第6話


 深夜の学園。静まり返った暗闇の中、誰もいない筈のプールサイドから甘い声が聞こえてくる。声の主は2人、どちらも飛び込み台にうつぶせになり、腰を高く浮かしている。プールサイドということもあり、その身につけているものはスクール水着であった。
 「ふあっ!あっ、あっ!!」
 「んくっ!!ううぅつっ!!」
 うつぶせになった二人は足を大きく開き、激しく喘ぐ。スクール水着を着ているとはいえ、体よりも小さい上にその裏地は外され、体の線を大いに強調していた。大きく膨らんだ乳首も苦しそうに押さえつけられ、その形をくっきりと水着に浮かび上がらせている。
 「あああっ、先輩!!」
 「もっと、もっと触ってください!!」
 甘い声を上げて二人の少女、アリアとマリアは自分たちの後ろに立つ少年、修二におねだりをする。びっしょりと濡れた股間はその形を浮かび上がらせている。そこをもっと触って欲しい、撫で回して欲しいと、二人は腰をくねらせておねだりする。

 「まったく、我慢できない娘たちだね・・・」
 修二はあきれた口調で言いながらアリアとマリアのお尻を撫で回す。布地の下に感じられる柔らかな膨らみを味わうように丹念に撫で回す。その指の動きに二人は腰を振って喜びを表す。そしてもっと下を、もっと感じる場所を撫で回してほしいと振り返って目でお願いしてくる。
 「まったく困ったアイドルたちだ・・・」
 修二はくすくすと笑いながら水着の隙間から指を差し込んでくる。お尻の割れ目に沿って指を動かす。その指先が菊門に触れると、二人の体が反応を示す。それを感じ取った修二はゆっくりと指先でそこを撫で回す。そこの形などを確かめるように丹念に指先でこねくり回す。
 「あふぅぅぅっ!!せんぱ〜〜い・・・」
 「ダメ、そこは・・・あうんんっっ!!汚いのに・・・」
 修二の指の動きにあわせてマリアは喜びの声を、アリアは恥ずかしそうな声を上げる。その声を聞きながら修二はゆっくりとその指を菊門の中に押し込んでゆく。入り口こそ狭く侵入を拒んだが、これまでに何度も愛撫し解してきただけに指先が潜り込めばあとはすんなりと入り込んで行く。
 「ふぐっぅぅぅっ!!先輩っ!!そこ、そこ!!」
 「そこを、そこをもっと!!あうぅぅぅぅつっっ!!」
 修二の指の動きにあわせてアリアとマリアはうめき声にも似た喘ぎ声を上げる。指が腸壁を擦りあげると、奥から腸液が滲み出してきてその動きを助けてくれる。クチュクチュといやらしい音を立てて指が動くと、それにあわせてアリアとマリアの腰も動く。
 「ああ、ああ。こんなに濡らしちゃって・・・」
 修二はアナルを指でかき回しながらその下の花びらに視線を送る。アナルをかき回される快感に答えるように溢れだしてきた愛液によって、水着はびっしょりと濡れ、裏地がないためにその形をくっきりと浮かび上がらせていた。水着も汗を含んで二人の体にぴっちりと張り付いている。
 「乳首もクリトリスもこんなに勃起てちゃって・・・そんなに気持ちいいのか??」
 「はひぃ・・・きもちいい・・・れす・・・」
 「もっろ、もっろ・・・かき回してくらさい・・・」
 腰をくねらせて懇願する2人に修二は鼻を鳴らす。一度指をアナルから引き抜くと、アリアもマリアも物悲しそうな視線を修二に向けてくる。そんな二人の間にポータブルDVDを置くと、修二はそれに納められたものを再生し始める。
 「2人とも、これをよく見るんだ・・・」
 修二はアリアとマリアにそう命じると、アナルとヴァギナに同時に指を差し込み、かき回し始める。二箇所同時攻めにこの上ない歓喜の声を上げるアリアとマリアは、修二の命令どおり画面に映し出されたものに視線を移す。そこには男女の営み、いや、意識のない女を犯す男の姿が映されていた。
