■捕らわれた女戦士■


「くッ! ああッ!」
 年若い女性の悲鳴が響いた。その声に反応して巨大な「塊」がゆっくりと回転する。そこは巨大な神々が集う神殿、しかし人間とは異なる感覚で構築されたそこは無機質な鉄塊で装飾されている。
「フフフフフハハハ!」
 広大な空間の中央に浮かぶ岩塊のような機械は「歓喜」の感情を出力しながら、浮遊プラットフォームに吊るされた人間の女性にセンサーのフォーカスを合わせた。
「くはぁぁぁッ! くっひぃぃぃッ!」
 両腕を頭上で拘束された女性は、四方から高出力レーザーのムチに嬲られ、連続して浴びせ掛けられる電撃に激しく身悶える。
「フハハハハハ! やはり歴史は繰り返す!」
 岩塊のごとき機械……、まるで醜悪な顔面のようなブレインコロニー頭脳体ネルヴァルは、苦痛に身悶える女性、獅子堂高嶺(たかね)の脳波と脳内分泌物を遠隔スキャンした。
「やはり獅子堂の精神は鉄壁か」
 その苦痛に身悶える様子に反して、高嶺の意識は強いレベルで保たれている。もちろん陸に釣り上げられた若鮎のようにビクビクとのたうつ反応は演技ではない。演技が出来るほどの苦痛レベルではないのだ。
「ヒトの女の責め方なら、心得ている」
 レーザームチが胸元を引き裂き、電撃が下腹部に集中する。
「はぁぁぁーッ! アっアっアっ!」
 まろび出た豊かな胸が、小振りな乳首を頂点に「ドン!」と天に向けて突き出され、まあるく張りつめて脂汗にまみれた尻がグイグイと振り立てられた。
「なかなかしぶといな。さすがに獅子堂の血を引く者だ」
 高嶺は驚異的な自己催眠で、苦痛に身悶える肉体と精神を切り離していた。そして、かすむ視界と聴覚、嗅覚を研ぎ澄ませて今は、ひたすら「待つ」ことに徹している。
 もし、苦痛に耐えられなくなった時、脳波スキャンによる自白と、機械的な洗脳が待っている。そうなった時、高嶺は自ら命を絶つ覚悟は出来ていた。
(だけど、それではすべてが無駄になる……)
 罠に掛かり命を落とした部下たちの顔が脳裏によみがえる。
 ネルヴァルの腹心である女賞金首アレイダにより、高嶺は自分の機動部隊「影組」を全滅させられていたのだ。
 その復讐の念に唇を噛みしめ、高嶺はレーザームチと電撃に耐え続ける。
「くうぅぅぅ〜ッ! くひッ! くひッ!!」


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