第三話 未知
三人は松田の通う高校へ向かっていた。
帰り道をつけ、適当な所で引き込んでやろうと思っていた。
先頭の神宮寺が急に自転車を止め、振り返る。
『約束を守れなくても〜願いを叶えてあげる〜♪』
「どうした?」
「おい聞けよ、松田湯来子の曲だ」
電気店のウインドーの中のテレビに、松田湯来子が写っている。
プロモーションビデオを流しているのだ。
十台位同じ映像を流して、どの画面も湯来子のアップだ。
「悪魔のウインクって曲か」
「歌はそんな上手くないのに、可愛いなあ」
「早くやりてえナア」
「やりたいなら早く行こう」
三人が再び移動し始めた時、別の映像を流していたテレビでニュースが始まった。
『廃人山で行方不明になった少女について新しい情報が入っています、廃人山にて通常の数倍の放射能が観測されており……』
だが、三人は当然それを見る事は無かった。
〜〜〜
サイコは場所を移ろうとしていた。
ビルからビルへ飛び移り、女子高へ近づく。
こんなに跳ね回るのも久しぶりだった。
ステルスプロテクターによって姿を隠し、脚力を駆使して飛び上がる。
「ウオォオオオッ」
待っているのは好きではなかった。
女子高の中で、レーダーに反応したのは誰か、そしてどんな状況か、調べてやろうとサイコは思っていた。
校庭の木に掴まり、それをよじ登って校舎の屋上へ。
そして、鉄の扉を蹴破り、屋上への階段の踊り場に一気に突っ込み、壁にヒビが入った。
「?」
四階の廊下を掃除していた用務員が、物音で異変に気付いた。
「何だ?」
屋上への階段を少し上ると、踊り場の壁にヒビが入っている。
「な、何だ、何があっ……」
その時、目の前で、何も居ないのにブオンッと何かが震える音がした。
次の瞬間、用務員の首は跳ね飛んだ。
サイコは首と死体を屋上まで引きずり込んだ。
流石に食べる気にはならない。
そしてまた降りて慎重にレーダーを見ながら、サイコは四階を歩き回った。
だが、誰の姿も無い。
特別教室ばかりで、この時間は使われていないのだ。
その内、サイコは気になる部屋を見つけた。
『調理実習室』
栄養科系クラスの選択教室だが、サイコにはもちろんそんな事は理解出来ない。
だが中から良い匂いがする。
ドアの鍵を引っこ抜く様にすると、鍵が壊れて開いた。
「ヌオオッ」
中に入ると、沢山のキッチンが並んでいた。
手前側には巨大な電子レンジが備え付けられ、中で何かが暖められていた。
「ン?ン?」
サイコがそれを覗き込んでいると……
「そろそろ焼けたかしら」
調理選択の二年生の女子が、下から上がってきた。
今日は先生の計らいで、カボチャケーキをレンジで作り、選択クラスの皆で食べるのだ。
黒いお下げ髪を揺らしながらセーラー服の少女は調理実習室の前に来た。
「あれ、ドアが開いてる……」
それもドアノブが不自然なまでに引き出されている。
「何、これ……」
不安を感じながら、少女は中に入った。
だが、何も居ない。
「先生が一度確かめにいらしたのかしら……!?」
次の瞬間、ドアがバタンと閉まった。
「え?」
さらに、見えない何かに胴体をグッと押さえられ、そのまま大きな教卓の上に乗せられたのだ。
「な、何、いやっ、いやああああ!」
ヴォンッと音がして、見えない何かが姿を現した。
黒い革ジャンの様な物を来た、恐ろしい怪物が……
「い、いやああああああああああ……ががっんぐ!」
胸のリボンが引きちぎられ、そのまま口の中に突っ込まれた。
そしてセーラー服が引き破られ、白いブラが露になった。
「キシャアアアアア」
「ひいいいいっ、ングウウッ」
じたばたするが、片手で胸を押さえられ、それだけでもう身動きが出来ない!
セーラー服が完全に破られ、ブラも割かれ、さらに怪物の口が裂ける様に開き、触手が出てきた。
怪物の眼光は鋭く紫気に光り、少女を眺める。
「んぐうう!ぐっ!」
少女は首をブンブン振ったが、当然通じない。
胸にピタリと触手が張り付いたかと思うと、乳首を半ば吸いこむ様に弄り始めた。
「ああああっ、ひぎいぎぎぎぎ」
少女は一瞬気が飛びそうになった。
今まで、こんな経験は無い。
自慰さえまともにした事の無いのに、突然この様な経験があるとは。
さらに、スカートを剥がれ、股が開かれた。
これから何が起きるのか。
「あああっ」
「フハハハハハ」
怪物の服の前面が開き、巨大な……おそらく生殖器の様な物が、頭を上げた。
「!!!!!」
少女は一層じたばたした。
だが鉄張りの調理教卓の上は汗でぬるぬるし、力が空回りするのみだった。
そして、怪物は無理やり少女を自分の上に来るようにし、パンティの裾から、陰茎がずぶりと差し込まれた。
「あああっ」
「フヌウウウ」
バタン!バタン!と怪物の体は波打った。
その度に少女の陰部に、深く杭の様な陰茎が打たれるのだ。
「ああああ!ああああ!」
触手は今だに少女の胸を舐め続ける。
「いぎぎぎぎ……ふうう」
少女の口からリボンが抜け出た。
だが、もう少女の口から拒否の言葉は出ない。
「いいいいっ、いいっ、ああああん……」
「フオオオオッ」
チーン、とレンジの音が鳴った。
それと同時に、少女の意識が垂直に飛んでいった。
サイコも、種子を流し込んだ。
「ハアアッ」
「ううっ……う……」
少女はピクピクしている。
「アー……」
サイコは頭をかいた。
前座扱いでやったは良いが、この少女をどうすれば良いのか。
「ン」
サイコが見たのはレンジだ。
何か分からないが、この空間をを使おう。
早速中で出来上がっていた、三つの大きな皿に入った甘い食べ物を瞬く間に食べ、
中のトレイや段分けの金具を取り去り、少女の体をたたんで入れた。
少女は今だに意識の境目をさまよってあーだいーだ言っていたが、それも最後だった。
「フェー……」
とりあえず、何か押そうと、サイコは適当なボタンを押した。
『三十分加熱』
先程と同じ様に箱の中が赤く光りだし、ウィーンと音がする。
「ヘハハハハ」
これで良いのだ。
サイコは調理実習室を抜け出した。
距離を絞ったレーダーには未だ獲物が見当たらない。
〜〜〜
「ここか」
「デカいなあ」
三人は校舎を、フェンスの外側から見つめた。
「おや」
「どうした?」
「見ろよ、あそこ変だぜ」
見ると、屋上の縁が凹んでいる様に見えた。
辺りはとても静かだ。
「入れ……は、しないよな」
「だよなあ」
(続く)
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