恵子の心(後編)



どれだけの時間が経ったであろうか。

次から次へ男たちが、恵子に群がっていく。ナイフ男は少しはなれて、その様子を見ていた。笑っていた。他の男たちは、久しぶりに抱ける女に興奮しその体に狂っていた。しかし、ナイフ男にとっては、この少女が屈辱にまみれれば、他はどうでもよかった。













恵子を貫いていた男がその手を恵子の陰核に伸ばす。

「!」

少し膨れたそこをはじき、包皮をむいた。

「ひいいいいいいい!」

恵子の体を電気が走る。それと同時に痛みとは違う熱い何かが恵子の奥底に沸きあがる。

その初めての異様な感覚に恵子は激しい衝撃を感じた。

最初は痛みしか感じなかった体に変化が起きていた。それに気付き始めたとき、その秘芯をむかれたのだ。

「あああっ・・・。や・・やめて・・・。」

恵子の声の調子が微妙に変わったのを、男は気付いた。ニマリと笑う。

「なんだ、感じるのか?」

男はいやらしく、耳元でささやく。

「! ・・・・・そ・・・そんな・・・・・。」

恵子は考えたくもなかった。強引に体を汚されながら、自分が感じているなんて・・・。

「ここがいいんだろ。」

男は剥き出しの秘芯をはじく。

「あふっ!・・・・・や・・・やめて・・・・おねがい。」

触られるたびに体がどんどんおかしくなっていく。股間の痛みさえ、快感に感じてくる。

(やだ・・・。自分が・・・変になっちゃう・・・。どうなってんの。私は・・・。)

恵子の女性自身も、やっと蜜があふれだしてきた。

「ふっ。処女を失ったばかりのくせをして、淫乱だなあ、おまえは。」

男は言葉でも恵子を嬲りだした。

(そんな!なんで!こんなに嫌なのに。どうして。)

恵子はこれまで自分で慰めたりもしたことがなかった。つい最近まで、男の子たちと同様に山を走り回り、遊んでいた。恋もしたことがない。恋にあこがれ始めた頃、この戦いが始まった。そんな彼女は、"感じる"ということがどんなことか全く知らなかった。

それが今、初めてのその感覚に戸惑っていた。

恵子を貫いていた男が急に体をそのままあお向けに寝転がした。

「ひいっ!」

恵子の体は男をまたがるような格好になった。

「淫乱娘!ほら自分で動いてみろよ。」

「え!」

(な・・・何言ってるの、この人・・・。そんなこと・・・できるわけない。)

「ほら、ほしいんだろ!なら自分で動けよ!」

「い・・・いやああ!」

恵子が叫ぼうとした瞬間、巨漢レスラーが恵子のポニーテールを上に引っ張った。

「きゃああああああああああああ!」

「体が火照って動けないんなら手伝ってやるよ。」

巨漢レスラーは恵子のポニーテールを引っ張り上げたり、下ろしたりし始める。

「いたああいいいいい!やめて!!!!じ・・・じぶんでし・・・しますから・・・・・。」

恵子は縛られた手で体を支えながら、腰を上下に動かし始める。

(な・・・何やっているの、私は。こんな、こんなことを自分から・・・。で・・でも、なんか変・・・。だんだん熱くなってくる・・・・。おかしいわ・・・。自分が自分でなくなりそう・・・。)

恵子は少しづつ芽生えてきた性感と、自分のしている行為に対する恥辱とで、頭の中が真っ白になってきていた。

(いや!もう!いや!いやいやいや!早く・・・早く終わって!お願い!)

ポニーテールを引っ張られつつ腰を動かしつづける恵子。しかしそのかわいらしい口から出るか細い悲鳴は、明らかに変化してきていた。

下になっている男が、彼女との結合部の、秘芯を再び責め始める。

「あっ・・・あっ・・い・・・いや・・・あっあっ・・はああ!」

知らず知らずのうちに腰の動きが激しくなり、体ものけぞる。

「たまんねえな。俺も参戦させてくれ。」

恵子のその姿に興奮し始めた男が恵子の顔の前にその一物を出す。そして恵子の頭を掴み、その口に押し込む。

「むぐうっ!」

「ほらしっかり咥えてくれよな!」

男は頭を押さえ込み強引にピストン運動を始める。

(いや!なに!あっ!だめ!へんになっちゃう!あっ!あああああああああ!)

