(1)グラマー車掌・汚辱

 深夜の闇を切り裂き、その列車は疾走を続けていた。
 まるで宇宙船のような流線型のボディを持つそれは、後にも先にも一度だけしか運行されないという、豪華観光特急「ヴェガ」号だ。
 北海道の稚内を起点に、九州の南端まで日本を縦断するこの列車は、現在、岐阜の山中をひた走っている・・・



 「はあ・・・」
 ヴェガ号の女車掌である美弥澪(みや・れい)は、深夜の車内巡回をするために個室から出たところで、我知らずに深いため息をついた。



 どうも気ふさぎだ。
 ヴェガ号の車掌に抜擢されてからこっち、イヤなことが色々と続いて心が浮き立たない。
 ただ忙しいだけならいくらでもガマンできるが、面倒なトラブルや、私生活でのゴタゴタなどが次々起こり、大きなストレスになっているのだ。
 先日などは、チンピラめいた酔客に、あろうことか車両内でレイプをされかけた。全く冗談ではないという気分だ。



 とは言え仕事である以上、お客様に不機嫌そうな顔を見せるわけにはいかない。何よりヴェガ号の車掌は、念願かなって抜擢された憧れのポジションなのだ。
 (ダメ、しっかりしなくちゃ・・・)
 人一倍マジメで責任感の強い澪は、ふさぐ気分を何とか引っ立たせようと深呼吸をし、歩き始めた。
 隠しきれない憂いを含んだ美貌が、通路の灯りに柔らかく照らされる。
 制服にピッチリと包まれたその肉体は、今にも生地を押し破ってあふれ出そうなほどのグラマラスぶりだ。
 車掌と言うよりは、爆裂バディのグラビアアイドルという風情であり、レイプの被害に遭いそうになるのも無理はないのだが、当の澪自身はそのことに気が付いていなかった。



 「あッ、車掌さん!・・・」
 先頭車両から個室寝台車に入った途端、通路に立っていた人物にそう声をかけられた。
 30がらみの、茶髪を短く刈った、ひどく目つきの鋭い男だ。
 (あの男だわ!・・・)
 澪は反射的に身構えながら思った。
 先日レイプをされかけた男とは別人だが、澪にとってその男は、全乗客中、最も関わり合いになりたくない相手だった。
 と言って、具体的な理由があるわけでもない。
 男はルックスもまあまともだし、何かイヤがらせをされたわけでもないのだが、ヴェガが発車して最初に挨拶回りをしたときから、ひどくイヤな感じの男だという印象が消えないのだった。
 つまりは誰にでもある、生理的に合わない相手というヤツなのかもしれない。



 「何か御用でしょうか?」
 嫌悪感が顔に出ないよう、しかし努めて事務的な口調で、澪は男に言った。
 男は澪の素っ気ない態度をまるで気にする様子もなく、
 「今、オレの寝台個室から出たら、隣の部屋のドアが開いていて、中からうめき声が聞こえるんです。もしかしたら急病人かと思って報せに来たんですが・・・」
 「えッ!」
 仰天し、澪は男への警戒心も何も忘れて、叫ぶように言った。
 「どの部屋ですか?」
 「こっちです。この部屋の中」
 男は通路の中ほどのドアの前へ行き、澪を手招きして言った。
 そのドアは、言われなければ分からないほどにではあるが、確かに薄く開いていて、中からは、うう、ううというくぐもったうめきが漏れてくる。


 
 「お客様ッ、大丈夫ですか?入らせていただきますよ!」
 コンと強くドアを叩いてから、澪は躇無く室内に駆け込んだ。
 通常なら許されないことだが、男の言うとおりに急病人がいるのなら、一刻を争う事態だからだ。
 しかし・・・
 「なッ!」
 内部の様子を見て、澪は呆然と立ちすくんだ。



 カーテンの下りた窓の下に、1人の少女が座らされている。
 その両手は頭の上方で束ねられ、手錠で連結されて、カーテンレールに吊される格好になっている。
 脚は大きくM字に開脚され、どこか観光地で買った物らしい木刀に、左右の足首を縛られている。
 一際むごたらしいのは、彼女がブラとパンティだけの下着姿にされ、口元にはガムテープを貼られて、自由な発声を封じられていることだった。病人のうめき声かと思ったのは、この哀れな少女のものだったのだ!




