無情編〜パッフェル〜雌畜へと至る道〜4


 「ホラっ、きり切り歩きなさいよ。このグズっ」



「きひっ!あひぃぃぃぃいいいいいっ!!」



 柔肌を打ち据えるビーニャの鞭にアメルは喘ぐ。洗浄作業後、日課の散歩にアメルは狩り出される。

 首輪をつけられて四つんばいの姿勢。犬のように這いずりまわされながら時折、鞭が飛ぶ。

 白かった肌にはいくつもの蚯蚓腫れ。痣の上に痣ができて本当にキリがない。



「キャハハハハ♪そんなにこの鞭が欲しいの?アンタってマゾ?キャハ♪キャハハハ♪」



「あひっ!はひっ!ひゃひぃぃいいい!!ひやぁぁぁあああ!!やぁぁあああああ!!」



 アメルに非がなくともビーニャは面白半分に打ち据えるので始末に終えない。ビシッ。ビシッ。ビシッ。

 空を切る鞭打の音。肌に響く。痛い。痛い。痛い。ズタズタの背中が赤く腫れる。



「キャハハハハハハハ♪どう?少しは思い知った?ねえ。この雌ブタ」



「うっ……うぐぅ……うぅ……」



 ヒリヒリと痛む背中。押された家畜という名の焼印。けれど家畜の方がまだマシ。便器よりはいくらかは。



「ほらほら。今日はここよんっ♪アメルちゃんのお仲間のお勤め先。キャハハハ♪」



「うッ……うぅ……」



 今だに痛む背にすすり泣くアメルに構わずビーニャは指差す。辿りついた本日の見学施設。

 その看板プレートにはこう記されていた。『搾乳所 雌牛繋留中』と。







「んひぃぃぃいいいい!ふむぐぅぅぅぅうううう!!むぐひぃぃぃぃいいい!!!」



 施設の中の光景。それはもう圧巻である。搾乳用の雌畜として飼育されている乳牛達。

 その豊かな乳房から生み出される濃厚なミルクがこれでもかとばかりに搾り出されていた。

 ロレイラル式の搾乳マシン。ゴウンゴウンと音を立てて雌牛から乳を搾り取る。



「うぁぁ……あぁ……あぅぅ……うぅ……ぐぅ……」



 無慈悲に搾乳を受ける雌牛の群れ。その中にはアメルのよく知った顔もいくつかあった。

 一号房に繋がれているソバカス交じりの童顔な茶髪の乳牛。二号房の眼鏡を眼鏡をかけた雌牛。

 それに三号房の長い金髪のややとうの経った牝牛。



「パッフェル……さん……ミモザさん……ケルマ……さん……あぅ……うっ……ぐぅ……」



 嗚咽交じりにそれらの名をアメルは呟く。かつては自分を支え共に戦ってくれた大切な仲間。

 それが今ではひたすらに乳汁を搾り取られるための雌畜。なんとも無情な現実。



「あはぁぁぁ……はぅぐっ……んひっ!むひぃぃぃ!!ひぃぃぃぃんっ!!」



「はぐっ!はうっ………ふぐぁぁぁああああ!!はぎっ……ひふぅぅぅぅうう!!」



「ひくぅぅぅううう!ひくぅううううう!!くふひぃぃいいい!!ひぐぁぁぁぁああああ!!」



 パン。パン。パン。搾乳を受ける雌牛達を背後から種牛達が貫く。絶倫を誇るメイトルパの牛獣人。

 その濃厚な精子ミルクが乳牛たちの子宮にたっぷりと注ぎ込まれる。その白濁が母乳の素になる。

 大量の搾乳を望めるように雌畜達はみな肉体改造を施されていた。元より一団と肥大化した乳房。

 膨れ上がったニプルはそれこそ乳牛の如く手で握ってしまえそう。ペニスのように勃起した乳首。

 搾乳マシンは容赦なく扱く。たまらずに喘ぐ雌牛達。ビュッ。ビュッ。ビュッ。その大きな胸から多量の搾りたてミルクを噴出して。



「うぁ……ぁぁぁ……ぁぅぅ……」



 ただ乳を搾られる家畜に成り果てた彼女達の姿にアメルは心を痛める。自分のせいだ。

 自分と関わったばかりに彼女達はこんな目に。自責の念ががアメルを苛む。





「キャハ♪キャハハハ♪なに泣いてんのぉ?イヤあねえ。アメルちゃんったら。キャハハ♪」



 嗚咽し続けるアメルをビーニャは嘲る。そうそう。こうでなくては連れて来た意味がない。

 せいぜい悲しむがいい。どうだ。貴様の仲間達の惨めな様は。全て貴様と関わってしまったことが因。

 さあ、苦しめ。さあ、嘆け。その苦しみが、その嘆きが一層に美味なる糧を我らにもたらすのだから。



「さあ、お仕事の時間よ。なにボケッとしてんのよっ!この雌ブタぁっ!」



「あひぃぃぃぃいいい!」



 すすり泣くアメルをビーニャはまた鞭で打ち据える。打ち据えながら指示を飛ばす。



「さあ、お待ちかねのお乳搾り体験よぉん♪キャハハハ♪今日は特別にアンタにやらせてあ・げ・る・♪」



「うっ……うぅ……うぐっ……」



