「第5章、私はあなたの人形じゃない」


「どうした急に?」

「ナレーションの声優代を浮かせようと思いまして」

「いいかげんアニメから離れろよ!」

「ムネさん、女の右足を押さえてくれ。先輩は肩を」

再び身動きが封じられていく。かろうじて動かせる左足をバタつかせても足首の縄が枷になる。

膝上にハナちゃんが跨り、ショーツの両側に指をかけた。無論、スカートの中だ。そこから黒がきれいに下がっていく。

「そっちの足を通して、ムネさん」

「?ハサミの方が早いのに」

「うん、片足に引っ掛けて残した方が先輩は喜ぶ」

「なるほど。靴は残す?」

日本語ワカラナイ振りはもう無理だし、モロッコに行くまでは男だったって事に…無理だってば。

ハナちゃんがスカートの切れ込みに手をかけた。瞬間、肩に力を込め抵抗したが簡単に押し戻される。のれんを開くようにめくられ、誰かが、口笛を鳴らした。

「い、嫌あ…」

「タクト、火をくれ」

「この状況でどうしてそう穏やかなんだ?」

「ん、それは逆…おう、ありがとなタクト。まあ芸人が芸の最中には笑わないのと同じだよ」

――――ひっ!

「さわらないで!」

悪寒が電気のように全身を駆けた。

「楽にして。注射の前の消毒だから。…?!」

「どうしたハナちゃん?」

「生娘(きむすめ)だ、って言ったらどうします?」

動悸が早まる。今の一言は、どれくらい男を焚きつけるのだろう。

「じゃんけん…というのもな。オークションにしないか?最初にやる権利を」

お、オークション?

「落札価格をあとの2人で山分けにする。どうだ?」

「1000」

「早いなハナちゃん。なら俺は…3000」

「新紙幣で、5000!」

ムネミツが挙手した。

「ムネが5000。5000の上はいないか?」

……。

「ではムネが5000円にて落札…」

「ちょっと!私の処女はたった5000?」

「いいじゃないか一休だし」

「一葉よハゲ!だったら私が買い戻すわ」

泣きたい。

「そんなに価値無いなら返してよ」

「皆真剣に金が無いんだ。有れば堂々と援交してる」

ムネミツが弁解し、ハナちゃんと場所を替わった。そそくさとズボン、下着を脱ぎ捨てる。

見たくないものを視界に捉える前に、一瞬で先端があてがわれた。同時に、持ち上げた私の両脚を左右に開いていく。

私の気持ちに反して、身体が抵抗をやめた。

奴は恐怖を煽るようにその先端をぐいぐい押しつけてくる。

「女、どうだ今の心境は?」

「ううぅ…」

息が荒い。

「さっきの威勢はどうした?そんなに恐いか?」

「痛いのは最初だけとか言いたい訳?」

「さあ。オレは破られた経験無いからな。でも少なくとも、お前は泣く」

「泣かないわ」

「子どもに泣かされたくせに」

「違うったら!何?そうやって女に弱者のレッテル貼る事でしか自分の価値を認められなああああッ!!」

!!、!、!

「価値を、何だって?」

ムネミツが私の腰を全力で押さえにかかる。先輩とハナちゃんは逆に離れた。

「くふっ…あ、あ、あ…」

「コレたまんね。あんまりもたない、かも」

――――ぐぐっ!

「あアウっ!!」

砕くように腰をぶつけてくる。

「くうぅ。あの流行語の気持ちだぜ」

「『残念』?」

「んん、それはむしろ女の気持ちじゃ…んうっ!」

「イヤっ!やめて!イヤああっ!!」

「そ、そろそろ、近い」

ちょっ、このまま出す気?

「そうだ大将、いつか、妹が欲しいって言ってたよな」

何ぃ?!

「うん。名前はアイナがいい」

「そうかアイナか。父さん、頑張るからな」

…だ、誰が産むかー!!


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