 「大丈夫?一体何が?・・・」
 思わず駆け寄って声をかける。
 「うお、う・・・」
 ガムテープのすき間から苦しげな声を漏らし、少女は涙を一杯に溜めた目で澪を見つめた。
 メガネをかけた、どこか儚げな印象のあるその顔に、澪は見覚えがあった。確か青森から乗車してきた、松浦愛という名の女子高校生だ。



 カチリ・・・
 背後でカギの鳴る音がした。
 ハッとなって澪が振り返ると、部屋に入ってきた例の男が、後ろ手にカギを閉めたところだった。
 「こりゃあ失敬。どうやら急病人じゃなかったみたいだね」
 ニヤニヤと相好を崩しながら、男は言った。
 「それとよく考えたら、ここはオレの隣の部屋じゃなくて、モロにオレの部屋だったよ。勘違いしちゃったみたいだなあ・・・」



 「あなたがやったのですね?こんなヒドイことを」
 全ての事情が一瞬に飲み込めた気分で、澪は怒気鋭く言った。
 男は何かデマカセを言って愛を個室に呼び寄せ、手込めにしたに違いない。態度からして、こういうことを常習的にやっているゴロツキなのかもしれない。最初に感じた、この男に対する本能的な嫌悪感は、やはり気のせいではなかったのだ。



 「こんな子供に乱暴をするなんて!恥ずかしくないんですかッ!」
 「おっとと、そりゃまあ、そのお嬢ちゃんをいただいちまったのは確かだけど、別に無理やり犯したワケでもないぜ」
 最前とはうって変わった下卑た口調で、男は言った。
 「その娘はさあ、自分から望んでこの部屋にやって来たんだ。男の部屋に入ってくるってことは、つまりそういう気があったってことじゃねェの?だからオレは・・・」
 「いい加減なことばかり言わないでください!こんな風に縛り付けたりして、どう見ても無理やりじゃないですかッ!」
 「イヤ違うんだってば。今それを、アンタにも分からせてやるよ」
 フフンと鼻を鳴らし、男は澪に近寄ってきた。



 「こ、こっちへ来ないでくださいッ!」
 不意に激しい恐怖に見舞われ、澪は叫ぶように言った。
 ここが密室で、そこに自分がレイプ犯と共にいるという現実が、今さらながらリアルに自覚されたのだ。
 「ここはオレの個室だぜ。どこへ行こうとアンタの指図は受けねェよ」
 「大声を出しますよ」
 「好きなだけ出してみなよ。高い料金取るだけあって、この列車の防音設備は完璧だ。誰にも何も聞こえやしねェよ」
 せせら笑いながらさらに近寄ってくる男の手元を見て、澪はハッと身を強張らせる。
 いつの間にかそこには、荷造り業者の使うような、大型のカッターナイフが握られていたのだ!



 「その制服を脱いで下着だけになりな」
 ドスの効いた声音になって、男は言った。
 「バカなことは止めて下さい!この電車内で事件を起こしたら、必ず捕まりますよ!」
 男のチラつかせるナイフの刃におびえた視線を送りながら、澪は必死に訴える。
 「そうビビらなくたって、何も殺したりゃしねェよ」
 男はサディスティックな笑みを浮かべて、
 「だけどアンタの聞き分けが悪いと、ムカついてカッター振り回したくなっちゃうかもしれねェよ。そうしたらハズミで、アンタやそこのお嬢ちゃんの顔に切れ目が入るかもしれねェ。一生消えない傷を付けられるより、大人しく言うこと聞いちまった方が得だとは思わないかい?」
 「・・・・・・」
 澪は思いよどんだ。
 言われるとおり、この場は男の要求に従った方が得策のようにも思えてくる。
 殺すつもりはないなどと言ってはいるが、相手は刃物を持った暴行犯だ。怒らせたら何をされるか分かったものではない。
 自身の安全も大切だが、何よりも、乗客であり未成年でもある松浦愛を、これ以上の危険にはさらしたくなかった。



