第6章 花とゆび
「コンティニュー」
ハナちゃんがムネミツに硬貨を弾いた。
「それ習性だろ。…つーっ」
硬貨は弧を描いて手のひらの中へ。
ハナちゃんが私のスカートを開く。
「派手にやったな。…生きてるか、女」
私のサングラスを外し覗き込んできたハナちゃんの後ろで月が光っている。
「上の空か。とりあえずきれいにする、これじゃ気持ちよく使えない」
使う…?
「じゃ、誰か水分持ってないか?」
「醤油ならあるが…どうするんだ?」
「女を洗いたいんですが、他に何か無い?……なら醤油を借ります」
ハナちゃんが赤いキャップを外して、内股に醤油が注がれ、れ、
「うウああッ!」
つぅうううっ…!
「やっぱり塩分はしみるか…」
しみるよソリャ!何考えてんのよ!
「あー今のよく見てなかったー。それ貸して」
「ちょ、ちょっと待ああぁっ――!!ううッッ!」
痛い!痛いッ!
「なな、それ俺もやりたい。持ってきたの俺だし」
「大丈夫かなあ…」
「どうせ中まで洗うつもりなんだろ?他に水が無いならムネも文句ないよな?」
「ええ、オレはしばらく休みます」
「よし」
悪乗りしだした先輩が私の腿に跨り、股に指をこじ入れて左右に割り開く。
「いっ!待っ、冷静に!そんな事をして何になる?!」
「きれいになるさ」
黒い悪意が注がれ、侵食するように満ち満ちていく。
「…!っ…!!」
「出てくる出てくる。一回かき出した方がいいな」
…っああ指ぃ!
「掃除しなくちゃな」
「いやッ!!あアアッ!あうぅ…」
「しみるのか?」
何も考えずにとにかく頷く。その間も指は溜まった粘液を…
「いぎゃッ!!」
「お、ココ擦り込むと締まるな…」
「や゛あぁ…!あがああぁッ!!」
かき回す指から逃れられず、ただ身体を震わせた。
「ストップ!ストップです先輩!」
ハナちゃんの制止が入る。それでようやく、解放された。先輩は不服そうだ。
「やり過ぎですよ。ちょっと代わって下さい」
ハナちゃんが正面に回り、私の繋がれた左足を持ち上げて肩に引っ掛けた。惜しみなく広がった箇所にはまだ醤油がしみ込んでくる。恐ろしく無防備な体勢だ。
「ムネさんの醤油割りだと思うと、もうこの手でピアノに触れられないよ」
嘆く指先が侵入した。痛みより恥ずかしさが先行する。指の動きに皆の視線が集まっているようだ。
「手袋してみたら?野球選手も打つ時はつけるぜ」
「衛生目的じゃないと思う。落合はしなかったし」
「うんんっ」
指が、巻かれた。
「少しの我慢だ。…そうだ落合、奴は素手に伝わる感触を大事にしたのかな」
「手袋買う金が無かったんだろ」
「三冠王なのに?!」
「…いたっ!」
「あスマン。まあもとはと言えば醤油なんだけど」
ハナちゃんは咎めるように先輩を見た。先輩思いでも言う時は言うらしい。
「持ち直せるか?」
先輩が心配そうに訊く。
…っ!
「女、この痛みを5段階で評価するといくつだ」
「また?…2くらい」
それより脚閉じてよ変態!
「ん、なんとかなるでしょう」
その言葉の後ハナちゃんはゆっくり抜き差しに入った。細いしなやかな指は何の抵抗も受けず往来する。
「勉強になるから大将もよく見ておけ」
脱力して座り込んでいたムネミツはそばへ寄って来ていた。呼ばれたタクトが隣に並んだ。人の尊厳なんて胡散臭い言葉だと思ってたけど、撤回する。
「そんなに期待されてもなあ」
「あ…!」
指が2本になった。入れ方も少しずつ深くなった気がする。
「見ろ大将。ピアノによって培われたハナちゃんの指使いは、もはや神の域だ」
「神の指だね」
「そう、神の指。英語で言うとゴッド…いや英語では言わないけどな」
「そんなんじゃないよ。でも落合なんかは、それに近かったのかも知れない」
「うああ!」
ゾクッとしてとっさに左足を下ろそうとする。
「おっと。ムネさん、よろしく」
すぐに足首を捕まえられて、ムネミツに渡された。ちなみに靴は外されている。
「んっ!…んくっ」
揃えられていた指が分かれ、別行動を開始した。
「そうだ。この辺で一枚撮っておくか」
ウソ?!
ムネミツがカメラを取り出してシャッターを切るまで一瞬だった。
「えっ早いよ」
――――どうしよ。
「写真は自然体が一番だろ」
「お前が言うと盗撮みたいだ」
全開で撮られちゃった…!