「ふ・・・いくぜ。」

フェラチオさせていた男が、恵子の口の中ではてた。

男が離れると、恵子はむせ返した。

「ごほっ!げへ・・・・・やああ・・・・・・・・・・・・・・。」

(い・・・いや・・・やだ・・これ・・・気持ち悪い・・・。)

その恵子の反応がスイッチになったかのように、下から突き上げていた男が激しく腰を動かし始めた。

「はあっ!あああああああああ!!!!いや!やだやだやだいやあああああ!や・ややめてええええ!」

「ほら!そのままいってみろ!」

「や!や!や!やああああああああああ!」

恵子の熱く溶けた女芯を中心に全身に激しく電流が駆け巡っていた。恵子は自分が何を叫び、何をしているのか、そして自分の体がどうなっているのか、もうわからなかった。ただこの未体験の圧倒的な感覚に身をゆだねるだけであった。



「うっ!出るぞ!」

男のものが恵子の奥深くに突き刺さり、はじける。

「あっあっ、あああっ!いややあああああああああああああああ!!!」

恵子は絶叫し、全身を弓なりに反らせ、硬直した。そして、床に崩れ落ち、がくがくと激しい痙攣をし、呻きとともに大きく息を吸い込み・・・・そのまま失神した。

(・・・・・・・・・・・・・・・・・。)













「全く恵子のやつ、何してんだか!」

「そういうなよ、勝平。信州での一件もあるだろ。何とかしたいんだよ、恵子はな。」

なかなか戻らない恵子の様子を見に、ザンバードとザンブルが戻ってきた。

「あれっ?ザンベースはそのままだなあ。宇宙太、俺は上から探すから、おまえは下に降りてみてくれよ。」

「了解」

恵子のザンベースの脇に宇宙太のザンブルは着陸した。

「?」

宇宙太が恵子のヘルメットを見つける。嫌な予感が宇宙太の背中を走りぬける。

先の森の入り口に廃屋となった小屋を見つける。走る宇宙太。

ドアを開く。

「!」

息を呑む宇宙太。

「け・・・恵子・・・・。」

そこには両手首を縛られ、胸元と下半身の引き裂かれた戦闘服をまとった変わり果てた恵子の姿が・・・・、放心状態で倒れている恵子の姿があった。そして・・・・、血と精液で汚れた恵子の部分には男の形をした醜怪なものが低い音をたてて蠢いていた。