 「し、下着になるだけで良いんですね?」
 覚悟を決めて、澪は言った。
 「ああそうだよ。さっさと脱ぎな」
 「一つ約束してください。その娘にはもう乱暴をしないと。私はどうなっても良いですから」
 「泣かせること言うねェ。自分は犯されてもガマンするってのかい?」
 男はわざとらしく下品な表情を作って、
 「お客様第一、車掌の鑑(かがみ)ってワケだ。さすが非処女は度胸がすわってるなあ」
 「・・・・・」
 「良いだろう、約束するぜ。アンタ達が素直にさえしていりゃあ、元々暴力を振るう気なんかないんだからな」
 (刃物で人を脅しておきながら、よくもそんなことが言えるわね)
 心中で毒づきながら、しかし口には出さず、澪は黙って制服を脱ぎ始めた。



 ジャケットとタイトスカート、そしてワイシャツを脱ぎ、男に促されてパンストも脱ぎ落とすと、下着姿の無防備な女体がそこに現れた。
 さすがに羞恥心に堪えかね、股間と胸元を手で覆ってみるが、その豊満な肉体の印象は隠しようもない。
 あまりに迫力のあるグラマーぶりに、縛られている愛までが、一瞬我が身の立場を忘れて目を見張ったほどだった。


 「こ、これで良いのね?」
 恥ずかしさと屈辱で耳までを赤く染め、澪が悔しげに言うと、
 「こりゃ傑作だな。頭隠してケツ隠さずってのはこのことだ。服を脱げと言われりゃあ、まず帽子くらい取るもんだろう?」
 「あ・・・」
 男に嘲笑われてようやくハッと気が付き、澪はかぶったままでいた制帽を外した。
 そのはずみで、活動的に短くまとめていた髪がほどけ、腰までもある豊かなロングヘアが滝のように流れ落ちる。有能で凛とした「女車掌」が、色香の匂い立つ1人の「女」に一瞬で変身したかのような、生々しい情景であった。
 それに興奮したからというわけでもないだろうが、男は不意に澪に飛びかかり、両手を後ろにねじり上げると、愛と同様に手錠で縛めてしまった。
 「あッ、何なさるの!?乱暴はしないと言ったじゃないですか!」
 「ちょっと手錠をかけただけだよ。ジタバタされちゃあ、落ち着いて話も出来ねェからな。さあ、座りなよ」
 グイと肩を押さえて、男は澪に尻餅を付かせ、自分もその背後に腰を下ろすと、彼女の身体を愛と向かい合う格好で固定し、同様にM字に開脚させた。
 「あ、やッ!・・・」
 恥ずかしさに思わず悲鳴を上げるが、男は自分の脚を後ろから絡ませて澪の自由を封じてしまう。
 双脚がきつく押し開かれているため、澪は胸と股間をことさらに突き出すような惨めな格好で、身の置き場のない様な羞恥に堪えるしかなかった。



 「ヘヘッ、こうして見るとまるで合わせ鏡だな。これでお互いのイヤらしい身体がよォく見えるだろう」
 男の下卑た揶揄に、澪と愛は紅潮した泣き顔を同時に伏せる。
 彼の言葉通り、プロポーションの差を別とすれば、二人の女性の向き合う姿は、まるで鏡に映った美しい俘囚同士という風情であった。



