深い闇の空間であった。
 黒い大理石の祭壇に、裸身の娘が横たわっている。娘の金の髪は床まで届いている。娘の青い瞳は宙を見据えて開いたままだ。
 ゾウナは娘を見おろしてつぶやいた。
「天の定めとは残酷なものだ。決して例外を許そうとはしない。それが神の名誉を守るためのものであっても、だ」
 ゾウナの手が、娘の首の傷口に触れる。
「だからこそ、お前は私のものとなる。この世とあの世のはざまを漂う美しき魂よ、この抜け殻に戻るがよい」
 青白い光が傷を包む。青ざめた唇に、鮮やかな血の色が通い、淡い吐息がもれた。
「神に見捨てられし娘よ。わが闇へふたたびようこそ」
 金色のまつげが震え、青い瞳が涙を流した。

      ◆

「ああ……あああーーーっ!」 
 黒い祭壇に広げられた裸身が、鎖を鳴らしてそりかえった。
 ゾウナの両手より放たれた黒いイナズマが、ワルキューレの肉体に絡みつき、その姿を永遠に変えていく。
「お前はもはや美しき人の子に過ぎぬ。神の魔法も、剣の力も失われた。だが、悲しむことはない。わが力を持って、闇の眷属へと生まれ変わらせてやろう」
「あ、あ、そんな……ああああ!」
 汗にまみれてくねる体が、冷たく青白い肌へと変貌していく。輝く海を思わせる瞳が、氷河のような青ざめた色合いになる。金の髪から色が抜け、プラチナブロンドに変わっていく。
「いや、やめて、ああ、もうやめてええ!」
 氷のようにつめたいイナズマに深く身を灼かれてつくりかえられながら、ワルキューレは絶望する。
(神は、私を滅ぼしては下さらなかった)
 神の子の化身でありながら、みずから命を絶った罪人である。もはやどんな慈悲も得られはしない。それが分かっていても涙がとまらなかった。
 ゾウナの手に落ちる日まで、死にものぐるいで戦った。何度命を落とそうと、使命を果たさんがために立ちあがってきた。戦い抜いてきた。みずから命を絶ったのも、神の子の化身でありながら、闇の仕打ちに敗北することを阻止せんがためであった。
「哀れなものだな、ワルキューレ」
 ゾウナが笑う。
「救いを求める人の子らのため、命がけで尽くしてきたというのに、結局はこの体たらくだ。せめて、わが闇よりは逃れられてもよいだろうに……ただ、その魂はあの世でもこの世でもない場所に放り出された。わが手が自由に届く場所に」
 ゾウナの手がワルキューレの乳房をつかんだ。尖った爪の先が、両の乳首にあてがわれ、サソリの針のように突き刺した。
「あ、ああ、あああ……!」
 ゾウナが乳房を揉みたてると、形のよさはそのままに、ひとまわりもふたまわりも大きく盛りあがっていく。乳輪が紫の色合いを帯びて艶やかに厚みを増し、乳首がふっくらと太くなる。
「わ、私の胸が……あ、ああ、やめて!」
 ゾウナが両乳首をつまんで揉みしごく。柔らかく伸びあがった先がピクピクと痙攣し、うずきだす。
「はああああ!」
 ゾウナの爪が乳首の先に突き刺さった。
「あ、ああ、私の乳首が……あ、あああ!」
 乳房の中へと黒いイナズマが流しこまれる。内部が沸騰しそうな刺激に、ワルキューレは身をよじった。乳房がさらにはりつめていく。
「はあ、ああ、胸がくるしい……!」
「案ずることはない。いずれその苦しみは快楽に変わる」
 ゾウナの爪が引き抜かれ、今度は色抜けした茂みの中を探られる。小さな尖りが慎重につままれ、ふもとから頂点へとていねいにしごかれる。
「は、あああ、そ、そこは……あああ!」
 指の動きにつれて、尖りも太くふくらんで伸びていく。いまや指の先ほどにも発達し、感じやすそうにヒクヒクとうごめいている。ゾウナが最後のひとしごきを加えると、頂点からありえざる透明なしずくが飛んだ。
「哀れな、神の傀儡よ。今度は私のための人形になってもらうぞ」
 双臀の奥に指をさしこみながら、ゾウナは笑う。イナズマの刺激をくわえ、魔力でヒダ門をもつくりかえる。ゾウナの指がありえざる熱いぬめりに濡れてきた。
「いや……やめて……私をこれ以上変えないで……あ、ああ、誰か助けて!」
「誰がお前を助けるというのだ、名誉を失った神の子よ。だが、そうおびえることはない。私はけっして無情ではないぞ。我に忠誠を誓い、我が物となれ。悪いようにはせぬ」
「いや、絶対にいやああ!」
 ワルキューレは鎖を鳴らし、首を振る。
「そう簡単にはいかぬか。かまわぬ。ならば時をかけて楽しむまでのことだ」
 ゾウナの両手から、ひときわ黒い電撃の帯が放たれる。 電撃は次々と実体を帯び、黒い薄布となって、ワルキューレの体にからみついた。
「あ、ああ……お願い、殺して、もう殺して、だれか私を滅ぼして……あ、あ、ああああ!」
 のたうち回る白いからだが無数の布地で巻きあげられ、覆い隠されていった。

