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「ドロシー、これは・・・何のまねですか。」
リリーナは目が覚めるなり突然体を押さえられ首筋に注射器を当てられた事に不快感を露わにした。気を失っている間に身につけていたはずのサンクキングダムの正装から薄いピンク色のドレスに着替えさせられていた事も不満の一つだった。
ドロシーの隣にたつドナトスが耳打ちする。
「多分3分ぐらいで効果が現れる筈だよ。」
「そう、ありがとう。」
「それでは女王様、失礼しますよ。お体をお大事にね・・・」
ドナトスはうやうやしく礼をすると部屋を出て行った。
「ドロシー、私を連れてきた目的は何なのですか?」
リリーナは彼女の真意を測りかねていた。王国を潰すのならばこんな誘拐まがいの事をする必要は無い。戦況は絶望的なまでにOZに傾いていたのだから。
「私はリリーナ様が大好きだと言ったでしょう。だからリリーナ様と仲良くなりたいの。」
ドロシーは歩み寄りリリーナと向かい合った。
2人の距離は20センチといった所か、互いの息遣いが聞こえるほどの距離で相手から目を逸らすことなく視線をぶつけ合っている。
「ヒイロ達は無事なのですか?」
「ヒイロ・ユイは知らないわ、でも彼の事だからまだリリーナ様の理想の為に戦いを続けているんじゃないかしら。実現不可能な理想論の為にね。」
「完全平和主義は理想論などではありません。人類すべてが無益な戦いを嫌い武器を捨てれば・・・す、すぐにも実現できます。」
最後の方は声が上ずっていた。その原因はドロシーだけが知っている。リリーナの変調を察知した彼女は少しだけ口元を動かして笑った。
「リリーナ様、どうなさったの?」
白々しく相手を気遣うドロシーに対してリリーナは何かを言おうとする。しかし声にならずに口からは吐息が漏れるだけだった。
足がガクガクし、鼓動が高まってくる。何より下半身が熱くなってくる感覚に全身から力が抜けるようだ。ついにリリーナはぺたりと床に座り込んでしまった。
薬を注射されてからまだ1分とちょっとしか経っていないはずだがセックスは勿論の事、薬に対してもあまり免疫の無いリリーナの体は想像以上に媚薬に対して敏感だった。
「リリーナ様って本当に素敵よね。」
ドロシーはリリーナの両頬に手を添えると唇を重ねた。
驚いたリリーナはドロシーの手を振り解く。
「ドロシー、何をするのですか?」
真っ直ぐにドロシーの目を見据えるリリーナにドロシーは当然だと言う顔をして言い放った。
「私はリリーナ様が好きだと言ったでしょう。だからリリーナ様を御招待したの。」
ドロシーは指先でリリーナの顎を軽く撫でながら再び唇を重ねた。
音がするほどにきつくリリーナの口を吸うと甘酸っぱいような香りがドロシーの口の中に広がった。なんとかドロシーから逃れたリリーナは羞恥に白い頬を真っ赤に染めた。体には力が入らないがそれでも何とかドロシーから距離を離そうと身をよじらせる。
「リリーナ様はずるいわ。これじゃあ私がリリーナ様を虐めているみたいじゃないの。」
内容とは裏腹な楽しげな声で抗議したドロシーはベッドの下に隠しておいたロープを取り出した。
「私、リリーナ様の事が大好き、大好きだから虐めたくなるんです。許してくださいますよね。」
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