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「シーラ様、どこかお怪我でもなされたのですか?」
カワッセは先程から何も言わずにじっと外を見つめているシーラを気遣い、声をかけた。
「いえ、そうではありません。ただ、我々が地上に出てしまった理由を考えていたのです。」
「・・・ジャコバ・アオンでしょうな。」
カワッセの言葉にシーラは寂しそうに俯きながら呟いた。
「やはり、我々は信用されなかったのですね。」
不意にブリッジに警報が鳴り響き、周囲が慌しくなった。
カワッセは自分の定位置に戻り、報告を促す。
クルーの悲鳴に近い叫びが状況の切迫さを痛いほどに伝えてきた。
「10時の方向にオーラシップ!ゲア・ガリングと思われます!!」
努めて平静を装うカワッセが次々とクルー達に指示を与えていく。
「く、オーラバトラーは出せるか?」
「バイストン・ウェルでの戦いで損傷率が60%を超えています!全機出しましたが防衛ラインを張れるだけの戦力は残っていません!!」
シーラの顔から先程までの寂しそうな表情が消え失せた。凛とした表情でブリッジを見回す。
「大丈夫です、我々に良きオーラ力の加護がある限り、負ける事はありません。」
彼女の持つ凛々しさ、気高さ、そういった物がこれまでの戦いでも苦境に立たされた兵士達にいつも力をみなぎらせてきた。
騒然とし、パニックに陥っていたブリッジに緊張感が戻り、態勢を立て直し始めるのに時間はかからなかった。
「シーラ様、我々は何があろうとシーラ様をお守り致します。」
カワッセは改めて恭しくシーラに礼をした。
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