第二話 遭遇



神宮寺達は自転車に乗り、町を駆けた。

「ちょっと遠いからな!急げよ!」
「大丈夫だよ!」

自転車のカゴには、いろいろな物がビニール袋に入れられている。

ブロック塀の間の小道を抜け、大通りを渡り、公園を突っ切り……

「あれか、あの」
「ああ、校章がある」

校章がモザイク画の様に刻まれた部分が上部に見えた。
四階建ての校舎がだんだん近くなる。

女子高の近くの薄暗い高架下で、三人は一度止まる。

「アイドルが通うほどの私立だ、警備員が居るかも」
「俺がちょっと見てくる」
「お、おう」

和田が一人で女子高の偵察に赴いた。

「気を付……」

神宮寺が声を掛けた時、遠くから列車の地鳴りがして来て、かき消された。


〜〜〜


サイコは電子双眼鏡を手に、女子高の様子を探っていた。

学校の西には遊歩道が整備された山緑地が有り、少なからぬ生徒がそこを利用している様だった。
この星の公共運輸システム(空を飛ばず、地面を走るだけの無駄に場所をとる長い何か!)の基地にその遊歩道は通じているのだ。

「フウム……」

そうだ、あの遊歩道なら、少なくともサイコに有利な状況に引きずり込める。
山地や荒野がサイコの独断場なのだ。
もちろんそれ以外の殆どの場所でもサイコは活動出来るのだが、この星ではあまり派手な事は出来ない。
軍隊の二、三小隊や警官隊の一つや二つは腹いせや障害除去の為に消してしまったかも知れないが……

サイコの脳裏には、故郷のあの日が蘇る。


故郷の荒野で、七人(少なくとも人型だから)程のサイコと同種族の者が荒野にポツンとある大岩の蹲に控え、ある物の様子を伺っている。
皆、色とりどりの装具を身に付け、皆武器を直ぐに作動できる様に控え、リーダーらしき者の指図を聞いている。

「良いか、カオエパとヤンソンはこの大岩の陰から掛かれ、小デマレトは後ろの右足を、大デマレトは左足を狙え、兄弟頑張れよ」
「ハッ」
「ベンハムと俺とバリコーンは一度周ってから前面に攻撃する、とくにバリコーン、お前の射撃が肝心だ」
「……」

バリコーン改めサイコは黙って頷いた。
記憶の中の彼は今より一回り小さかった。

「良し、行くぞ!神に捧を誓おう!」

七人はバッと動き出した。
リーダーに付き、岩陰から飛び出す。

サイコの目の前には、緑色の恐竜の様な巨大な怪獣が背を向けて、筋を激しく動かしながら何かをしている。

「獲物を食ってる!今だ!」

カオエパとヤンソンがまず岩の陰から背のコブをレーザーガンで撃った。
この怪獣の急所だ。

「キギャアアアアアアアアアア」
「ベンハム!頭を狙え!バリコーンが前に周るからな!デマレト兄弟はどうした!」

やっと兄弟がそれぞれ足を撃ち始めた。
だが怪獣がコブの痛さに悶えてシッポを地面に叩き付け、それから起きる砂煙のせいで狙いがつかない。

「バリコーン!行け!」
「……オウ!」

一声挙げ、サイコは他の者よりも一回り大きなライフルを持ち、前面に向かった。
怪獣が食べていた大きな豚の様な動物を蹴り、ライフルを構える。

怪獣は尖った口からギャアと鳴き声を上げ、鋭い目は怒りに満ちている。

「!」

サイコが照準を合わせようとした時、恐竜が反撃に出てベンハムが蹴り飛ばされた。

「ワアアアアアアアアアッ」
「いけ!構うな!」

だが構わず、サイコは素早く照準を合わせ、そして振り向かれた頭部に一撃を与えた。

「ピギャアアアアアアアアアア」


その時、レーダーが鳴った。
サイコは居眠りをして、夢を見ていたのだ。

怪獣の鳴き声に一瞬似て聞こえたレーダーの反応音は、しかし別の何かを捉えていた。

「?」

電子双眼鏡を手に取り、レーダーに対応する位置を確かめると、自転車に乗った男がいた。

「ナ……!」

レーダーの反応は強い。
このレーダーはメスのエネルギーだけを増幅して感知させるモードにしてあるのに、
それでもあのオスが反応するとは……
サイコはこの星に来て初めて真に驚いたかも知れない。

