大願成就? 乙女の思いは大暴発

 戦闘を終え、警戒しつつもケイト達は宇宙戦艦『天河』へと乗り込んだ。そこで待ち受けていたのは豪華な歓待であった。
「ようこそお越しくださいました。ワタクシは、執事のアルバートと申します」
 そういって挨拶をしたのはまるでヤギの様な雰囲気の老紳士であった。
「それでお前ら何者だ?」
 単刀直入、いきなりの直球である。
「まったく、そう慌てるな…このようなものが夫になるとは…いや、この粗野にして野性味あふれる感じも悪くは無いが、まずは落ち着くが良い」
 尊大な態度で一人の美少女が姿を表す。服装は装飾過多、緑色の髪は丁寧にミツアミに結わえられ薄いフレームのメガネをかけているがその奥の瞳は鋭く意志の強さが感じられる。
「待ちなさい…いま、夫とかいったわね」
 アイリスの発した声は地の底から響くようで永久凍土が暖かく感じられるほどの冷たさを込められていた。
「そうじゃ。星機神の担い手に選ばれたものを婿として迎え、その全てをささげるというのが、我が王家の慣わし。もっとも神託の儀は現在は形だけではあったが、しかし、この者の力は我らには必要、そのためなら私の体など安いものよ」
 火に油を注ぐとはよくゆうが、火薬庫の中で花火をするほどの危険発言である。この発言に、オウカとキファも青筋を立てている。
「ふっ、この話は、後回しにしてまずは名乗るとしよう。我はシャルル・ラス・アルゲルティ・グラフィアス。銀河聖王国グラフィアスの第一次王女じゃ。恐れ入ったか?」
 場の空気が静まる。というか、アイリスたちの目は明らかに怪しいものを見るような、哀れみのこもった視線を向ける。
「な、なんじゃ? その、可愛そうな人を見るような目は!!おぬし等、信じておらんな!!」
 シャルルは青筋を立てる。
「そんな突拍子もない話を信じられるわけ、ないでしょ!」
「むー、確かに突拍子も無いが…事実なのじゃ」
 シャルルは実際にウソは言ってなさそうであるが、やはり確証が持てない。
「まー、アイリス。話は最後まで聞くのが筋だぜ」
 ケイトが見かねて助け舟をだす。
「う、うむ」
 すこし半べそを、かいてしまったシャルルである。
「よし、語ってしんぜよう」
「あの…まさか、国を乗っ取られて逃げたとか?」
 キファが何気なくそう口にする。
 ザクッ――
 何かがシャルルの体を思い切り貫く。
「ぐっ…」
「まさか…図星?」
 アイリスも確認する。
「うぐぅぅぅ…その通りじゃ…我が国は乗っ取られた。奴らはオデューボス帝国と名乗りおって、あのクソ、ジャア・クデコサー・クルゼ!!」
 半泣きで握りこぶしを握り言葉が荒くなっている。
「姫様、落ち着いてくだされ」
 アルバートが落ち着かせようとするがシャルルはこみ上げた怒りで地団駄を踏む。
「はぁ〜仕方ありませんな。ここからは、ワタクシが変わってご説明させていただきます。我がグラフィアス帝国は12の星系を束ねる帝国でございました。シャルル様のお父上様も歴代の星帝様に恥じぬ素晴らしい名君とうたわれ、民も幸せで豊かな暮らしをしていたのですが、帝国筆頭技術官であったジャアがかつて星機神様により封印された邪神機の封印をとき、姫様が帝位継承権をえられました14歳の継承者認定式典のさい、反旗をひるがえしまして、それで星機神様を持ち出しなんとかシャルル様を連れ出し逃げたしだいにございます」
 簡潔にアルバートは話を締めくくる。
「逃げたって? このクラスの船がいくら優れていても小型の宇宙船が高速で追撃してくれば逃げ切るのは難しいですよね」
 キファは技術者として素朴な疑問からたずねる。実際、速度と数が上回る敵を相手に逃げ切るには切り札がなければ不可能である。
