プロローグ〜白きオーラの女王〜



空からのオーラ光がすがすがしくウロポロス城のシーラの部屋に注がれていた。

シーラには今日という日がとても美しく感じられた。

(何故そう感じるのか・・・。)

シーラは自問する。

これからゼラーナのクルーに謁見するためだ、シーラにはわかっている。しかし、彼女自身そのことを決して認めたくはなかった。

シーラは窓辺に立ち、城の中庭に停泊しているゼラーナを見る。ニー・ギブンを先頭に数名の戦士がこちらに向かってくるのが見える。

と、部屋のドアがノックされた。

「なにか?」

シーラが返事をする。

「シーラ様。ゼラーナの一行が参りました。」

「わかりました。今行きます。」

シーラは部屋を出、広間に向かった。





広間のドアが開かれる。

ショウ・ザマ、マーベル・フローズンの二人の地上人を先頭に、ニー・ギブン以下ゼラーナの主要クルーが広間に入ってくる。

シーラは二人の地上人を観察する。

ショウは嵐の玉の中で一回会っている。そして、ナの国の新式オーラ・バトラーのビルバインを託すべき男とそのときに判断した。ラウの国での戦いを乗り越えてか、そのときより逞しさがシーラには感じられた。

マーベルは初対面である。自分より少し年上な感じだ。理知的な顔立ちだとシーラは思った。噂に聞く勇猛な戦士というより、いささか優しげな感じがした。そしてこの二人が、何気ない動きの中でさえも息がピタリと合っていることが、シーラの気持ちを少し掻き乱した。

「ショウ・ザマ、マーベル・フローズン。よくも無事でこのウロポロスまで。」

シーラは平静を保ちつつ、二人に声をかける。

「有難うございます。」

マーベルが答える。

「ゼラーナ隊のために新式のオーラ・バトラーを頂きました。有難うございます。」

ショウがビルバインの礼を言う。その堅い言い方が、この場にはふさわしいものの、シーラにはちょっと不満であった。と同時に、そう感じる自分の気持ちが不可解でもあった。

「地上人の女武者ぶりは聞いておりましたが、こんな優しい方とは思いませんでした。」

シーラはショウを無視して、初対面のマーベルに声をかける。

「有難うございます。」

マーベルがちょっと照れながら答える。その様子にシーラは女を彼女に感じてしまう。

と、奥の方で、ミ・フェラリオのエルとベルがゼラーナ隊のクルーのミ・フェラリオのチャム・ファウと騒いでいる声がシーラの耳に聞こえてくる。

「ベル、エル、下がれといったはずです。」

彼女たちはシーラのよき友人ではあるが、このような謁見の場でも騒ぐのをやめようとしない。こういう公の席では下がらせるしかない。

ミ・フェラリオ達が出て行くのを見届けてから、シーラは二人の地上人に対し、本題の話を始める。

「あなた方はエ・フェラリオのジャコバ・アオンに会われたと聞きましたが。」

「はい。ジャコバは今のコモンの世界を憂いています。世界がオーラ・マシンの力で歪んでいくのではないかと。」

ショウが答える。

「どのようにすればそれを防げるとジャコバは申していたか?」

シーラが聞く。

「オーラ・マシンをこの世から全てなくす以外に救う道はありません。」

ショウが力強く断言する。

「あなたはグランガラン(ナの国のオーラ・シップ)を見ましたね。あれもいけませんか?」

「勿論です。」

「ビルバインを造ったこともですか?」

「勿論、例外はありません。」

ショウが力強く言う。シーラはショウがこの前のときより精神的にいくらか強くなったな、と嬉しく感じた。

「彼はビルバインで助かったと聞くが・・・。」

「なんという無礼な・・・。」

周 りでナの国の女王付きの者たちがぼそぼそと話すのがシーラの耳に聞こえてくる。彼らのショウを批判する気持ちはわかるが、シーラには不快であった。女王が他国の聖戦士と謁見している最中にその女王の配下の者が私語を発すること、そしてショウを批判したこと、その二点が気に障っていた。もっとも後者についてはシーラは意識していなかったが。

