐がヴェズ=ガームに浴びせかけられる。並みの機体ならば一瞬でばらばらになるような攻撃の嵐であった。もうもうと立ち込める土煙を見つめながら、三将軍はヴェズ=ガームの姿を確認しようとする。奴が自分たちの知るものだとするならば、この程度の攻撃でやられるはずがなかったからである。案の定、煙の向こう側では何かがモゾモゾと動いているのが確認できた。やがて土煙が晴れ、そこで蠢くものの姿が露になる。
 「なに・・・??きさま、それは・・・」
 『われはヴェズ、ヴェズ=ガーム・・・ぎんがをほろぼすまおうなり!!!』
 土煙の向こう側から姿を現した漆黒の姿をしたそれは驚く三将軍に襲い掛かる。三将軍もそれを迎え撃つ。激しい戦い、そして沈黙・・・その日を境に、ザムザイール皇星連邦主星サザンとの交信は途絶えてしまう。

 黒き物体が地球を目指す。それが最後の戦いの始まりであった。



 「まだサザンとは交信が回復せぬのか??!」
 「はい。いまだ交信不能です・・・」
 「ならばさっさと交信できるようにせぬか!!!!」
 イライラした口調で捲くし立てるシルヴァの問いにエルは悠然といつもと変わらぬ口調で答える。よほどのことがなければ取り乱すことのないエルであったが、今回ばかりはそれがシルヴァの怒りを増幅させるだけだった。エルが悪いわけでないことはシルヴァにも分かってはいる。しかし、何かに当たらなければ気分が落ち着かないのだ。
 「すまぬ・・・言い過ぎたようじゃ・・・」
 「いいえ、姫様。お気になさらず・・・」
 さすがにまずいと思ったのかシルヴァは恥ずかしそうに俯き加減でポツリと謝る。そんなシルヴァを慰めるようにエルはにっこりと笑って首を横に振る。シルヴァが不安に思っているのはエルもよくわかっていた。だからああいった口調で捲くし立てられるのは仕方がないと思っていた。
 「しかし、サザンで喧嘩を売るようなバカがいるとは思いもしませんでしたね・・・」
 同じように通信機に掛かりきりになっていたアルがあきれた口調でぼやく。サザンの防衛機能は銀河の中でも最高峰を謳っていた。そのサザンに正面から戦いを挑むなどしかし今回の敵はそれをやってのけている。その証拠に未だにサザンとは通信が出来ないでいる。どんな敵かは知らないが、相当な力を持ったものということになる。
 「とはいえ、三将軍に皇帝陛下の決闘機まで揃っていますから、万が一ということはないと思いますけど」
 「ええ。あの四機を相手にして勝てるやつなど想像もできない・・・」
 「そうよね・・・そう考えると向こうの通信施設がやられちゃった可能性が一番高いわよね・・・」
 通信ができない理由を考えていたアルはサザンの通信施設が壊れているという結論に至る。それならば通信が出来ないことも納得がいく。そのアルの言葉を聞いたシルヴァはようやくホッとした表情を浮べる。と、ちょうどそのときアラームが鳴り響く。誰かが連絡を取ってきたのだ。
 「はい、こちらシルヴァ姫様付き侍女アルでございま〜〜す」
 『こち・・・ら・・・ハーフ・・・リップ・・・姫様に・・・姫様に・・・』
 明るい声で応対したアルに雑音交じりの音声が聞こえてくる。息も絶え絶えといった風の通信相手はハーフ=リップと名乗ってくる。その名前を聞いたシルヴァもアルもエルもぎょっとする。こんな辺境の地に三将軍の1人がくるなど考えもしなかったからだ。それもこんなに息も絶え絶えとは想像もつかなかった。
 「ハーフ将軍、いかがなさいましたか?姫様は今ここに・・・」
 『姫様に・・・サザンが・・堕ちました・・・とお伝え・・・』
 アルが慌てて問い返すと、ハーフは驚愕の事実をシルヴァに伝える。サザン陥落、そんな信じがたい事実にシルヴァは愕然とする。もっと詳しいことを聞きたかったが、今のハーフにこれ以上無理をさせるわけにはいかない。早く彼を回収して傷の手当てをしてからでも遅くはない。シルヴァはすぐさまエルにハーフの回収を命じる。エルが自分の小型艇で通信のあった地点に向かい、ボロボロになったハーフの決闘機を回収し、帰還する。そしてすぐさま治療が行われ、ハーフが治療用のポッドの中から受け答えできるようになったのはそれから数時間後のことであった。
 『申し訳ありません、姫様・・・主星を護りきれませなんだ・・・』
 「何があったのです、ハーフ将軍?一体何者が、どれほどの軍勢でサザンに攻め込んで来たのですか?・・・」
 『敵数はわずか、一・・・』
 「一?たった一機でサザンを攻め落としたというのですか???」
 『はい。そして敵は・・・ヴェズ=ガーム・・・』
 その名前を聞いた瞬間、シルヴァもアルもエルも表情が凍りつく。カタカタと震えるだけで一言も言葉を発することが出来ずにいた。状況が飲み込めない精子朗と倫はお互いに顔を見合わせるだけで首を傾げてしまう。
 「シルヴァ、そのヴェズ=ウォームって何者だ???」
 「銀河の破壊者、宇宙最悪の魔王・・・そう呼ばれた男じゃ・・・」
 「魔王・・・??」
 「うむ。前回の決闘において猛威を振った化け物の名じゃ。もっとも最後は父上に討たれたはずだったが?」
 『そのことなのですが、ヴェズ=ウォームが使っていた機体はそのまま封印されていたのです、ある場所に・・・』
 伝え来た話をするシルヴァだったが、その存在がまだ過去のものとなっていなかったことに驚きを隠せなかった。それ以上にあの危険な決闘機が未だに現存していたことの方が驚きであった。もうとうの昔に廃棄されたものとばかり思っていたからだ。それはアルとエルも同様であった。
 「何故あの決闘機が残されている??」
 『実は皇帝陛下が即位したあと廃棄されるはずでしたところでこの力を捨てるのは惜しいという声が上がりまして』
 「それで残したというのか???
