第1話 「啓」

 「ちょっと、なんで私がこんな仕事しないといけないのよ!!」
 1人の少女が凄い剣幕で怒鳴り込んできた。

 2086年・・・・・・。地球人類は科学技術の発展と精神的成熟が認められ、銀河連邦政府から加盟要請を受けた。しかし、人類が銀河連邦政府に加盟したその日、地球は交易や移住を求めてワープアウトしてきた数千隻の宇宙船に包囲されてしまう。
 フロンティアには黒い野望や陰謀が流れ込んでくる・・・。地球を守るため、銀河警察機構(GPO)からランサーこと特殊公安捜査官が各重要都市に派遣されることになった。
 その一つ東京湾に浮かぶイースタンメトロポリス(EMP)にやってきた異星人の捜査官たち。彼女たちは『メルティランサー』と呼ばれた。
 そして声が響いたのは、EMP分署の補佐官室である。補佐官の仕事は各ランサーへの指揮・スケジュール調整などがおもである。そして、声の主はナナイ・ナタレシオン・ナインハルテン(通称ナナ)犯罪者を追い、魔法世界「プロミスランド」から次元の歪みを伝ってやってきた。ロイヤルガード(近衛部隊)の将軍の孫娘で、彼女が使う攻撃魔法の数々はその幼い姿(外見年齢は地球人換算で11歳ていど)からは想像もできないくらすさまじい威力のものばかりである。頑固一徹な祖父からマンツーマンで魔法を教え込まれたためか、誇り高く自己中心的で、すぐに単独行動をとりたがるというわがまま娘である。

「えっと、その・・・何が・・・」
 しどろもどろになりながら、EMP分署補佐官。
カイ・サイラは応対に困っていた。カイは若くしてその指揮能力と情能力が買われ、この春に補佐官に抜擢されたいわばエリートといってもいい。容姿はそれなりに整った顔立ちで身長も高い。が、細身の体のためか頼りなく見えてしまうという欠点もある。
「だから、なんで私が窓拭きをしないといけないのよ!!」
 ナナはすごい剣幕でカイの執務机をバンッとたたいた。
「だってほら、ナナさん。空飛べるし・・・」
 幼い容姿の彼女、しかも部下に対して『さん』付けで呼ばされてる時点で、力関係も判るものである。カイは他のランサーに対しては呼び捨てで接している。むしろさん付けで呼んだときそれぞれ・・・「補佐官いいですよ別にシルヴィーて読んでください」「サクヤでかまいませんわ。補佐官」「アンジェラはアンジェラなの!!」「ああ、あたい堅苦しいの嫌いだし、だからジュンで、そのかわり、あたいもカイて呼んでいいかな?」と快く呼び捨てすることを承諾してくれた。
「だからなによ。高い場所の窓拭きならバカザルや怪力女にでもやらせれば良いでしょ!!」
「ジュンはパトロール。アンジェラは解体作業に出向ちゅうだ」
 ナナがあげたバカザル(アンジェラ)と怪力女(ジュン)の現状を伝えなんとかなだめようとしていた。
「なら、恋愛バカは?」
「シルヴィはオゾン層修復作業に出向中」
「も〜いい。私、窓拭きなんて絶対しないからね。今日はもう帰る!!」
「あっちょっと・・・」
 引き止めるカイの言葉も聞かず、ナナは補佐官室を後にした。
「あぁぁくそ。なんでこう、心労がかさむ連中ばかりなんだよ。いくら人手不足にもほどがある・・・それにしても、ナナのやつ生意気なのは困ったものだ・・・・・・すこし、いや、たっぷりと調教してやるか・・・くっくっくっ覚悟していろナナ!!」
 カイの背後からなにやら黒いものが噴出していた。



 ナナの心は暗い闇の中を彷徨っていた。しかし、その感覚はけして不快ではなく、むしろ心地よい日差しに全身を包まれた感覚に近いだろう。
 (気持ちいい・・・・・・)
 そして、何処からともなく『声』が聞えてきた・・・声とても穏やかであり、またその声はナナに安心感を与える心地よい響をもっていた。
『貴方はだんだん気持ちよくなってくる・・・全身がほてり・・・どうしようもない疼きに襲われる・・・』
 その声に呼応するかのごとくナナの体は微妙な快感に包まれた始めた・・・
(うずく・・・あっだめ・・・そこは・・・でも・・・・・・)
 快感が絶頂に達し様とした瞬間、突如ナナは眼を覚ました。
「はっ・・・私・・・いったい・・・」
 ナナは全身汗にまみれ、息も乱れていた。眼を覚ました場所はそこはいつもどおりの自室、ファンシーな小物やぬいぐるみが多く置かれた外見年齢どおりの可愛らしい部屋である。
「喉かわいたわね・・・」
 ベッドから降り、台所から牛乳を取り出し、200CCの牛乳を一気に飲み干した。
(物足りない・・・)
 ふと脳裏にそんな思いがよぎったが、気には止めず再びベッドへともぐった。
(何であんな夢を・・・)
 夢のことを思い開始。再び眠りにつこうとしたとき、全身に電流が駆け巡ったような感覚に襲われた。
(な、何?!)
 その正体を探ろうとすると、無意識のうちに右手が自らの秘所へと伸び、そして、敏感なところを刺激していたのである。
(だ、ダメそこは・・・でも・・・なに?気持ちいい・・・・・・)
 頭の中では理解できてはいるが、初めて感じる甘美な感覚に逆らえなかった。
(気持ちいい・・・あぁぁなに・・・この感覚・・・あっいい・・・なにか・・・あぁぁぁくるぅぅ)
 生まれて初めての自慰。しかし、稚拙なオナニーでは満足いくまでには時間をようし再び眠りについた時には時計の針は4時をさしていた。


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