金縛りにあったかのようにその姿から目を離せずに立ち尽くす宇宙太。

「け・・・恵子・・・・・・。」

やっとの思いで宇宙太は体を動かし、恵子に近づく。そして、恵子を犯している醜悪な物体を取り除く。

「・・・・あ・・・・ううん・・・。」

放心状態の恵子が軽く呻き声を発する。意識ははっきりしていないようである。

「かっ・・・・勝平・・・。」宇宙太はやっとの思いで、従兄弟に通信をした。

「勝平、医者だ・・・。親父を、俺の親父をすぐ呼んでくれ!それから恵子の親父さんとおふくろさんもだ!はやく!」

「どうした、宇宙太。恵子いたのか?ケガしているのか?ザンバードで運ぼうか?」

「いいからおまえは来るな!はやく、はやく呼んでくれ!」

「ちぇ〜!なんだよ!わかりましたよ〜だ!」

ザンバードが飛んでいく。

勝平が去った後、ザンブルから毛布を取りだし、放心状態のいとこにそっとかけてやる宇宙太。

恵子は放心状態ではあるが、それでも毛布をかけられると顔が少し安心したかのように宇宙太には見えた。

宇宙太はぶつけようのない怒りを感じていた。

「何で・・・。俺たちが・・・、恵子がいったい何をしたって言うんだ・・・。こんなことが・・・。ひどすぎる・・・。恵子・・・・。」













意識がないまま恵子はキングビアルに収容された。

宇宙太の父、神江大太は彼女の診察を直ちに行なった。

幸いか、彼女の身体の怪我はたいしたことはなかった。ただし、子宮内に大量に射精されたことを除けばである・・・。

温厚な恵子の父、神北久作がやり場のない怒りをもてあましていた。

一同が重い空気の中、恵子の様態がわかるのを待っていた。しかし、彼らは皆、恵子が目覚めたとき、なんて声をかけたらよいのか見当もつかなかった。













恵子が目覚めたとき、そこには母由美子が一人枕もとにおり、恵子の世話をやいていた。

母を認めると、恵子の中に熱い言葉にならない感情が涙と共に溢れ出してきた。

「・・・お母さん・・・・。ああああ、おかあさああん!!!」

母の胸に飛び込む恵子を、由美子は優しく抱いてやることしか出来なかった。











恵子の事件は、当然子供たちには知られないようにしていた。その中には勝平とその兄一太郎も含まれていた。大人以外にそのことを知っているのは、発見者である従兄弟の宇宙太のみであった。











恵子の体調は神江大太の治療によりすぐに良くなっていった。しかし、彼女が受けた心の傷は回復の見通しがなかった。

気丈にもベットの上では、見舞いに来てくれる従兄弟たちに明るく振舞う恵子であった。しかし、一人になると、男たちが迫ってくる恐怖が、張り裂けてしまうのではないかというあの痛みが体に甦ってくる。

あの男の冷たい目が、そして、獣欲に歪んだたくさんの男たちの顔が恵子の中に甦る。その幻は、嫌がる恵子の服を剥ぎ取り、そのかわいらしい胸や、まだ幼さの残る恵子の大事な部分に襲いかかってくる。無数の男のものが恵子を再び貫く。痛みと疼くような感覚が恵子の体を襲う。

(いやあああ・・・。もう・・・いや・・・・・・。やめて・・・。)

口の中、顔、体中のあらゆるところに白濁液がかけられる。そして恵子の体の奥深くにも・・・。

(いやあああああああ・・・・・。)

悪夢から覚めても、恵子は股間に男のものが入っているような鈍い痛みが、そしてあの時感じた官能の余韻も、残る。

(もう、私は元に戻れないのね・・・・。あんな人たちに・・・・あんな人たちに汚されて!・・・・もう、いや・・・・・。誰か助けて・・・・。)











宇宙太は、そんな従姉妹を見ていられなかった。何とかしてやりたかった。が、ことが性的な問題であるだけに、宇宙太には遠くから恵子を見守ることしか出来なかった。

(・・・恵子・・・・。)











恵子の心の回復は望めない状態であった。

長 老である神北兵左衛門は、睡眠学習装置による恵子の記憶制御を提案する。この調子だと、ガイゾックの攻撃がきた際に恵子が出撃できないのは明らかであったからだ。この、ビアル星の科学で作られた睡眠学習装置によって、勝平・宇宙太・恵子の三人はそれぞれのメカを操縦できる能力を身に付けたのみでなく、戦いへの恐怖心の克服もしていたのである。その機械を用い、今回は記憶操作を行ない、恵子の陵辱の記憶を完全には消せなくとも表面的には消し去り、そして戦いの場に復帰できるようにしようということであった。

この提案が出た際に反対をしたのは由美子であった。

「こんな年端もいかない恵子に、何でそこまでして戦わせなければいけないんですか!?」

いつも冷静で聡明な由美子に似つかわさない取り乱し様であった。

「この子が・・・この子が・・・もう可哀相です・・・・。」

由美子が泣き崩れる。久作が彼女の体を支える。

神ファミリーは守るべき地球の人々からも憎まれ、それでも戦ってきたのに、それなのに今度は最愛の娘をその守るべき人々によって陵辱されたのである。由美子にとって、もう戦いは嫌であった。

しかしその母の言葉が逆に恵子を動かした。

「・・・・おじいちゃん。私、・・・・受けます。お願いします。」

「・・・恵子・・・。」

恵子自身、何で戦っているのかわからなくなっていた。また、もう戦うのも嫌だった。けれど戦わなければ、自分たちも死ね。そして自分をこんなに愛してくれる家族、その家族も死ぬのだ。自分はいい・・・、こんな汚れた自分は・・・。でもこの家族は、自分を愛してくれる父と母、そしてここにいる家族みんな、これを守るためにはガイゾックを倒さなくては・・・。そして・・・・。

