「ガルド様、例のお話し皆さんにも伝えておきましたわ」
「おおそうか、それで皆の反応は？」
「ええ、皆さんとっても楽しみにしていましたわよ」
「ふははは、そうか皆楽しみにしておったか」
セレンの報告にガルドはたちまち上機嫌になったが、ミルシェには話しの筋が全く判らなかった。
しかし二人が喜ぶ事で自分が幸せな気分に浸れた事は今まで一切無かったので、ミルシェの心の中に嫌な予感が急速に膨らみ始めた。
ガルドは一通り会話を終えた後、今度はミルシェに話し掛けて来た。
「喜べミルシェ姫」
もちろんこの手の出だしの後に続く言葉でミルシェが喜んだためしが無い。
ミルシェは自分の予感が当たっている事をこの時点で感じたが、それもまたミルシェに喜びを与えない。
「姫の出産の時に我忠実な臣下達も是非立ち会いたいと申し出てくれたのだ」
「そこでこの私が公開出産を提案したら、皆さん喜んで賛同してくれましたのよ」
自分が子を産み落とす所をこの二人に見られる事は覚悟していたが、まさかそれを見世物にするとは思いもしなかったミルシェは、思わず二人に言ってはいけない事を口走ってしまった。
「おっ、お願いします、それだけは勘弁して下さい」
堪らず叫んだミルシェであったが、二人の目がすっと細くなったのに気付き、激しい後悔の念にさらされた。
「ほほう、姫は我の申し出を喜ばぬというのか」
ガルドの顔は笑っているが、瞳は冷たい光を放っている。
「そうですわ、せっかくガルド様が気を使っているのに、それを踏み躙るなんて・・・・・」
セレンも笑っているが、それは獲物をいたぶる喜びを感じている獣が浮かべる笑みと同質の物である。
「どうやらミルシェ姫は思い上がっているようだな」
「いえ、決してそのような事は御座いません・・・」
二人の怒りを鎮めようと、ミルシェは必死になって弁解するが、既に全てが遅過ぎた。
「ガルド様、私が飲み込みの悪い姫様に御自分の立場を教えて差し上げますわ。」
楽しそうに笑うセレンが次に囁いたのは悪魔の言葉であった。
「姫様は肉奴隷なのですよ」
「ひっ」
その言葉にミルシェが短い声を洩らすと同時に、胸に瞳の様な形をした紋章が浮かび上がった。
「いやあぁぁぁぁぁ・・・・・」
紋章が光り輝くと拒絶の声を上げるミルシェの全身に、熱い疼きが広がり始める。
それは一気に全身に回ると、ミルシェの頭の中は快楽で一杯にしてしまった。
「ああっあっああん」
ミルシェは今までの辛い自分がまるで嘘で在ったかのように、指で自らの秘部を激しく弄り始めた。
「あっあん、いっいい、あっ、だっだめぇぇぇぇ」
はしたなく足を広げて淫らな行為に耽るミルシェの姿を見ながら、ガルドは大声で罵り始めた。
「ふはは、判ったかミルシェ、お前は今や人前で淫らな事も平気で出来る淫乱な肉奴隷になんだよ！」
「ああ、あっ熱い、そっそうです、私は、いっ淫乱な肉奴隷ですぅぅぅぅ」
ガルドの言葉を肯定すると、ミルシェの快感は更に高まった。
「うふふ、とても高貴なお姫様だったとは思えない乱れ振りですわ」
セレンは馬鹿にしたように言い放つ。
このミルシェの豹変の原因は、胸に輝く紋章にあった。
これはミルシェがここに捕われた際、セレンによって施された物である。
この紋章には人を育�咾吠僂┐覿�いギアス（強制）の魔力が秘められていた。
その魔力を発動させる方法は二つである。
一つは主人と定められた者の許しを得ずに自決しようとした時でありそしてもう一つはあるキーワードを言う事である。
そのキーワードとは、先程セレンが言った「肉奴隷」と言う言葉なのであった。
この魔力の前には、どんな聖人君子も太刀打ちする事は出来ず、ましてやまだ幼いミルシェには、十分過ぎる程の効力を発していた。
今や性の虜となったミルシェは、自ら陵辱を求め始めようとしていた。