 そうして渡されるのは大き目の搾乳瓶。この瓶いっぱいに詰め込めばいい。搾りたてのミルクを。



「ホラ、アンタはこっちの牛を使いなさいよ。あたしは……キャハハ♪きょうはこっちの年増牛にしーよう♪」



「うぁ……あっ……あぅ……」





 アメルにあてがわれたのは一号房。そこに繋留されている雌牛。パッフェルという名前の。



「パッフェル……さん……あぅぅ……パッフェルさん……」



 搾乳用の雌畜に成り果てたパッフェル、その前でアメルはまた良心の呵責に襲われる。

 自分のせいだ。自分が彼女の足を引っ張らなければ。彼女はこんな無様な雌畜とならずに済んだのに。

 白濁と汚辱にまみれながらそれでもアメルを責めなかったパッフェル。最後まで希望を捨てないで彼女は自分に言った。

 けれど希望なんてどこにもありはしないのだ。それを証明する格好のオブジェがこうして今、目の前にあるのだから。



「あひっ……はひひっ……ひっ……」



「…………………………………………」



 淫らな雌牛と化したパッフェル。その瞳に光は無い。ただ乳を搾られることに悦びよがり喘ぐのみ。

 過酷な輪姦を受けながら希望を捨てないでと言ってくれたあの時の彼女はもうどこにもいない。

 また一つ無情な現実がアメルを貫く。



(ごめんなさい……ごめんなさい……パッフェルさん……)



 涙滴がアメルの頬を伝う。あまりにもいたましいパッフェルの変わり果てた姿。醜く肥大化させられた乳房。

 たぷんと垂れ下がり拡張された乳腺から母乳をとめどなく垂れ流す。背後から注入されるのは牡牛の白濁。

 ドクン。ドクン。濃厚な子種汁が子宮に注がれる。ポッコリと膨らんだ腹。おそらく魔獣の仔を孕まされている。

 繰り返し孕まされ、搾乳を受ける。その内に彼女の意識は逝ってしまったのだろう。

 今はただ射乳の快感にぶるんぶるんとたわわな乳肉を震わせて母乳を噴出させる搾乳隷奴。あまりにも悲惨なその末路。



「ホラッ。ホラッ。なにやってんのよ!アンタもさっさと乳搾りしなさいよ!」



「んひぃぃぃいいい!!んむひぃぃいいいい!ふむふひぃぃぃいいいい!!」



 二つ隣の三号房ではビーニャがそれこそ乳牛よろしくケルマの乳を素手で直搾りをしていた。

 ビュッビュッと大量の乳汁を飛ばしてケルマはよがる。同じことをアメルもしなくてはならない。

 自分のために変わり果ててしまったパッフェルに対して。



「ごめんなさい……ごめんなさい……パッフェルさん……うぐっ……あぐぅぅ……」



 拒むことは許されない。そうすればより酷い目にパッフェルはあわされるかもしれない。

 用済みの牛として廃棄処分。やりかねない。屠殺されて潰された後に魔獣の餌に。十二分にありえる。



「ごめんな……さい……えぐぅ……ごめんな……さい……うぐっ……」



 謝り続けながらアメルはその手で触れる。肥大化して男性のペニスのように勃起したパッフェルの乳首に。

 家畜の乳搾りの要領。山間の村で育ったアメルは心得ていた。こうしてギュッと搾るように強く。



「んぐっ!!ふぐひぃぃぃぃぃいいいいいいい!!!」



 ブピュッ。搾られるなりパッフェルは勢いよく射乳する。飛び散る母乳ミルクがアメルにも降りかかる。



「ふむひぃぃぃいいいい!!むひぃいいいいいいいい!!ふんむぅぅぅうううううう!!」



 ギュッ。ギュッ。ギュッ。搾れば飛び出す母乳のシャワー。浴びせられながら涙ぐむアメル。

 射乳の快感に仰け反りよがり狂うパッフェル。ギュッ。ギュッ。ギュッ。乳搾りは続く。



「あうっ……あぅぅ……うっ……えぐぅ……めんな……さい……ご……んな……あっ……」



 咽び泣きながらアメルは手を動かす。ああ、この手は穢れてしまっている。大切な仲間を嬲るという罪に。

 ギュッ。ギュッ。ギュッ。乳搾りの感触。ギュムッ。ギュムッ。ギュムッ。これはパッフェルの乳房。

 嬲っている。貶めている。辱めている。この地獄から自分を助け出そうとしてくれた女(ひと)を。

 ブピュッ。ブピュッ。ブピュッ。顔にかかるミルク。生温かい。ぺロリと舌で舐める。これは罪の味だ。

 自身ばかりでなく、大切な人たちまで巻き込んでこのような過酷に遭わせている自分の存在の罪。

 生まれてこなければよかった。生まれてきたためにあたしは苦しむ。あたしのせいでみんなが苦しむ。

 嫌ぁ!嫌ぁっ!!嫌ぁぁぁっ!!!お願いだから殺してぇぇぇええ!!誰かあたしを殺してぇぇぇえええ!!

