第三章 戯れ
ウウ…寒い。
「ヨッシャ、ビールかけ終了」
ヒゲ男が空き缶を掲げた。私にさんざんかけた後も連中はお互いかけ合って騒いでいた。そしてびしょ濡れの私はその間ずっと寒さに震えていた。縄って?縄もびしょ濡れよもう。冬始まってるからこのままじゃ風邪ひき必至だ。ヒゲ男も同じ考えらしい。
「皆、風邪をひくといけないから着替えよう。替えの服は準備してあるぞ」
「よかったー」
「女も着替えないと寒いんじゃないか?」
先輩がまっとうな意見を述べた。
「でも生着替えはちょっと、コイツには刺激が強いから」
じゃあ家に帰せよ!誰が連れて来たんだ。
「ま、女物の替えも無いよな。…で、」
「何です?」
「第二章短くないか?こう細切れだとモチベーションが」
「興味ないのにモチベーションは高いんですか」
「な…おいせめてタオルで拭いておくか、その女」
先輩がまっとうな意見で逃げた。
「あー…着替えがてら持ってきますか。大将、オレたち着替えてくるから女でも弄ってろよ」
「いいの?」
少年は乗り気だ。…子ども一人になるならチャンスか?
「ああ、ただし服を脱がしちゃダメだぞ」
「わかった♪」
ヒゲ男たちは車の向こう側に回った。隠れて着替えるようだ。
と、少し息を荒くした少年がもう目の前にいた。
「女の人さわったって友だちに自慢できるね☆」
「ダ、ダメだ!内緒だって約束したろ」
車の陰でヒゲ男が慌てて言った。
「そうだった。お姉ちゃんとか友だちには言わないんだよね」
「先生とか給食のおばさんもだぞ」
…お前ら親子か?!
少年が改めて私を見下ろした。手足の自由はきかないが、頭突きか体当たりくらいの抵抗ならできるわ。
「襲われるといけないから後ろからやれよ」
ヒゲ男のアドバイスが先回りした。
「ムネ、子どもに『後ろからやれ』なんて教育上マズくないか?」
「想像し過ぎですよ。普通に駐車するだけでも『バックで入れよう』くらい言うでしょう?」
ヒゲ男の名前には「ムネ」がつくらしい。どうでもいい事を考えているうちに少年に後ろをとられた。振り返ろうとすると後ろ手の縄を引かれてバランスを崩した。
「起立!」
そう言って私の手を持ち上げる。なんとなく悔しいが立ち上がった。次の瞬間。
「っ?」
不意に腰がフラついて後ろに倒れかかると、突き上げてくる何かが刺さった。
「ドリルスペイザー!」
↑↑!
「ん゛―――っ!!」
何かというより指、しかも今度は…二本。
「発進っ!」
ドリルが回転を始めた。
「ンー!!ンフ、ンッ、ンッ!」
解説すると、ひざカックンとドリルのコンボ。
「ドリル整備不良、離脱します」
「―――ッッ!」
蹴飛ばす反動で指が引き抜かれ、私は顔から前のめりに倒れた。顔面に衝撃が来たがそれよりお尻がひどく疼いた。
間髪入れず膝の裏あたりに乗られた重みを感じた。少年が訊いてくる。
「パルサーアタックの次は?」
え何?えーと…フライングドリル?
ああもうイヤぁ!
「ン゛ン゛ッ!!」
フライングドリルが破竹の勢いで突き抜けた。しかもスカートの中から入れられたらしく、深い。
「お、やってるな」
着替え終わったヒゲ男が先輩と戻って来た。
「うん。いっぺん女にかんちょーしてみたかったんだ」
「なんかソレわかる。だけど学校で女の子にやったら嫌われるぞ」
あう、い、いたっ!
「やる訳ないだろー。あ、でも女子どうしではちょっとやってる」
「マジで?!大将それ休み時間に運動場とかでもやってるか?」
「ムネ!」
「?…あ、何言ってんの!父さん大人だから小学生には全然興味ないし」
ああ指、指ぃ…。
「それより、女を拭いてやらなきゃな。大将、挿しっぱなしじゃアレだし、こう…福引き回す感じで丸を描いてみろよ」
「え…こう?」
…いやっ!ああやめてぇッ!!
「わーコレ腰に悪そう」
「あ、サロンパスの用意はあるからその心配はないぞ」
「そっか。…ちなみにブリザの用意は?」
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