 「え・・・ああああっっ、こ、このひと・・・んんんっっ!!」
 「ふああぁぁっっ!!ま、まさか・・・あああんんんっっ!!」
 女を犯す男にアリアもマリアも見覚えがあった。よく見知った男、それは間違いなく彼女たちの父、小牧憐蔵であった。小牧は意識の朦朧とした女に圧し掛かり、激しく腰を振ってその女性と交わっている。しかし、女性の表情は虚ろで、とてもお互いに愛し合っているようには見えなかった。
 「あふっ!!先輩・・・これは・・・」
 「買春倶楽部・・・その催しのひとコマだよ・・・」
 「買春・・・んぁぁぁっっ!!それって・・・」
 「女を買い、愛でる連中の集まり。時にはここにいる女性みたいに薬漬けにすることもあるらしい」
 アリアとマリアを嬲りながら修二は淡々と説明する。その話をアリアもマリアも何もいわないで聞いていた。父が、自分達に優しい父がこのようなことをしているとはにわかには信じられなかった。だが、今目の前に映っているのは紛れもなく彼女たちの父親であった。
 「ちなみに・・・画面に映っている女性は俺の母親代わりの人で・・・先日自殺した・・・」
 「・・・・・・!!!」
 「薬による発作だったそうだ・・・だけど僕は彼女をそこまでした奴等が憎い・・・」
 「・・・・・」
 「俺はこいつらに復讐したい。そこでお前達にも協力してもらいたい」
 黙ったまま修二のはないを聞いていたアリアとマリアに、修二はきっぱりと問いかける。それは簡潔に言えば自分につくか、父につくかを問いかけるものであった。その答えを待つかのように修二は2人のヴァギナとアナルから指を引き抜き、何も言わないで答えを待つ。
 「あたしは・・・先輩のお手伝いをします・・・」
 「わたしも・・・だから先輩・・・わたしたちに・・・」
 「「わたしたちを慰めてください!!」」
 アリアもマリアもあっさりと修二に従うことを了承する。そして腰をくねらせて修二を求める。その答えを聞いた修二はニタリと笑い、大きく頷く。これまでの仕込みは無駄にはならなかった。完全二人の心は修二に傾倒していた。もはや、2人は完全に自分の人形と化したのだ。おそらく自分の命令なら何でも聞くだろう。そのことを確かめるために今宵、ここでこんな危険なことをして試したのである。もっとも、2人が自分に傾倒している自信は修二にはあった。そしてその通り二人は修二に従った。
 「よし、いま慰めてやる!!」
 2人の答えに満足した修二は2人のヴァギナに交互にペニスを捻じ込んでゆく。すでにビショビショに濡れていたヴァギナはすんなりとペニスを受け入れる。ヴァギナをかき回すペニスの感触にアリアとマリアは嬌声を発しながら酔いしれる。そんな2人を攻め立てながら修二は次なる計画を思い描いていた。



 「ふむ、少し早かったかな??」
 ホテルの一室、ベッドの上に腰掛けた燐蔵は腕時計を見ながら顔がにやけるのを抑えられないでいた。今宵、この場所で新たな獲物を捕まえることになっている。それも先日見つけたばかりの女子高生。燐蔵の勘ではおそらく処女であると確信していた。
 「女子高生の処女か・・・いつ散らしても気持ちのいいものだな」
 燐蔵はそう言って喉を鳴らして笑う。燐蔵自身が自分の娘と同い年くらいの少女と関係を持ったのはこれまでに数知れない。家では見せない醜悪な部分をその少女達に向けてきた。最初は売春目的で自分達に近付いてくる少女達をその手に掛け、弱みを握って調教する。それが燐蔵たちの常套手段であった。
 「さて、今日の娘はどんな感じかな??」