「ほう、なかなか良い慧眼じゃな。確かに、速度で勝る相手に勝つのは不可能。じゃが、この船には亜空間航行装置があるからの。空間の異層を移動すれば何とかなるし、なにより重力場の渦で亜空間航行をしたのじゃ、軽量軽装の小型船や機兵では重力嵐と亜空間突入の衝撃波には耐えられても安定せず、どこぞにへと吹き飛んでいくだけなのじゃ」
 先程までとは打って変わり自分の船を自慢する。ちなみに地球圏では、今だに長距離間の空間移動装置の開発にはいたっていない。現在は非常に短い距離を双方向にゲートと呼ばれる装置を通してのみ可能なだけである。
「聞いていいか? 機兵てのは、あのサメみたいなデカ口のことか?」
 今まで黙っていたケイトはおもむろに尋ねた。
「そうじゃ」
「…一つきくが、この船は亜空間航行でここまで来たんだよな? その際の座標設定はどうやったんだ?」
「星機神の担い手を探すため星機神の力を借りたのじゃ。星機神の意思を座標軸として固定したのじゃが、それがどうかしたか?」
「なるほど…だが…この可能性は…しかし、空間率の変動か?…だとしたら…」
 その回答を聞き、ぶつぶつとつぶやきながらケイトは現在の状況をありとあらゆる方面から考慮し始める。
「ケイトどうしましたの?」
「アイリス、ああなるとムリ…ケイトが独り言始めると何はなしても何も反応しないのよ」
 ちょっとあきれ気味にオウカはため息をつく、その時。
『こちら地球統合宇宙軍火星圏常駐第1艦隊『タケミカヅチ』である。そこの船、所属を速やかに述べよ。返答が無い場合は敵対行為とみなして攻撃を開始する』
 と通信が入る。
「広域周波数によるもののようですね。とりあえず、応えた方がいいとは思うのですが…」
 キファは控えめに進言する。
「どうやってこの状況を説明するかですわね。こんな荒唐無稽な話を信じてもらえるとは思えませんし、お父様に連絡を取れればなんとかなるでしょうが…」
 アイリスの父は政府の地球連合の高官を勤めている。だが、自分の身分を証明はできてもこの船のことや現実に起きたことを理解してくれるかはなぞである。
『返答せよ。返答せよ』
「回線を開いてくれ、俺が話をつける」
 独り言を続けていたケイトがおもむろに口を開いた。
「大丈夫ですの?」
「あっ、そうか、ケイトならなんとかできるかも」
 オウカはあることを思い出し納得する。
「回線ひらきますじゃ」
 アルバートが通信装置をオープンにする。
『応答を確認した。では、所属を聞こう』
「それは、かまいませんがまずは、貴方の名前と階級をお聞かせいただけますでしょうか?」
 ぶはっと突然、丁寧に話し始めるケイトをみて全員が噴出してしまった。
『うん?そちらの後ろがなにやら騒がしいようだが地球統合宇宙軍火星圏常駐第1艦隊『タケミカヅチ』艦隊長、アーバイン・シュターナー大佐だ』
「了解しました。こちらの所属をのべる前にコードD−17856Kの個人回線を開くことを許可いただきたい」
『ふむ、その程度のことならば許可しよう』
「ありがとうございます」
 ケイトは礼を述べると回線にアクセスをする。
「いったいどこに回線を開こうとしていますの?」
「多分、驚くとおもうわよ」
 オウカだけが訳知り顔というのがアイリスは悔しかったが実際に開いた回線から現れた人物に全員がおどろいた。
『オオオオオ、ケイト、無事じゃったか!! 爺ちゃんは、心配で心配で飯も喉を通らんかったぞ。あ、ご飯お代わり、納豆もな』
 現れた老人は言動と行動が矛盾している。というか満面の笑みで納豆ご飯を食べている。というかそばに控えてる割烹着すがたのブロンドの秘書は表情を変えずに淡々とご飯をよそって差し出す姿はシュールであるがしかし、その人物をみたアーバインは絶句した。というか、蛇ににらまれたカエルのように膠着している。
『こ、これは元帥閣下!! お久しぶりであります!!』
『おお、アー坊か元気そうじゃの』
『はっ、閣下もお元気そうで幸いであります!!』
『ふむ。少し孫と会話をしたいのじゃが良いかの?』
