最終話 「告白」
「はぁはぁ・・・・・・イキます!!・・・・・・淫乱マゾ奴隷のナナ。イカさせていただきます!!!」
淫靡な音が響き、部屋は淫らな香が立ち込めていた。
「ナナ・・・・・・今日は激しいですね。どうしました?」
そう、今日のナナの動きは激しかった。ナナが自ら腰を動かしカイを絶頂へと誘導し様とするのは初めてだ。快楽に身をゆだねて腰を動かしたのを別にすればだが・・・・・・
「そ、そんなことないわよ・・・・・・」
そして、もう一つ普段なら常に言葉遣いに気をつけているにもかかわらず、今日は普段の言葉遣いを用いている。従順に従いながらも不遜な態度。相反する2つの行動。カイが疑問に抱くのは無理もない。ナナは知らないことだが、カイはナナの心を探ることはしていない。ナナがただ従っていればカイにとっては問題無いこと、それにナナがたとえどんな形であれ自分との契約に基づき、隷属していることに対するカイなりの契約の証なのである。
「そうですか?そうは思いませんね。」
「なら心を探ればいいでしょ!!」
ナナは声を荒げた。まるで心を読まれることを望んでるかのように・・・
「そうですね。でも、それでは意味がありません。答えなさい貴方の意思で貴方が何を思っているのか、本心をいいなさい。ただしこれは命令でもありませんから、別に話さなくてもいいですよ。」
カイは落ち着いた声でナナに語りかけた。声には温かみと慈愛がありとても心地よい声だった。
「サクヤには・・・手を出さない・・・約束は・・・」
「ええ、無論守りますよ。」
「別にそれなら・・・いい・・・サクヤに手を出さないなら」
「それだけですか?」
「あたりまえでしょ!!じゃなければ、嫌いなあんたに!!大嫌いなあんたにこんなこと・・・・・・」
カイは初めて少女の瞳から大粒の真珠がこぼれた―涙―カイが初めて少女を泣くところを目撃した。
「嫌いですか・・・・・・」
カイはそう言うとナナから離れ衣服を正し始めた。
「ならいいでしょう。ナナ、契約は終了です。あなたは自由です、無論、サクヤには手を出しません。もう貴方が私に抱かれる必要もありません。それに貴方が望むなら私の力であなたから全ての淫靡な記憶を消しましょう。」
カイの目はただ悲しみと後悔をたたえ、そしてその瞳は目の前の少女に向けられた。
「えっ・・・?」
ナナにとっては意外な申し出だった。
「聞えなかったのですか?」
カイは再びナナに訊ねた。
「な、なんで?」
「いえ、貴方の本心を知りましたからね。ですから、解放することにしたんですよ」
「そういって・・・どうせ・・・・・・また」
「私は今、本心を話してるのですよ。ナナ、決めるは貴方です。解放を受けいるか、受け入れないか」
「決まってるじゃない・・・あたしは・・・・・・あんたなんか・・・・・・嫌い・・・・・・なんだから・・・」
『嫌い』その言葉を口に出すたびにナナの胸が苦しみを感じた。
「では、いいじゃないですか、いったいなにを戸惑うのですか?」
カイの決心がついていた。カイの力をもってすればナナの心を自分の自由にすることは容易いことだ。しかし、カイはそれをおこなうことはなかった。なぜならカイが本当に欲したのはナナの体ではなく――
それが手に入らないのならこの行為も意味はないそう思ったからこそカイはナナの解放を決めた。
「あたしはあんたが嫌い!!ずっとあたしの頭をあんたのことでいっぱいにする!!なのに・・・なのに、あんたはあたしには見せない顔をする!!あたしをこんなふうにして・・・なのに・・・・・・うぁぁぁぁぁぁん」
ナナの中で何かがはじけた。それは涙となって溢れ出し少女の頬に線を引いた。
「ナナ!!」
涙を流す少女・・・とても脆く儚くそしてか弱い。それは、ロイヤルガードでないナナの少女としての本当の姿・・・カイは少女を力強く、やさしく抱きしずにはいられなかった。
「なっ・・・」
ナナの涙がとまりそして・・・
「すみません。ナナ」