「静かに。私語は慎みなさい。」

シーラはお付きの者をたしなめた後、ショウに質問をする。

「あなたはビルバインを使っています。この矛盾をどう説明します?」

「毒には毒をもって征する。その上で、バイストン・ウェルのオーラ・マシンの全てを捨てるのです!」

「それをあなたはやれるか?最後の戦いの後、グランガランも沈めてくれるか?」

シーラが重ねてショウに確認する。

「それが、バイストン・ウェルの意志であるのならば。」

そのショウの答えがシーラにとっては心地よかった。







シーラは自分の部屋に近い城壁に、ミ・フェラリオのエルとベルを従え立っていた。

風が心地よく、シーラの緑の美しい髪を撫でていく。

ちょうどオーラ・シップ ゼラーナが出航するところであった。

(ショウ・・・。)

シーラは嵐の玉ではじめて噂の聖戦士ショウ・ザマに会ったときのことを思っていた。

ゼラーナが轟音を上げて空に舞い上がっていく。

(ショウ・・・。今度会うときは戦場になるのでしょうね・・・。聖戦士・・・。ショウ・・・。)

「わー!いっちゃうー!」

エルが叫んでいる。

「シーラさまぁ〜!何故ショウと二人きりでお話しなかったのよぉ!」

エルがシーラの心を読んでか、こんなことを言う。

ミ・フェラリオのエルは、普段はたわいもないことしか言わないくせに、人の心の中をピタリと当てるような事をたまに言い、シーラを困らせる。

「戦いになれば人は死にます。情けは交わさぬがいい。」

シーラが言う。これは強がりではなかった。シーラはこのように考え、行動するように育ってきていた。しかし、彼女が否定している心のどこかが、ショウと話をしなかったことを後悔していた。

「皆に武運を・・・。」

シーラはゼラーナのクルーを想い、特にショウ・ザマを想い、呟いた。







シーラはゼラーナを見送ると一人、部屋に戻った。少し休みたかった。

配下の者にその旨を告げ、エルとベルも下がらせた。

シーラは窓辺から広がるナの国の美しい田園風景を眺める。

自分の国民たちが汗を流して働く姿を想う。

国民のことを考えたときに自分の選択が本当に正しかったのだろうかと、シーラは考えてしまう。

ナの国はこのバイストン・ウェルの中でもアの国に並ぶ大国である。しかしここ何十年も戦のない平和な国でもあった。

(この平和に暮らしていた国民を、私は戦に巻き込むのか。)

シーラは自問する。

国境付近でのアの国との小競り合いはこれまでも沢山あった。しかし、まだ正式に戦争状態に入ったわけではなかった。しかし、ナの国の新式オーラ・バトラー ビルバインをアの国と戦闘状態にあるラウの国に協力しているゼラーナ隊に渡したということは、ナの国とアの国が戦争状態に入るということである。戦の中では、多くの国民が死んでいく・・・。

(国民の幸せを考えたとき、私の判断は間違ってはなかったのか・・・。)



トントン!

部屋をノックする音がシーラの思考を中断させる。

「だれか?」

「シーラ様。お疲れと聞き、お飲み物を用意いたしました。」

女性の声であった。シーラの聞きなれない声であった。

「入りなさい。」

シーラは少し訝りながら入室を許した。

「失礼します。」

青髪の涼しい目をした女性が入ってくる。年のころはシーラより少し上、いや、先程会ったマーベルよりも少し上ぐらいの女性であった。

「カワッセ将軍より、シーラ様がかなりお疲れの様子なのでお茶をといいつかいました。」

(カワッセめ、余計な心配を・・・。)