 燐蔵は手荷物を探りながら待ちきれないといった様子であった。手荷物の中には少女の裸体やセックスの場面を隠し撮りするためのカメラや、それでも脅しきれないときのために忍ばせてある薬が入っていた。どちらにしても一度自分達と関係を持った少女達は逃げることはできない。燐蔵はそう信じきっていた。その若々しい体を存分に弄び、味わいつくす。少女達が壊れ、自分に屈服する姿はいつ見ても快感であった。これから現れる少女もその一人である。
 「まったくこんな至高の想いがもうできないとはね・・・立花君も運がない・・・」
 これからのことを想像して股間を大きく膨らませながら燐蔵は先日なくなった仲間のことを思い出す。心臓発作らしいが、こんなことで脱落するとは情けない話である。燐蔵にしてみれば、秘密を知るものが一人少なくなり、少女達の肢体を貪る人数が減ったことは喜ばしいことであった。
 「さあ、早く来ておくれ・・・もう、我慢の限界が近いんだ・・・」
 燐蔵は鼻息荒くそんな事を漏らす。この階は丸々借り切っているので人に見られる心配はない。そこに来た少女がどんなに泣き叫ぼうが、助けを求めようが聞きとがめる人はいない。ここに来たが最後、逃げることはできないのだ。その瞬間を燐蔵は股間を限界まで腫れ上がらせて待ち焦がれる。
 「しかし、遅いな・・・なにか・・・」
 約束の時間よりも遅れていることに燐蔵は苛立ち始める。ここに来て気後れでもされて逃げ出されたのかと心配になってくる。せっかく見つけた人形に逃げられるなどこれ以上腹立たしいことはない。イライラと指を動かして相手を待つ燐蔵だったが、次第に眠気が襲ってくる。頭がふらふらとして起きていられない。
 「なんだ・・・これは・・・」
 こんな急激な眠気は尋常ではないことに燐蔵は焦る。何かが起こっている、そのことに気付き逃げ出そうと思ったときにはすでに遅かった。立ち上がり歩き出そうとするが、足はもつれて力なく床に膝をついてしまう。やがて燐蔵に意識は完全に闇に没し、その場に倒れ伏してしまう。しばらくの沈黙の後、部屋のドアが開く。
 「ふん。意外に効くものだな・・・」
 部屋に入ってきた修二は口元をハンカチで押さえながら、眠りこける燐蔵を見下ろす。手には缶を握り締めていた。完全に眠りこけている燐蔵は修二が部屋に入ってきても気付く様子はまるでなかった。部屋に充満したガスが拡散するのを待って修二は準備を始める。そして燐蔵が目を覚ましたのはその準備が出来上がったころだった。
 「なにが・・・」
 意識が戻った燐蔵は起き上がろうとするがベッドに布団ごと縛り付けられていて起き上がることができない。しばらくもがくが、がっちりと固定されていて逃げ出すことは敵わなかった。辺りを見回した燐蔵は自分を見つめる少年の姿を見止め声を荒げる。
 「これは貴様の仕業か!!!私をだれだと・・・」
 「淫行弁護士様だろう??今日だって女子高生に釣られてここに来た・・・」
 修二はククッと笑いながら燐蔵を侮蔑の眼差しで見つめる。修二の言葉を聞いた燐蔵はみるみるうちに青ざめる。この少年が何故自分の秘密の趣味のことを知っているのかはわからない。だが、このままでは身の破滅につながるような気がしてならなかった。
 「な、なにが望みだ???金か??金なら・・・」
 「そんなものいらねえよ!!」
 修二は冷たくそう言い放つと、手にした薬を燐蔵に無理矢理飲ませる。必死になって抵抗する燐蔵だったが、不利な姿勢な上、修二の方が力が上だったため、結局その薬をすべて飲み込むしかなかった。薬を飲み込んだ燐蔵は激しく咳き込むと、修二を睨みつける。
 「なんだ、これは???」
 「血圧を上げる薬だよ、ただし、際限なくだけどね・・・」
 クスクスと笑いながら燐蔵を見下ろす修二の答えの意味が燐蔵にはわからなかった。ただろくでもないことのように思えてならない。怯えた表情を浮べていると、修二がちらりとシャワールームの方に視線を移す。そして、燐蔵を一瞥すると、シャワールームの方に声をかける。