       ◆

「んんん……はあああ……!」
 ワルキューレは闇の地下室に吊るされている。頭のてっぺんからつま先まで、黒い絹の包帯をすきまなく巻きつけられ、鼻と口だけを残してすべてを黒く覆われている。
 両手首はきらめく黒い枷と鎖で吊るされ、ワルキューレのからだはちょうどYの字のかたちをとらされている。両脚をぴったりと閉じ合わせられ、上からさらに布を巻かれて、ひとまとめに縛められている。
「んんん、あああ……」
 ワルキューレは身をよじってもがく。全身を包んだ黒い包帯は、ただ巻いてあるだけでなく、ワルキューレの体を締めあげていた。 乳房の上下に、双丘のはざまに、内腿のつけねに、尻のはざまに、生き物のようにうごめく黒布が食いこんで刺激していた。
「まだ気は変わらぬか、ワルキューレ」
 ゾウナが姿をあらわした。手にした鞭で手のひらを叩きながら、ワルキューレの姿を上から下まで眺めまわす。
「苦しいだろう。逃れたいだろう。我に忠誠を誓えば、すぐに楽にしてやるぞ。そればかりか、よい思いもさせてやろうというのに……」
 呆れたような声音でつぶやくが、その口元は邪悪な喜びにほころんでいる。黒布で密封されてよじれもがく女体のさまをつぶさに眺め、赤い唇をさらに吊りあげる。
 うごめく黒布は、ワルキューレの汗や唾液、愛液をぐっしょりと吸って、肌に張りついていた。揃えられたつま先から、濁った水分がしたたり落ちていく。湿っぽい石床に大きな液たまりが出来ていた。
「んんん、はああ、ううう、あああ……」
 愛らしい口元をだらしなく開き、透明なよだれをこぼしながら、ワルキューレはうめく。巻き緊められた体がびくびくとふるえ、腰が反るように跳ねあがる。
「また達したか。それで何度目だ? いや、覚えてはおるまいな」
 はあはあとあえぐワルキューレの、胸のあたりにゾウナは鞭先をすべらせた。黒布をすかして盛りあがった乳首を軽くつつく。
「んんん、はああ!」
 ワルキューレはまた震えた。閉じあわされた足の間は熱くどろどろに濡れている。そこに黒布が食い入ってしごくため、蜜の流出はとどまることを知らない。内腿から足首にかけて、生温かい流れができている。
「お前もそろそろ分かったであろう。この神の世の残忍さが」
 ゾウナの鞭先がその液の流れをたどり、むっちりと肉を増した前の双丘を撫であげる。ワルキューレは身震いした。内腿がもどかしげに動き、くちゅくちゅと卑猥な音が漏れる。
「平和を保つために闇を払う。だが、闇とはなんだ。それはお前のうちにさえあったものだ。そして、ただ、それだけのことで、神はお前を見捨てた。人の子のため、ただひとり私に立ち向かった、世にもけなげで勇敢なお前を」
 黒布に覆われたワルキューレの目から、涙があふれた。
「私は見捨てぬ。お前の闇さえも愛そう。ワルキューレ。我が慈悲を求めよ。さすれば我が闇の中で永遠にいつくしんでやろう」
 ゾウナが鞭を振ると、ワルキューレを締めあげてさいなむ布地の動きが止まった。ワルキューレはぐったりとうなだれて、荒い呼吸をくりかえした。呼吸のあいまに、きれぎれにうわごとのように呟く。
「いや……もういや……お願い、私を死なせて……」
「この世とあの世のはざまを永遠に漂いたいと申すか。かまわぬ。望むならばすぐにでもまた赴けばよい。そのために、口を自由にしておいたのだからな」
 ワルキューレは首をふった。
「……お前にまた呼び戻される……もういや……」
「では、今度は私もお前を打ち捨ててもよいぞ。お前が望むならばな。さあ、心置きなく試みよ」
 ワルキューレはまた首をふった。
「どうした。もう舌を噛む力がないというならば……」
 ゾウナは鞭を一振りした。鞭は黒い剣へと変貌した。するどい刃先を、ワルキューレの喉に食いこませる。
「少し力を入れれば簡単だろう。さあ、行くがよい……あの、恐るべき無の世界へ」
 ワルキューレは、うめくような声をあげ、喉をのけぞらせて刃から身を引いた。ゾウナが剣をひくと、声を殺して泣きだした。
「知らぬときであればいざしらず、知ってしまえば己が手では赴けまい。このような仕打ちを受けるとも、我が手にあるほうがはるかにましであろう。ならば、わが慈悲を求める方が賢明だとは思わぬか?」
 ゾウナの手がワルキューレの頤をやさしく持ちあげる。同時に剣の柄をワルキューレの足の間にあてがう。ワルキューレは甘いうめきをもらした。柄頭がずぶぬれの布地をかきまわしてくる。
「さあ、言え。私に誓うのだ」
「あ、はあ、ひいい、いや……!」
「言え」
 ゾウナはワルキューレに口づけた。熱くとろけた口の中を長い舌で存分にかき回し、また口を離す。ワルキューレは濡れた唇であえいだ。
「はああ、あああ、だめ、だめえ……!」
「よいであろう。この快楽を思うさま堪能したいとは思わないのか。望むままに満たしてやるぞ、我に忠誠を誓え」
「い、いやあ……!」
 だが、剣の柄で押し揉まれている部分はぐちゃぐちゃと音をたて、熱くするどい快楽にさいなまれている。きつい布地と硬い柄で責められて、ワルキューレの股間は骨までとろけそうだった。
「強情な娘よ。体のほうはすでに陥ちているというのに、何をもとめているのだ? もはやワルキューレ、お前は神の子ではない。私と戦う義務も、またその力もない。その美しいからだを肉の喜びで満たすがよい。いったい誰がお前を責める?」
 ゾウナはいぶかしげに眉をひそめ、ワルキューレを責めながら少し考えこんだ。やがて、得心の笑みに唇をつりあげる。
「打ち捨てられ、その身分を失おうと、神の子の本分をつらぬこうというわけか。だが、もう遅いぞワルキューレ。罪をおかしたあとでどれほど神の子の誇りをまもろうと、お前の罪は消えぬ。神に許されることもない。いまここで肉欲にあらがったところで、誰もお前を許しはしない……もう許しなど求めるな」
 ゾウナはもう一度ワルキューレに口づけた。
「肉の喜びに身をまかせよ。この闇では誰もお前を咎めはせぬ。私は喜んでお前を満たすだろう。その美しい体を。そして何よりもその心を。あふれんばかりに満たしてやろう、ワルキューレ。我が慈悲をもとめよ。我に忠誠を誓え。ひとりで私に立ち向かい戦いつづけたお前を、私は愛している」
「うそだ……」
「お前をここにとらえてから、私はずっと愛していたのだぞ」
「私をあれほど責め抜いておいて……!」
「だからこそ、神は我らからおぞましげに目を背ける」ゾウナは笑った。「だがワルキューレ。私に愛されて喜びを感じなかったか? 肉のそれではなく、心の喜びを。敗北とは、悪いことばかりでもなかったであろう?」
「……やめて……」
「その肩に背負い、なしとげんとする苦しみは、わが愛よりもはるかに重荷であったはず。だが、もはやその必要はない。解き放たれよ」
「堕落はしないわ……」