シーラは自分を気遣ってくれる配下の者を嬉しく思った。

「礼を言います。カワッセにも伝えてください。」

「はい。」

愁いを帯びた目で、青髪の女性は答える。身のこなしも洗練されている。

「あまり見かけませんが、最近城に来られた方ですか?」

シーラが尋ねる。

「あ!はい。失礼いたしました。私、ウロポロス城下で薬草売りをしておりますザラマンドの娘、ミューズです。先月より奥の方で働かせて頂いております。」

ミューズと名乗った女性は言葉ほど慌てずに、落ち着いた風体で遅れながらの自己紹介をする。

(ミューズ・・・。そういえば、そのような者を城の奥に雇うようなことは聞いていたが・・・。)

通常、女王の側に使える者が、挨拶もなしに働くことなどありえない。しかし現在は戦時中で人手不足である。

シーラはこの青髪の女性をじっと観察する。

シーラの強いオーラ力は、その者の持つオーラの色を見分けることが出来る。

ミューズからは自分に対して敬愛の情を示すオーラが見える。特に怪しいところはない、と感じる。

(まあ、戦時に入るとこのようなことも起きてしまうのか。しかし、侍従にはちゃんと注意しておかなければ・・・。)

「ミューズ、覚えておきます。下がってよろしいです。それから私はしばらく休みます。午後まで、誰も部屋にはよこさないように皆に伝えてください。」



ミューズが退出すると、シーラは先程中断した思索に再び思いを巡らせる。

(国民の平和か・・・・。しかし・・・。)

とシーラはミューズが入れてくれたお茶を飲みながら考える。

(機械というものが地上から入ってきたためか・・?ラース・ワウの辺りから何か悪しきオーラの力が増大してきているように思える。)

シーラのオーラ力はコモンとしては絶大なものがある。

その力で霊視していくと、アの国ラース・ワウの辺りが黒い何かに覆われてきているのが見える。何か歪な、悪しき黒きオーラ力。バイストン・ウェルを支えるオーラ力のバランスを変えてしまうもの。

(それがジャコバ・アオンの云うバイストン・ウェルの崩壊なのか?)

シーラは先程のショウとの謁見を思い出す。

「オーラ・マシンをこの世から全てなくす以外に救う道はありません!」

ショウの力強い言葉が甦ってくる

(そう、ショウの言う事は正しい・・・。)

シーラはショウの凛々しい顔を思い浮かべる。

この数日で逞しくなったな、とシーラは思う。

(あの時は体が震えてしまったな・・・。)

シーラはショウと出会った嵐の玉でのことを思い出していた。





異世界"嵐の玉"の中でガロウランに追われていた自分を助け出した男、ショウ・ザマ。そのイメージがシーラの頭の中に広がる。

(自分から頼み込んだとはいえ、ダンバインの中に二人は狭かった・・・。ショウの膝の上に腰掛け、男の体温を初めて感じた・・・。)

初めて間近に男の顔を見、自分の尻の下から服を通し男の体温が感じられる。それはシーラにとって、未知の感覚であった。思わず顔が火照りそうになるのを、必死で抑えた。

(そして、戦闘・・・。あの恐ろしさを私は忘れないだろう・・・。もし女王という立場がなければ、あの時ショウにしがみついていたのでは・・・・、は!私は何を考えているのだ!不謹慎な・・・。)

そう思いつつシーラは革鎧を通して伝わってきたショウの戦士としての逞しい肉体を思い出していた。

(あのときの感覚・・・。これまで味わったことのないような、不思議な、何か安心するようなあの感覚は・・・。)

シーラは知らず知らずのうちに自分の手で胸元をきつく押さえていた。

(ショウ・・・。)

シーラは何か息苦しさのようなものを感じ始めていた。

あの逞しい体に自分の体を預けてみたい・・・、そんな想いがシーラの中で生まれ始める。

(しかし・・・、いいえ、だからこそ私は苦言を呈しなければならなかった・・・。)