「ん♪ムネさん、ナイスアシスト」
「??」
ハナちゃんは黙って指を入れているあたりを指し示した。
「え…な、何よ?」
「臨戦態勢」
ハナちゃんが言った。先輩は感心した表情で、
「神の―――なせる業か。それ、ピアノ習ったらできるようになるか?」
「女次第ですよ。んー…ババ抜きで小さな子どもからカードを引く時、その子の表情を見ながら一枚ずつ触れていくとどれがジョーカーなのかわかる事があるでしょう?」
「はあ…ジョーカーねえ」
「はい。具体的にやると、このあたり」
――――!!!
「♯ζ%☆※∽ψ→@♀!!」
「あれ?思ったより反応がいいな」
「最初からそうすりゃよかったのに」
「…醤油のダメージがあったんです」
う…あ、あ、あ…
「急ぐ必要も無いし」
「っあうううッ!!!にゃッ!!あっ!あ、あああ…!!」
「やべっ、タクトがもう元気になってきちゃったんだけど」
「ムネ、息子を息子の名前で呼ぶのはやめろよ」
「そうだよ。ムネさんには引き続きカメラマンを頼む。で、先輩は特に希望が無ければ後ろから突いてて下さい」
「ボクは?」
「え?じゃあ女が痛くないように祈ってくれ」
ハナちゃんは指を引き抜いてティッシュで拭いた。そのままトランクを探り出したのが見えたあたりで身体が浮いた。
後ろから先輩に腰をつかまれ、持ち上げられたようだ。
直後、背中で縛られた両手にカタいものが当たった。
……。
それも嫌に温かい。
「訊くまでもないと思うけど…」
「このくらいの大きさだ。覚悟はしておけ」
「な?!せ、先輩…」
そこでムネミツが何故か声を震わせた。
「どうした?」
「いや、スキンヘッドなのに…下はスキンじゃないんですね」
「当たり前だろ!下までスキンにするかよ!」
手からソレが離れたので、危機を察知して精一杯の蹴りを食らわせた。
「イタタ…」
一瞬バランスを崩してよろけたが、すぐ立て直された。
すねのあたりを続けて蹴っている筈なのに先輩はもう動じない。
「いつまで抵抗できるかな?」
――――ドスッ!
「ふがッ!!…ぁ!」
一回り太いものに突き破られた。
そして早くももがく事をやめた。観念したのではない。じたばたする程裂けるように痛みが広がっていくのだ。
私が動かないのをいい事に先輩は腰を引き寄せてさらに深くめり込ませてくる。
「んんんん…!くぅぅ」
「…あったあった」
そこへハナちゃんが皿回しみたいなのを持ってきた。
「先輩、コレ使うから女が暴れてもしっかり押さえてて下さい」
「何する気よ?!」
「♪」
皿の部分が振動を始めた。左の内腿にあてがわれたそれは少しずつ上へ登っていく。
「いや!待って!」
必死で皿から逃げようとするが、足をバタつかせる事しかできない。
「ぬあ!ハ、ハナちゃん。それ、俺にも当たってるぞ」
「まあ多少は仕方ないですよ。激しく突いてれば気になりませんって」
「駄目だ。今、動かすとヤバい」
「じゃあオレが一つしおれる話をしましょう」
ムネミツが切り出した。ハナちゃんも気を遣ってか皿の振動を弱め、断続的に責めるようになった。
「…ある日の夜中、オレは翌日が返却日のAVをまだ観てない事に気付き慌てて観る事にした。ところがそのビデオ、消耗が激しいのか再生中何度も強制的に止まってしまう。どうしようもないから諦めてデッキから取り出そうとするとなんと!テープが出てこない!オレは焦った。これでは修理屋さんを呼ばねばならない。修理屋さんがわざわざ来て取り出したらそのビデオはAV(しかもアニメ)…それもそれだけの事態となれば自ずと修理には家族が立ち会う。家族が見守る中、修理屋さんが頑張って引き出したビデオがAV(しかもアニメ)。そして膨らむ延滞料金。もう必死になって取り出し口に手を突っ込んで引きずり出そうとしたが、駄目だった。……」
「…ムネさん、なぜ急にそんな話を?」
「実話だからだ」
……。
「さ。落ち着いたところで、プレイ再開!」
「ひうううっ!!」
前ぶれなく皿が、振動音と共に跳ねた。さらに先輩のソレがぐっと引き抜かれ、突かれる。
「ふああああ!」
「っ、なんのっ」
太いのが続けて打ちつける。先輩のリズムが次第に皿の揺れと共鳴すると、敏感なところが前後から揉み込まれていく。
「前方にえぐり込むようにしてみて下さい」
「OK。やってみ…よう!」
「あアウっ!!っ――――!」
中のこすられ方が激しくなった。身体がただ火照るのを抑えられない。
「ハナちゃん、あまり長くもたない。一気に、いくぞ」
「了解」
皿が溝に沿うように埋め込まれた。
「やっ、ダメっ!!ぁぁああああッ―――!!」
「ウうっ!」
※♂→→→→→☆♀!
「お、いいねその表情」
「嫌っ!撮らないで!!イヤあぁ…」
続けてシャッターを切られるうち、内股からこぼれた粘液が流れ落ちた。
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