「何を恐れる。天の神々か。人の子か。誰がお前をなじろうが、この闇には決してとどかぬ。心安く身をまかせるがよい」
「いや……いやよ……」
「いやではあるまい。さあ、身をまかせよ」
 剣の柄がワルキューレの谷間に押しつけられた。柄頭が肉に分け入り、布地とともに入りこんで内側の柔肉をしごきたてる。
「は、ああ、やめて、やめてえええ!」
「よい……よい声だ。さあ、誓え」
 剣の柄を通して、青白いイナズマが送りこまれ、ワルキューレの奥底にゆさぶりをかける。柄頭が振動し、闇の波動が肉壁をふるわせ、子宮の奥までつきあげてくる。
「あ、ああ、はああ、きくううう!」
「どうだ、よいであろう」
 イナズマと波動がくりかえし送りこまれる。ワルキューレは体をはねあげ、首をふり、両手を縛める鎖をチリチリと鳴らす。口を大きく開いて、舌を突き出し、よだれを胸元までしたたらせる。
「どうだ。心地よいだろう」
「ふうう、ひいい、はああ、いい……!」
 腰を左右によじらせ、ワルキューレはとろけた声を出した。閉じ合わせた両足がビクビクと動く。
「こうしていると、おのれがどのような者か分かるであろう。お前の肉にひそんだ闇が」
「んん、はああ、いやあ……」
「恥らうことはない、私が愛してやる」
「は、あああ、そんな……ああああ!」
 剣の柄が荒々しく谷間をこする。イナズマと波動の勢いが増し、間隔も短くなる。
「あ、あ、あああ、あああ!」
 ワルキューレはせっぱつまった声をあげ、股間を波のように突きあげる快感に貫かれる。全身がびっしょりと汗をかき、濡れた黒布におおわれた体が蒸れたような熱につつまれる。ぴったりと肌に吸いつかれて、もどかしさが高まっていく。
「は、あああ、もうほどいて……んん、絡みついて、あ、ああ、体が……あああ!」
「悪くないだろう。体中をこのように巻きあげられて、感じやすくなった肌をすべて刺激されて……ますます興奮してくるだろう?」
「あ、はあ、違う、んんん、ああ、はああ、ほどいて、ああん、ほどいてえ!」
「よい眺めだ。このままいかせてやろう。どうなってしまうのか楽しみだぞ」
「あああーーーーッ」
 何度もくりかえされたようなやり取り、そしてまたいっそうの手荒さで剣の柄でしごかれながら、ワルキューレは異様な快感が高まっていくのを感じた。布地ではなく無力感が全身にからみつき、くすぐったいような心地よさがひろがっていく。
「ふうう、あ、そこは、ああああ!」
 片方の乳房をつかまれて、やわらかく揉みほぐされながら、熱い湯につかっているような安堵感がひろがっていくのを感じる。手足の関節が緩み、脳がとろけていくようだ。
「はあああ! だめえ……あああ!」
 あられもない声をあげるほどに、柔らかく体をしめつける快感が高まっていく。実際に体に巻かれた布が、きつくなっていくような錯覚さえ覚える。
「ほ、ほどいて……お願い……は、ああ、こんな、もう、ああ、んんん、はああん!」
「面白い。では、こうしたらどうなってしまうかな?」
 ワルキューレを巻きあげた黒布がふたたびいっせいに動き出した。腕や脚を、乳房の上下を、股間を、尻のはざまを、うごめいて緊めつけ、こすりあげる。
「あはあ、そんな、ああん、あうう、締まる、あ、ああ、体が……あああん!」
(ゾウナを倒すべき私が……無力にされて……このように縛られて……体中をいいように緊めつけられて……んんん!)
 思いもよらぬ快感に、ワルキューレの体がぶるぶると震えた。
(は、ああ、こんな、思いどおりにいたぶられて……あ、ああ、足の間を剣の柄が……ああ、ああ、そんな、そんなに強く……)
「はああ、あああ、あああん!」
 容赦なく突きあげられて、ワルキューレはのけぞった。快蜜がどっとあふれだしていくのを感じる。
(気持ちいい……!)
 ワルキューレは頬をゆるめ、体の力を抜いた。半開きの口で熱い吐息をもらしながら、奥底からうねりあげる快感に身をよじる。
「あ、はああ、いい……きくわ……!」
「どうだ、心地よいであろう」
「……気持ちいいわ……!」
 深いため息のようにつぶやくと、今までにない快感が手足を震えあがらせた。ワルキューレはうめいた。
「気持ちいい……気持ちいいわ……!」
 くりかえすたびに手足がしびれるような快感がひろがる。ワルキューレは唾液にまみれた舌をうごめかせ、頭をのけぞらせた。荒い呼吸に揉まれる胸をふくらませる。
「気持ちいい、こんな気持ちいいこと……あ、ああん、気持ちいいわ、は、あああ、ああ、あそこが……こんなに濡れて……ああん、はああ、んん、食いこんで気持ちいいわ!」
「こんなことをされて、そんなに気持ちがいいのか、ワルキューレ?」
「あ、ああ……気持ちいいの……はあ、ああ、すごく、気持ちよくって……あ、ああ、たまらないの……はああ!」
「どうしてだと思う?」
「あ、そ、それは、ああん……」
 ワルキューレは恥らうように顔を背ける。
「分かっているようだな。私がはっきりと言ってやろう。お前は目覚めたのだ。私に愛される喜びに。お前は私の牝奴隷として、みだらに開花したのだ」
「め、牝……奴隷……」
 未知の、そして屈辱的な響きを、ワルキューレは口の中で味わうようにくりかえした。牝。ときに女を卑しめる言葉。奴隷。人が人を物のように扱う非道の所業。
「肉の快楽で堕落し、肉欲の道具と化した女……誇りよりも自由よりも、ただ肉の喜びだけをもとめる淫らな人形……それが今のお前だ」
(わ、私が牝奴隷に……倒すべき敵の手で、そんなものに……ああ!)。
 浮遊する感覚とともに、たまらない震えが体を疾りぬけた。
「はあ、ああ、くううう!」
 Y字の体をぴんと伸ばし、のけぞらせて、ワルキューレは絶頂を迎えた。体の力が抜け、深く吐息をつき、爽快な涙をあふれさせる「は、ああ、私が、私は、こんなものに……」
「見事に陥ちたものだ。美しいぞワルキューレ。さあ、もうこれ以上私を焦らすな。私への永遠の服従を、今ここで宣言するのだ」
 ゾウナの指先が、ワルキューレの唇をなぞる。触れられただけでぞくぞくとしびれ、新たな蜜がわいてくる。ワルキューレは息をのみ、震える舌をあやつった。
「ああ、わ、私は、私は……あなたに……永遠に服従いたします……!」
 ゾウナは長い口づけで応えた。唾液の糸をひいて口を離し、ささやく。
「さて、私は今からお前の主人だ、美しき牝奴隷よ。主人のことは何と呼べばよいか?」
「ゾ、ゾウナ……さま」
「そうだ……それでよい」
 ゾウナの手がワルキューレの口元を覆う。手が離れると、ワルキューレの口には太い皮ベルトが噛まされていた。
「ンン、ンンン……」
「心配するな、さっそくお前を調教してやるのだ。牝奴隷らしく鍛えてやるぞ、ワルキューレ」
 ゾウナは剣の柄をしりぞけると、今度はワルキューレの背後に回った。