 「さて、アンタをダマしてここへ拉致った理由は、実は2つあるんだ」
 男は澪の肩を愛おしげに撫でさすりながら言った。
 「一つには、アンタ自身の心と身体を快楽で満たし、癒してやること。もう一つは、このメガネのお嬢ちゃん・・・松浦愛ちゃんっていうんだけど、この娘に女性の幸せってモノを、アンタが身をもって教えてやって欲しいんだ」
 「おっしゃってることが良く分かりませんね」
 澪はにべもなく言った。
 「暴行犯に手錠をかけられて、女性の幸せもないもんだわ。バカバカしい」
 「まあそう言うなよ・・・・実はついさっき、その愛ちゃんのバージンを破いてやったところなんだけどね」
 男はその時の様子を思い出したように、ヒヒッと意地汚い笑い声を上げ、
 「でも初めてで慣れていないからか、愛ちゃんはメソメソ泣いてばかりなんだ。そこでアンタが、セックスってのは気持ちのイイもんなんだってことを、実演で見せてやって欲しいのさ」
 「・・・・・・」
 「アンタがアヘ顔して散々ヨガって見せればさ、この娘の気持ちもほぐれて、アソコもしっぽり濡れてくるかもしれねェだろ?何も難しいことはない。オレがアンタを存分にイカせてやるからさァ」
 「残念ですけど、ご期待には添えそうもありませんね」
 何て下品な男だろうと呆れ、澪はツンとソッポを向いた。
 「力ずくで犯されるのは仕方がないけれど、それで私が良い気持ちになったりするわけがないでしょう?お客様にこんなことを言うのは気がひけるけど、私はあなたのような男性が一番キライなタイプです。正直、虫酸が走りますね!」



 「聞いたかよ愛ちゃん?ヒデェこと言うよなァ?」
 男は愛に苦笑をして見せて、
 「だけどこういうツンケンした女をその気にさせてこそ、男は甲斐性モンと言えるんだぜ。まあ見ていなよ」
 「あ・・・」
 後ろから回された男の手が、ブラからあふれ出しそうに豊かな澪のバストを、ズシリと重たげにすくい上げる。激しい嫌悪感で、肌にゾゾッと粟の立つのが分かった。
 「このスゲェ身体に、文句のない美貌、しかもオエライ車掌さんとくれば、フツーの男ならむしろ気後れして引いちまうだろう。でもこういう、一見非の打ち所のない女の内面が幸福に満たされているかというと、実は全く逆ってことが多いんだよなァ・・・」
 男は澪の乳房をグイと指で押し込みながら、
 「オレには分かっちゃうんだよね。この立派なオッパイの中は、欲求不満が一杯に詰まってるんじゃねェのかい?ええ?」
 「品のない手相見みたいなことを言うんですね。でも残念ながら見当違いです」
 「そうかねェ?」
 男はニヤケた表情のまま、しかし不意に目の光を強くして、低く囁くように言った。
 「知ってるぜ。アンタつい最近、彼氏と別れたろう?」
 「えッ!?」
 ギョッとして、澪は男を振り返る。
 「それもアンタから振ったんじゃない。男の方から別れようと言い出したんだ。つまり捨てられたって格好だよな」
 「な、何をいい加減なことを!・・・・」
 思わず気色ばんで言い返しながら、しかしどうしようもなく顔が火照ってくるのが分かる。それもそのはず、男の言うことは全くその通りだったからである。



 「アンタはどうして自分が捨てられたのか理解できずに悩んでいる。まあ確かに、何でこんなイイ女と別れちまうのかって気はするけど、オレにゃあ彼氏の気持ちもよーく分かるね」
 男は得々として続ける。
 「原因は、アンタのその物腰や態度なんだ。いつもどこかしら憂鬱そうにしているだろ?実際アンタは、常に何か満たされない気分でいる。彼氏を愛してはいても、それだけじゃ何か物足りないんだ」
 「・・・・・・」
 「男の方からすれば、いつもつまらなそうな顔をした女と一緒にいるのはたまらねェよ。オレのことを愛していないのかって気分になる。別れようって言い出すのも無理はないさ」
 「だから、そんなことは・・・」
 「だけどオレには、アンタがどうして満たされねェのか、それも良く分かるぜ」
 再び反駁しようとした澪にスッと顔を寄せ、男は囁くように言った。
 「要するにそりゃあ、性的な欲求不満なんだ。アンタ、彼氏とのSEXでは一度もイッたことがねェだろ?」
 「なッ!・・・」
 仰天し、澪は二の句が継げなくなった。男の言葉が、再び真実を言い当てていたからだ。



