最終話・エピローグ


 新たなチョウマの居城もといかつて某大魔王の城の王室内の王座にチョウマが感慨深げに座っている。
「『ガンダムジオラマフロントの主役の証』程ではないがこの世界の資源であのエロ魔王の侵略先や『ガンダムジオラマフロントの世界』を見る水晶玉が出来た。どれ、コウトがどれ位無能か見せてもらおう…」
 チョウマが念じると『ガンダムジオラマフロントの世界』の景色が映った。とある場所で復旧作業を一段落終えた司令官達が集まって休憩していた。
「今日の夜あいつは辞任するってよ」
「よかった。でも、辞任したいから復旧に尽力してほしいとの事だが無責任な発言にも程があるぜ」
「コウトも上層部に色々命令されていて物資の輸送場所を考えたりと忙しいのだ。文句があるなら私に言え。そうしたら私が上層部に直訴しよう」
 ハマーンが割って入ったので司令官達は平謝りした。
「だからこそ調整しつつ役割分担をしているのだ。今回で交通や生活などは復旧した。明日からはコウトはいないのでジオラマベースの復旧はお前達の采配次第だ。明日までに英気を養うように」
 ハマーンはそう言うと、ザンジバルに乗って飛び去った。
「あ〜あ、チョウマが責任放棄しなかったら一時的にとは言え、余所者にこの世界の主役の座を乗っ取られることはなかったのに」
 ベッドから起きたハマーンは司令室へと向かった。
「それどころかチョウマが主人公であることをいい事に好き勝手しなかったら一時的に世界滅亡にならなかったのに」
「ハマーンだけでなく不人気な作品の女も犯させろよな」
「そうだ、そうだ」
 司令官達のグチを水晶玉で聞いたチョウマは激怒した。
(ハマーンだけじゃ不満だと!?  オレが新たな世界の支配者になった暁にはお前達の世界を侵略して跪かせてやるからな、覚えてろ!)
 チョウマは次にコウトのいる場所へと水晶玉で覗いた。



 某上層部・復旧課のエム専用の部屋にエムとコウトとエマ・シーンがいた。
「これをお返しします」
「よく頑張ったな、コウト」
 エムに主人公の証を渡したコウトは敬礼した。
「もうすぐで復旧課も解散、人事部に戻れると思うと嬉しいよ」
「オレもこの世界を後にして自由気ままな冒険ができると思うと嬉しいです」
「臨時主人公の役目、ご苦労」
「では、エム様。オレはこの辺で…」
 コウトが立ち去ろうとするのをエマが呼び止めた。
「どうしました、エマ・シーン様」
「エマでいいわよ。あなたに伝えたい事があるの」
 エマが何事か囁くと、コウトの顔が赤くなった。
「この世界を立ち去る前に今結論を述べなさい、いいわね」
 エマの言葉にコウトは結論を述べた。
 これらを水晶玉で聞いていたチョウマは悔しさの余り涙をこぼした。
(あのハマーンがコウトを好きだとぉ!? おのれ、コウト。お前はオレのハマーンとプル姉妹を寝取るつもりか。許さん! 次に会う時はお前を必ず殺してやる!)
 そこへ
「チョウマ様、そろそろ会議のお時間です」
 黒子が告げた。
「そうだった、DMMの世界での重鎮達との会議の時間だったな。ありがとう、オレが造った黒子」
 チョウマは高級スーツを着ると、目の前に出現した時空の裂け目に飛び込んだ。その様子を何者かが見ていた。