       ◆

「ンッフウッ、ンッフウッ、ンン、グウ、ンンンッ、ウンンーーーッ!」
 暗い地下室に、ワルキューレのくぐもったうめきがこだまする。ちりちりと縛めの鎖が揺れる。
「どうだ、ワルキューレよ。このように胸を揉まれて心地よいであろう」
「ンン、ふうう、んんん! んんん!」
 ワルキューレは何度もうなずきを返す。布で体中をきつく巻かれたまま、Y字の姿勢に吊るされたまま、ワルキューレはゾウナに責めたてられ、緊縛の快感を教えこまれていった。
 ゾウナの青白い優美な手が、黒布に巻かれた乳房を布地ごしに握りしめ、くねくねとこね回し、揉みほぐす。ワルキューレは乳房が刻一刻とふくれあがっていくように感じた。うずいて張りつめ、胸先がむずむずとする。もどかしい乳首を、ゾウナの指が優しくこすり、いっそうあおりたてる。また厳しく揉まれる。
「んん、ううう、ふううう、んふうう、んん、ふううう!」
「いやらしい声だ。皮ベルトを噛んで濡れておる。このような仕打ちがそのように心地よいのか、牝奴隷よ」
 ワルキューレは肩に顔をうずめつつも、小さくうなずく。そうすると、手足がぴんと伸び、あらたな服従の快感がひろがっていく。
(ああ、私がいやらしくなっていく……こんな、こんなことをされて……ああ!)
 ワルキューレは、布地巻きの上から、金属製の下帯のようなものを着けられている。丸みを帯びた三角形の金属版が前にあてがわれ、黒い皮のベルトで留められて緊めつけられている。双臀のはざまからは、蝶のような形の大きな金色のネジの頭が……にせもののの時の鍵が突き出していた。金属板の下着についたネジ穴が、押しこまれた『時の鍵』を固定している。
「ンンンッ……ンンーーーッ!」
 ゾウナに胸を揉まれるたびに、圧迫される前の双丘と、拡張された後ろの門に快感がはしる。
「ンンッ、ンンウウ、ウウウウーーーッ!」
 ベルトと布地が食いこむ谷間にも快感が押しよせ、熱い蜜が絶えず噴き出しつづける。
「うふう、ふうう、ん、ンうーーーーッ!」
 うねるような快美感が恥骨をつきあげ、しびれるような快感がはじける。絶頂感は深い余韻をひき、もまれ続ける胸とともにまた高まっていく。
「ふうう、ううう、ンンンーーーーッ!」
 腰をそらしてまた達した。皮ベルトを噛みしめ、涎をあふれさせる。
「絶頂と絶頂の間が短くなってきたな。さあ、牝奴隷よ、もっと連続で達するのだ」
「んん、ふうう、う、う、ふうううう!」
「もっとだ。もっと達するのだ」
 ゾウナの手が『時の鍵』をねじりこみながら、耳元でささやいて煽りたてる。
「んん、フウウ、ううう、ングウウウ!」
 こぶりの臀がはねあがり、『時の鍵』が震える。ゾウナはほくそ笑んだ。
「ここで達したか。よい牝奴隷だ。さあ、ワルキューレ、もっと尻でいくがよい」
「ウウ、ングウ、ングウウ、ンンンンッ!」
 