 『はい・・・黒の星セーブレスの中心部に・・・』
 「どこの愚か者じゃ、そのような愚策を弄したのは???」
 『・・・・・・宰相閣下でございます・・・』
 ハーフの答えにシルヴァは大きく舌打ちをし、『あのxxxもののxxxが』と聞くに堪えないような罵り言葉を口にする。それほどシルヴァは激昂していたのだ。それがわかっているから普段なら言葉遣いを注意するエルも今は黙ったまま見逃してくれていた。
 「それで、そのばか宰相はどこに行ったのだ???」
 『どうやら息子とともにそのゼーブレスに・・・』
 「まさか、あの愚か者どもは・・・」
 『ご子息を勝たせるためにヴェズ=ガームの封印を解いたのではないかと・・・』
 シルヴァはハーフの答えを聞いた頭が痛くなってくるのを感じた。ヴェズ=ガームという力を手に入れたファッタンが反乱を起こしたという図式が成り立つ。が、あの小心者のファッタンが少し力を得たからといって反乱などという大それたことをするだろうか。どう考えても想像ができない。
 「あのさ、シルヴァ・・・そのヴェズ=ガームってどんな決闘機なんだ??」
 「銀河史上最悪の決闘機、そう呼ばれておる・・・」
 「機体には液化金属が使用されていて相手を取り込んで己の力に変換する能力を有しています」
 「かつてこの化け物が決闘機として使われたときは父上が今の皇帝機を駆使して倒したのだが・・・」
 『姫様、残念ながら皇帝機は奴に食われましてございます・・・』
 「なに???サザンでの戦闘はそれが原因か???」
 『はい、皇帝機を取り込んだヴェズ=ガームはもはや無敵と言ってもいい存在です・・・』
 父の皇帝機がウェズ=ガームを倒すわずかな期待であったのだが、ハーフの報告にシルヴァはもはや何もいえなくなってしまう。ウェズ=ガームを倒せる機体は恐らくもはや銀河には存在しないだろう。いくらシュテンカイザーやソウテンカイザーが強いと言ってもまだ皇帝機には及んでいない。その2機が皇帝機を取り込んだウェズ=ガームに勝てる可能性は皆無と言っていいだろう。あとは大艦隊を要してこれを撃滅するほか手立てはない。
 「父上達はご無事で??」
 『はい。お怪我もなくご無事でございます。現在は艦隊を編成、ウェズ=ガーム殲滅作戦の指揮を取っておいでです』
 「父上も同じ考えですか・・・」
 『はい。ウェズ=ガームごとその星を滅ぼすことになったとしてもこれを討つと・・・』
 滅ぼされる星は溜まったものではないが、それしか方法は考えられない以上それが最善の策といえた。こうなってくるとこんな騒動を巻き起こしている馬鹿親子への怒りが益々大きくなってゆく。ウェズ=ガームという強大な力に酔いしれ破壊の限りを尽くす馬鹿親子の存在が許せなかった。
 「しかし、あの馬鹿親子め!一緒に始末してくれる!!」
 『そのことですが姫様。宰相閣下親子はすでにウェズ=ガームに取り込まれてしまっているものと・・・』
 「なんじゃと??ではあれを動かしているのは誰じゃ???」
 『恐らくウェズ=ガームを生み出した男があの機体に取り込まれ今もいき続けているとしか・・・』
 まさに亡霊といえる存在であった。自分の肉体を決闘機に食わせて生き延びるなど誰も想像できなかったことであった。幸い肉体がなければ決闘機は動かない。だから封印されていた間はウェズ=ガームは動くことが出来なかったのだろう。しかし、そこに宰相親子がのこのことやって来た。これを取り込んで操り手として使っているのだろう。自分の意識も自我もなく、ただ生ける人形となってウェズ=ガームを操られ、ウェズ=ガームを操る存在となったのである。
 「げに恐ろしきはウェズ=ガームか・・・してウェズ=ガームは今どこに??」
 シルヴァがウェズ=ガームの所在をハーフに問いかけた瞬間、けたたましい警報が鳴り響く。すぐさまアルとエルが計器を操作し何が起こったのかを確認する。警報が鳴り響く中、精子朗も倫も無性にいやな予感に苛まれていた。何かよくない事が起こる、そう思えてならなかった。
 「何事じゃ??」
 「ウェズ=ガームが・・・ウェズ=ガームが地球に急速接近中です!!」
 「何じゃと??して降下予測ポイントは??」
 「少しお待ちを・・・降下予測ポイントはここです!!」
 恐怖の魔王の出現が自分たちの元という事実に精子朗も倫もいやな予感が当たったと眩暈を起こす。が、眩暈を起こしたからと言ってその事実が変わるわけではない。ウェズ=ガームを何とかしなければこちらの身が危ういことになる。正直いって自衛隊などお呼びではない。在日米軍だってまともに相手にならないだろう。この地上で対抗できる戦力はシュテンカイザーとソウテンカイザーだけであった。
 「エルさん!ウェズ=ガームの到着時刻は??」
 「・・・・・・来ました・・・」
 「へっ???」
 ウェズ=ガームが到着するまでにシュテンカイザーとソウテンカイザーの準備をしておかなければならないと思った精子朗はエルにウェズ=ガームの到着時刻を尋ねる。するとエルの抑揚のない声で答えてくる。その答えに精子朗が呆然とするのと同時に頭上でものすごい地響きがして地下施設が激しく揺れる。どうやらウェズ=ガームが自分たちの頭上に到着したらしい。その様子を確認するよりも早く、けたたましいサイレンが鳴り響く。
 「今度は何じゃ???」
 「ウェズ=ガームが放った触手が基地内に入り込んできています!!」
 「何じゃと??モニターに映せ!!」
 切り替わったモニターに禍々しい触手が基地の通路を這い回り、破壊してゆく様が映し出される。それは映し出される箇所全てで行われていた。切り替わる画面がウェズ=ガームを映し出したとき、倫はウェズ=ガームの口が何事かモゾモゾと動いていることに気付いた。
 「アイツ、何か言っている・・・」
 「何??アル、奴がなにを言っているか聞き取れぬか??」
 「少々お待ちを・・・」
 シルヴァの指示で機械を弄ったアルはウェズ=ガームの口元の音を拾ってゆく。最初は雑音交じりの声しか聞こえなかったが、徐々にその声はしっかりと聞こえるようになっていった。そしてその声にシルヴァもアルもエルもハーフも聞き覚えがあった。
 『し・・・るヴぁ・・・しる・・・ヴァ・・・』
 「この声は・・・間違いない・・・ファッタン・・・」
 その声は間違いなく宰相の子息ファッタンの声であった。ウェズ=ガームから取り込まれたファッタンの声がするのは彼が生きているからなのか、ウェズ=ガームが彼の声を使ってしゃべっているのかはわからない。しかし、ウェズ=ガームの目的がシルヴァその人であることは間違いない。
 「ここは一度脱出したほうが・・・うわぁぁぁぁぁっっっ!!!」
 「セイシロー!!!!!」
 ウェズ=ガームの目的を察した精子朗はここからの退避を促そうとした瞬間、天井が崩れ、無数の触手が部屋の中になだれ込んでくる。精子朗や倫たちが崩れ落ちてきた天井の下敷きになっている中、先端に目玉のついた触手はシルヴァに狙いを定めて襲い掛かる。シルヴァの悲鳴に精子朗もアルもエルも手短にあったものを手に触手を追い払おうとする。しかし、抵抗も空しく、三人は弾き飛ばされ、触手は逃げようとするシルヴァに襲い掛かかると、その手足を絡め取り、そのまま地上へと引きずってゆく。
 「セイシロー、セイシロー!!!」
 「シルヴァ・・・うぐっっ!!」
 シルヴァの助けを求める叫びに精子朗は必死になって立ち上がろうとするが、落ちてきた残がいが頭を直撃して激しく出血をしながらそのまま気絶してしまう。そしてその間にウェズ=ガームはシルヴァをその身に取り込むと、巨大な翼を広げて羽ばたくと、周囲を破壊しながら大空へ、宇宙へと向けて飛び立って行くのだった。あとには破壊しつくされた地下基地と、頭に怪我を負った精子朗たちが取り残されているだけだった。




 「くっ、放せ、放さぬか!!」
 無数の触手に四肢を押さえつけられたシルヴァは抵抗することも出来ないままドレスも、下着も引き千切られ、その陶磁器のような白い肌を晒されていた。シルヴァは必死になって暴れ逃げ出そうと試みるが、絡みつく触手の力は強く、シルヴァを放そうとはしなかった。