 DMMの世界の某豪邸。
 チョウマは会議を終えるとベランダに出た。そして水晶玉を覗くとコウトはプル姉妹やハマーンと共に街を歩いていた。そのコウトに対する嫉妬心で腹が立ってきた。
「随分とご機嫌斜めだねぇ、チョウマ」
 その声を聞いたチョウマは慌てて水晶玉を隠すと振り向いた。
「クロゲか……」
「お前が手下にしていた最強の大魔王が戦死したのが悔しいみたいだな…」
 クロゲの言葉にチョウマは内心ホッとした。
「あいつらの役目はなるべく多くの異世界の情報をオレに提供すること。極端な話、一つだけでもお手柄だ。だからいつ倒れても問題はない。多くの世界の事を教えてくれたのでむしろよくやったと褒めている」
「使えない駒と怒ると思ったが…」
 そう言った時、クロゲは思わず右肩を押さえたので、チョウマは以前自分が彼に右肩を負傷させた事を思い出した。
「肩を怪我しているんだろう。早く医者に診てもらえ」
と、チョウマは夜空を眺めた。
「一つ一つの世界の主人公が年に3度集まり会議するDMMの世界はいい。それらの主人公の役に立つなら個人の事情には詮索しない。特に出本先についてはな」
「物は言い様だな。陰でその主人公の敵を支援して強くして、主人公が新たな戦力を欲するよう仕向ける。その戦力を使ってその世界の支配者になる。その絵空事をうまいことお前は現実のものにした」
 クロゲに考えを見抜かれてもチョウマは笑みを浮かべて振り向いた。
「相変わらずガキだな、クロゲ。いいかな、DMMの世界に関する主人公は常に新しいかつ強力な力を求めているのだよ。お前が止めるのはオレではない。オレは彼らこの世界の一つ『千年戦争アイギス』の主人公王子が欲しい物を提供しているだけ」
 チョウマはクロゲが怒ると思ったが、平然としていたので内心意外に感じた。
「それについてだが、お前が企業秘密にしている戦力のクローンの製作技術やもうそれぞれの世界の主人公側で解明された上にお前の資源も底をつきている頃合いだと思うけど。だからお前は世界を一つも征服できない」
 クロゲのこの言葉にチョウマの眉がピクリと動いた。
「オ レは『千年戦争アイギス』の世界でお前と出会って以降胸ポケットにあるメモ帳を見てピンときたよ。自分ひとりで世界を征服するという夢物語を立てたんだ。当然あらゆる事を知らないとならない関係上メモする必要があった。オレは行く先々で盗もうとしたが失敗した。右肩の怪我までしてようやく手に入れた。メモ帳ならオレのそれぞれの世界にいる仲間を通じてそれぞれの主人公に渡した」
 チョウマがメモ帳を見るとそれに『捕らぬ狸の皮算用』と書かれてあった。
「皮肉だ。自分が数多くの異世界の主人公を利用するつもりが、実際はされる側になるとはな。よくある皮肉だからそんなに気にすることはないか。一度お前の故郷である『ガンダムジオラマフロント』の世界でも味わった事でもあるしな…」
 クロゲのイヤミにチョウマは戦慄いた。
「ここでお前との決着をつけよう、クロゲ。その後オレはお前の知り合いの医者やその妻にも報復してやる。それ以降にもやることはあるがな」
 チョウマはクロゲを睨めつけた後、不敵な笑みを浮かべた。クロゲが先手だろうが後手だろうが彼は右肩を怪我している。そこを執拗につけばいずれはこのベランダから轟音のする滝へ突き落とせる。だが、クロゲも不敵な笑みで返した。
(動揺を隠してもムダだぜ、クロゲ)
 チョウマが右ストレートをクロゲの顔面に向かって放つと彼はそれを寸での所で回避した。その後、彼はカウンターのパンチを返すかと思った男だったが、次なる行動に驚いた。彼は両腕で男を抱え込んだのだ。
(馬鹿……な……! 狙っていたのは……勝つことではなく……)
 クロゲはチョウマの攻撃の反動を利用して海老反りになってチョウマもろともベランダから落ちた。



 轟音を立てて流れる滝壺の中にチョウマとクロゲが落下していく。
(クロゲさえいなければこのオレチョウマは『ガンダムジオラマフロント』の主人公いや全世界の主人公として永久に君臨できたのに! おのれ、クロゲめ!)



 数日後チョウマの死体は某河原で発見されたが、クロゲの死体は発見されなかった。チョウマと共に落ちたために彼も死亡と判断された。
 こうして主人公になったことで傲慢になり、自滅したチョウマの人生は幕を閉じることになった。享年25歳の若さであった。














『キャラ紹介など』



〇 チョウマ

 本作主人公のオリジナルキャラクター。25歳。
 別の世界を征服しようと目論むもクロゲに阻止され、彼と決戦を挑むも共に滝壺の中へ落ち、死亡する。




〇 クロゲ

 16歳のオリジナルキャラクター。
 動機はしょぼいがチョウマの野望を尽く阻止して、世界の平和に貢献した少年。チョウマとの決戦では相討ちを選ぶ。




〇 コウト

 18歳のオリジナルキャラクターで現在『ガンダムジオラマフロント』の世界の臨時主人公をやっている。




〇 エム・シーナリー

 現在エマ・シーンとラブラブ中。
 コウトの上司。




〇 エマ・シーン

 現在エム・シーナリーとラブラブ中。




〇 ハマーン・カーン

 今回は復興中にボヤく司令官達を叱咤激励する。














『後書き』



 このサイト「最低のオリ」を見ていつか自分もこのサイトに投稿したいと思っていましたが、中々その気になれませんでした。「セイタの千年戦争アイギス伝・マクシム編(番外編)」を投稿したが、如何せん黒きオーラ様の「異邦の魔王と魔剣の処女姫」つまり三次創作に過ぎない上にエロもないので今度こそエロを含んだ小説をと思っていました。
 そんな時、ゲスリーナ様が数々の短文小説を投稿していることに刺激を受け、ついに私も投稿しましたが、ご覧の有様でした。
 そんな駄文を掲載してくださった彩雲11型(管理人)やある意味私を元気づけて下さったゲスリーナ様、書く時のヒントをくださった黒きオーラ様、そしてこの駄文を読んで下さった読者の皆様にこの場を借りて感謝します。

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