 「女子高生大好きな変態に最高のプレゼントだ。準備は出来たかい??できたら出ておいで」
 修二のその言葉に答えるようにシャワールームのドアが開き、中から2人の少女が姿を現す。高校生らしい若々しい肌を露出した2人の少女に燐蔵の表情はにやける。しかし、その顔を見た瞬間、燐蔵の表情が一変する。驚きと恥ずかしさ、自責の念と、憤怒。ありとあらゆる感情が燐蔵の顔を駆け巡ってゆく。
 「お、おまえ!!これはどういう・・・」
 「あたしたちが先輩にお願いしたの・・・」
 「いけないことをしているお父さんにお仕置きしたいって・・・」
 狼狽して修二に当り散らす燐蔵に、修二に代わって答えたのはアリアとマリアであった。その言葉を聞いた燐蔵は黙り込んでしまう。今の二人の言葉を聞いた限り二人が自分の裏の仕事のことを知っている可能性は高い。絶対に家族には知られたくなかったものを知られた燐蔵は青くなって黙り込んでしまう。
 「アリア、マリア。好きなようにしていいぞ・・・」
 「「はい、先輩!!」」
 修二の命令にアリアとマリアは嬉しそうに答えるとベッドの上に上がってくる。二人が着ているのは制服でも、普段着でもない。ステージで着る衣装だった。アリアは白の、マリアは薄いピンク色のミニの衣装で、少し動くだけでスカートの裾が揺れ、その下がちらちらと見え隠れする。しかし、ちらちら見えるものに布らしきものは見当たらない。どう見ても素肌であった。
 「お父さんのエッチ・・・・」
 「娘のお尻見てこんなに勃起させてきてる・・・」
 くすくすと笑いながらアリアとマリアは燐蔵にそう声をかけてくる。二人の言葉、そして、その視線から今になって燐蔵は自分が下半身むき出しであることに気付く。慌てて隠そうとするが隠せるものではない。モジモジとやっていると、アリアとマリアはお互いに顔を見合わせる。
 「じゃあ、お父さん。こういうのはどうかな??」
 「これなら一発でしょう??」
 2人はいたずらっ子の表情でスカートを捲り上げる。ノーパンの上に陰毛がすべてそり落とされたツルツルの股が燐蔵の視界に飛び込んでくる。思わず燐蔵は息を呑む。二人の娘の股間から目を放すことが出来ず、じっと見つめる。血の繋がった娘のオマンコだというのに見つめるほど鼓動が早くなり、息苦しくなってくる。鼓動が早くなり、心臓を破裂させそうなくらいに激しく動いているのがわかる。
 「がはっ!!はぁぁぁっっっ!!!」
 燐蔵は苦しそうに息を吐き出す。必死になって呼吸を整え、心臓を落ち着かせようとする。このままでは何が起こるかわかったものではない。必死になって呼吸を整えていると、アリアとマリアが燐蔵の股間に跨ってくる。何をする気かと燐蔵がびっくりした表情を浮べていると、アリアとマリアはお互いの足を絡めあいながら、無毛のヴァギナで燐蔵の大きく勃起したペニスを挟み込んでくる。まだ変色していない赤貝がペニスを挟み込む。そのヌルッとした感触に燐蔵はまた表情を曇らせる。
 「やめないか、ふたりとも・・・・」
 「アラ、お父さん。女の子のオマンコ、大好きなんでしょう??」
 「ならこういうのも、大好きなんでしょう??」
 苦しそうな表情を浮べ、咎める燐蔵だったが、アリアもマリアも妖艶な笑みを浮べたままやめようとはしなかった。それどころか、ヴァギナで挟んだペニスを、そのままの姿勢で擦りあげてくる。にじみだしてきた愛液が潤滑油代わりになってその動きを助ける。
 「うぐっ!!あっ、あっ・・・」
 「あははっ、お父さんのあたしたちに挟まれてビクビク脈打ってる」
 「イきたいときにイってね、お父さん」