 『しるヴぁ・・・・』
 それでも必死の抵抗を続けるシルヴァに誰かが声をかけてくる。その声は間違いなくファッタンのものであった。キョロキョロとファッタンを探すシルヴァの眼前で触手の一部が盛り上がり、人の顔の形をしてゆく。それは間違いなくファッタンの顔であった。しかし形だけであって、色は深緑色、舌は触手とすでに人とはいえない存在であった。
 「ファッタン、何の真似じゃ、これは!!!」
 『しるヴぁ・・・ぼくの・・・もの・・・』
 「なにを言っておるのじゃ、おぬしは!!・・・まさかそなた完全に・・・」
 片言の言葉を繰り返すファッタンにシルヴァは思わず息を呑む。ウェズ=ガームに取り込まれたファッタンのシルヴァをものにしたいという欲望だけが息づき、取り残されていたのだ。もしかするとその欲望がウェズ=ガームを動かす力となっているのかもしれない。つまり今目の前にいる化け物は自分をものにする欲望だけで生きているわけである。
 「冗談ではない!わらわは・・・わらわは!!」
 『お前のものなどにならない』と啖呵を切ろうとしたシルヴァよりも早く、体を取り巻く無数の触手が蠢き始める。ぬるりとした触手が白い肌の上を這いずり回る。そのおぞましい感触にシルヴァは悲鳴を上げて悶える。だが、シルヴァを取り巻く触手はシルヴァを逃さず、ズルズルとシルヴァのその大きな胸目指して這い上がってくる。
 「ひっ・・・やめ・・・やめよ・・・」
 いやいやと首を横に振るシルヴァだったが、その願いがファッタンに聞き入れられることはなかった。おぞましい触手はシルヴァの胸に巻き付き、強弱をつけながら締め上げてくる。その触手の攻めにシルヴァは全身を震わせて悶える。さらに触手は先端を蛭のような形に変えると、徐々に硬くなり、頭を擡げてきた乳首へと迫ってゆく。
 「いやじゃ・・・わらわに・・・触れる・・な・・・あああああっっっ!!」
 あくまで拒絶の意志を貫くシルヴァであったが、そんなシルヴァを甚振るように触手の先端が乳首に吸い付いてくる。乳首を啜り上げる激痛にシルヴァは思わず悲鳴を上げる。じりじりとした痛みが乳首に襲い掛かってくる。その痛みは徐々に快楽に変わってくる。痺れるような快感が脳を焼く。
 「うくっ・・・んんっっ!!いや・・・じゃ・・・」
 ちりちりと痛みに似た快感にシルヴァは悶えながらも必死になって抵抗する。しかし、人の手とは違うぬるりとした感触で絞り上げられる乳房も、小さく鋭い歯で痣を刻まれながら強烈に吸い上げられる快感も、シルヴァの体を喜びに包んでゆく。こんなおぞましいものに自分の体が反応してしまう現実にシルヴァは耐え難い屈辱感を味わっていた。
 『しるヴぁ・・・もっと・・・かんじる・・・』
 必死になって抵抗するシルヴァを更に甚振るかのようにファッタンは触手でシルヴァの体を覆ってくる。胸だけではない。お腹も、背中も、太股も、首筋にまでおぞましい触手が這いずってくる。その感触にシルヴァはまた悲鳴を上げる。そのおぞましさが続々と背筋に寒気を走らせ、同時に体の奥から快感を呼び起こして行く。
 「いやじゃ・・・わらわは・・・セイシロー以外のものとなど・・・んんんっっ!!!」
 体を駆け巡るおぞましい快感にシルヴァは激しく頭を振って嫌がり、絶叫する。精子朗以外の男と、ましてや嫌っていた男の成れの果てと体を重ねるなど、シルヴァには耐えがたい屈辱であった。しかし、そんなシルヴァをさらに甚振るようにファッタンが動く。絶叫する口の中に触手を捻じ込んできたのである。
 「ふぐっ!!うううぅぅぅっっ!!」
 咽喉の奥にまで触手が入り込んでくる感触にシルヴァは吐き気と恐怖に激しく嗚咽する。しかし、シルヴァの口を犯す触手はそこから出てゆこうとはせず、かえって奥にまで入り込み、頬肉を撫で回し、触手から延びる小さな触手が舌に絡み付いてくる。口の中を満たすおぞましい物体の感触と、口の中に充満してゆく触手の粘液と悪臭、それらがシルヴァの口の中を犯しまわし、激しい嘔吐感が込み上げてくる。そんな苦しむシルヴァの姿を喜ぶかのようにファッタンはさらに触手を蠢かせてシルヴァの肢体を弄って来る。
 「ふぐっ!!?んんんんっっっっ!!!」
 太股を弄っていた触手がゆっくりと力を込めてシルヴァの両脚を左右に大きく開かせてゆく。ファッタンの狙いが自分のもっとも大切な場所にあることは疑いようもなかった。それを悟ったシルヴァは口いっぱいに触手を押し込められたまま悲鳴を上げる。声にならない悲鳴はなんの抵抗力もなく、必死の抵抗も空しく両脚は限界まで左右に広げられてしまう。
 『これが・・・しるヴぁの・・・おまんこ・・・』
 「ふぐぅぅぅっっっ!!!ぎぐぅぅぅぅぅっっ!!!」
 夢にまで見た秘所にファッタンは顔を近づけてしげしげと見つめる。ファッタンのその舐めるような視線を股間に感じたシルヴァは激しく抵抗してファッタンの視線から逃れようとする。しかし、触手がそれを許すことはなく、ファッタンのその舐めまわす様な視線にシルヴァのヴァギナは否応なく晒されることとなった。精子朗以外の男にもっとも大切な場所を見つめられシルヴァはボロボロと大粒の涙をこぼす。これ以上の屈辱も、悲しみもない。そう思えるくらいに。しかし、これで終わるはずはなかった。ざらりとした、ぬめってとした感触が股間に走る。
 「ひっ!!な、なにをしておる???」
 『しるヴぁのおまんこじる・・・うまい・・・』
 人のものとは思えないほど長い舌を駆使してファッタンはシルヴァのヴァギナを嘗め回してくる。舌先で陰唇を舐め回し、丹念にしわに沿って舌先を這わせてゆく。奥からあふれ出してくる蜜がその長い舌に絡みつき、ピチャピチャとイヤらしい音を奏でる。やがて触手が陰唇を摘むようにして左右に広げてゆく。
 『しるヴぁのおまんこ・・・ぴんくいろできれい・・・』
 「やめよ・・・見るでない・・・あああっっ!!」
 シルヴァは恥ずかしそうに腰をくねらせて必死になって抵抗するが、四肢を固める触手はシルヴァを逃がさない。結局腰をくねらせるだけで逆にファッタンを喜ばせるだけであった。左右に広げられた陰唇の置くから顔を覗かせた粘膜の色にファッタンは抑揚のない声で感想を漏らす。しかし大事なそこを覗かれているという事実がシルヴァを辱める。
 『しるヴぁ、もっとぬらす・・・』
 「ひぃぃぃっっ!!やめよ、舐める出ない!!!ひやぁぁぁぁぁっっ!!!」
 長い舌がまたシルヴァのヴァギナを舐めあげてくる。愛液で潤った膣口、これまでの快感に大きくなり顔を覗かせ始めたクリトリス、ヒクヒクと戦慄くアナル、その全てをファッタンは愛しそうに、おいしそうに舐めまわす。そのねっとりとした舌の動きには精子朗の様な優しさや技術はない。しかし嬲るような動きはシルヴァのその敏感になった体をじっとりと舐り、さらなる快楽の海へと沈めてゆく。

 「いやじゃ・・・助けて、セイシロー・・・・」
 ボロボロと涙をこぼしながら助けを求めるシルヴァだったが、精子朗がそんなに都合よくこの場に現れるはずもなく、ただファッタンのいい様に嬲られるだけだった。ファッタンの長い舌はシルヴァの膣口をこじ開け、奥へ奥へと潜り込んでゆく。その膣壁を舐めまわす舌の動きにシルヴァは全身を激しく震わせる。
 「ふあぁぁぁっっっ!!ダメ・・・ダメじゃ・・・もう!!ふぐっっ!!」
 シルヴァが登りつめてゆくのに合わせるようにファッタンの舌が分かれ、三箇所を同時に舐め回し始める。一本は膣内を舐め回し、一本はアナルの中を愛撫し、一本は触手によって完全に剥かれたクリトリスを舐めまわす。さらに稜の乳首は触手の口が激しく愛撫する。一度は自由になった口も新たな触手が塞ぎ、口の中まで犯される。
 「ふぅぅっ!ふぅぅっ!!うううっぅぅぅっ!!!!!」
 全身をくまなく犯される絶望感、止め処なく襲ってくる快感、それらに取り囲まれたシルヴァの意識は一気に登りつめてゆく。そして激しく震え上がるのと同時に、眼の前が真っ白に染まり、頭の思考が一瞬停止する。全身から力が抜けてゆき、心地よいだるさが襲ってくる。
 「うっ・・・うううっ・・・」