 「だけどアンタにも彼氏にも、身体には何の欠陥も無い。イケないのは、お互いに、SEXでツボとなる部分が違っていたってことなのさ」
 男はそこで言葉を切り、不意に愛の方へ顔を向けて、ニヤリと笑って見せた。
 「なあ愛ちゃん、後学のために良く覚えておけよ。この車掌さんみたいに、仕事が出来て、頭が良くて、取り澄ました美人ってのはな、往々にしてドMだってことが多いんだ。だからこそ、フツーのSEXじゃイクことが出来ねェんだよ。男から散々イジめてもらわないと気持ちよくなれねェんだ」
 「で、デタラメばかり言わないで!人を変態みたいに・・・」
 思わずカッとなり、激しい声を上げかけた澪を、男はグイと前方へ押し倒す。
 澪はヒップを高く突き上げた格好でうつ伏せにされてしまった。



 「あッ、何するのッ!?」
 「お仕置きだよ。アンタに自分の本性を思い出させるための仕付けをしてやるのさ」
 男はドスの効いた声音で言うと、澪のパンティーを乱暴に引きずり下ろし、現れたシミ一つ無い豊かなヒップに、思い切り良く平手を叩き付けた!
 パンッ!!
 「きゃあッ!」
 肉の鳴る痛々しい音、そして澪の悲鳴とが室内に響き渡る。
 「やめて下さいッ!乱暴しないでッ!」
 「乱暴じゃねェよ。言ったろ?仕付けだって。しかも愛のこもった仕付けなんだぜ」
 男は手を休めようとはせず、パンパンとムチのしなうような音が際限なく続く。
 澪のヒップはみるみる強く熱を持ち、血が噴き出しそうな色に腫れ上がり始めた。
 (ヒドイ・・・もうダメ!・・・)
 あまりの痛みに堪えかね、恥ずかしさも忘れて激しく泣き声を上げかけたその時・・・




 不意に奇妙な転倒感に襲われ、澪はギョッと身をすくませた。
 (な、何?・・・)
 スパンキングの激痛がスーッと希薄になり、同時にキュッと切なくなるような感覚が下腹部を大きく満たし始める。
 不可解なのは、その感覚が、初めてではなく、以前にも確かに味わったことがあるように思えることだ。
 (これ・・・ずっと昔にも・・・・)
 混乱する頭で澪がそう考えたとき、男は打ち付ける手をそのままに、したり顔で、
 「どうだい、思い出してきただろう?アンタ子供の頃、父親にこうやって折檻されたんだよな?」
 「あ・・え?・・・」
 男の言葉で、澪は記憶の底に封印していた少女時代のことを思い出した。



 そう・・・確かに、父は澪を叱るとき、尻を打ち据えることが常だった。前にも経験があるような気がしたのも道理である。
 「アンタの父親は大変なマッチョで、理不尽なほど娘に厳しかった。アンタがテストで悪い点を取ったりしたら、こうやって激しくケツをドヤされたはずだ」
 「それは・・・」
 「それから『性』についてもやかましかった。アンタがクラスの男子に興味を持ったりしたら、まるで淫売にでもなったかのように怒られたろう?とんでもねェ時代錯誤のガチガチオヤジってワケだ」
 「・・・・・・」
 「だけどアンタは、その父親に反発もせずに頑張った。真面目に勉強をして成績を上げ、自分の中の『女』も押さえ込んで、車掌さんにまでなったんだ。しかし・・・」
 男はテレビドラマの探偵が種明かしをするときのような勿体ぶった調子になって、
 「だからこそ、アンタはフツーに男と付き合ったり、SEXでイッたりが出来ねェのさ。何故ならそれは、怖いオトーサマに叱られる、ワルイことだからだ。つまりトラウマってヤツだな」
 「そんな・・・こと・・・」
 「その一方で、アンタにも当然、性欲ってモノはある。これだけの立派な身体が夜泣きをしないワケがねェからな」
 「・・・・・」
 「仕方なしに独りでオナる時も、当然フツーのSEXを想像してちゃイケっこない。ネタにするのは、小さい頃に尻を叩かれたことと繋がる妄想だ。つまりオレみたいな男に、力ずくで犯されるところを想像して指を使っちまうんだ。そうだろう?」
 「ウソよッ!イヤらしいこと言わないで!私は・・・」
 「ウソ?これでもウソだと言い張れるのかよ?」
 男は勝ち誇ったように言って、いったん澪のパンティーを引き上げると、その身体を引き起こし、元通りの格好に抱え直した。M字に開かれた双脚の中心が、再び丸見えになる。
 「あッ、やめてッ!」
 悲愴な声を上げる澪の股間・・・・細かなレースの入ったシルクの下着は、ついさっきまでの上品な純白ではなく、大きく広がったシミによってベットリと肌に貼り付き、その色を透かして見せている。
 中央部は深く落ちくぼみ、その下に息づいている淫らな亀裂のありかをクッキリと浮き出させていた。