 アリアとマリアは怪しく微笑むと激しく腰を上下させる。ペニスを挟み込むヌルヌルとした感触が心地よく、燐蔵のペニスを限界まで膨らませる。同時にそれは燐蔵を大いに苦しめる。ペニスが大きくなり、激しく脈打てば脈打つほど、心臓への負担も大きくなってゆく。双子の娘の腰の動きが燐蔵をしに誘う踊りのような気がしてならなかった。
 「やめろ・・・やめさせてくれ・・・なんでこんなことを・・・」
 苦しそうな顔をして燐蔵は修二に懇願する。このままでは娘達にイかされてしまうかもしれない。しかし、それ以上に燐蔵が恐れていたのはその先にあるものだった。まだイってもいないのにこれほど心臓に負担がかかるのである。もし、イったりなどしたらどれほどのものになるだろうか。
 「やめろ・・・か・・・沙耶子さんにもそう言われたんじゃないのか、あんた達は??」
 修二の言葉に燐蔵は言葉を返せない。黙り込んだまま苦悶の表情を浮べる。そんな燐蔵のペニスをヴァギナで挟み込んだアリアとマリアはさらに強くペニスを挟み込み、柔肉を擦り付けるようにすりあげる。ペニスに愛液が絡みつき、クチュクチュといやらしい音を立てる。
 「お父さん、入れたい?入れたいよね、こんなに硬くしているんだから・・・」
 「でも入れてあげない。わたしたちのオマンコは先輩専用だから・・・」
 苦悶の表情を浮べる実父に双子はいやらしい笑みを浮べてさらに腰の動きを早くする。その動きにあわせて登りつめてくる絶頂。それは燐蔵の命のカウントダウンのようにも思えた。その瞬間が近付くにつれて燐蔵は恐怖し、絶叫する。しかし、アリアとマリアの腰は止まらない。さらに強く挟み込み、ヴァギナをこすり付けてくる。腰に力を込めて我慢し続けていた燐蔵も、ついにその限界を超える。
 「ぐおぉぉぉぉっっっ!!!」
 燐蔵の絶叫とともにペニスが大きく震え上がり、先端から白濁の粘液が迸る。その粘液はアリアとマリアのお腹に降り注ぐ。ゼエゼエと荒い息を必死に整えながらかろうじて生があったことを燐蔵は神に感謝する。しかし、しばらくの間お腹に降り注いだ粘液を見つめていたアリアとマリアの腰がまた動き始める。
 「アリア、マリア!!!」
 「お父さん、まだまだいけるよね??」
 「今晩は存分に楽しませてあげる・・・」
 くすくすと笑いながら父親のペニスをヴァギナで挟み込み扱き上げる。その耐え難い快感に燐蔵はまたも絶叫し、助けを求める。しかし、双子は狂ったように腰を動かし、燐蔵の命を縮めてゆく。涙を、鼻水をたらしながら許しを請う燐蔵を見つめていた修二はその姿を鼻で笑うと、首を掻き切るポーズを取る。
 「これで・・・・二人目!!!」
 修二はそれだけ言うと部屋を出てゆく。背後から燐蔵の助けを求める声がいつまでも聞こえてくる。それを無視して修二は部屋のドアを閉める。修二の目にはもう燐蔵の姿は映ってはいなかった。次なるターゲットに狙いを定め、それをどうしとめるかに彼の頭は移っていた。その修二の耳には燐蔵の断末魔の叫び声も届くことはなかった・・・




 ホテルの一室。死体が見つかったと言う報に駆けつけた近藤は頭を掻きながら溜息をつく。被害者は弁護士の小牧燐蔵。このフロア一階すべてお借りきっていたらしい。死因は心筋梗塞によるショック死、監察医がざっと調べてみたが、不信なところは見つからなかったという。
 「また病死か・・・」
 近藤は鼻を鳴らしながら不満そうな顔をする。小牧がここで何をしていたかを知りたくて目撃者を探させたが、この階に近づく者はいなかったという。何で小牧がこのフロアすべてを借り切っていたのか、その理由を近藤は知っていた。立花に一件のあと、知らされた事実である。
 「これで二人目・・・か・・・」