 精子朗以外の男に犯されイってしまった。その事実をシルヴァが理解したとき、シルヴァは泣き崩れる。何か精子朗を裏切ってしまったような罪悪感に苛まれ、絶望感に包まれる。そんな悲しみにくれるシルヴァのことなど気に止めることなくファッタンはシルヴァのその小さな体を持ち上げると、また足を大きく広げてゆく。
 「ひっ!!まだ、なにかするつもりなのか???!!」
 『これからが・・・ほんばん・・・』
 怯えるシルヴァにはっきりそう言うとファッタンは触手を何本か絡み合わせてゆく。絡み合った触手はやがてペニスの形をする。カリの広さも、頚の太さも、人のモノとは比較にならない。緑色の触手のペニスはビクビクと脈打ち、先端から早く入りたいと緑色の液体を滴らせている。
 「いやじゃ・・・そのようなもの、わらわの中に入れる出ない!!」
 『シルヴァ、ようやく一つ・・・なれる・・・』
 「わらわはそなたのことなぞ!!ひぎぃぃぃぃっっっ!!!」
 嫌がるシルヴァを無視してファッタンはその野太いペニス型の触手をシルヴァのヴァギナに捻じ込んでくる。精子朗のその大きなペニスに慣れてきたシルヴァのヴァギナであったが、それを上回る太さのものの挿入に激しい激痛を覚え、悲鳴を上げる。しかしファッタンが挿入を止めようとはしない。ミチミチと無理矢理膣壁を押し広げながら奥へと押し込んでゆく。奥からあふれ出した愛液が潤滑油となって動きを助けてはくれているが、その規格にあわない大きさは痛みしかシルヴァに与えない。しかしファッタンはそのことにはまるで気付いていなかった。その太いもので激しくシルヴァの膣を蹂躙し始める。激しく出入りする触手の与える激痛にシルヴァは全身を強張らせて絶叫する。
 「あぐぁぁぁっっ!!痛っ、痛いぃぃぃっっっっ!!!」
 『しるヴぁのなか、あったかい・・・でも・・・』
 「ひやぁぁぁっっっ!!痛い、やめ、やめるのじゃ!!!!」
 『しるヴぁ、しょじょじゃない!!!』
 「ああああっっっ!!セイシロー、セイシロー!!!」
 激痛に絶叫するシルヴァを無視してファッタンは触手の動きをさらに加速させてゆく。その触手を包み込む温かさにファッタンは嬉しそうな顔をするが、すぐに不満そうな表情を浮べる。自分が犯すはずだったシルヴァの処女がすでに奪われていたことに怒りを覚えていた。その怒りはシルヴァを攻める動きとなって現れ、傷ついた膣壁をさらに激しく擦りあげてシルヴァを苛む。その激痛に耐え切れなくなったシルヴァは精子朗に助けを求める。
 『せいしろー?しるヴぁ、おまえはぼくのも・・・ほかのおとこのなまえをくちにするな・・・』
 「わらわは・・・わらわはセイシローのものじゃ・・・」
 『ゆるせない・・・シルヴァをけがしたおろかものがゆるせない・・・』
 ファッタンはあくまで精子朗に助けを求めるシルヴァの姿に恨みがましい声で精子朗を呪いはじめる。それはいつか精子朗に心を奪われたシルヴァにも向いてくる。数本の触手がシルヴァの口の中に入り込み、咽喉の奥にまで押し入ってくる。他の触手数本が集まりペニスを形成し、今度はそれをシルヴァのアナルに押し込んでゆく。腸壁を押し広げて蹂躙する触手の存在にシルヴァは悲鳴を上げる。さらに細い触手がシルヴァの残った穴、尿道に入り込んでくる。その痛みにシルヴァは白目を剥いて気を失ってしまう。しかし穴という穴を犯す触手の動きに意識をすぐに取り戻す。そして太股を熱い液体がジョロジョロと滴り落ちてゆくのを感じる。尿道を犯されて溜まっていた黄金色の水が溢れ出してしまったのだ。人前での放尿という屈辱と全身を苛む痛みの入り混じった感覚に苛まれる。ファッタンは触手を操り、シルヴァの体を蹂躙し、犯しつくす。それはまるでシルヴァの体を蹂躙しつくして自分のものにしようとしているようだった。
 (セイ・・・シ・・ロー・・・・)
 シルヴァはその屈辱と激痛にまみれた心の中で精子朗に助けを求める。それがシルヴァの最後の拠り所であった。その拠り所も崩れ落ち、シルヴァの意識は完全に闇に没してしまう。その目からは光が失われ、糸の切れた人形のように脱力しきったシルヴァをファッタンは満足そうに犯す。犯しつくす。そこにはカケラの愛も存在していなかった。それでもファッタンはシルヴァを犯し続ける。いつ果てるともわからない狂宴はいつまでも続くのだった。




 ウェズ=ガームが宇宙に戻って行ってから丸一日が経過した。頭に怪我を負った精子朗は正体不明の物体に襲われた人物として各方面から説明を求められていた。もちろん正直なことを話す気などさらさらなく、わからない、怖い思いをしたとだけ答え、自分も被害者面をしてごまかしきった。もちろんこれは本当のことを言っても信じてはもらえないという考えがあってのことだった。
 「で、ウェズ=ガームは今どこに??」
 「今は月にいるようです。何を考えているのやら・・・」
 「・・・・・まさか俺を待っている??」
 「セイシローさんをですか?なるほど・・・」
 シルヴァを誘拐しておきながらそんなところで待ち構えている理由は他に思い当たらない。つまり精子朗を挑発しているのである。自分とシルヴァはここにいる、シルヴァを取り返せるものなら来てみろというわけである。本来ならそんな安っぽい挑発に乗るべきではないのだが、せっかく攫われたシルヴァが近くにいるのだからそれに乗らない手はない。
 「エルさん、シュテンカイザーとソウテンカイザーの準備は??」
 「すでにいつでも発進出来るようになっております」
 精子朗の問いにエルは無表情のまま答える。準備が出来ているならすぐにでもシルヴァを取り戻しに行こうと精子朗は部屋から飛び出してゆく。そんな精子朗を押しとどめようと倫はするが、どうしても声をかけられずにいた。そしてかけてゆく精子朗の後ろ姿を不安そうに見つめるのだった。
 「大丈夫ですよ、リンさん。セイシローさんは必ず勝ちますって!」
 「でもシュテンカイザーやソウテンカイザーより強い皇帝機って言うのを取り込んだんでしょう?そいつって」
 「ええ。でも大丈夫です!まだ奥の手がありますから」
 そう言ってにっこりと笑うアルに倫は少し気分が楽になる。そして精子朗が月に着いたのはそれから30分ほどしてからのことであった。いつもの決闘上から出て少ししたところでウェズ=ガームは待ち構えていた。シュテンカイザーと自動操縦で付き従うソウテンカイザーがすぐそばに来ると、ようやく反応を示す。
 『ようやくきたか、げすやろう』
 「どっちが下衆だよ、人の女、攫っておいて!!」
 おぞましい口調で精子朗を蔑むウェズ=ガームに精子朗は吐き捨てるように言い返す。その表情はシルヴァを奪われた怒りに満ち満ち、今にも跳びかからんばかりに憤っていた。そんな精子朗の姿にウェズ=ガームはしばし黙ったままでいたが、すぐに下卑た声で話しかけてくる。
 『ひとのおんな?こいつのことか???』
 そう言うとウェズ=ガームは胸元を開いてみせる。そこにはシルヴァがいた。全裸で無数の触手にその自由を奪われ、口も、胸も、ヴァギナも、尿道も、アナルも、ありとあらゆる場所を触手に侵され涙ながらに喘いでいる。その目にはもはや精子朗は映っていない。ただ犯される恐怖に震え、絶え間ない快感に苛まれているだけだった。
 『どうだ。しるヴぁはもう・・・ぼくのどれいだ・・・』
 「奴隷だ???まだシルヴァは壊れていねぇ!俺に助けを求めているんだよ!!!」
 勝ち誇るウェズ=ガームに精子朗はそう言い放つと、ソウテンカイザーとともにウェズ=ガームに飛び掛る。シュテンカイザーの体からは真紅の炎が迸り、ソウテンカイザーの全身は蒼い稲妻に包まれている。どちらもパワー全開でウェズ=ガームに挑んでゆく。その2体をウェズ=ガームは悠然と迎え撃つ。
 『おあまえのようなむしが、ぼくのあいてなどおこがましい・・・』
 相も変らぬ抑揚のない声音でそう言い放つと、ウェズ=ガームはその巨大な腕を思い切り振り回す。同時に体のあちこちから延びる無数の触手をシュテンカイザーとソウテンカイザー目掛けて襲わせる。腕一本だけでも決闘機一機に匹敵するほど巨大な腕の攻撃を掻い潜るも、その後に襲い掛かってくる触手まではかわし切れず、シュテンカイザーもソウテンカイザーも空しく地面に叩きつけられる。機体にダメージを負いながらも立ち上がり、反撃に出ようとするところをウェズ=ガームの口から灼熱の炎が放たれる。