 「どうだい愛ちゃん?女ってのは、エロい気分になると、ここがこんな風にビショビショに濡れるんだ。車掌さんが、今すげぇイイ気持ちになってる証拠ってワケさ」
 「イヤッ、お願い、見ないでッ!」
 必死に身をよじり、股をすぼめようとするが、脚は再びガッチリと固められていて、藻掻けば藻掻くほど、逆に股間を突き出すような艶めかしい動きになってしまう。
 下腹の熱い疼きは、今やどうしようもなく激しくなっており、それが羞恥心によって更に倍増されていくのだった。
 「許して・・・お願い、もう許してください・・・」
 哀訴する声が次第に弱々しく細り、身体からは抗おうとする力が抜けていく。
 我知らずのうちに、澪はポロポロと大粒の涙をこぼし始めていた。



 「泣かなくても良いんだ。泣くんじゃない、澪・・・」
 それまで「アンタ」と言っていた男が、不意に名前で自分を呼んだことにハッとして、澪は相手の顔を振り返った。
 男の表情からは、さっきまでの狡猾そうな影が消え、何か柔和さを感じさせるモノに変わっている。
 「気持ちがイイなら、泣かずに楽しめば良いじゃないか。自分の本質を認めて、それに身を任せれば良いんだ。そうだろう?」
 愕然として、澪は男の顔を凝視する。
 今の彼の雰囲気は、まるで彼女の父親にソックリだった。
 厳しい体罰を加えた後、うって変わったように優しくなり、ソッと澪の涙を拭いてくれた、幼い日の父に・・・



 「あ・・あ・・・」
 狼狽えきった喘ぎ声が漏れる。
 一体この男は何者だろう?
 自分の過去や内面を、何故これほど正確に、スパスパと言い当てるのか?
 もしかしたら、男は超能力者か何かで、本当に自分の心の中を透視しているのかもしれない・・・
 そんな荒唐無稽な想像が、しかし異様にリアルな迫力を伴って、澪の心中を満たしてくる。



 「さあヨガれよ。いい加減素直になりな」
 男の指が、下着の上からでもそれと分かるほどに高く尖ったクリットをつまみ上げ、ジワリとイヤらしく力を込めた。
 「あうッ!」
 股の付け根をキュッと緊張させ、澪は湧き起こってくるゾクゾクするような性感をこらえようとする。
 しかし指の動きが淫靡さを増し、その部分をグリグリと揉みつぶすように刺激すると、澪の脳髄に稲妻のようなショックが走り、理性の全てを一瞬に消し飛ばした!
 「ああ、ヒああああーッ!!」
 自分でもビックリするような大声を上げ、澪はオルガに全身を震わせると、やがて力尽きたようにグッタリと脱力し、男に体重を預ける。
 これまでに体験したことのない、凄まじいまでの絶頂感であった。