少女の耳には謝罪の声が響いた。
「あやまらないでよ・・・・・・」
「ですが・・・すみません・・・」
カイはナナを抱きしめながら、自分のことを話した。裏家業の家系に生まれたこと。自身に叩き込まれた様々な技術。異能ゆえの孤独。そして、ナナを愛してしまったこと。しかし、その思いを達するために己の力を使うしか思いがいたらなかったこと・・・
その話を聞く中ナナは自身の心に気がついた。いや、認めることができた。ナナはいつの間にかカイを愛していた。ただ、それを認めることが怖かった。認めてしまえば戻れないところまで落ちてしまうそれがただ怖かったのだ。
「一つだけ・・・あたしをずっと見てくれる・・・ずっと傍にいてくれることを約束してくれる?」
「約束しましょう。貴方だけを見つめ・・・貴方の傍らにいることを誓います。」
「なら・・・あたしもずっと貴方の変態マゾ奴隷になることを・・・誓ってもよくってよ・・・ご主人様」
カイは優しくキスをした。ナナはそれを受け入れ、互いに互いを求め合いただ淫らに純粋に互いの体を愛し合った。
「着てください・・・ご主人様・・・変態マゾ奴隷のナナの体を・・・たっぷりご堪能ください」
ナナは仰向けになりカイに自身の全てを明け渡した。身も心も最愛の人のために・・・
「ナナ・・・愛してるよ。だれよりも・・・」
カイの純粋な思いが産んだ歪んだ行動。それは、間違いなのかもしれない。しかし、今の2人には関係ない・・・ただ彼らは互いに愛し合うだけ・・・純粋に、淫猥に、狂えるほどに己の欲望のままに・・・
★
その後、銀河反革命事件と呼ばれる事件がおきる。無論、その事件はランサーたちの活躍により未然に防がれる。しかし、その事件の後に補佐官制度の見直しなどのためカイはEMP分署をあとにすることになる。だが、影ながらナナの力になり、地球圏にまいおりた厄災から守り通した。
時は流れ・・・ナナとカイが出会って4年後・・・それぞれのランサー達は・・・
シルヴィア・ニムロッド
身体能力とその容貌から、GPOを舞台にしたドラマにランサーとして出演。ドラマは本物の元ランサーが出演していることから注目を集めシルヴィは時の人となる。その後、持ち前の明るさで人気を不動のものとしアクション女優として活躍している。
アンジェラ
アンジェラは故郷の惑星ホァンロンにて偶然発見されたバイオソルジャーの子供達の面倒をみている。
サクヤ・ランサイワ
ただ祈るだけでは人々を救えぬことを悟り、聖書を捨てその手に銃を取り傭兵となった。混乱吹き荒れる戦場を今日もまた人々を救うために彼女は戦いつづける。後に解放の聖女と呼ばれるのはずっと後の話。
神代 潤
ジュンは自らの能力をいかしGPOの戦闘指導員となる。彼女に憧れ多くの女性が入隊を希望したため深刻であったランサー不足は解消され治安レベルが一気に向上した。
メルビナ・マクガーレン
故郷の惑星トゥシスターズにてその指揮能力と事務能力をいかし現在は議員を務める。つぎの大統領選挙に出馬を決意し。世論はすでに当選確実の報道が囁かれる。そして、それは現実になり女性大統領が誕生した。
そして・・・・・・
ナナイ・ナタレシオン・ナインハルテン
研究の末、時空跳躍魔法を確立。それによりプロミスランドとの次元の通路は固定され互いの行き来ができ人類は新たな出会いを得ることになる。それに伴いナナはGPOプロミスランド分署の長官へと任命される。それまで経験したことをいかした手腕にみな感心をしめす。その彼女の傍らには彼女とともにこちらにきた男性がおり、補佐官として彼女の支えとなる。その2人を人々は世界の掛け橋として祝福し、仲むつまじい夫婦として知れ渡る。その男性がカイである事は言うまでもない。
「ご主人様。どうか今日も可愛がってください」
今日も彼女は自身の主に全てを捧げる。
Fin
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