 「ぐああああぁぁぁぁっっっ!!!!」
 『そのままもえつきろ・・・・』
 全てのものを焼き尽くさんばかりの灼熱の炎を浴びたシュテンカイザーとソウテンカイザーはそのまま膝を折る。装甲は真っ赤に染まり、今にも溶け出さんばかりであった。さらにウェズ=ガームはその巨大な腕を振い、2体に殴りかかってくる。真っ赤に染まった装甲を巨大な拳が殴りつけ、大きく吹き飛ばす。地面に再び叩きつけられた2体は白煙を上げて動かなくなってしまう。
 「くそ・・・シルヴァ・・・」
 今の攻撃で再び額を割った精子朗は鮮血を滴らせながらシルヴァの名前を呼ぶ。しかし触手に犯されるシルヴァには何の反応も見られない。それでもシルヴァの名前を呼び続け、ソウテンカイザーを、シュテンカイザーを起き上がらせる。婚約を嫌がり自分の家の庭に落ちてきた少女。その少女に一目ぼれし、これまで戦ってきたはずだった。
 「そうだ、シルヴァを・・・シルヴァを返してもらう!!!」
 精子朗の執念がシュテンカイザーとソウテンカイザーにさらなるパワーを与える。機体から噴出す炎と雷は勢いを増し、その力の増強を見せ付ける。しかしウェズ=ガームはまるで臆することなくその攻撃を受け止めて見せる。先ほどを遥かに上回る攻撃に易々とはじき返すことはできなかったが、それでも決定的ダメージにはなりえていない。
 『むだ・・・おまえではぼくにはかてない・・・』
 シュテンカイザーとソウテンカイザーの攻撃を受け止めたウェズ=ガームは勝ち誇ってそう告げる。その言葉どおりウェズ=ガームの体どころか攻撃を受け止めた腕にさえダメージは入っていない。それでも精子朗は諦めることなく攻撃を続ける。その一点に集中した攻撃がついにウェズ=ガームの腕に亀裂を入れる。
 「どうだ!!これでも・・・」
 『むだだ、そのていどではぼくはやぶれない・・・』
 ようやく腕にダメージを与えた精子朗だったが、ウェズ=ガームはまるで動じることなく触手で2体の決闘機を攻撃してくる。大きく弾き飛ばされたシュテンカイザーとソウテンカイザーは再び地面に激しく叩きつけられ、その動きを止める。それを見たウェズ=ガームはにやりと笑うのだった。
 『ぼくのかち・・・おまえのようなくずが・・・』
 「そうやって勝ち誇るのを待っていたぜ、このくず野郎!来い、コウテンフェニックス!!」
 ウェズ=ガームが勝ち誇った笑いをあげた瞬間、精子朗はニッと笑い何かを呼ぶ。その呼び声に答えるようにウェズ=ガームの遥か頭上から金色の光がまっすぐに降りてくる。反応の遅れたウェズ=ガームはその光を直撃で受ける。胸の部分に大きなダメージを受け、その巨体を地面に横たえることとなった。
 『きさま・・・なにを・・・』
 「そうやって相手を見下してくれるのを待っていたんだよ。シルヴァは返してもらったぜ?」
 横たわった体を起こそうとするウェズ=ガームに精子朗は自分の腕に戻ってきた愛しい人を見せ付ける。そのシュテンカイザーに並ぶように金色の不死鳥がその神々しい姿をウェズ=ガームに見せ付ける。この不死鳥が先ほどウェズ=ガームを攻撃し、シルヴァを取り戻したのであった。予想外の第三の機体の登場にウェズ=ガームはしばし動くことも出来なかったが、先ほどの攻撃で拘束していたはずのシルヴァが取り戻されたことにようやく気付き、その巨体を起こすと有無を言わせずにシュテンカイザーに襲い掛かる。
 『しるヴぁを・・・かえせ!!』
 「シルヴァは俺のもんだ!ソウテン、シュテン!しばらく頼む!!」
 襲い来るウェズ=ガームのきっぱりとそう言い放つと、精子朗はシルヴァを抱きかかえたままコックピットの奥に姿を消す。そんな精子朗の要望にこたえるようにソウテンカイザーとシュテンカイザーは蒼と赤の光を発し、ウェズ=ガームの攻撃を受け止める。2体の強力なバリアにウェズ=ガームの攻撃も全て阻まれる。
 「アルさん!準備は?」
 「もちろん、お言いつけどおり奴隷の皆さんは例のお部屋に押し込めてありますよ!」
 「サンキュウ!」
 「でもシュテンもソウテンももうエネルギーの残量が乏しくなってきました。10分くらいしか持ちませんよ?」
 「それだけあれば十分!」
 精子朗はそれだけ言うと通信を切る。ここから先は人に見せるようなものではない。すぐさまシルヴァのほうに視線を移す。呆けたような表情のシルヴァは精子朗が呼びかけても何の反応も示さない。仕方がないと精子朗はそのままシルヴァをギュッと強く抱きしめると、開いたままの唇に自分の唇を重ねる。
 「シルヴァ、今元に戻してやるからな!」
 精子朗はそれだけ言うと、シルヴァの首筋や体にキスの雨を降らせる。あとが残るくらい強く吸い上げ、キスマークを刻んでゆく。そのキスの雨にもシルヴァは何の反応も示さない。精子朗は今度はシルヴァの大きく実った乳房に目標を移して行く。自分の膝の上にシルヴァを乗せると、両手でその大きな果実を優しく揉みしだく。
 「・・・・あっ・・・」
 すると無反応だったシルヴァがはじめて反応を示す。精子朗はさらに乳房を揉みあげ、指先で転がすようにして小さな突起を弄ぶ。徐々にその突起は硬さを帯び、頭を擡げてくる。そこで今度はそれを口に含み、舌先で転がし、唇で挟んで引っ張ったり、強く吸い上げたり、軽く歯を当てて噛んだりする。
 「んくっ・・・・んんっ・・・」
 その攻めにシルヴァの反応が先ほどよりも大きくなる。まだその目には精子朗は映っていないが、体は徐々に精子朗を受け入れてきているのがわかる。そこで精子朗はシルヴァに快感を与え意識を覚醒させようと、次なる手を打つ。胸から離れた両手を背中を滑らせて下腹部へと下ろしてゆく。お尻を撫で回し、太股を愛撫して徐々に上に上がりその合流地点を目指す。その合流地点はすでに潤いを帯び始めていた。
 「体の方が正直に反応してくれるみたいだな・・・」
 意識のほうがまだ完全に戻っていないが体は精子朗を受け入れる準備は整っているらしい。精子朗はシルヴァの股間に手を伸ばす。潤い始めたそこから溢れる水が精子朗の指先に絡みついてくる。精子朗はその水を指先に絡めるようにしながら閉じられた貝の合わせ目に沿って指先を走らせる。
 「んくっ・・・・」
 そこを優しく撫でてやるだけでシルヴァの体は大きく震え、いままでで一番大きな反応を示す。そこで精子朗はそこを傷付けないように気を使いながら何度も何度も擦りあげる。それにあわせて閉じられた貝は口を開き、その奥から溢れ出す愛液が指に絡みつき、クチュクチュとイヤらしい音を奏で始める。
 「もういいかな??」
 その潤いを確認した精子朗はその愛液をズボンから取り出した自分のペニスに擦り付ける。すでに準備万端のペニスをシルヴァの膣口に宛がうと、そのまま一気にシルヴァの中へと押し込んでゆく。ニュルリとした感触とともにシルヴァの膣内へと侵入したペニスを膣壁が暖かく包み込んでくれる。その温かさが心地いい。
 「さてと、シルヴァ・・・気を取り戻してくれよ!」
 精子朗はシルヴァの両脚を抱え込むようにして腰を掴むと、そのまま下から突き上げシルヴァの体を揺すって抽送運動を開始する。子宮口を突き破ってその奥にまで届かんばかりに激しく突き上げる動きに、シルヴァの肢体は激しく揺れる。それにあわせてその大きな胸も揺れ、精子朗の体に擦れてくる。
 「んくっ・・・んんんっ・・」
 「シルヴァ、シルヴァ・・・」
 その動きにやがてシルヴァの反応も大きくなってくる。白かった肌は徐々に紅葉し、その息遣いも粗くなってくる。ペニスが突き上げるたびにあふれ出してくる愛液の量も徐々に増し、ペニスが掻き回すヴァギナの奏でるいやらしい音も大きくなってゆく。精子朗はシルヴァの心に訴えかけるように囁きかけながらさらに動きを早めてゆく。
 「起きろ、シルヴァ!!」
 「んああああぁぁぁっっ、セイシ・・・ロー・・・」
 精子朗の愛撫にシルヴァの目に徐々に光が戻ってくる。甘い声で喘ぎながら精子朗の首に腕を回してくる。その子宮を突き上げるような動きが心地よくてシルヴァは精子朗の体に自分の体を預けてそれを受け入れる。それはまるでファッタンに犯された体を癒そうとするかのようであった。
