○犬も歩けば棒に当たる

 俺の名前は、高遠いおり。
 本当は、高遠伊織。
 高校に行く途中の横断歩道で信号待ち中に、トラックの前に飛び出した少女をかばって死んでしまった。
 偶然そこに通りかかったマッドサイエンティストに命を助けられたところまでは、良かったのだが、小学一年生の体にされてしまった。
 どうにか、元の姿になる姿を探している最中である。


 土曜日、何かいい方法無いかと図書館に行ったが何も収穫も無かった帰り道。
「どうしたら良いんだよ!」
 俺が蹴った石が近くのゴミ捨て場に当たり、崩れていく。
「しまった!」
 俺は、急いで崩れたゴミを直していくと、その中から不思議な黒い星型のアクセサリを見つけてた。
「まだ使えそうじゃないか。もったいねえな」
 気になったのでポケットに入れて、今お世話になっている家にもって帰ってしまった。


 その夜、パジャマ姿で、ベッドに横になりながら、あのアクセサリを月にかざした。
「早く、男の体に戻りてえな!」
『その望み、叶えてやっても良いぞ』
 不気味な声と同時に俺は、不思議な空間に引きずり込まれていた。
「ここは、何処だ!」
『ここは、私が作り出した仮初の空間だ』
 俺は、その声の方を向くとそこには、黒い影みたいのが居た。
「お前は、誰だ!」
 すると影が答える。
『私は、お前の拾ったアクセサリに封印された悪魔だ』
「悪魔って、そんなもんが居るわけないだろう!」
 俺が否定するとその影が言う。
『現実から目を逸らすな。今、お前は、私の作った世界に居るのだぞ?』
 悔しいが、相手の言っている事にも一理ある。
「仮にお前が悪魔だとしよう。それで俺に何の用があるんだよ!」
『私も悪魔だ、お前の魂が男の物だと言う事は、解っている。そして、お前が望む男の体を作り、お前の魂を移すことも出来る』
 意外な言葉に俺は、驚く。
「本当か!」
『証拠を見せよう』
 その声と同時に、俺の前に、俺の昔の体が現れる。
「俺の体だ!」
 俺は、あちこち触って、本当に自分の体だと確認する。
「俺をこの体に移してくれ!」
 俺の言葉に悪魔が言う。
『それは、不可能では、無いが、このままでは、お前が困る事になるぞ』
「俺が困るって何がだよ!」
 俺の質問に悪魔が答える。
『その体は、この世界から出たら無くなってしまうからだ』
「嘘だろ! それじゃ、意味が無いだろうが!」
 俺の文句に悪魔が苦笑する。
『安心しろ、この体を外の世界でも維持する方法がある』
「本当だろうな?」
 俺が疑ると悪魔が俺のお腹を指差して言う。
『お前の女性としての機能を成長させ、卵子を摘出し、それに大量な精子を付け足す事で擬似生命を生み出し、この体に植え付けるのだ』
 俺は、唾を飲み込み言う。
「詰り、新しい命を作り、それを使って俺の体に命を吹き込もうと言うんだな?」
『その通りだ。しかし、お前が望まなければそれまでだ』
 俺は、正直悩んだ。
 今の体を弄られるのも嫌だったが、何より、こいつは、悪魔なのだ。
「確認するが、もしもそれが成功したとして、お前が俺の魂を奪うなんて事は、ないだろうな?」
『それは、人間の誤解だ。悪魔は、魂などを欲しがらない。言うなれば、人の強い欲望を満たす事こそ、悪魔にとっては、食事の様な物なのだ』
 悪魔の答えは、筋が通っている様な気もするが、何かが引っかかる気がする。
 俺が躊躇していると、悪魔が告げてくる。
『これは、忠告だが、魂と体は、けっして切り離せないもの。魂が男でも長い時間、少女の体で居れば、魂も少女の物に変化していくぞ』
 俺の脳裏に、少女として一生を送る姿が悪夢のように過ぎっていった。
「絶対嫌だ!」
『やるか、やらないかは、お前しだいだ』
 悪魔の言葉に俺が拳を握り締めて言う。
「やってやるよ!」
『解った。それでは、始めるぞ』
 悪魔がそう宣言して俺のお腹の部分に入っていく。
「アァァァァン!」
 あそこから、チンコを擦った時の様な感覚が襲ってきて、AV女優みたいな声が出てしまう。
『不安に思うな。これも全ては、男の体を取り戻すためだ』
 悪魔の言葉に俺は、我慢する。
 しかし、気持ち良いのは、どんどん強くなっていく。
「気持ち良い! チンコを弄っているより、気持ち良い!」
 頭の中がその気持ちよさに支配されていく気がした。
『卵子を摘出するぞ!』
 その声と同時にあそこに物凄い快感が発生する。
「イクゥゥゥゥ!」
 それは、射精した時の感覚に近いが、それ以上に気持ち良い感覚であった。
 俺が脱力していると、いつの間にかに俺は、元の部屋に戻っていた。
「夢だったのか?」
 首を傾げた時、股間が冷たい事に気付き、パジャマを脱ぐと、パンツが濡れていた。
 触れてみると、ねっとりした液体がついている事に気付く。
「まさか、これって、愛液って奴か?」
 話では、聞いた事があったが、自分の体から分泌する事になるとは、思わなかった。
『お前の体が十分に女になった証拠だ』
 その声に俺が驚き周りを見回すが、あの悪魔の姿も、アクセサリも見つからない。
「幻聴か?」
 そう呟いた時、また声がしてくる。
『お前の額だ』
 俺は、鏡をとりだして額を見てみるとそこには、アクセサリと同じ形のあざが出来ていた。
「こんな所に……」
 俺が戸惑っていると悪魔が言ってくる。
『これからの事は、また明日話そう。今夜は、ゆっくりと眠るんだな』
 俺は、頷いて、愛液で濡れた下着を取り替えて、眠ることにした。


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