00『 神聖婚伝説 』
『 神聖婚伝説 』
様々な種族によって構成されるエクリプス大陸。
この広大な大陸の北側半分をエルフやドワーフ、オークやオーガなどといった亜種人族が住みつき、南側半分の大陸を人間たちが支配し、それを何千年、何万年・・・という、歴史を紡いでいっては重ねていった。
そしてこのエクリプス大陸に、代々に渡って語り継がれることになろう、一つの伝説級の逸話が新たに生まれていく。
それは巷で語られる『勇者の物語』の冒険譚であり、そして天上の神々たちにも祝福された、『神聖婚伝説』の一節でもある。
そこには数多くの出逢いと別れがあった。
そして数多くの民衆が彼の存在に期待をした。
そんな彼にも想いを通い合わせた人がいた。
そんな無数の想いの一つ一つが、若者の・・・
後に『勇者』と呼ばれる、
彼の力の源ではなかったか・・・
そして皇女の愛を得た勇者が、頼もしい仲間たちと団結して、苦難の旅の末に魔軍の『魔王』を打ち倒す・・・
・・・そんなお話だ。
『魔王』を失った魔軍は壊滅状態。
それに伴って永く戦乱のときを終えた大陸は平和となり、
『勇者』はその功績から、皇国の国宝を授かり、
想いを交わせた皇女と結ばれていく・・・
・・・・。
これはどこのどんな世界にも、俗にあるような冒険ストーリーであり、およそ陳腐に過ぎて面白味にも欠ける逸話でもあったじゃろぉ。
はん!
特に魔軍に在籍する存在にとっては、尚更のことじゃよのぉ?
ましてこれが『先見』という予知にも似た、予見された出来事とあっては、それの対処に最善を尽くそうとするのは、至極当然のことではなかったじゃろうか?
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