 「セイシロー、わらわは・・・わらわは・・・」
 「大丈夫だ・・・今は俺に全てを預けろ!」
 「あああああっっっ!!セイシロー!!!」
 自分に何があったのかをシルヴァは切り出せずにいた。ファッタンに犯された、その一言がどうしても言い出せなかった。無理矢理レイプされたのだからシルヴァに何の罪があろうか。しかしシルヴァの心の奥底には精子朗を裏切ってしまったような激しい罪悪感が渦巻いていた。その罪悪感がどうしても精子朗に告白させなかった。そんなシルヴァの心中を察したかのように精子朗は彼女の頭を撫でながら囁きかけてくる。そんな精子朗の優しさが嬉しくてシルヴァは彼に抱きついて離れようとしなかった。
 「イくぞ、シルヴァ!!」
 「あああんっ、いい、いいぞ!セイシロー!!わらわも、わらわも・・・んくっ!!」 
 「うくっっっっ!!!」
 ラストに向けて精子朗の動きが加速してゆく。確実にシルヴァの感じる場所を擦りあげてシルヴァの快感を増してゆく。お互いに求め合って、お互いを高めてゆく。シルヴァの絡みつくような膣の感触が心地よく、子宮口を何度もノックするし精子朗のペニスの動きが止め処ない快感を生み出してくれる。そうやって2人はどんどん高みへと上り詰めて行く。やがて2人はほぼ同時にその極みに達する。
 「あっあっ、あっ、セイシロー、わらわはもう・・・んぁぁぁぁぁぁぁっっっ!!!」
 「シルヴァ、このまま膣内でイくぞ!!うぐぅっっ!!」
 激しい絶叫とともに二人は体を震わせる。絶頂によって激しく収縮する膣道が精子朗のペニスをこれでもかとばかりに締め付ける。その痛くも心地よい感触に精子朗はシルヴァの子宮奥深くで思い切り射精する。お腹の中で満ちてゆく温かな感触にシルヴァは幸せそうか笑みを浮べて体を何度も震わせる。
 「よし、来たぞ!!!」
 「なにが来たと・・・あっ!!」
 精子朗はコントロールパネルを見つめたまま小さくガッツポーズを取る。その意味側からなかったシルヴァは精子朗に尋ねながら自分もそちらの方に目をやる。そこではもはや切れる寸前であったエネルギーゲージがぐんぐんと上がってゆくのが見えた。それも半端なあがり方ではない。あっという間に最高値にまで達してしまう。そそれでも収まらないゲージは金色に輝きだす。その光景にシルヴァは驚きを隠せなかった。
 「来た来た、来ましたよ〜〜〜〜!!!」
 「どうしたんですか、アルさん?これはいったい??」
 「これはフルパワーの証!ついにあれが可能になったんです!!」
 金色に光るパワーゲージにアルは歓喜の声を上げる。その喜びように倫もエルも首を傾げる。シュテンカイザーもソウテンカイザーもフルパワーでウェズ=ガームに挑みあしらわれているのだ。それなのにパワーゲージがフルになったからといって勝てるはずがない。それはアルも承知しているはずである。なのにこの喜びようが不思議でならなかった。
 「あれ??」
 「まあ、見ていてください!!」
 どうにもアルの説明は要領を得ない。あれとは何なのか不思議でならなかった。気になって仕方がない。同時にある疑問も浮かんできた。たった1回シルヴァがイったくらいでフルパワーに達するなど合点がいかない。もしそれが可能ならこれまでもすぐにフルパワー状態にできていたはずである。
 「あの、アルさん。どうして今回はこんなに簡単に振るパワーになったんですか?」
 「え?ああ、それはリンク・ルームを使ったからですよ」
 「リンクルーム??」
 「はい。そこに入った人はシルヴァ姫と感覚を共有することができる代物です」
 アルの説明に倫もエルも首を傾げる。感覚が共有できるという意味は理解できるが、それと簡単にフルパワーにまで達することができた理由とが上手くかみ合わない。さらに首を傾げていると、アルがさらに詳しく説明してくる。
 「リンクルームの理論は理解できていますよね?」
 「感覚共有、それは理解できるわ。でもそれとこれとがどう関係しているのか・・・」
 「簡単ですよ。部屋に奴隷の皆さんを押し込めておけばいいんですから!」
 あっけらかんとしたアルの一言に倫もエルも思わずぎょっとしてしまう。奴隷たちをシルヴァと感覚を共有できる部屋に押し込める。つまり奴隷全員がシルヴァと同じく精子朗に抱かれていたことになるのだ。シルヴァが1回イッたということは都合50回分のエネルギーが溜まったことになるはずである。それならば簡単にフルパワーにまで持ち込めたのも頷ける。精子朗の疲れる回数は少なくても効率よく力を貯めることが可能ということになる。
 「さあ、始まりましたよ!!」
 アルの言葉に倫とエルは画面を注視する。炎と雷を纏った2体の決闘機が並ぶように宙に浮き、その真ん中に金色の不死鳥が佇んでいた。これから何が起こるのかと倫もエルも固唾を呑んで見守る。やがて2体の決闘機に変化が現れる。並んでいた2体が背中合わせになり、金色の不死鳥がバラバラに分解する。
 続いてシュテン、ソウテン2体の決闘機の胸と背中のパーツが外れる。両腕は短く折りたたまれ肩のパーツに納められる。その方のパーツは胸方向に折れ曲がり、頭部もスライドするように腕方向に展開し、ちょうど肩の位置で止まる。そして口の部分が変形しそこから二の腕が現れる。
 脚部は膝下に太股が収納され、短くなる。両脚が重なるようになり、つま先は両脚とも下を向く。そこまで行ってシュテンとソウテンは背中合わせに合体する。体の各部がスライドし、ちょうど巨大な胴体となる。その両腕、両脚となるべく、コウテンから分れたパーツが腕、脚を形取り、合体してゆく。
 腰にはシュテンの胸と背中のパーツとソウテンの胸のパーツが取り巻くようにして合体し、ソウテンの翼はコウテンの翼と合体し巨大な翼となって背中にくっつく。コウテンの頭部が胸となり、残りのパーツが頭部となる。その後頭部の一部が開きそこから金色の炎が噴出す。その炎がまるで金色の髪のように美しく靡く。全てが合体し終えたとき、そこには白と黒と赤と蒼と黄色に彩られた巨大な翼を持つ巨人が金色の炎を湛えながら佇んでいた。
 「神代の空を金色に染め上げる最強の鬼神、シンテンカイザー、ここに降臨!!!!!」
 シンテンカイザーの放つ力はウェズ=ガームに勝るとも劣らない、いやそれを上回るものであった。関節部から噴出す金色の炎は神々しいばかりに輝いている。シンテンカイザーを前にしてはじめてウェズ=ガームが後退する。反射的モノなのか、感覚的なものなのかはわからない。だが、間違いなく魔王は後退していた。
 『そんなこけおどしで!!』
 「こけおどしかどうか、かかって来いってんだ!!」
 唸るウェズ=ガームを挑発するように精子朗は人差し指を動かす。その挑発に乗るようにウェズ=ガームは唸り声を上げ地響きを立ててシンテンカイザーに襲い掛かる。シンテンカイザーを押しつぶさんばかりの勢いで突っ込んでくるウェズ=ガームを精子朗は真正面から受け止まる。シュテンカイザーのときのようにまた吹き飛ばされるのではと思った倫の眼の前でシンテンカイザーはその巨大な魔王をがっしりと受け止める。
 「シンテンカイザーってそんなにすごいんですか?ただ三体が合体しただけにしか見えませんけど・・・」
 「そうですねぇ。ウェズ=ガームのパワーを100とするとシュテンとソウテンは30ほどです」
 「それを足してコウテンを足しても100には満たないんじゃ?」
 「ところがコウテンフェニックスには特殊な能力が備わっているんですよ、戦闘能力がない代わりに」
 「特殊能力?」
 「機体性能を倍掛けにしてくれるんです。つまりシンテンカイザーの力は(30+30)×2で・・・」
 「120????」
 アルの言葉に倫は上擦った声を上げてしまう。確かにそれならばウェズ=ガームを上回る力を手に入れたことになる。しかも今の精子朗のテンションは最高潮に達している。これに”テンション・キャパシティ”によって強化されたシンテンカイザーの力はウェズ=ガームの力を遥かに越えてしまったことになる。
 『こんな、こんな・・・』
 「なんだ?この程度でもうギブアップか?