       ◆

「ああ、ああ、苦しい……ああああ!」
 部屋の中が白い明滅で照らされ、蜂のうなりのような音がこだまする。
 天井にとりつけられた巨大な宝珠から、青白いイナズマがはなたれて、鉄の台の四隅の塔のような台座に置かれた小宝珠に注がれている。
 イナズマ責めの部屋である。
 小宝珠から伸びた糸のようなイナズマが、台に大の字に固定された白い体を這い回っていた。
「ああ、はああ、むずむずする……あ、はあああん!」
 ワルキューレは布巻きを解かれ、白い裸身をさらされて、両目を革の目隠しで覆われている。丸みを帯びた三角の金属板をベルトであてがう下着がつけられたままだ。プラチナの色合いに変わった長い髪が、黒い鉄の台に広がっている。
 白い肌に汗をにじませ、拘束された手足に力をこめ、髪を揺り乱しながらイナズマの刺激に耐える。
「あう、そこは、あ、あ、だめえ……!」
「嘘をつくな。一番よいのだろう。さあ、もっと悶えるがいい」
 股間の金属版にイナズマが集中する。ワルキューレは弓なりに腰をあげてのけぞった。
「あああ! きく! ききすぎる! 許してえ!」
「私はお前の主人だ。主人のことは何と呼び、どう口をきくべきだ?」
「あ、はあ、ゾウナさま、許して、あ、ああ、これをお許しください……あああ、あああ!」
 ゾウナはうっとりと目を細めるだけだった。
「はああ、ひどい……!」
 あえぎながらも、ワルキューレの表情に嫌悪の色はない。飢えたように舌なめずりをして、いっそう体をくねらせる。
「そうだ。それでこそ牝奴隷だ、ワルキューレ」
 ゾウナの手があがり、また全身をイナズマの刺激がくすぐりだした。
「はああ、むずむずする、はあ、ああ、あう、むずむずするうう!」
     ×    ×
「あああ、ゾウナさまあああ!」
 ワルキューレは三角木馬の上で身をよじった。かつて跨がされた『罪人の仕打ち』であるが、牝奴隷となったワルキューレのために、ゾウナは新たな専用の木馬を用意した。
 黄金でつくられ、浮き彫り模様でかざられ、宝石までちりばめられた、貴族のための豪華な鞍のような滑稽な代物だ。
 三角形の頂点を平らにしてあるのは同じだが、真ん中あたりが引っこんで、これまた彫刻と宝石で飾られた巨大な陽物を模した責め型が出現する仕掛けになっている。
「んん……ああ、太い……広がる……!」
 ワルキューレは両手をひとまとめに吊り上げられ、両足首を三角木馬の枷に固定されて、全身から汗を流した。長い髪が体にからみつき、はりついている。
 両脚には、みだらな装飾として、腿までの長さのある踵の高い編み上げの長靴を履かされている。両腕にも、革の長手袋をはめられていた。手足をぴったりとつつまれて締めつけられ、体はむき出しにさらされて、ワルキューレは妖しい刺激に胸を高鳴らせていた。
「さあ、牝奴隷よ。もっとその美しい胸を揺すれ。腰も自分で動かすのだ」
 鞭を手にしたゾウナの命令に、ワルキューレは顔を真っ赤にしながらもおずおずと従う。胸をそらして動かし、腰をもじもじとひねる。
「あ、はああ、こんな、こんなの恥ずかしい……!」
「もっとだ。もっと動かせ!」
 火照った胸にゾウナの鞭が飛ぶ。ワルキューレは悲鳴をあげて体をのけぞらせ、上体を熱心に揺すりはじめた。
「んん、は、あああ、胸に響く……んん、んん!」
 ゾウナの妖力でずっしりと実りを増した乳房は、次第に大きく揺れ動いた。乳房のつけねに甘い快感がひろがる。重い乳房が揺れる反動が貫かれた部分にかかり、腰も自然に動き出す。
「はあ、ああ、きく、ききます……あ、あああ、気持ちいい……!」
 拡張した肉穴を、太い責め型がぬめぬめと広げて突きあげ、けたたましく出入りする。白濁した快蜜が責め型にそって伝い落ちる。ワルキューレの両腿がうねりながら木馬の斜面を締めつける。なめらかな白い腹が、激しい呼吸に動く。
「ああん、揺れる、私の胸、ああ、んん、気持ちいい、こんな、はああ、胸がふくらむ、んん、あんん、胸が、揺れて、あああ……」
 上下に、左右に、量感たっぷりに揺れる乳房を、ゾウナは冷静な目で見計らっていた。特に艶々とした乳首の変化に注目する。乳輪がしだいに厚みをおび、なめらかな乳首がにゅっと伸びあがっていくさまを眺め、ころあいを見て近づいた。
「は、あ、ゾウナ様、もうたまりません、揉んでください……!」
 アイスブルーの瞳をうるませ、とろとろと唾液をこぼしながら、ワルキューレは胸を突き出した。ゾウナは片方の乳房をつかみ、指をうごめかした。ワルキューレは悦びの声をあげたが、ゾウナは感触で乳肉を確かめると、すぐに手をとめた。
「はああ、ゾウナ様、お願いです……!」
「まあ、待て。揉まれるのにも劣らぬいい思いをさせてやろう」
 ゾウナの右手が奇術師のようにひらめき、細長い金の針をとりだした。長さは手首から指先ぐらい、先端は丸みを帯びて、全体がなめらかな螺旋を描いてねじれている。ゾウナは左手で乳房をつかむと、上向けた。針の先を乳首にあてがい、押しつける。
「ひ、あ、何を……!」
「慌てるな。お前に傷はつけぬ。この針は、お前に備わった肉穴に差し入れるのだ」
 針先が乳首をくじると、ワルキューレの胸に心地よい震えがはしった。乳首の先があえぐように痙攣し、閉じていた柔らかな切れこみをほころばせた。
「は、ああ、嘘、私の胸が……!」
「私がつくったのだ。こうしてお前を可愛がるためにな」
 ゾウナが乳首を揉むと、乳首穴からとろりとした透明な液までこぼれてきた。針の先がそっと乳首に差しこまれた。
「んん……っ」
 初めて谷間の奥をくじられたときのように、ワルキューレは眉根を寄せた。外側と内側、隔てられて閉ざされている部分がさらけ出される感触だ。ゾウナは針をゆっくりとまわしながら深く差し入れていく。乳肉の中につくられた敏感な粘膜がひんやりとした金属にこすられ、かき回される。
「あ、ああ、ああ……!」
「よい顔だ。痛みなく処女を奪われているようだぞ。さあ、もうすぐ奥まで貫くぞ」
「あああ……!」
 肉のつきあたりに先端が当たる。ワルキューレの右乳房は、乳首からまっすぐに刺し貫かれた。針は後ろにいくほど太くなっている。乳首穴は広げられ、豆粒を通せるほどの直径になっていた。
 ゾウナはふたたび右手を閃かせ、同じ針を手に取った。残る乳房をつかんで上向け、乳首の先を針でこじる。同じように貫く。
「あ、んんん、そんな、両方なんて、ああ……!」
 冷たい感触にじわじわとかき回され貫かれ、ワルキューレは眉根を寄せて身をふるわせた。