「おじいちゃん。お願いします。」

恵子はきっぱりと言った。











その後、いろいろなことが起こった。

人間爆弾の恐怖、勝平のガールフレンドの死、そして最後の決戦に向け宇宙へ。

祖父母である兵左衛門と梅江も逝ってしまう。

兵左衛門の後を継いだ勝平の父源五郎は、非戦闘員の女性と子供を地球に送り返すことを提案し、彼女らを眠らせ、脱出カプセルに載せる。

「せめてもう少しましな別れ方をしたかったが・・・。」

「これでいいのさ。地球へ帰れ、なんて言ったら泣いたりわめいたり、それこそおさまりがつきゃしなかったよ。」

と勝平。

「そうね・・・。気がついたら地球だったていうのが一番いいのね・・・。」

恵子も言う。

「さようなら、おかあさん、公子。」

恵子は大事にしていたネックレスを首からはずし、眠っている妹公子の胸にかけてやる。

(公子・・・・私の分も・・・・。)

脱出カプセルの射出が始まったとき、ガイゾックが現れる。出撃デッキに向かう宇宙太を恵子が呼び止める。

「宇宙太!」

「・・・ん?なんだ、恵子?」

恵子はじっと宇宙太のことを見ている。いつになく真剣な顔だ。

「宇宙太。いろいろとありがとうね。」

恵子は軽く微笑みながらそれだけ言うと、ザンベースの出撃デッキに向かって、くるりと向きを変え走り出した。

それを呆然と見送る宇宙太。











ガイゾックとの最後の戦いで、ザンボット3はもうボロボロであった。しかしガイゾックの要塞バンドックももう崩壊寸前ではあった。

ビーム砲がザンボット3の両手にあたる。両手が吹き飛ぶ。

「バンドックめっ!」

「恵子・・・ザンボエースをそっちで切り離してくれ。ザンブルもザンベースも、もうダメだ!」

宇宙太が叫ぶ。

「宇宙太・・・わかったわ。」

恵子は、その瞬間宇宙太の考えを理解した。恵子は、ザンボエースのみをコンビネーションアウトさせる。

「う、宇宙太、何故コンビネーションアウトした!?まだ一緒に戦えるぞ!」

勝平が叫ぶ。

「冗談じゃないぜ・・・・こっちは見事に手足がなくなっちまったんだ。」

「・・・・・とにかく2人で体当たりぐらいできるわ。とどめを刺してみせるっ!」

恵子はザンブルとザンベースが合体したままのザンボット3の下半身をコントロールさせ、敵バンドックに進路を向ける。

「宇宙太、恵子、早まるな!!イチ兄ちゃん、マグナムを、マグナムをくれっ!」

勝平のザンボエースがマグナムを持ち、追いかける。

「戻れ、宇宙太、恵子っ!!」

「お、おい!!」

(止めろ、宇宙太、恵子!・・・)

勝平は祈るように追いかける。と、通信機から宇宙太の声が聞こえてくる。

「すまねえ恵子・・・俺がこんなにやられてなけりゃ、恵子にコントロールしてもらうこともなかったのによおっ!」

「何を言ってるの。目標針路いいわね?ぶつかると同時にイオンエンジンを爆発させるのよ。」

恵子は自分が思ったより冷静な声をあげているのがわかった。自分の心の動きが声に出ないことを祈っていた。

「よおし、バンドックの死角に入ったぞ。」

恵子の目前にバンドックが迫る。

「このまままっすぐだ、恵子!」

「出力最大、イオン臨界オーバー!・・・勝平、先にいくわね!」

恵子の目の前にバンドックが迫ってくる。

「さよなら・・・・お父さん・・・お母さん!!」

(そして、さようなら、宇宙太・・・・。ありがとう・・・・。)

恵子の瞳から涙が流れる。

「・・・すまねえ・・・恵子!!」

宇宙太の低い声が最後に聞こえてくる。

恵子の脳裏に、あのときの宇宙太の姿が浮かんでくる。

男たちに汚されたあの日、汚れてしまった私にやさしい目で、まるで美しい大事なものを包んでくれるかのように、やさしく毛布をかけてくれた宇宙太の顔が…。そして、クールな顔を装いつつ、汚れた私を決してそんな目で見ず、遠くからずっとやさしく見守ってくれていた、あの宇宙太の顔が・・・。

まばゆい光の中で、恵子はその影を抱きしめながら、意識を失っていった。













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