 『ぼくがぎんがさいきょうだ〜〜〜〜!!!』
 ウェズ=ガームはそう叫びその巨大なこぶしを振り回す。シンテンカイザーはその攻撃を腕で受け止めながら逆にその顔を殴りつけてゆく。重い音を立てて繰り出されるシンテンカイザーの拳は確実にウェズ=ガームにダメージを与えていた。反対にウェズ=ガームの攻撃は完全にシンテンカイザーに受け止められ、ダメージを与えられずにいた。
 『くそ・・・これならどうだ!!!』
 殴り合いが不利と悟ったウェズ=ガームは体を反転させ、その野太い尻尾で攻撃してくる。まともに喰らえば並みの決闘機では原形をとどめないほどの破壊力を秘めた一撃であった。その尻尾をシンテンカイザーは両足を踏ん張り、がっしりと受け止める。受け止めたが勢いを殺しきれず、地面を削りながら吹き飛ばされる。手ごたえを感じたウェズ=ガームはにんまりと笑いながらシンテンカイザーの方を向き直る。だが、その笑みはすぐに凍りつく。吹き飛ばされ、ぐしゃぐしゃになったものと思っていたシンテンカイザーは尻尾を完全に受け止めていた。ダメージも見当たらない。
 「この程度で、俺をどうにかできると思っていたのか、この下種野郎!!!」
 精子朗は絶叫してシンテンカイザーを動かす。精子朗の絶叫に答えるようにシンテンカイザーの各関節からは金色の炎があふれ出し、その力強さを増してゆく。シンテンカイザーはそのがっしりと尻尾を掴んだままウェズ=ガームを持ち上げる。その巨体が浮く姿すら想像もつかないような光景に倫たちが絶句していた。その眼の前でウェズ=ガームは思い切り地面に叩きつけられる。もうもうと土煙を上げて横たわったウェズ=ガームをシンテンカイザーはもう一度持ち上げもう一度地面に叩きつける。体が大きいだけにそのダメージも大きい。
 『ぐぞ・・・ごのていどで・・・・』
 「これくらいで終わりと思うな、この野郎!!!!」
 叩きつけられたダメージに呻くウェズ=ガームを睨みつけると精子朗は攻撃の手を休めない。自分の足を軸に回転し、ウェズ=ガームを振り回す。ウェズ=ガームの巨体が宙に浮き、何度も何度も振り回される。そして十分に回転がついたところで手を離し放り投げる。二度、三度地面に叩きつけられたウェズ=ガームはその勢いを使って空に舞い上げる。その表情は信じられないという思いに彩られていた。
 『そんな・・・ぼくをこえるちからが・・・こうていきまできゅうしゅうしたぼくが・・・』
 「皇帝機を吸収したからなんだって?その程度で俺にかとうなんて100年早い!!」
 『ぼくがさいきょうのはずなんだぁ!!』
 「お前は最初から負け犬なんだよ!”ゴッド・クラッシャー・パンチ”!!!!」
 精子朗の雄たけびとともにシンテンカイザーの右腕が唸りを上げる。右腕が肘から下が切り離され、爆炎を上げてウェズ=ガームに襲い掛かる。高速で唸りを上げる豪腕がウェズ=ガームの顔を捉える。破壊力抜群の腕はウェズ=ガームの顔を吹き飛ばし、破砕する。だが、液体金属で構成されたウェズ=ガームの顔はすぐに再生してしまう。
 『むだだ・・・どんなこうげきもぼくにはきかない・・・』
 「そうかよ。ならこれでどうだ!”ゴッド・ドリルクラッシャー・パンチ”!!!!」
 不気味な笑い声とともにいかなる攻撃も自分には通じないとウェズ=ガームは自負する。その自信を打ち砕かんとばかりに精子朗は雄たけびを上げる。その雄たけびに答えるように本体の元に戻ってきた右腕にソウテンドリルが現れる。そして右腕と合体すると、炎を巻き込みながら唸りを上げて回転し始める。炎を巻き込んだドリル付きのパンチが再びウェズ=ガーム目掛けて唸りを上げる。
 『むだなことを・・・ぎゃぁぁぁぁぁぁっっっ!!!』
 炎の槍と化したパンチはウェズ=ガームの顔を巻き込み破砕する。先ほどと違い、パンチを取り巻く炎がウェズ=ガームの液体金属を蒸発させ、焼け焦げた箇所は液体金属の修復を疎外していた。唸りを上げるドリル突きパンチは今度はウェズ=ガームの右腕を破壊する。鋭い爪のついた右腕を根元からへし折る。
 「おらぁぁっっ!!次!”ライトニング・ブリザード”!!!!」
 精子朗はパンチが元通りに戻ってくるとそう叫ぶ。すると今度は背中の翼が広がり、雷を帯びた吹雪がウェズ=ガームの体目掛けて吹き付ける。ウェズ=ガームはとっさにそれをかわそうとするが、左腕だけはそれに巻き込まれてしまう。急速に冷凍された左腕はカチカチに凍りつき、雷がそれを破砕する。
 『ぐぎゃろぁぁぁぁぁっっっ!!』
 「まだまだ!!”シャイン・ビーム”!!!」
 両腕を失ったウェズ=ガームは不気味な絶叫を上げる。そのウェズ=ガームに追い討ちをかけるべく精子朗は両肩を前に出すような格好をする。ちょうどシュテンとソウテンの顔がウェズ=ガームのほうを向く。同時にその両目から光が迸り、ウェズ=ガームの翼を焼ききってゆく。空を飛ぶ力を失ったウェズ=ガームはまた不気味な声で絶叫する。
 『おどれ・・・おどれ・・・お前などこの世から焼き尽くしてくれる!!』
 「焼き尽きるのはおまえだっ!!”バーニング・フラッシュ”!!!!」
 怨念に満ちた声でウェズ=ガームは絶叫すると、その口から漆黒の炎を吐き出してくる。全てを焼き尽くさんばかりの炎であったが、精子朗は真正面からこれに受けて立つ。胸の不死鳥の嘴とその周りの飾りから白い炎が迸る。白と黒、二色の対極の炎がお互いの中間地点でぶつかり合う。一進一退の鬩ぎ合いであったが、やがてシンテンカイザーの炎がウェズ=ガームの炎を圧してゆく。ウェズ=ガームも必死で抵抗するが、ついに力尽きるのだった。
 『ぐぎゃらあああああああああっっっっ!!!』
 「こいつでとどめだ!来い、斬漢刀・暁!!!!」
 白い炎に包まれたウェズ=ガームの体は容赦なく焼かれ、表面装甲は溶けて蒸発してゆく。回復の暇も与えられずにその体は焼き尽くされてゆく。ようやく炎が収まったあとのウェズ=ガームの体の殆どが焼け焦げ、無残な姿を晒していた。息も絶え絶えといった感じのウェズ=ガームにとどめを差すべく精子朗は斬漢刀を呼び寄せる。勢いよく現れた斬漢刀はシンテンカイザーの手の中に納まる。シュテンカイザーよりも大きな体のシンテンカイザーには大振りの斬漢刀はちょうどいい大きさであった。しかし、これで終わらないのが精子朗である。斬漢刀を掴むと同時ににやりと笑う。
 「いくぜ、くぞ野郎!真・斬漢刀”黄昏”!!!」
 精子朗の掛け声とともに斬漢刀に唾が開き、斬漢刀の刃がさらに延び、刃幅が広がる。形を変えるように展開した刀はまさに巨大化したといえる形であった。その斬漢刀を肩に担ぐように構えると、シュテンカイザーのときと同じように手の平の一部を開き斬漢刀を直結させる。シンテンカイザーからパワーをもらった斬漢刀は金色に輝く。