『それは、構いませんが…現在はお孫様はアカデミア所有船『神篭』の消息をたどる重要参考になっており通信などは全て記憶しなければなりませんが…』
『構わんよ。それでケイトそっちはどういう状況なのじゃ?』
「ジュピターインパクトの再来、現在はシャルル・ラス・アルゲルティ・グラフィアス嬢、所有の宇宙船『天河』に搭乗中てとこだけど」
 そういって固い口調をといて気さくに話、シャルルを紹介する。
『なかなか、可愛い子じゃの。始めまして孫がお世話になっております。ワシはホライズ・エッジワース。一応、地球連合軍元帥を勤めておる。ところでどうじゃ今度、お茶でもせんか?』
 かなり軽いというかケイトを年をとったらこんな感じなのではとその場にいるものは思った。
「そうですね。そのお誘い受けさせていただきますわ」
『そうとなれば、早いほうが良いじゃろう。アー坊、すまんが火星基地にてその娘さんを極秘裏に歓待しておいてくれんかの。ワシの客人じゃしの。あと、神篭の一件はワシの方で少し預からせてもらうがよいな?』
『はっ、了解しました!!』
『それじゃーのシャルルちゃん、家の孫と仲良くの』
 そういい残すと通信回線が閉じられる。
『元帥閣下のご命令である。我が艦隊にてご案内する故、ご同行願いたい』
「了解した。世話になる」
 そういい、通信を切った。
「ふむ、しかし、地球軍の元帥の孫とはかなりの大物なのじゃな」
「別に爺ちゃんが偉いだけだからな」
 あっけらかんとした態度である。もっとも、そんなケイトとは別にアイリスとキファは驚きでどう反応していいのか分からないという間が抜けた顔をしている。
「どうしたんだ?」
「そりゃ、統合軍元帥の孫って聞いて驚かない人はいないと思うわよ」
 そういうオウカは、得意げな顔でケイトと会話する。その様が、アイリスにとってはなんともいえない不愉快なものだった。
「ところで、先程のジュピターインパクトの再来とはどういうことですの? 今回の件とどういうつながりが…」
 平静を装いつつアイリスは一番の疑問をたずねた。今まで流れからすればケイトは間違いなく答えを知っているはずだと思えたからである。
「どうせ、分かることだから…いいぜ話してもジュピターインパクトのことを」
 ケイトが話を始めようとしたとき背後から袖をクイクイと引っ張られる。
「うん?」
 振り返ると、そこにはメイド服を着た小柄で銀色の髪を瞳を隠す長さまで伸ばしたおかっぱの少女が袖をひっぱていた。
「…お部屋のご用意ができました…マイ・マスター」
「へっ?」
「名前はジーナ・サダルスード。忠義心の強いフリクス星人じゃ。私の信頼できる友人でもある。この船ですごす上での世話役に適材であろうとおもうてな。気に入らなかったか?」
 気に入らなかったという言葉にジーナはビクッと身を縮める。
「いや、しかし、マスターてのは…」
「主は星機神の担い手、つまり将来は我が夫となるのだ、なれよ。それにジーナも嫌ではないらしい背後を見てみよ」
 そういわれてジーナの背後を見るとお尻から生えた尻尾が激しく左右に揺れている。
「加えるならジーナから言い出したことでもある。いつも真面目に仕事をしながらあまり自己主張をせぬジーナが言い出すなど私は嬉しかったので夜伽まで承諾したぞ」
 まるでテストで満点を取った我が子を自慢するかのような誇らしげな口調でとんでもない口調を口走る。
「よ、夜伽、て…ふっ、ふざけんじゃないわよぉぉぉ!!!」
「そうです!!」
「破廉恥にもほどがあるわよ!!」
 三者三様に激昂する。
「ふっ、何をうろたえる?」
「あんた、それがどういう意味か分かっているの!?」
 オウカは怒り心頭。今にも胸倉を掴みかからんと勢いで詰め寄る。
「無論知っているぞ。夜、隣で本を読んだりすることであろ? 違うのか?あ、後、なかなか寝れないときにプロレスごっこをして遊ぶんだりもするの」