「あなたはまだ自分の戦う目的がわかっていませんね。」

あのときの自分の言葉がシーラの中で甦ってくる。

「戦いを楽しんでいるのではないですか?」

「戦いは命の駆け引きなんだ!楽しんでいる暇なんかあるものか!!」

ショウの未熟さが感じられる彼の叫びも甦ってくる。

「ならば、目先の敵になぞに迷わされずに、ドレイク、ビショット、ショットの三人を何故倒さなかったのです?」

「それは理屈だ!ドレイクだって防御してくるよ!」

「当たり前です!それを突破してこそ聖戦士でしょ?甘えないで下さい。」

「あんた・・・何者だ・・?」

シーラに食って掛かるショウの顔が思い出される。

その未熟さもシーラには好ましかった。ただ、聖戦士としてはもっと高みに立った考えの出来る男でないといけない、とシーラは思っていた。

(ショウ・ザマ・・・。熱い男・・・。)

シーラはショウのイメージを追うのに必死であり、そのとき自分の体の中がだんだんと熱くなってきているのにまだ気付いていなかった。

(だからこそ・・・。私がバイストン・ウェルの未来を託せる男と思えばこそ、苦言を呈した・・・。ショウは反発を感じていたようであったが・・・。)

それが、シーラには悲しかった。

(だから、あの時、私は・・・・・。)

ショウの頬に触れた時のあの唇の感覚がシーラの中で甦ってきた。

(ショウ・・・・良き男のにおいがした・・・。ああ・・・ショウ・・・・。)

ダンバインの中で服を透してではあるが体が触れ合った、あの感覚が、シーラを強く包み始めた。

(ああ・・・・ショウ・・・ああ・・・体が・・・熱い・・・。)

シーラは自分の体が熱く、何か切ない気持ちになってきているのに気付いた。

体が震えている。

右手がいつの間にか下半身を押さえ、左手は自分の乳房を服の上からではあるが、掴んでいた。

(ああ・・・私は何を・・・。)

思った瞬間に、体がふらつき、シーラは自分のベットの上に倒れこんでしまった。

ドレスの裾がめくれ、太腿が露出される。

(わ・・・私は何をしているのか・・・。)

誰も見ていないからいいようなものの、女王たる自分がこんな醜態を晒すなんて、シーラは自分を情けなく感じた。

上半身を起こし裾を直そうとしたとき、その右手がシーラの女性として一番大事な所にススーっと触れる。

「あ!あああ!」

シーラの体を凄まじい電気が流れる。思わずシーラは声を出してしまう。

「ああ・・・何なのか・・この感覚は・・・。」

未知の感覚に戸惑いながらも、シーラはもう一度そこに触れてみる。

「あ・・・・はあ・・・。」

心地よい、それでいながら強烈な刺激がシーラを襲う。

(わ・・私は何を・・・しようと・・・あ!・・・はああ・・・。)

シーラは無意識にその心地よい刺激を求め出していた。

(いけない・・・私は・・・・あ!・・は!あ!・・・。)

太腿の付け根の部分を刺激する右手を止めようと考えるものの、シーラにはそれが出来なかった。

シーラの頭の中をショウのイメージが広がる。

と、体の奥の方が何かジュクジュクと熱くなって来る。

(何なのか、・・・この感覚は・・・・、ああ・・・ショウ・・・!)

胸の辺りが何かもどかしく感じられてきた。

シーラは左手で自分の乳房を思わず掴んでしまう。

「あ!はああああ!」

胸からも心地よい電気が走りぬける。

シーラの体が震えだす。

(だめ!やめなくては・・・。ああ・・・。)

シーラはこれまで、自分の性について考えたことがほとんどなかった。

幼くして王位を継ぎ、常に人の上に立つものとして振舞ってきた、またそのように育ってきた彼女にとって、自分の欲望に向き合うことなどは全くなかった。

シーラは、貴人という者は私欲を持ってはいけない、と教えられて育ってきた。大いなる権力をもつ王、そしてその王を助ける貴族、これらの貴人は権力をもつだけに私欲を捨て去らなければならない。それでこそ、民衆に支えられよい政治が出来る、シーラはそう信じていた。

そのように育てられたシーラは自分の欲望というものに対して、もの凄く希薄であった。聡明さに加え私欲のない公平さが、民衆の人気となり、若干17歳にして国民に聖女王と崇められる、ナの国の象徴的存在にシーラをならしめていた。