 立花に続いて二人目の犠牲者。しかし、いくら調べてみても不信なところは見当たらない。唯一近藤を不信に思わせたのは死んだ二人がまったく同じ死因であったことである。とはいえ、不信なところがない以上、事故として処理するしかない。わざわざ自分から厄介ごとに巻き込まれる必要はない。
 「まあ、しばらくはマスコミがうるさいかな??」
 小牧が現役アイドル小牧アリアと小牧マリアの実父であることはすぐに知られることになるだろう。だが、小牧燐蔵が裏でやっていた仕事については報道されることはないだろう。されたとしても証拠はない。第一そのことをかぎつけられる奴などいはしないだろう。だからそのことが表沙汰になる可能性はない。万が一表沙汰になったとしても関係者によってすぐに握りつぶされるのがオチである。下手をすれば命に関わることかもしれない。
 「そんな物好きがいるとは思えないがね・・・」
 煙草を口に咥えたまま、エレベータで一階に降りると近藤は署に戻ろうとする。今回の一件を課長ならびに署長に報告するためである。なにもなかった。ただの事故であった報告するだけでいい。それだけであの小心者どもは納得するはずである。そしてそれは御前に報告されることだろう。警察は今回の一件には一切関知しない。そのことを御前に印象付けるためだけに。近藤もそれでいいと思っている。下手に正義感を吹かせて御前に睨まれる位なら何もしないほうがマシである。だからこれ以上の捜査は打ち切ったのである。
 「オレも御前に睨まれたくないからな・・・」
 近藤は紫煙をはきながらポツリと本音を漏らす。この街で、いや日本で生きてゆく上で御前に逆らうのは厳禁である。その御前も孫娘には激甘だという。今回の圧力もその孫娘に懇願されてのことらしい。その懇願とは買春倶楽部に手を出さないこと、ただそれだけであった。そしてこれまでの状況から鑑みて、その孫娘が狙っているのは買春倶楽部の存続ではなく、壊滅であることは間違いなかった。かねてからウワサのあった買春倶楽部の壊滅。それは近藤にとって願ったり敵ったりであった。下手にこの組織の存在が表ざたになっては困る人間は山のようにいる。例えば自分のところの署長や課長などその際たる例だろう。だからこそ、署長も課長も率先して御前の命令を聞いているともいえる。
 「近藤さん、チョットいいですか!!」
 早いところ署に戻って報告をしたいと思っていた近藤の背後から、彼を呼び止める声がする。気だるそうな顔をして近藤が振り返ると、凛とした表情の美女が近藤に駆け寄ってくる。普通ならこんな美女に駆け寄られたら気分がいいものだが、近藤は逆に嫌そうな顔をする。
 「またキミか・・・」
 「そう言わないでくださいよ!!もう一度、立花の話を・・・」
 「だからあれは事故だといっているだろう?」
 近藤は投げやりな態度で美女に応じる。彼女は堺崎早苗。立花が死んだ日からほとんど毎日のように自分に話を聞きに来るルポライターであった。ただのルポライターなら近藤も気にしないのだが、彼女が追っているのは例の買春倶楽部のことらしい。そのメンバーの一人、立花が急死したことが彼女には納得がいかなかったらしい。彼女からすればやっとの思いで見つけた組織への手がかりが敢え無くなくなったのだから立花の死から新しい道を見つけたいのは当然であった。そのため毎日のように近藤のところに来ては話を聞きに来る。そのため、近藤はもううんざりとしているのだった。そんな近藤を無視して早苗はさらに尋ねてくる。
 「私も調べてみたんですけど、立花に心臓の持病はなかったそうです!」
 「んあ?それで??」
 「だから心臓麻痺で急死だなんて・・・私には信じられません!!」
 早苗はそう言って近藤に迫ってくる。そんな早苗の態度に近藤は困った顔をする。何故彼女がこの一件に固執するかは知らないが、近藤自身、この一件はもうなかったことにするつもりでいた。第一彼女に協力する義理はない。これ以上この一件を蒸し返されるのは気持ちのいいものではなかった。