 場が凍りつく。つまりジーナは夜の営みに対する知識は口調とは裏腹に見た目の幼さと同程度のレベルである。
「ひ、姫様…ごにょごにょ」
 沈黙に耐えかねアルバートが耳打ちをするとボンッ、という音が聞こえそうな勢いで真っ赤に顔を染める。
「な、ナンジゃそりは…エっ、とあぅ、はぅく、きゅぅ〜ジ、ジーナ、ダメじゃ。やっぱり夜伽はなしジャ」
 どうやら、想定外の事態にシャルルはそういうのが精一杯だったが、
「…姫様…ごめんなさい…私……マスターの子供産みたい…」
 引っ込み思案というわりには超級の爆弾発言である。
「なっ、ナニをいってますのですことですわ」
 アイリスは怒りのあまりもう呂律もうまく回らない。
「い、今は話の続きを…てっ、ケイトなににやけてんのよ!!」
 オウカはなんとか話を戻す。
「ああ、ジュピターインパクトだけどな。あれは隕石なんかじゃないのさ。あの機兵とかいう奴が落ちてきたのさ。そして、あの悲劇が起きた」
「それは本当ですか?」
「本当だよ。なにせ10年前の現場にいたんだからな」
 自嘲気味に訊ねたキファの問いにケイトは答えた。
「10年前じゃと? 奴らはそんな昔から動いておったとは…うかつ」
「いや、それも少し違うぜ。俺の予想が正しければな」
「どういうことじゃ?」
 シャルルは首をかしげる。
「地球に落ちてきたのは偶然だったんだと思う。シャルルの亜空間転移に巻き込まれた機兵が木星付近に転移したのが空間跳躍のさいの余波で地球へと落ちてきたというところだと俺は思うが」
 ケイトは自分の推論を話す。
「つまり、我々は空間転移ではなく時空転移をおこなったということか? なるほどそう考えると、奴等の勢力が整っていたことも納得がいくが……いくら重力場を利用したからといって時空間を跳躍するなど普通はありえんことだぞ?」
「確かにな。だが、これはあくまで仮説の域だが星機神の力が加わったらどうだ? 空間跳躍は転移先の座標をしっかりと指定しないと亜空間の中を永久にさまようことになる。もし、星機神に時間の流れの行き着く先が分かるとしたら? 次元空間論の論文で確か、この世界は時という川の流れに浮かぶ船だと唱えた学者もいるくらいだ」
「時を感じ取る力…確かに星機神には我も知らぬ能力はあることは間違いない。もし本当に時の流れを知る力があるとして奴らに渡ったのなら…とんでもないことになるであろうな」
 ケイトとシャルルの会話をきいてアイリスは首をかしげる。
「突拍子もないけど矛盾のないケイトにしては論理的な回答ですわね」
「ケイトて本当は頭いいのよ。ただ、興味の無いことにはまったくヤル気がないから学校の成績は散々だけど…昔、難しい数式を見て少し考えて答えだしたのよね。あとで分かったんだけど、次元転移における空間変化率を求める数式だったのよね」
 それを聞いたアイリスはどう反応していいのか途方にくれてしまった。なにせ次元転移の空間変化率の計算を暗算で解くなどよほど高名な数学者でも困難なことであり国立大学院でやっとで基本数式を学ぶというレベルをその基本をなしで暗算などありえないもいいところである。
「そ、それは意外ですわね」
 そう口にするだけが精一杯であった。そして、驚くのやめようとアイリスは思った。
「なかなか有意義な時間であったな。粗暴な振舞うの中にも深き教養も備えるとは底の見え無き男、やはり我が夫となるものはこうでなくては」
「情報交換もできたし、とりあえず休ませてくんないか? 今日はいろいろとありすぎてつかれたからな」
「うむ、こっちだ」
 そういって、シャルルは嬉しそうに手をとると引っ張り歩き出した。
「あっ、待ちなさい!!」
 オウカたちも慌てて追いかける。

 ケイトが案内されたのは、ここが戦艦の中ということを忘れさせるほどの広く豪華なまるで一流ホテルのスイートルームの一室かと思わせるものだった。