そんなシーラであるから、自分の性についてなぞ考えることもなく、ましては自分の性器なぞには体を洗う以外で触れることなどもなかった。男に惹かれるということもこれまではなかった。

それが・・・、ショウという地上人と触れ合ったあのときから、何かがシーラの中で変わり始めていた。

(ああ・・・・、ショウ・・・ショウ・・・・。)

そして今、ショウのことを想う程にシーラの体は熱く燃え、激しい、しかしながら心地よい刺激がシーラの全身を包んでいた。

シーラはもどかしさを感じる体を自分の手で撫で回しながら、ショウの逞しい腕につつまれてみたいと思った。

(ショウ・・・その腕で私を・・・。)

その考えは刺激的であった。刺激的過ぎたためか、その瞬間、シーラの下半身が何か熱く濡れてきた。

シーラは下着の上からその部分を撫で回すことに、もどかしさと物足りなさを感じ始めていた。

(いけない・・・。こんなことは・・・。)

頭の片隅で、シーラの理性が警鐘を鳴らす。

しかし、大きな快楽の波に呑まれているシーラの体は、もう誰にも止めることは出来なかった。

遂にシーラは右手を自分の下着の中に侵入させる。自分の女性自身に直に触れてみる。

「ああ!!!はああ!!」

下着の上からでは感じられなかった強い快感が体の中を駆け巡る。

もうそこは口を開いていた。入口はこの世のものと思えないほどやわらかくなり、口を恥ずかしげに開き、中から熱い液を流しだしていた。

(何!?・・・ここが?・・・一体・・私の体はどうなって・・・ああ・・・しまっているの・・・か・・・はああ!)

シーラは初めての自分の体の変化に戸惑いながらも、本能に従い、指をその中に侵入させていく。

「あ!ひ!いい!ああああああああああ!」

思わず大きな声を出してしまう。

痛いような、それでいて気持ち良いような、シーラにとって理解のできない激しい感覚が彼女の全身を襲った。

(はあ・・はあ・・はあ・・・・・・な・・何なのか・・・この感覚は・・・・ああ!)

シーラは中指を第一関節ぐらいまで挿し込んだ後、本能に任せて、その指で中をかき回し始める。

「ああ!はああ!す!凄い!ああ!いけない!あ!ひいいいいい!」

シーラの声が部屋中に響き渡る。

(こ・・・こんな・・・!いけない!・・・ああああ!!)

シーラの左手も活発に動いていた。

服の上からではあるが、自分の乳房を掴み、撫でまわし、そして乳首を見つけ、つねり上げる。

「はあああああああああああ!」

胸からも快感が走りぬける。

(こんなこと・・・こんなこと・・・いけない・・・!誰かが・・・誰かが・・・来てしまう・・・・あああ!!)

シーラのその思いとは別に、彼女の両手は激しく彼女の体を責めていく。

「ああ!凄い!ひゃあああああ!ショウ!ショウ!はひいいい!」

悲鳴をあげながら、シーラは愛しい男の名を口走ってしまう。

シーラの中で何か黒いものが生まれ、急速に育ちつつあるのをシーラは感じていた。それは魔的な凄まじい快楽で彼女をどこかに連れて行こうとしているように感じられた。

「はあ!はあ!ひい!ああああ!」

そこは怖いような、気持ちの良いような、そしてとても魅力的なところのようにシーラには感じられていた。

(だめ・・・そこに、行ってしまっては・・・!!・・・・はああ!ひいい!)