 「それに聞いたところによると、小牧燐蔵が今朝方死んでいるのが見つかったとか!!」
 「んっ?早いな、もうそんな情報を??」
 「ごまかさないで下さい!!これで例の倶楽部の主要メンバー二人が死んだことになるんですよ!!」
 早苗は今にも噛み付かんばかりの表情で近藤に捲くし立てる。その剣幕に近藤は少し後退ってしまう。これほどの剣幕で捲くし立てるのだから彼女があの倶楽部のメンバーと何か深い関係、もしくは恨みがあることだけはよくわかる。しかし、それは彼女の問題であって近藤の問題ではない。はっきり言ってこれ以上のかかわりはゴメンであった。
 「だがな、嬢ちゃん。外傷も薬物反応もない。これじゃどうみたって病死としか・・・」
 「そんなことで納得できるはずありません!もう結構です!こちらはこちらで独自に調べますから!」
 早苗はそれだけ言うと踵を返して近藤から離れてゆく。いくら近藤を問い詰めてもこれ以上話にはならないと思ったのだろう。その後ろ姿を見つめながら近藤は深い溜息をつく。遠まわしにこの一件から手を引くように促したつもりなのだが、どうやら彼女には通じなかったらしい。
 「だからといってこのままにして置くのも・・・な・・・」
 近藤は深い溜息を漏らすと、ポケットから携帯電話を取り出すとどこかにダイヤルする。しばしの沈黙の後、相手が出ると近藤は畏まった口調で何事かを報告する。しばし、話し合った後、近藤は何度か頭を下げながら電話を切る。そしてもう一度大きな溜息を漏らすと、急ぎ足で署に戻ろうとする。が、一度立ち止まると早苗が立ち去った方向を見つめる。その表情には哀れみにも似たものが込められていた。だが、すぐに気を取り直したのか、あとは振り向きもしないでその場を立ち去るのだった。



 「ふぅぅっっ!!うっ、うっ、うっ!!」
 少女が甘い声を上げながら少年の腰の上で大きく踊る。110センチにも満たない少女はまだまだ幼く、その動きも拙かった。それでも膣に納まった少年のペニスを懸命に扱き上げるように腰を動かす。幼く小さな少女のヴァギナは少年のペニスをすべて飲み込めないでいたが、それでも懸命に収まったものを扱き上げるように腰を動かしている。そんないじらしい姿が少年には嬉しく、気持ちのいいものだった。
 「お兄さん、姫の、姫の気持ちいいですか???」
 「ああ、気持ちいいよ。そのまま続けて・・・」
 修二の股の上に跨った優姫は恥ずかしそうに尋ねてくる。修二はその問いかけに、彼女の頭を撫でながら答える。その答えに優姫ははにかんだ笑みを浮べて、ゆっくりとまた動き始める。そんな優姫の腰に手を宛がいながら、修二はその視線を自分達の情事を見つめる奈々子のほうに向ける。
 「それで、奈々子。報告というのは?」
 「は、はい。ご主人様、これを・・・」
 修二のペニスを飲み込み、懸命に腰を動かして甘い声を漏らす優姫の姿をうっとりとした眼差しで見つめていた奈々子は修二に声をかけられて慌てて彼の方を向き直る。そして、彼に緊急に伝えなければならないことを伝える。それは早苗のことだった。
 「つまり、こいつも買春倶楽部のことを探っていると??」
 「はい。それも復讐のために・・・」
 「復讐??こいつもこの倶楽部の被害者なのか?」
 「彼女が、ではなく彼女の妹が、です。もっともその妹さんは自殺していますが・・・」
 「ほう・・・」
 奈々子の話を聞いた修二は興味深そうに頷く。今の話を聞いた限り、早苗が買春倶楽部のことを探っているのは正義感からきているものではない。確実に私怨、それも妹の仇を討つためであることはわかった。その一点には修二は共感できた。それは奈々子も心得ているらしく、修二の顔を見ながら提案して来る。