「ゾウナ様……あああ……!」
「これで両方とも入ったな。このようなものを乳首に差し入れて、じつによい姿だぞワルキューレ。さあ、楽しませてやろう」
 ゾウナは両手で左右の針の後部をそれぞれつかんだ。
「また、先ほどと同じように乳房を揺すりたてるのだ」
「ああ、そんな……!」
 ゾウナの意図を知り、ワルキューレは目を見開く。だが、おずおずと乳房を動かした。
「あ、はあ、食いこむ……あ、ああ、乳首に響く……!」
 乳房の中心を貫いた針は、乳房の動きによって内部の粘膜をこすりたてた。乳首の部分は特に震動がひびき、穴が揺さぶられる。
「気持ちいいだろう。もっと揺すれ」
「あ、ああ、そんな、はああ、ああ、きくう……!」
 乳房の動きがしだいに大きくなった。上下に、左右に揺れ動き、それにゾウナが合わせて掴んだ針を動かし、乳房に適度な刺激をくわえる。逆にゾウナの手に導かれて、ワルキューレが乳房を上げたり下げたりする。ワルキューレの動きはしだいに大胆になり、ゾウナも大きく操りだした。
「は、ああ、あ、あああ……!」
 左右の乳房を外向きに開かれた状態で、ワルキューレは熱心に胸を揺する。ゾウナは針をくるくるとひねり、軽く抜き差しをし、乳房の中の粘膜を刺激する。
「あああ、中がこすれて……い、いい!」
「気に入ったか。では、もっと激しくしてやろう」
 ゾウナの指からイナズマと波動が放たれ、針を通して乳房の中に送りこまれた。粘膜が震えあがり、とろみを帯びた分泌液が温度を上げて大量にほとばしった。
「ひああああ、い、いい、いいです、はあ、ああ、きっくうう!」
 ワルキューレは腰をふり、胸を上下に揺り乱す。乳房の中がぬるぬるとして、針の抜き差しがたやすいものになる。さらに、胸の奥で熱い脈打つ感覚がふくれあがった。奥のわからない場所で何かがあふれ、失禁したようなせつなさが広がる。
「は、ああ、変、私の胸……あ、ああ、痛い……!」
 ワルキューレの乳房がしだいに張りつめていく。ずっしりと重くふくれあがって、ゾウナに変えられたよりもさらにひと回り大きくなる。内部の圧迫を受けた肌が、いまにもはじけてしまいそうだ。乳首が針を締めつける。
「は、ああ、苦しいです、ゾウナさまあ!」
「苦しいであろう。お前の胸が乳汁でいっぱいになっているのだからな」
「う、うそ、私……!」
「出産とは関わりのない乳汁だ。快楽の刺激で湧きだして胸に溜まるように、私が細工をほどこした。女の淫水のようなものだ。牝奴隷にはふさわしい胸であろう?」
「は、ああ、そんな、苦しい……!」
「このままこの針を抜かなければ、もっともっと乳房が伸びてふくれあがるぞ。いずれ限界を迎えて破裂するだろうな」
「ひいい!」
「むろん、そんなことはせぬ。もう少し苦しめ。そうしたら抜いてやる」
「あ、はあ、ああ、もう抜いてください! 苦しいです、あ、ああ、壊れる……!」
「案ずるな。私が細工したのだ。限界はよく知っておる。まだ大丈夫だ」
 ふくれて震える乳房をながめ、ゾウナは目を細めて笑う。ワルキューレは舌をだし、上体をよじり、息をあらげている。
「あ、ああ、ゾウナさま……」
「まだだ。今しばし待て」
「も、もう我慢できません、どうか……!」
「耐えるのだ。まだまだ胸はふくらむ」
「は、ああ、い、痛い、いたいです……!」
「苦しむ顔も美しいぞ、ワルキューレ」
「ああ、だめ、お願いです、もう……!」
 ワルキューレの目が見開いた。責め型に貫かれた部分の前から、熱い液体がほとばしる。
「はああ、いや、ああ……!」
 生温かい感触が、内腿に沿って黄金の三角木馬を伝い落ちる。湯気と匂いにつつまれながら、ワルキューレはみじめな涙をこぼした。あまりの苦しさに、失禁してしまったのだ。
「ほう、そんなに苦しかったのか。それはかわいそうなことをした」
 ゾウナは薄笑いをうかべ、針をずるりと抜きだす。こすられる刺激に、ワルキューレはのけぞった。
「ああ、ああ……!」
 針は完全に抜き取られた。たまりに溜まった乳汁が乳首に殺到する。出る、と思った瞬間、すさまじい圧迫感が乳首をおそった。
「ああ、出ない……! んん、い、痛い……痛い、たすけて……!」
「慌てるな。まだ出ないように、我が妖力で締めてあるのだ」
 ゾウナはワルキューレの背後にまわった。ずっしりと張り出した胸をつかみあげ、張りつめた乳房がさらにくびりだす。からかうように揉みほぐされて、破裂寸前の圧迫感がおそいかかった。
「ひいい、あああ、助けて、胸がこわれる……!」
「どうした。今度こそ出させてやるぞ」
 ゾウナの手が青白く輝いた。震える乳首に薄もやのような光がからみついた。次の瞬間。
「あ、あああああああ!」
 乳首穴が開き、胸先から白い熱いミルクがほとばしった。
「あああ、出る、出る、ああああああ!」
 ゾウナが乳房を握りしめると、ミルクのアーチはさらに高く勢いを増した。溜まった小水を排泄したときにも勝る解放感が背筋をかけあがる。
「ンンン……あ、あ、あああああ!」
 胸の中が熱い快感で沸騰している。ふたつの乳首が緩んで灼けるようだ。とろけてだらしなく際限なく開いていくようだ。実際に乳首穴は大きく伸びて直径を増している。細い指なら、無理をすれば押しこめそうだ。
「いい、いいです、ああ、これいい、おっぱいがいい、ああ、ああん、ゾウナ様、いく、胸、はあ、むねがイク! あ、ああ、ゾウナ様、イク、イクイク、胸がイックううう!」
 ゾウナの揉みたてでミルクを四方八方に撒き散らしながら、ワルキューレは貫かれた腰を振り動かした。快感が股間をつきあげ、さらなる膣絶頂がおとずれる。
「はあああ、下もいく! いく、いく、あああ、イックううううう!」
「まだだ。まだまだいき続けるのだワルキューレ。もっと腰を動かせ。胸も揺するのだ。もっと感じて、いやらしいミルクをここに溜め、部屋中に白くまきちらすのだ」
 ゾウナが乳房を揉みしだく。
「あは、ああ、ゾウナ様、んん、キク……おっぱい張っちゃう……ああ、あああ!」
「そうだ。胸をいやらしくふくらませろ。こうされると感じるであろう。胸が気持ちいいだろう?」
「きく……感じます! あ、ああ、またミルクが出る、出る、でちゃう、あああああ!」
「いいぞ、出せ、もっと出すのだ。もっとぶちまけろ。気持ちいいのだろう?」
「あ、あ、気持ちいいです、出る、出る、ああ、おっぱい出るのいい、おっぱい感じる、あ、あ、おっぱいがイッちゃう、はああ、助けてゾウナさまあ〜〜〜〜〜〜〜!」
 ワルキューレの甘い絶叫が室内に響き渡った。