「すつげぇぇぇ」
「そうであろう。この艦はもともと我の護衛艦として設計されておるでの居住性も十分に満たしておる」
 自慢げに胸をはる。
「その代わり、攻撃面は弱いみたいですね。たぶん、通常の戦艦の主砲にかんするスペースを削ってると思います。ですが、それでも余剰エネルギーもありますからその分は防御面に使用されているのでしょうか?」
 その説明をきいたキファはそんなことを口にする。
「その点に気づくとはお主、なかなかやるのう。お主のいうとおりに、攻撃面は弱いが防御面においてはかなりのものじゃぞ。もともとこの艦は戦場にでることは考慮されておらんからの、武装は最小であるのじゃ」
「どんなシステムが積んであるんですか?」
 キファの目がキラキラと光る。
「うむ、まずは空間湾曲フィールド、これによりありとあらゆる攻撃をずらすことができる。ただ欠点としてはエネルギーを大量に消費するので長時間使用は困難ではある。その点を踏まえてこの艦にはセンサー妨害系を搭載しておるから遠距離砲撃をある程度抑えられる。あとはピンポイントシールドと三重の防御となっておる」
「なるほど、それに加えてこの艦て機動力もありそうですね」
「おおお、そこに気がついてくれて嬉しいぞ。そうなのじゃ、この艦は緊急制動や瞬間てきな速度もかなりのものでの。その点に気がついてもらえて嬉しいぞ」
「そ、そんな。あの、もしかして、この艦はシャルルさんが設計されたんですか?」
「うむ、そうじゃ」
「凄いですね」
 技術屋としてキファは心底感心した。
「ふーん…で、これはどういうことかしら?」
 部屋の中を見ていたオウカが見つけたものをみて地獄のそこから響くような低く冷たい声をだす。
「何じゃ?」
 オウカが見ていたのは大きなベッド。もっと詳しくいうとそこに置かれた『二つ』の枕である。自分達の分だとするなら一つ足りない。つまり、このベットには二人が寝る予定だということで先程のシャルルの言動からすると答えはつまり――ケイトとシャルルの分なのではという答えにたどり着く。
「夫と一つのベッドに寝るのは当然ではないか、なにか問題でもあるのか?」
 平然と答える。
「おおありよ! 一緒に寝るって…つまり…その…」
 オウカもやはり年頃の女の子そうはっきりとは口にするのは恥ずかしい。
「ふむ、なに故、主らに反対するのじゃ? そもそもお主達にとってケイトは何なのじゃ?」
 この質問にオウカたちは一瞬黙ってしまった。それを口にして拒絶されたらと思うと明確な言葉にすることに躊躇してしまう。だが、一人だけ、その言葉を正面から受け止め、答えた。
「わ、私は、ケイトさんのことが好きです! 確かにスケベでちょっとフザケタところあるけど、私のことをちゃんと見てくれるから…だから好きです」
 真っ直ぐでウソ偽らない気持ち。キファはきちんと答えた。
「一見、臆病に見えても強き意志をもつか、やはり主は友と呼ぶに相応しき者よ。うれしいぞ、今度、ゆっくりとケイトのことを話してくれ。私もケイトのこともお主のことも知りたい」
「ちょっと、勝手に話を進めないでよね。私だって」
 オウカも答えようとすると、
「どうせ、大嫌いな奴なんだろ」
 今まで黙っていたというか、なんかにやけた笑みを浮かべてケイトは面白そうに答えた。
「ほー、嫌いなのか、それは私にとっては朗報ではあるな」
「そ、そんなこと無いわよ…私だって…」
「あっ、でも嫌いな奴じゃなくなったんだっけ?」
 ケイトの顔がさらににやける。
「えっ、なっ…も、もしかして…」
「いやー、セイザイガーに合神したときに、オウカの気持ち全部筒抜け」
 イタズラのネタばらしのように無邪気に微笑む。
「そ、そういえば…あのときケイトの気持ちが伝わってきて…つまり私の気持ちも…ひゃぅぅう」
 そうと判ったとたんオウカの顔は真っ赤に燃え上がった。