「……エラー……?」

そう疑ってもう一度レーダーを見たが、しかしやはり間違いではない。
強大なエネルギーを出している。

「……フハハハハ」

自転車に乗った少年に、それほどの力がある様には見えないが、
それはメスでも同じ事だった。
力が無い様に見えて、内なる何かの力がちゃんとレーダーに写る。


〜〜〜


「校庭はまあ普通、しかし校舎が綺麗だな……」

自転車で学校の外周に沿って走り回る和田。

「あのアイドルは何か部活に入ってたかな……」

偵察には出たものの、あまり参考になりそうな事は分からない。
それより先ほどから視線を感じる。

だが周りを見ても誰もいない。

そして、仕方なく神宮寺達の元へ戻ろうと、元来た道を戻る。

「何か、下校時間とかでも分かればなあ……」

遠くに高架橋が見えて来たその時。

「あ、あのう」
「ん」

小学生くらいの女の子が自転車に乗った和田を呼び止めた。
黒いオカッパ頭で青いワンピースを着ている。
大人しそうに、もじもじしながら話し始めた。

「どうしたんだい」
「お、おトイレ行きたいんですけど、どこに有るか知りませんか……」
「……ふうん」

和田が思いつく事はもちろん一つだった。

「我慢できる?案内してあげるから後ろに乗りなよ」
「えっ……でも知らない人に……」
「その知らない人に自分から話しかけてそりゃあ無いよ、とにかく知ってるから」
「え……」

半ば無理やり後ろに少女を乗せ、和田は再び走り始めた。

「あの、あんまり遠くないですよね……?」
「ああ……ところで名前なんて言うの」
「春子です」
「春子ちゃんね、あの近くの高校知ってる?」
「知ってます、松田湯来子ちゃんが通ってる!」

ちょっと聞いただけで、ベラベラ喋り出す。

「何時頃に下校してるのかな」
「おやつの時間のちょっと後だから……三時ちょっとぐらい」

「三時ちょっとぐらいか……」

その他にも色々重要な事を聞いた。

「あ、あの、トイレ……」
「もうすぐだよ」

お礼をしなければならない、そう、お礼を……


〜〜〜


高架橋近くの廃ビルの廊下で、いつもの三人は春子を囲んでいた。
もちろん春子は我慢出来ず、また恐怖の為に漏らしている。

「なあ、お礼しないとなあ」
「ああ、教えてくれたお礼」
「よし、お兄ちゃんたち頑張るぞう」

「な、なにをするの……」
「いいこと」

神宮寺が春子を無理やり抱き上げた。

「ワンピース脱がせ」
「ヌギヌギのーストリーップ」

ビチョビチョの白いショーツと靴下だけの姿になり、春子はじたばたした。

「やめて!お兄ちゃんたちやめて!」
「お兄ちゃんと言われると嬉しいね」
「和田、お前の手柄だよ、お礼してあげなよ」
「おう」

「や、やあ!汚いのやめてえ!」

下着の陰部の部分を捲り、和田は自分の陰茎をずぶりと差し込んだ。

「あ、ああああああ!」
「なんか湿ってるな……でも良いぞお」

ペチャンペチャンと音がして、オカッパの髪が揺れる。
あどけない顔が引きつる。

「嬉しいかい!ねえ!」
「あああん!いやっ!いやあ!」
「お礼だよ!お礼を断っちゃ駄目だよ!」

「いやあああ!」

春子の顔に若干の笑みも見えた。

和田に春子ちゃんを任せ、神宮寺と田中は下校時間の午後三時からの手筈を考え始めた。

「いよいよ本格的に狙いが定まるね」
「ああ」
「お、おい!二人だけで進めないでくれよ!」
「分かったからそっちは続けな」

さらに腰を振り乱し、音は大きく冴え渡る。

「うっ……出るぞ、お礼が」
「あ、あああああん!」
「ふうっ……」

薄暗いコンクリートの壁を背に、春子は下ろされた。
靴下はいつの間にか脱げ落ち……

「あ」
「二度目」

「ああん……お漏らしぃ……」

また、春子が漏らした。
尻からシミが広がっていく。

「お前、おしっこの穴の方攻めたんじゃないか」
「まさか、ちゃんとお礼しやすい様に普通にしたよ!」

取りあえず三人は、春子を薄暗くほこりっぽい部屋に引きずり込んで
そのまま放って廃ビルを出た。

「とりあえず、俺たちも学校の近く行くか」
「ああ、それが良い」

三人は、お礼をちゃんと出来たことを嬉しく思いながら、その場を後にした。

(続く)


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