       ◆

 ゾウナの城の最奥、巨大な大扉に閉ざされて、近衛の白いロボティアンたちに守られた部屋がある。
 部屋の中は、無限に高く、闇に満たされている。青白いかすかな燐光が、闇の神話をかたどったステンドグラスをおぼろに透かしている。バルコニーから見える風景は、いったいどこなのかも分からない。荒涼とした野原と、常に星の輝く夜空が広がっている。
「はああ、ゾウナ様、お願いです、ワルキューレをもっといじめてください……!」
 黒い紗を何重にもはりめぐらせた向こう、羽根ぶとんやクッションのちらばる広い寝台の上で、陥された神の子の化身は宿敵のひざに抱かれ、みだらな果実と化した胸を揉みしだかれていた。
「なんと、まだ足りぬのか。私がこれほどに愛しているというのに、いやらしい娘だ」
 ぬめるような闇色の髪に覆われた顔で、ゾウナは笑う。闇の衣をぬぎすてて青白い裸身をさらし、おなじく糸ひとつ纏わぬ白い柔らかい体を後ろから抱きしめている。
 ほっそりと長い指で乳房をくびりだし、首筋に唇をすべらせる。黒蛇のようにくねる闇の男根で、白い臀を激しく犯している。ときおり片手を、ときには両手をワルキューレの足の間に伸ばし、蜜を吐き狂う秘裂や、露をこぼす肉の尖りを存分にかきまわし、弄りまわす。
「さあ、どうやっていじめて欲しいのだ。恥ずかしがらずに言うがいい」
 ねっとりと口づけてからささやくと、ワルキューレは背筋をのけぞらせ、ゾウナの胸に背をあずけた。
「どうか、コアクマンをここに……」
「何? 私では不満だと申すか?」
 ゾウナは怒ったふりをして乳房を乱暴に揉みたてた。
「ああ、違いますッ……いちどきにいじめて欲しいの……!」
「ほう、それはいったいどういうことだ? もっと詳しく言ってみよ」
 ゾウナはさらに乳房を揉みたてる。
「ま、前と、後ろに挿れられて、胸も、肉の尖りも……体中をいちどきに……あああ!」
「なるほど、私ひとりではそれはかなわぬな。お前の望み、叶えてやろう。だが、コアクマンを呼ぶには及ばぬ。なぜならば」
 ゾウナの声が、不意に何重にも反響した。
「「私がふたり、いや」」
「「「いっそ三人になればよい話だからな」」」
 三人のゾウナが、ワルキューレを取り囲んでいた。
「あ、あ、こんな……!」
 すぐさまワルキューレはあおむけに押さえつけられた。乱暴な所作に、快蜜が噴き出す。乳房もぴんと張りつめた。
「んん、あ、はああ、う、うそ、いい!」
 左右べつべつのゾウナから、乳房を片方ずつ両手で揉みほぐされる。もう一人のゾウナは、ワルキューレの両腿を撫でおろし、プラチナの繊毛に口をつけた。
「あは、ああ、あ、ゾ、ゾウナさまあ!」
 ワルキューレは手探りで、左右のゾウナの一物を求める。蛇のように這いずって伸びた闇の男根が、ワルキューレの手首にからみつく。ワルキューレは握りしめた。
「ああ、太い……んん、すごい……!」
 ワルキューレは夢中で口元に引き寄せた。顔を左右に向けて交互に鎌首を舐める。自分で胸先におしつけ、こすりつける。
 左右のゾウナがかわるがわるワルキューレの唇を奪う。そうしながら、足元のゾウナに協力して、腿をもちあげ、大きく開かせる。無防備な谷間から、愛らしいすぼまりにいたるまで、長い舌が遠慮なく舐めまわす。舌を肉穴に差しこむ。
「はああ、すごい、ゾウナ様、あ、ああ、きく、ああああ!」
 エンマコンダたちに責められたときのように、ワルキューレの体中が同時に刺激されている。口づけられ、あるいは口を犯される。胸を揉まれる。乳首を弄られあるいは吸われる。肉の尖りをつままれ、吸われる。谷間を、不浄のすぼまりを、舌や指で刺激される。闇の男根がこすりつけられる。柔らかな肌を撫でまわされる。
「ふうう、そんな、ゾウナ様、汚い!」
 足の指まで一本一本しゃぶられて、ワルキューレはプラチナの髪をふりみだした。這いあがる舌がふくらはぎから膝裏を舐めあげていき、震える内腿に口づけの雨を降らせ、匂いを放つ肉土手へと顔をうずめる。
「ひいい、ああ、また、あ、ああああ!」
 ゾウナの一人がワルキューレの頭をひざの上にのせ、両乳房をつかんだ。闇の男根をぬめり伸ばして、愛らしい口元にくわえさせる。
 もうひとりのゾウナは、片脚を肩にかつぎ、闇の器官を蛇の伸ばし、不浄の穴に差し入れる。両手は、乳首の一方と肉の尖りをそれぞれつまむ。
 さいごのゾウナは、残る脚をかかえこみ、ワルキューレの脚のあいだに体を進めて腰を密着させ、男根器官で秘裂を貫く。片手を、残る乳首に伸ばす。
「「「存分に楽しめ、牝奴隷ワルキューレよ」」」
 三つの同じ声が重なり合い、三人のゾウナがいっせいにワルキューレを責めたてた。
「ふう、うぐうう、ふうう、んんんん!」
 秘裂と口と不浄の穴を男根でぬきさしされ、乳房を両方とも揉みしだかれながら乳首もつままれてしごきあげられ、肉の尖りから露をしぼられ、両脚をぶざまに広げられている。まさしく望んだとおりの全身責めに、ワルキューレの顔が一気にとろけた。
「どうだ、よいか、ワルキューレ」
 男根を口から抜いてたずねると、
「はああ、ああ、いい、いいです、最高です、私の体が、こんなにゾウナ様にいじめられて……んん、はああん、んん、気持ちいい〜〜〜〜!」
 ワルキューレは自分からまた男根にむしゃぶりついた。からかうように退く男根を口で追いかけまわし、食いついて歯をたてる。
「痛いではないか。お仕置きをするぞ」
 ゾウナは笑い、つかんだ乳房を上向けて固定した。残る二人のゾウナが、つめの先で乳首穴をくじった。指をたてて、押しつける。
「あ、ああ、開く……痛い!」
 乳首穴はおどろくべき伸びを見せて、ゾウナの指挿入を受け入れた。くちゅくちゅとかき回されて、ワルキューレの脳裏に火花がちった。
「ひいい、きく、んんん、ああ、きく、胸、むね、あああああ!」
 とぷりとぷりと胸の奥で、快楽の熱いミルクが際限なく湧き出す。揉まれる刺激とあいまって、乳房がふくれあがっていく。
「あはあ、あああ、で、出る……んんん、出る、でますうううう!」
 指が同時に引き抜かれ、白い噴水が高々とあがった。
「あああ、むね、むねえええ!」
「いいぞ、出せ。もっと出すのだ」
 揉みたてられて断続的に噴出する甘い飛沫が、三人のゾウナに、はりめぐらされた紗のベールにふりかかった。