 「ここは彼女をこちら側に引き込んでみてはいかがでしょうか・・・」
 「目的が一緒だからかい?」
 「はい」
 修二が奈々子の提案に聞き返すと、奈々子は素直に頷く。下手にこのまま自分達の事を嗅ぎまわられては修二の復讐に支障をきたすかもしれない、そのことを奈々子は恐れたのである。ならば同じ復讐を目的とする相手、自分達に組させた方が得策と考えたのだ。
 「姫、そのお姉さん、嫌い・・・」
 「アラ、姫ちゃん、この人のこと、知っているの??」
 意外なところからの意見に奈々子は意外そうな顔をする。この幼い少女とこのルポライターに接点があったのは初耳であった。当の優姫は泣きそうな顔で修二が手にした写真を睨みつけている。
 「このお姉さん、パパが死んだとき、パパの悪口言った!!」
 プウッと頬を膨らませて優姫はそう言う。その言葉に修二はもう一度写真を見る。たしか、六介の葬儀の日、優姫に質問をしている記者がいたことは覚えている。それがこの女だったのだろう。そして優姫の反応からして、買春倶楽部のことを優姫に尋ねた可能性がある。
 「ふん。自分の正義を振りかざして他人はお構いなし、か」
 「まったく、非常識にも程があります!!」
 鼻で笑う修二に対して、優姫の話を聞いていた奈々子は憤慨する。こんな女を仲間にしたら、なにが起こるかわかったものではない。もしかしたら自分の正義を振りかざして自分たちにまで噛み付いてくる可能性がある。そうなったら邪魔以外の何者でもない。奈々子は自分の今発した意見を変えようとする。修二はその奈々子を制しながらしばし考え込む。
 「そうだな。彼女は仲間にはしない。いやする必要はない」
 しかし、修二の答えは奈々子のものとはまったく違っていた。その答えを聞いた奈々子は首を傾げる。何故、修二がそんなことを言うのか、その理由がわからなかった。奈々子が不思議そうな顔をしていると、修二は優姫を激しく動かしながらその理由を教えてくれる。
 「彼女とは目的が同じでも手段が異なる。彼女はやつらを法に則って始末したいだけだ」
 「そうでしょうね」
 「でも、自殺者の件の罪はまず問われない。問われるとしたら未成年者に売春をさせた罪と覚せい剤所持くらいだ。そのくらいじゃ、長くても十年くらいでやつらは自由の身だ」
 心底冷たい声で修二は説明してくれる。その修二の言葉に奈々子は震え上がる。だが、修二の言わんとしている事も納得が行く。このまま捕まえて法律で罰しても立花たちの罪は軽くてすぐに一般社会に復帰してきただろう。早苗がしようとしているのは彼らに罪を償わせたという自己満足でしかない。そして修二の怒りはそんな自己満足程度では収まらないレベルであった。だから立花たちの娘を仲間に引き込み、彼女たちに父親を始末させているのだ。それも証拠の残らない形で。そんな修二の罪を早苗が問わないかといえば奈々子が考えるまでもなくNoであった。幼い優姫に対する仕打ちを見る限り買春倶楽部殲滅には手段を選ばないだろう。しかし、殲滅後すぐに手の平を返して自分たちに噛み付いてくることも考えられる。そうなれば今度は自分たちの身が危ない。
 「なるほど、理解しました。では、どうなさるおつもりで・・・」
 「彼女には餌になってもらう。やつらを安心させる餌に・・・な」
 奈々子の問いかけに修二はニッと笑う。その修二の膝の上で優姫が大きく震え上がる。ぐったりとしながらも満足そうな笑みをたたえて修二にもたれかかってくる。そんな優姫を抱きしめながら修二は次なる策を練り始めていた。そんな修二の顔を見ながら奈々子は改めて彼について行くことを誓う。それがいかなる罪を問われるものであったとしても・・・


→進む

→戻る

悪魔の微笑みのトップへ