 心の中で何度も叫んだその願い。それが届く事などなく。ただこうして嬲られる。未来永劫、来世の先の先まで。



「キャハハハハハハハ♪いい調子じゃない。アメルちゃんったらやるぅ♪」



「うっ……あうっ……うぅぅ……」



 半刻後、アメルの搾乳瓶は搾りたてのパッフェルミルクでいっぱいになっていた。陽気に笑い飛ばすビーニャ。

 アメルは泣き喘ぐ。そんなアメルにビーニャは突きつける。



「さあ、それをぐいっと一杯やっちゃいなさい。それが今日のアンタの朝ごはんよ。キャハハハハ♪」



「…………………………………………」



 どうせそんなことだろうとは思っていた。なんの加工処理も施されていない生乳。普通に飲める代物ではない。

 それもこれだけの量を。



「……っ!……んっ!」



 けれどアメルは口つけた。ゴクゴクゴク。飲み下す。パッフェル味の搾りたて生ミルクを。ドロドロしている。

 生臭くて飲みにくい。それでもマシだ。昨晩、延々と胃の中に流し込まれ続けた悪魔どもの精子ミルクよりは。



「キャハハハハハハ♪なに?なにぃっ!?マジで飲んでるよ!コイツっ!キャハハハハ♪」



 予想通りの嘲り笑い。それを甘んじて受けながらアメルは涙を零した。自分をこの地獄から救おうとしてくれたパッフェル。

 そんな彼女をこのような無惨な姿にしてしまった己の罪深さを心底呪いながら。















「むひぃぃいいいいいい!!ふむひぃいぃいいいいいい!!」



 搾乳所。乳牛達は今日もここで、たわわに実ったその豊かな乳房から濃厚なミルクを日夜搾り出される。

 延々と続く搾乳は乳牛達に最高のオルガズムを与えている。ほら、ご覧。搾乳を受ける牛たちの顔を。

 どれも気持ちよさそうにアヘアヘと喘いでいる。ゴウン。ゴウン。ビュー。ビュー。ビュー。

 おっぱいミルク射乳(で)てるぅうううう!!ああ、幸せ。



「んひっ……あひっ……むひひっ……んっ……」



 そんな乳牛達の中で一番の成績を誇るのがこの一号房に繋がれたパッフェル号であった。

 搾乳量、ミルクの質、どれをとっても優秀である。他の乳牛と同じくアヘ顔で喘ぐパッフェル号。

 そこにはかつてヒトであったころの面影など微塵もない。肥大化した勃起ニプルを直搾り。

 そしてビュー。ビュー。ビュー。大量の濃厚な母乳ミルクを射乳する。 



「ひぁぁあああああ!ふぁぁぁああああっ!あふっ!あふぅぁぁあああああああ!!」



 ブモッ。ブモッ。搾乳を受けながら牝牛を背後から貫く牛さんペニス。

 太く逞しいデカ魔羅が今日も、乳牛たちの子宮に子種汁を植えつける。

 常時、妊娠状態の乳牛たち。その例にもれずパッフェル号も孕んでいる。

 たぷんと揺れる大きな乳房に負けないぐらいボテボテに膨れたそのお腹。

 孕みマンコをグチュ。グチュ。グチュ。お腹の仔にもたっぷりドピュ。ドピュ。ドピュ。

 それが乳牛の運命。未来永劫変わることなどない。



「むひっ……むひひっ……んぶっ……むふぅぅううううう!!ふむふぅうぅぅうううう!!」



 パッフェル号から搾りとられる良質ミルク。それは貴重な蛋白源として供給されている。

 ほら、今日もこうして一人の少女が涙を零しながら直搾りミルクをゴクゴクと飲み干している。

 うふふふふ。よかったですね。美味しいですか?私のおっぱいミルク。そんな満ち足りた恍惚に包まれて。

 パッフェル号は今日も良質のパッフェルミルクを生産し続ける。ブピュッ。ブピュッ。ブピュッ。

 もっと搾ってください。アヘアヘアヘ。おっぱいミルクどぴゅどぴゅ気持ちいい。

 泣き喘ぎながら自分を搾乳して、そのミルクを飲む少女に壊れた意識の中でパッフェル号は優しく微笑んだ。

 どうか美味しく召し上がってくださいね。私のおっぱいミルク。それが今の私の幸せですから。





「むひぃぃぃぃいいい!!むふぅぅぅぅぅううう!!んむふぎぃぃぃいいいい!!」



 大きくブルンブルンと肥大化したその乳房を揺らしながら最初の乳牛、パッフェル号は幸せそうに射乳しつづけた。

 今、自分の乳を搾っている少女。アメルが自分への罪の意識にさいなまれているとは露にも思わずに。


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