「あは、あああ、肉穴あ……んん、お尻……まで……ああん、太くて幸せです!」
 激しい同時抜き差しで、おとらずに大きく円く開いた谷間とヒダ穴が、ゾウナの器官を嬉々としてしめつけ、揉みこんで吸いあげる。
「くう、おお、なんといういやらしい牝奴隷だ。我が一物をそこまで緊めつけて喜ぶとは、まったくすばらしい肉穴だ」
「ああ、嬉しい、私はゾウナ様の肉穴です、ゾウナ様のためにグチョグチョと開いて、おもてなしいたします!」
「よい娘だ。我が精を思うさま食らい、果てるがよい」
「ああ、来て! たくさん出してくださいませ……むぐうう!」
 ふたたび口にもくわえさせ、三箇所同時の抜き差し責めが仕上げに入る。
「ふうう、ううう、うぐう、ううう!」
 乳首穴も指で抜き差しされて、ワルキューレは涙を流し、のたうちまわった。
(き、気持ちいい! こんな気持ちいいこと……神はあたえてくださらなかった……! 私をただ戦いに駆りたて、壊れた道具のように打ち捨てて……ああ、でもゾウナ様は!)

 こんなにも、愛してくださる……!

「ふ、ふああああああ」
 三つの穴に黒い熱い精が放たれた。ドクドクと脈打ちながら、勢いよく流しこまれて、体の中を満たされていく。
「あふうう、ふうう、うふううう!」
 口いっぱいに呑みこまされ、子宮の奥まで注ぎこまれ、腸が洗われて張りつめる。
(ゾウナ様がいっぱい、私のなかを、満たしてくださる、あ、ああ、こんな快感……!)
「ふううううううううう!」
 ワルキューレの体がのけぞった。ふたつの穴はしめつけ、ひとつの穴は吸いたて、それぞれに精をしぼりつくす。
「ふ、あ、はあああ!」
 口から引き抜かれて、ワルキューレは息をきらし、満足のうめきをもらす。
「どうだ、望みを満たされたか」
「はい、気持ちよかったです……もう一度愛してください、ああん、壊してください!」
 三人のゾウナは声を響かせて笑った。
「お前のような愛らしい牝奴隷を壊しはせぬ。だが、壊れそうなほど愛してやろう。お前が許しを乞うて泣き叫び、声が嗄れるまでかわいがってやろう。覚悟はよいか?」
「ああ、嬉しいです、ゾウナさまあ……!」

 ――かくて、神の白百合は失われ、永遠に咲き誇る闇の薔薇が開花した。


                 【終】


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