朝倉和美が夕映の様子がおかしいと感じてから、数時間が過ぎた。
 和美は学園報道部のエースを自他共に認める存在で、持ち前の好奇心を生かして精力的に夕映の背後関係を洗った。
 不審な点が幾つかあった。夕映は最近、何処にいるかわからない時間が結構な時間あった。誰も知らない空白な時間。本人が言わないのは、『言えない』のか『知られたくない』の2種類。
 微妙に違う。『言えない』のなら、他に伝える手段がある。メッセージやヒントを残す。夕映にそんな様子は無い。
 『知られたくない』
 何故? なにか弱みを握られ脅迫されているから…。
 和美は取材メモを見ながら導きだされる結論に嫌な感じを覚えた。
 クラスメートが誰かに脅迫されている。麻帆良学園は全寮制だから部外者に脅迫されているとは考えづらい。誰にも言えない、相談できないことをされている。
 なんの証拠もない憶測に過ぎない話。でも確実に夕映は誰にも知られたくない時間を過ごしていることになる。
 隠れて男の子とデートしている可能性だってあるが、だったら『あんな顔』をするわけないのだ。
 和美は考えを進める。
 脅迫されているとしたら、脅迫している奴がいる。そいつも夕映と同じ空白の時間がある。和美は取材したメモをチャックする。
 そして、ついに発見した。
 元担任の教師にアリバイがないことを…。
 
 和美は放課後には担任の周囲を調べ始めていた。
 相手は受け持ちの生徒の弱みを握って人に言えないことを強要する変態に違いない。和美はどこか興奮しながら周囲を注意深く探している。
 下校時間はとっくに過ぎて校内に残っているのは当直の先生だけだろう。
 職員室の電気が消えるのを待って和美は元担任の机を探ろうと待ちかまえていた。
 和美は肩を掴まれて無言で振り返った。
 後頭部で活動的にまとめられたセミロングの髪が跳ね上がった。顔から余裕が消える。
 誰もいない。今、確かに肩を掴まれた。
 中学生にしては豊かに実った胸が見えない手に揉みくだされるように大きくたわんだ。
「きゃぁぁぁぁ」
 思わず悲鳴を上げた。
 答えるものはいない。廊下の一番奥、校舎の中には彼女以外の人間はいない。和美の瑞々しい胸を弄り潰すように荒々しく見えない手は乱暴に愛撫する。自分でも自信のあるスタイルだったが、こういう刺激にはまったくの無頓着だった。
 乳首が硬く尖ると、手は乳首をつねりあげ和美を弄り弱める気配は無い。
「なに…コレ…へん…ああっ」
 自分で胸を押さえつけても見えざる手は胸以外全てを通過して直接、胸を弄るのをやめない。
 和美は身体を震わせながら廊下にうずくまると、歯を食いしばり涙目になって頬を染めて耐える。
 手は一瞬和美から離れると次の場所に移動する。
「う、うそ! そ、そんなとこ…ちょっと、だめだって!」
 和美はスカート越しに股間を隠そうとする。
 指は和美の身体を執拗に這い回る。全身に汚辱がはしり、股間を覆い隠したままじっと耐えた。もはや目的など忘れていた。不可視の力に和美はなす術が無かった。
「ひぁ! あ、駄目だって、やめてやめてやめてぇぇぇぇぇ!!」
 自分でも信じられない程でかい声を上げて手はどこかに消えた。
「はぁはぁはぁ」
 掻き毟ったおかげで制服は乱れていて、裾や胸元には下着がチラチラと覗いていた。
「朝倉くん。君かねボクの事を探していたのは?」
 くたびれた制服を着た元担任の中年教師が和美を見下ろしていた。逃げなければいけないと頭でわかっていたが身体のゆうことが利かない。
 這うように後ずさりをする和美。
「悪い子にはお仕置きだよ。思いっきり鳴きなさい」
 男は廊下の床に小指を突き立てると鮮やかな魔方陣が描かれ、中から巨躯の人型が這い出てくる。意思も感情もないゴーレム。なんの知識の無い和美は恐怖で顔をゆがめる。
「なになに。夢よ…そんなことあるわけがないよ」
 ゴーレムの手が和美の足首を掴むと軽々と抱き寄せる。
「いやぁぁぁぁぁ」
 目の前にゴーレムの巨大な茎があった。先端はおそらく拳ぐらいあるだろう。それは巨躯の臍の辺りまで反り返ってビクビクと痙攣していた。
 和美の知識ではもっと控えめなはずだった。それよりも、それをどうするつもりなのだろう。恐怖のたがが外れた。
 和美は薄ら笑いを上げながら黙ってしまった。
「ふむ」
 すがるように憎むべき敵の足に自然としがみついた。
 眼前の恐怖そのものに助けを請わずにはいられなかったからだ。
「笑顔は大切だよ和美くん」
 こんな時に浮かべるはずの無い優しい笑顔。笑った顔がこんなにも怖いと思ったのは初めてだった。
 引きずるようにゴーレムは和美の両足首をもって逆さ刷りにして遠慮無しに限界まで開く。
 世界が反転してゴーレムの茎が目の前にあった。
 スカートはまくれて色気の無いパンツが丸見えになっているのに恥ずかしさなど微塵も感じなかった。ただ恐怖でいっぱいで何かを思いやる余裕などない。
「こんなのが初めてなんて、いやぁいやぁ。た、助けてぇ」
 凶器が白いパンツ越しに押し当てられた。グイグイと足首を掴んだままゴーレムは和美を引き寄せるが、硬く閉じた処女穴には先端すら沈む気配すらなく、ぐりぐりごつくて硬い塊が股間を刺激する。
「あぎぃ!!」
 潰れるような声を和美は漏らした。
 凶器が容赦なく和美の胎内に押し入ろうと先端だけ文字通り減り込んだのだ。
 メリメリと膜をあっさり破ると、今度は膣内の筋肉や皮膚を破くように無理やり潜り込んできた。
 胎内にはっきり感じる異物感と身体を裂くような痛み。
 和美の意識はそこで途切れた…。
「こんなものか」
 廊下に破爪の証である血痕が飛び散っていた。ゴーレムの腕の中で凶器を刺されたまま和美は悶絶して力なく気絶したまま凌囚として連れ去られた。


 和美の意識が戻った先はどこか辛気臭い地下室の一角だった。
 そうじゃなくても窓もなく石牢なんて場所が地下以外にあるとは思えなかったからだ。
 制服は脱がされ、身に着けているのはパンツとブラ、それと学校指定の靴下と革靴だけたった。

 パンツが血で染まっていて、痕が太股の内側を伝って足首まで到達している。股間の鈍痛が破爪の証だと思い出すと声を上げて泣きたくなった。
 悔しかった。
 なにもできないで一方的に凌辱されて囚われの身になる。
 考えても始まらない。泣いても変わらない。
 無駄じゃない。
 夕映は間違いなく、アイツに脅されている。それがわかっただけでも無駄じゃないと今は思いたかった。


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