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直腸の中に男の熱い迸りを感じながら ぼんやりした頭でわたしは考える。これで 何人めだっけ? 五人目までは数えていられたんだけどなあ……。男が勢いの無くなった己のモノを抜き取ると すっかり麻痺して開きっぱなしになってしまっているわたしの肛門から ボタボタと音を立てて精液が床に落ちて行く。わたしの身体と心は 延々と続くこの陵辱にすっかり消耗してしまい そんな醜態を男たちに晒している事さえ もうどうでも良くなり始めていた。 
そして ふと気付くと わたしの目の前にあの女妖魔が立っていた……。

「ふふふ いい顔つきよ。流石のセーラー戦士も 五時間ぶっ続けでアナルを責められたら すっかり骨抜き って訳ね」

美人だけれど どこか蛇やトカゲを思わせる 爬虫類のような雰囲気がして仕方がない イヤな女だ。

「同じ人間から陵辱を受ける気分はどうかしら セーラーヴィーナス?」

女の言葉に合わせるかのように また別の男がわたしのアナルに肉棒を挿入してくる。もはや痛みを感じることは無いが 内臓の中に異物が侵入してくるおぞましさは決して消えることが無く わたしは身震いして呻き声を漏らした。

「……どうせ あなたがこいつらを操っているんでしょ。さっさと殺せばいいのに こんな余計な手間をかけて 悪趣味もいいとこだわ」

「操る? 違うわよ。あなたも見たでしょう。こいつらの欲望にギラギラと光る瞳を? あれは操られているものの目じゃないわよ。こいつらがあなたを犯しているのは まごう事無く こいつら自身の意思によるものよ。わたしは彼らに協力して 手助けをしてあげているだけなの」

「妖魔が人間に協力? あり得ないわ……」

「そうかしら? わたしはこいつらが邪魔に思うものを たとえば 敵対するチームの奴らや警察 それにヤクザのような連中を 妖魔の力で排除してあげる。そして こいつらは わたしが邪魔だと思うもの つまり あなたたちセーラー戦士を狩るのに協力してくれる。持ちつ持たれつのいい仲間なのよ わたしたちは」

仲間? とんだ仲間もあったもんだわ。どうせ用が済んだら 皆殺しにされるくらい 少し考えれば判りそうなものなのに……。わたしは男たちの間抜けさ加減に呆れ返った。激しく腰を振って わたしを背後から犯している男が まるでサルのようにさえ思えてくる。バカ。ほんとうにバカ……。

「仲間ならわたしにだっているわよ。彼女たちが必ず助けに来てくれるわ」

そう わたしはもう一人じゃない。頼りになる大切な仲間がいるんだから! そう思うと 心と身体に少しだけれど力が戻ってきた。諦めちゃダメよ 美奈子! ジュピターが マーキュリーが そしてセーラームーンが 必ず助けに来てくれる!

「本気でそう思っているなら それは大間違いよ。結局はあなたの時と 同じ事の繰り返しになるだけ。そうねえ 今度はあなたの姿を借りてみようかしら?」

女の顔に嘲りの表情が浮かぶ。あっけなく罠に落ちたわたしが何を言ったところで 気にもかけぬ と言う事なのだろう。

「それに あなた もう一つ間違ってるわ。わたしはセーラー戦士を殺すために狩っている訳じゃない。わたしの仲間になってもらうためなのよ。そう この子みたいにね!」

女はそう言うと脇に身体をずらせた。その後ろに立っていたのは……

「セーラーマー…ズ……?」

わたしの声が尻すぼみに消えていったのは マーズのその姿が 私の知っているそれとはずいぶん違っていたからだ。セーラーコスチュームは 今のわたしと同様に 胸元と股間が引き裂かれ 乳房と生え揃えかかった陰毛に半ば隠された秘部が曝け出されている。本来チョーカーがある筈の首には 犬のような真っ赤な首輪が締められていて そこから伸びる鎖は妖魔の手にしっかりと握られていた。
そしてなにより マーズの瞳にはまるで生気が無かった。どんよりと濁った瞳は そう 正に先ほど妖魔が指摘したように 「操られている」者の瞳に他ならなかった……。

「セーラー戦士が 妖魔の支配に屈するなんて……」

愕然とするわたしの前で 妖魔がその変身を解き 本来の怪物の姿に戻っていく。わたしが感じていた通り その姿は全身を緑の鱗に被われた トカゲとワニと蛇を足して さらに醜くした代物だった。そして更におぞましい事には その化け物の股間には 幾つもの瘤で醜怪にデコレートされた 人間の数倍の大きさの男根が垂れ下がっていたのだ。

「ふふふ どう? 驚いた? こいつであなたたちの身体の中へ直接 大量の瘴気を注ぎ込んであげれば 如何にセーラー戦士と言えども わたしの忠実な僕に生まれ変わってしまうのよ」

あまりの事に呆然とするわたしの後ろで 男の腰の動きがひときわ早くなる。息を荒げ より激しくわたしの身体を揺さぶり 頂点を目指そうとする。

「ただ残念なことに 前から挿入してもダメなのよ。子宮と言うのは命を育む 女性にとって最も神聖な器官のひとつ。特にあなたたちのように星の力を持つ者のそれは 並外れた浄化能力を持っていて 妖魔の瘴気さえ打ち消してしまう。だから……」

わたしの後ろで叫び声が上がり 肛門が一際大きく押し広げられる。そして またしても大量の精液がわたしの腸の中を穢して行く。
ずるり と引き抜かれる肉棒。ボタボタと滴り落ちていく白濁した粘液。そして 僅かに残っていたわたしの体力と気力も 広がりきった肛門から零れ落ちてしまったようだ……。意識が次第にぼんやりとしてきて 女の声がひどく遠いところから聞こえてくるように感じられた。

「みんなからしっかりと拡張してもらっておきなさい。そうでないとつらいわよ。なにしろ ほら この大きさですものね」

女の笑い声が頭の中で鳴り響く。
わたしが 愛野美奈子 セーラーヴィーナスとしての正気を保ったまま聞いた最後の言葉。それは妖魔のモノを抱かかえる様にして一心不乱に乳房と舌で扱き続けるセーラーマーズの 恐ろしく皮肉な言葉だった。

「アナタガ来テクレテ 嬉シイワ ヴィーナス。仲間ガ増エルノハ 良イ事ダモノ」

仲間がいることを 一人じゃないことを こんなに哀しく思ったことはなかった……。 



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