 「これで終わりだ!!真・斬漢刀”黄昏”風塵烈火!!!」
 精子朗は雄たけびとともに両手で斬漢刀を持ち、大きく振りかぶって振り下ろす。金色の炎に包まれた斬漢刀は何ものをも断ち切る力を持ってウェズ=ガームを一刀の元に両断する。切り裂かれたウェズ=ガームはしばし動きことも、叫ぶこともなく、ただ呆然と立ち尽くしていた。
 『そんな・・・・ばかな・・・』
 「どうだ、クソ野郎!思い知ったか!!」
 『なぜだ・・・なぜこうていきまでとりこんだぼくが・・・』
 「それを上回る力が存在することまで気づかなかったみたいだな?」
 『しんじられるか・・・しんじられるものかぁぁぁぁぁぁぁ!!!』
 絶叫とともにウェズ=ガームは金色の炎に包まれる。金色の炎はウェズ=ガームの体を焼き尽くし、取り込んだ皇帝機、宰相親子まで全て焼き尽くす。いかに高い再生能力を持つウェズ=ガームといえども再生するべき体が滅んでしまってはどうすることもできなかった。
 「てめぇは喧嘩を売るべきじゃない相手に喧嘩を売ったんだ!地獄の底で反省しな!」
 精子朗は口汚くウェズ=ガームを罵ると、親指を立ててそれを下に向け上から下に振る。その挑発的ポーズにウェズ=ガームはもう一度だけ絶叫すると、大地に倒れ伏す。その体は余すところなく金色の炎に包まれ、その全てが焼き尽くされていた。その燃え尽きるウェズ=ガームを睨みつけながら、精子朗は膝の上のシルヴァに視線を落とす。シルヴァは何もいわず、ただじっと燃え尽きてゆくウェズ=ガームを見つめていた。
 「どうかしたの、シルヴァ?」
 「いや、ただの・・・」
 「ただ?」
 「ファッタンをここまで狂わせたのはわらわの所為かも知れぬと思うてな・・・」
 神妙な面持ちで呟くシルヴァの姿に精子朗はしばし言葉を失う。しばしの沈黙の後、精子朗は思わず吹き出す。何か自分が馬鹿にされたような感じがしたシルヴァは振り返り、精子朗を睨みつけてくる。だがシルヴァが言葉を発するよりも早く精子朗の両手がその頬を思い切りつまみ上げてくる。
 「ヘイヒロー、らにを・・・」
 「何神妙なこと言っているんだ?こいつは自分に負けた、ただそれだけのことだ!」
 「ひかひ・・・」
 「お前はいつも通り尊大な態度で入ればいいんだ!こんな奴のことを背負い込む必要はねぇ!」
 まだ何か言おうとしたシルヴァに精子朗はそう言い放つ。その言葉にシルヴァはそれ以上何も言えなかった。精子朗の不器用な励ましが嬉しくもあり、恥ずかしくもあった。しかし、精子朗の言うことはまた正論である。自分の欲望に負けたファッタンが勝手にウェズ=ガームを呼び起こし、取り込まれただけの話なのだ。ファッタンがかわいそうだというなら最初からこんな決闘は茶番になってしまう。それは精子朗の努力と誇りを傷付けることでもあった。
 「そうじゃな・・・そなたの言うとおりじゃ・・・」
 「シルヴァ・・・」
 『お楽しみのとこ、申し訳ありません!!』
 両頬を擦りながらシルヴァは素直に頷く。精子朗はそんなシルヴァの顎に手を添え上を向かせる。シルヴァはそっと目を閉じる。2人の顔と顔が近寄った瞬間、通信機がオンになり、アルが割り込んでくる。そのタイミングを見計らったかのようなアルの顔には意地の悪い笑みが浮かんでいた。そんなアルをシルヴァは思いきり睨みつける。
 「なんのようじゃ、アル?いまは・・・」
 『申し訳ありませんけど、決闘についてのことなのでご容赦を!』
 「決闘のことじゃと?セイシローの全勝でおわ・・・」
 『残念ながら今回の決闘の無効が発表になりました!』
 「なぬ???」
 アルの言葉にシルヴァも精子朗も目が点になってしまう。今しがた最後の一人を討ち取り、精子朗の勝利で幕を下ろしたはずの決闘が無効になったというのだから話が見えてこない。唖然としたまま言葉のない精子朗とシルヴァにアルはにっこりと笑ってそのわけを説明し始める。
 『実はですね。セイシローさんの全勝を示すものがなくなってしまったんですよ・・・』
 「どういう・・・ことじゃ?」
 『エンブレムと奴隷の委譲がなされなかったためです。奴隷はともかくエンブレムは・・・』
 『粉々・・・よね・・・』
 アルと一緒にモニターを覗き込んでいた倫は消滅してゆくウェズ=ガームの姿を見ながらそう呟く。たしかにファッタンのエンブレムはいまファッタン自身と一緒に消滅させてしまった。精子朗自身の手によって・・・エンブレム全てを手に入れるの勝利の条件とはいえあまりといえばあまりな話である。
 「そんなもの・・・ファッタンの反乱のことを考えれば・・・」
 『それと申し上げ難いのですが・・・皇星連邦内で反乱が起こっています』
 「反乱じゃと?」
 『はい。皇帝機、将軍機の消失が支配星に伝わったらしく各地で反乱が起こり、その対応に追われているとのこと』
 「なんじゃと?では・・・」
 『はい。決闘のことなどに関わっていられないのが実情です』
 エルの報告にシルヴァは唖然としてしまう。反乱によって婚約者を決める決闘はご破算になり、精子朗の努力は水泡に帰したというのだ。それではこれまでの精子朗の、自分の苦労は何だったというのだ。それを考えると腹立たしくなってくる。その怒りの矛先は反乱を起こしたものたちへと向けられてゆく。
 「アル、エル!すぐに皇星連邦に戻るぞ!反乱軍など蹴散らしてくれる!!」
 『畏まりました、姫様!!』
 「セイシロー、そなたにも反乱軍を蹴散らしてもらうぞ?」
 「俺にも、じゃなくて俺が、だろう?」
 「ふっ、その通りじゃ!そなたがこの反乱を鎮圧すればこのことがあっても父上も文句はあるまい!ゆくぞ、皇星連邦へ!」
 『ちょっと、何かってな事言っているのよ!!!帰るなら貴方達だけで帰りなさいよ!!』
 シルヴァはそう言って自分の下腹部を擦る。その意味を倫はすぐに察し隣のアルとエルに確認の視線を送る。そんな倫に二人は無言のままうなずく。あれだけやりまくっていたのだから可能性はないとは思わなかったが、まさか現実問題として起こると眩暈がしてくる。さらには精子朗を伴って皇星連邦の反乱を鎮圧しに行こうなどと言い出したのである。その言葉に倫の悲鳴が響き渡る。だが、その悲鳴に耳を傾けるものは誰もいなかった。アルとエルの宇宙船はすぐさま起動し、宇宙へと旅立つ。その艦首にはシンテンカイザーがこれから始まる新たな戦いを心待ちにするかのように真正面を見つめ立ち尽くしていた。そう、精子朗とシルヴァ、倫たちの戦いは、冒険は始まったばかりである。精子朗はまだ見ぬ未来に拳を振り上げる。
 「これだから波乱に満ちた人生は面白い!!!」



     終わり


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