 「イイ顔だろう?よく見ておけよ、愛ちゃん」
 男は澪のアゴに手をかけ、目を丸くして見入っている愛の方へねじ向けて言った。
 「この車掌さんの顔が、イク時の女の顔ってワケだ。愛ちゃんも早く、こういう幸せそうな顔が出来るようにならねェとな」
 楽しげに言いながら、澪のブラを外しにかかる。
 「さあ、邪魔なモノは全部外しちまって、もっと本格的に楽しもうな」
 「か、堪忍してください・・・もう、恥ずかしいことしないで・・・」
 「恥ずかしくなんかないさ。ヨガる澪はとっても綺麗で可愛いぜ」
 「ああ・・・」
 口では拒み、イヤイヤと泣き悶えながらも、しかしすでに抗う気力を完全に奪い取られた体(てい)の澪は、男の為すがままに全裸へ剥かれていく。
 やがて全ての下着が取り払われると、圧倒的な豊かさの裸身が、くびきから放たれ、真のボリュームをその場に現した。



 男はピュッと下品に口を鳴らし、
 「全く、ご立派な身体だな。こういう素晴らしい持ち物は、つまらないトラウマから解放して、存分に利用してやらなくちゃいけねェよ」
 「そんな・・・私は・・・」
 「言ったろ?何も悩むことはねェんだ。自分は不感症じゃないのか?とか、彼氏を愛してないんじゃないのか?とか、クヨクヨ悩むことはない。ただ、心と身体を正しく使ってやれば良いんだよ」
 男の囁くような声には、まるで催眠術を思わせる効果があった。
 澪の頭の中は霞がかかったようにボンヤリと麻痺し始め、その一方で、全身の性感だけは、異常なほどに鋭く研ぎ澄まされてゆく。



 「ひうゥッ!・・・」
 固くしこった乳首をつまみ上げられ、クリクリと弄ばれると、澪は二度目の絶頂に背を硬直させ、泣き声のような悲鳴を上げる。
 同時に全身から、堰を切ったように汗が噴き出し、白く美しい肌をキラキラと輝かせ始めた。
 「イイぞイイぞ、身体の芯から燃え始めたみてェだな。どうだい、気持ちがイイだろう?」
 「・・・は、ハイ・・・」
 身体がこれだけあからさまな反応を示していては、もはや抗弁することも出来ず、澪は弱々しい涙声で、快楽に屈したことをついに認めた。
 「よしよし、いい娘だ」
 男は満足げな声音で言うと、観念しきったようにガックリ前に折れている澪の頭を腕で巻き取り、上気したその顔を振り向かせる。
 「んんッ・・・」
 花弁のように開いた唇に、相手のタバコ臭い口を押し付けられると、澪は一瞬怯えたように裸身を強張らせたものの、すぐに力を抜いて、自ら激しくキスに応じてゆく。
 自分の中の全てのモラールが、プライドが、バラバラに解体されていくような感覚を、澪は朦朧と知覚していた。



 「もう何にも遠慮することはねェ。自分を解放しろ!快感を素直に受け入れて、思い切りヨガるんだ!」
 男の指が、今度は淫唇を直に押し開き、内部の熱く濡れたヒダをやわやわとかき分けてきた。


 ジュッ、ジュッ、チュッ、グチュッ・・・・



 指の動きに導かれるように、滑らかな樹液が音をたててあふれ、さらにその部分の感覚を鋭敏にしていく。
 「あッ、イイっ!」
 もう恥ずかしさも忘れ、澪は豊満な裸身を跳ね躍らせるようにして、夢中で官能を貪り始めた。
 たぐいまれなボリュームの乳房が激しく上下するたび、光る汗の飛沫が宙を舞い、向かい合って座った愛のメガネを汚していく。
 怜悧でスキのない印象だった女車掌の、あまり淫らな変貌ぶりを、純血を奪われたばかりの少女は、ただ呆気に取られて見つめ続けるよりなかった。



 「イク!またイクっ!イキますッ!!」
 巧みな愛撫で、全身の性感を良いように操られ、爆発させられて、澪は男の腕の中であらゆる痴態を取らされながら、繰り返し激しい声を上げていくのだった・・・・


嫂覆

媾餮吠夢曚離肇奪廚