彼女の理性が警鐘を鳴らすものの、もう彼女にそれを止めることは出来なかった。

彼女の中に入れた右手の指がさらに激しく動き始める。

彼女の中の黒いものは、もう完全に彼女を包み、その高みの場所に彼女を連れて行く。

「ああ!いや!はひ!いい!だめ!は!・・・・は!・・・・・ああああああああああああああああああ!!!」

シーラの頭の中で何かが弾けた。体がきゅうううっと収縮する。

そして・・・、体中の力が抜けていく。

シーラは激しく何かに登りつめ、そして登りつめたとたん奈落の底に落ちていく・・・・そのような感覚を味わっていた。しかしその余韻はとても心地良いものでもあった。

「はあ・・・・・・はあ・・・・・はあ・・・・・・・・。」

シーラはそのままベットに横たわりその余韻を味わっていた。





「シーラさまぁ!シーラさまぁ!だいじょーぶ!」

ドアの外からエルの叫ぶ声が聞こえてくる。

シーラは何事かと思いつつ、けだるい体をベットから持ち上げようとする。

体中がだるく、何をするのも億劫に感じられた。

「シーラ様!大丈夫ですか!どうかなされましたか!」

激しいノックの音とお付きの兵士の声もする。

「・・・今行きます。」

シーラはけだるい体をやっとの思いで持ち上げ、ドアの方に歩いていく。

「シーラさまぁぁぁぁ!」

ドアを開けると、エルが小さな羽を震わせ飛び込んでくる。

ドアの外には屈強なこの城の兵士が数名、心配げな顔で立っている。

「どうかしましたか?」

シーラはだるさを隠し、平常心を保ちながら兵士に聞いた。

兵士は何事もないようなシーラの様子に戸惑いと安心を覚えながら彼女に答える。

「はっ!申し訳ございません!このフェラリオめが女王陛下の部屋から悲鳴のような声が聞こえる、と申しますので・・・。」

(あの声を聞かれた?!)

シーラはあせった。羞恥で顔が赤くならないか、心配した。

「いえ・・・。特に何もありませんが・・・。」

シーラは兵士の視線から少し顔を隠すようにしながらそれに答えた。

「嘘じゃないよ!私シーラ様の部屋からもの凄い声が聞こえてきて、こっちから声をかけても反応がないし・・・・、それで・・・心配になって・・・。」

エルはシーラの胸元に抱きつきながら、言う。

(いつもバカ笑いばかりしているエルがこんなにも心配して・・・。)

「エル。有難う。心配かけましたね。私は変りありませんよ。」

「ほんと?」

シーラはエルに微笑みかける。

「良かった〜!」

エルは喜び、シーラの周りを飛び始める。

シーラはそれをチラッと見た後、兵士に言う。

「身支度をしましたら、グランガランに下ります。カワッセに伝えておいてください。皆、下がってよろしい。」

「はっ!」

「エル、あなたもです。」

「シーラ様。なんかこの辺、変な匂いがするんだけど?」

いきなりエルが言う。

(!)

「なにかなあ・・これ?・・・う〜ん、嗅いだ事ない匂いなんだけど・・・。」

「エル!身支度をします。先に広間に行っていなさい!」

シーラは自分の語気が強くならないように、それでも強くなるのを押さえきれずにエルに言う。

「は〜い。」

エルと兵士が出て行くと、シーラは慌ててドアを閉めた。

ベッドに座り、ドレスのスカートを持ち上げてみる。

自分の股間の部分がびしょびしょに濡れ、そして体液が太腿をつたリ足首のところまでたれていた。

(なんということを・・・。)

シーラは先程までの自分の行為を恥じた。

そしてエルに知られてしまったことを悔いた。

もっともエルがそのことが何を示すのかを理解していないのが、せめてもの救いではあったが。

(この大事なときに私はなんということをしているのか!)

シーラの気が張ってきた。

シーラは女官を呼ぶと、服を脱ぎ、下着だけは女官にわからないように隅に隠し、そして沐浴をした。

冷たい水を浴び、気を引き締めていく。

(聖戦士ショウ!生きて、そしてこの世界を良き方向に導いてください。)

シーラはこの思いの中に彼女の恋心を託し、沐浴場から出た。

女官が用意した服に袖を通し、そして将軍たちの待つ戦艦グランガランに向かう。

アの国ドレイク・ルフトとの戦いは始まったばかりであった。

そんなシーラを青髪の女官が不思議な微笑を浮かべ見送っていた。


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