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			 【6話】獄宴、そして・・・気高き心に縛りつく鎖 
			 
			 
			(3) 
			 
			水沢がシャワーを浴び、バスローブ姿で再びリビングに戻ると、3人組の1人、髭面の大男が立っていた。 
			その前に立つ水沢は、今までとは打って変わって、冷たく鋭い雰囲気を纏っていた。 
			 
			「松林、千里はどうした?」 
			「はい、あのセンセのケツを、ずっと取り憑かれたように責めてましたが、先ほど若い衆に送らせやした」 
			 
			松林と呼ばれた大男がビシッと頭を下げ、緊張した様子で報告する。 
			それをつまらなそうに一瞥すると、寝室の隣のドアへと歩いていく。 
			その後ろを、松林が腰を低くして付いてくる。 
			 
			「ふーん、で・・・優希の方はどうなっている?」 
			「千里さんが帰った後に、若い衆20人ばかり呼んで、責めている所です」 
			 
			 
			ドアを開けると、そこは薄暗い部屋だった。室内には複数のモニターが設置されており、壁の真ん中には大きな曇りガラスがはめられていた。 
			水沢が部屋の中央のソファに座ると、松林が壁のパネルを操作する。するとモニターに電源が入り、ベッドの上の女体を大勢の男がむさぼりあっている光景が映し出される。 
			更には正面の曇りガラスがクリアになると、寝室の中がありありと見えるようになった。 
			 
			ベットの上には、腹ばいになった男の上で、騎乗位の体勢で結合された優希の姿があった。 
			緊縛された裸体をピンク色に染め、男の上で淫らに腰を振っている。 
			その傍らには男が立ち、いきり立った怒張を優希の口に押し込み、頭をむごたらしいほど前後に揺すり、口腔を犯している。美貌はアイマスクで隠れてはいるが、さぞかし苦悶の表情を浮かべていることだろう。 
			背後には、別の男が座り込み、アナルバイブで優希の尻を責め立てていた。 
			余った男たちは代わる代わる、麻縄で絞り出された美乳を荒々しく揉みたてており、乳房には男たちの指の跡がくっきりと赤く残っていた。 
			そんなベッドの周りには、ビール片手に順番待ちをする男たちでいっぱいの状態だった。 
			 
			 
			「言いつけどおり、あの女によって痛い目にあわされた連中ばかり選別しました」 
			 
			そう報告しながら、水沢の脇にあるテーブルによく冷えたシャンパンを注いだフルートグラスをソッと置いた。 
			 
			「これで、あの女もお終いですわ」 
			 
			愉快そうに笑う松林。だが、水沢は、それを一瞥すると疲れたように溜息をついた。 
			 
			「はぁ・・・ほーんと、脳みそまで筋肉馬鹿だなぁ」 
			「・・・へっ?」 
			「あの女が、この程度で屈するわけねぇだろうがぁ、馬鹿がぁ。そんな楽な相手なら、千里をたらしこんだり、千里から優希に手を出さすように仕向けたりと、俺がまどろっこしい手を打つわけねぇだろうがぁ」 
			 
			そこまで言うとグラスを傾ける。冷えたシャンパンが乾いた喉に染み渡った。 
			 
			「そもそも、あの女も厄介だが、もっと面倒なのは、あの女の祖父がやってる道場に通う門下生どもなんだよ。警察関係者も多く、優希を信望している輩も多いから、拉致って薬漬けにするような乱暴な手なんて使おうものなら、こちらが潰されかねない」 
			 
			冷めた目を向けられ、松林は大きな身体を縮ませる。 
			 
			「若・・・じゃ、じゃぁ・・・」 
			「週明けには解放しなくちゃならねぇ。そして、開放されれば多少は理性が戻ってくる。そうなりゃ、あの女の事だ、俺の事を調べ上げてくるぞ」 
			「マズいじゃないですか!」 
			「馬鹿だなぁ、その為の千里だろうがぁ!!」 
			「・・・??」 
			 
			本気でわかってなさそうな松林の様子に深々と嘆息する。 
			 
			「千里が俺に懐いている限り、あの女は今の状況から抜け出せないんだよ。なんたって、俺たちは強要してないからなぁ、千里が自ら進んで俺の奴隷になり下がっている限り、あの女は力ずくでどうこう出来ないんだよ」 
			「ほぅ・・・なるほどぉ」 
			「かといって妹のように可愛がってた千里を見捨てる事なんて出来ない。弱いものを助けるのが、あの女の信条って話だ・・・それを手放したら、それそこあの女は自分を許せなくなるだろう」 
			 
			手に持ったフルートグラス、その中で泡立ち昇っていく気泡を見つめニヤリと笑う。 
			 
			「いいか? 橘 優希を縛っているのは、犯された映像記録でも、暴力でもない。千里って存在そのものが優希を縛る鎖なんだよ。だから、千里にはせいぜい王女様扱いしてやれよ」 
			「へぃ」 
			 
			再度、グラスを傾け、残ったシャンパンを飲み干す。すかさず、松林が新たにシャンパンを注いでいく。 
			 
			「まっ、もうすぐ夏休みだ。優希には時間をたっぷりかけて身にも心にも被虐の快楽を刻み込んでやるさ。それに、来年には千里も大学入学で親許を離れる、それまでの辛抱だ」 
			「それじゃぁ・・・」 
			 
			「あぁ、オヤジの店にでも沈めてタップリと稼いでもらうさ。美少女国立大生と有名な橘 優希がマゾ牝奴隷としてSM娼婦デビューとなりゃ、黙ってたって大金が転がり込む。特に優希には、煮え湯を飲まされた連中がわんさかといるからなぁ、クククッ・・・いくら金を積んでもよいってヤツらも多かろう」 
			 
			そういうと、男たちは邪悪な笑みを浮かべ笑いあった。 
			 
			 
			 
			既に朝方を迎えようとしていた。 
			眼前では、交代した新たな男たちに優希が犯されている。 
			2穴をサンドイッチで犯され、男たちの間で緊縛された身体を身悶えさせ、口に肉棒を喉奥まで咥えさせられながら、狂ったように悲鳴のような喘ぎ声をふりまき続けている。 
			 
			その光景を見つめながら、水沢は美酒を楽しむと、自らも再び優希を楽しむ為に立ち上がった。 
			バスローブを脱ぎ捨てたその背中・・・そこ彫られた大黒天の刺青が薄暗闇に妖しく浮き上がる。 
			 
			「初手は、俺の不意打ちで最深部にまで、しっかりマゾの楔を打ち込ませてもらったぜ。三日三晩、ろくに寝る間も与えず続く調教に耐えて・・・優希・・・お前はどうでる?」 
			 
			水沢の口元が楽しそうに綻んだ。 
			 
			「優希が千里の目を醒まさせて、俺の喉元を喰い千切るのが先か・・・それとも、こちらが優希を、被虐のマゾ地獄に頭まで沈めて牝奴隷に仕立てあげるのが先か・・・ゾクゾクするほどスリルのあるゲームだよ。せいぜい足掻いて俺を楽しませてくれよなぁ、優希」 
			 
			マジックミラー越しに、人知れず語りかけると、水沢は寝室へと向かうのであった・・・ 
			 
			 
			 
			・・・END・・・ 
			
			
  
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