「残るは…主だけだが?」
 まだ、答えていないアイリスに答えを求める。
「私は……」
 声を詰まらせながら、なんとなく怒ったようにも見えるが…
「私は…私がケイトのことを好きでなにが悪いのよぉぉぉぉ!!」
 逆ギレでの色気もなにもない告白である。
「ふむ、つまり全員がケイトが好きなのだな。で、どうなのじゃ?」
「さてと、俺の体は一つだし…いや、ここは5人を同時に愛してこそ漢か?」
 本気の告白を受けてなお余裕たっぷりというか大胆不敵な態度である。
「お主、本気か?」
「ああ、本気だ」

 そして…でた結論は全員が裸でベッドの上に寝転がっていた。
 各自の裸身を説明しなければなるまい。
 まずは、オウカ、身長は小柄ではあるがその分、栄養が胸に集中したのではと思えるたわわな胸。乱れたショートカットの黒髪はその表情も不安を必死に抑えようとして緊張した面持ちもまた男心をくすぐられる。
 その隣ではアイリスがシーツに包まりながらそっぽを向いてはいる。なにせ胸の左右にいる二人とならべば胸の小ささがさらに極まる。だが、本人も気がついていないのかウェーブかかった腰まで伸びた金色の髪と腰からのヒップラインから感じられる独特の色気がやりは男を惹きつける魅力十分である。
 次は、超級の胸の持ち主、キファの裸身である。なによりも注目するのがエレベスト級の二つの巨峰。その痩身でこれほどの物体を支えられるのか不明だと思われても不思議ではない。もう、これは人類の革新、重力から解き放たれた奇跡の結晶といっていもいい。一緒にシャワーを浴びた女生徒、特に胸のサイズに自身があったものほど彼女の奇跡の巨峰を見た瞬間、精神を砕かれ一週間は再起不能にさせるという兵器の領域である。その胸の谷間に挟まれた赤い髪が白い肌をより白くみせる。
 4番手のジーナではあるが一人だけメイド服を着たまま横になっている。これはケイトが号泣しながら是非、メイド服のままで! と望んだことに起因している。そんな状況でありながらも控えめな性格とは裏腹に体の出るところは出ておりきちんと引っ込むところは引っ込んでいるいわば理想的なともいえるプロポーションである。
 最後に横たわるシャルルだが、肉付きは薄い。だが、その新雪のような白い輝きの肌の美しさは惹きつけられるものがあり、さらにその幼い肉体には背徳感ともいえる禁断のスパイスもありとても美味しそうに見える。
 ケイトはこの5人の肉体をしっかりと見比べる。少女たちも無論恥ずかしさはあったが、それ以上に負けられないという気持ちのほうが強かった。
「ほ、ほら、早くしなさいよ…お、女の子にここまでさせて何もしないなんて…最低なんだから」
「そうだな…けど、全員が始めてが、乱交てのもな。だ、か、ら」
 ケイトは邪悪ぽい笑みを浮かべながらベッドにのると
「ひゃう…ケイト…そこは…はあぅぅ…なんでそんなに…」
「それは企業秘密とまずは一人」
 なんというかあっさりとオウカを昇天させると、目が妖しい光を放つ。
 少女たちはここでなんかこうとんでもない化け物の封印をといてしまったのではと思ったが、しかしそれはもはや後の祭、残された四人の少女たちはオウカと同じ運命をたどるまでにそうたいした時間はかからなかった。

 NEXT

ケイト「はぁ…とりあえず今回はこれで誤魔化せたけど…次はやっぱり…流石に五人は無理だろうな」
ジーナ「贅沢な悩み…」
ケイト「まぁな…それに男にとっては、こんな美味しい話はないし」
ジーナ「期待大…」
ケイト「…その道具は、いったいなんだ?」
ジーナ「使用希望…用意万端」
アルバート「次回、悪行三昧! オデューポス帝国に合神ですぞ!」
ケイト「爺さん…いつの間に」

つづく


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