第7話


 「やつらの生き残りはあと三人。浅沼近衛、内海孝三、大小森総氏・・・そしてあと一人・・・」
 「あと一人??誰なんですか??」
 残された仇の名前を読み上げる修二は最後にそう付け加える。その言葉を聞いた亜美は首を傾げる。自分が調べてきた買春倶楽部の主要メンバーはその三人ですべてであるはずである。自分の記憶違いかとも思ったが、奈々子たちも同様に不思議そうな顔をしているところから間違いはないらしい。
 「ここには載っていない輩だ。名前はわからない。だが、やつらに覚せい剤を流している奴がいる」
 「裏社会の者、といことですか?」
 奈々子がそう言うと修二はこくりと頷く。確かに覚せい剤、それも純度の高いものをそう簡単に一般人が手に入れられるはずがない。そうなればそれなりの組織の人間、やくざや暴力団に関わりのあるものが背後にいる可能性は高い。そいつが浅沼達に覚せい剤を横流しし、そのおこぼれに預かっていることは容易に想像できた。
 「そこまで考えていませんでした・・・至急調べ・・・」
 「いや、調べなくていい。そのことはこいつにやらせる」
 自分の落ち度ですべてのメンバーを調べていなかったことが分かった奈々子は頭を下げるとすぐさまそのもう一人を調べようと部屋を出て行こうとする。だが、修二はそれを呼び止める。自分の代わりに誰が調べるのかと思った奈々子は修二が手にした写真を見る。
 「それは、堺崎早苗・・・」
 「そうだ。彼女に囮になってもらって、今隠れている奴を任せる・・・」
 「しかし、どうやって・・・」
 「まあ、みていろ。慎重な奴らの事だ。この策に引っかかるはずだ。こちらには気付かずにな」
 ほくそえむ修二の自信に奈々子と亜美は顔を見合わせる。どのような策を弄すつもりなのかはわからない。だが、修二の笑みには自信が満ち溢れていた。だから奈々子も亜美もそれ以上は何も口を挟まなかった。自分達は修二に命じられたことをこなしてゆけばいい。ただそれだけで・・・



 数日後、堺崎早苗は手元にあるメモを見ながら唸っていた。偶然手に入れうことができたメモ、そこにはある携帯の番号が記されていた。早苗はそのメモを見つめながらどうしたものかと考え込んでいた。その番号は買春倶楽部への連絡先であるとされる電話番号であった。しかし、それが本物かどうかはわからない。
 「本物・・・なのかしら??」
 もし本物だとしたら、出来過ぎのような気がする。いつの間にか自分のメモ帳に紛れ込んでいたこのメモを早苗は疑いの眼差しで見つめていた。あまりに都合のよすぎることが疑念を生んでいた。しかし、彼らと接触できるまたとない機会である。彼らはその組織の都合から数日で連絡先を変えてしまうという。もし、この機を逃せば二度と連絡がつかないかもしれない。そして連絡がつきさえすれば、彼らのメンバーの1人と接触することができるはずである。その素性を調べ上げれば、そこから買春倶楽部を崩壊に導くことも夢ではない。
 「でも、それには・・・」
 自分が買春倶楽部に入会したい女性を装って彼らに近付く。そこでやつらから動かぬ証言を手に入れればいい。あとは警察の仕事である。そのためには一度くらい奴らに抱かれることなどどうということはない。それで自分の望みが果たされるならば、安いものである。
 「そうだ。私は・・・私はあの子の仇を!!」
 まだ16歳の若さで自ら命を絶った妹のことを思えば、その妹を死に追いやった相手を裁くことができるならばこの体がどうなろうと問題ではない。ただ、早苗が気になっていたのは最近買春倶楽部の主要メンバーを死に追いやっていると思われる面々の存在である。すでにメンバーが2人、やられている。その2人が2人とも心臓麻痺というあまりに都合のいい死に方が早苗に何者かの存在を教えていた。
 「買春倶楽部のメンバーが捕まりだせば、そいつらだって焦るはず。そこで正体を掴めば!!」
 法に乗っ取った裁きを認めない連中など早苗には信用ができない。そんな連中など一緒に捕まえてしまえばいい。そのためにもまずは買春倶楽部のメンバーの身柄を抑える必要がある。意を決した早苗は携帯を取り出すとメモに書かれた番号にダイヤルする。上手く行くものかと息を呑んでいた早苗だったが、意外に簡単に連絡がつき拍子抜けしてしまう。
 「では、明日の6時に・・・」
 とんとん拍子に話が進み、明日の夜、ホテルで会い、細かいこと面接をすることで話がついた。面接とは名ばかりで相手の抱き心地を確かめるのが目的かもしれない。早苗はそれならそれでもいいと思った。そういった面接ならば主要メンバーの誰かがその場に来る可能性が高い。後はそのときの会話を録音し、それを証拠にすればいい。
 「絶対に捕まえてやる!!」
 意気込む早苗はグッとこぶしを握り締める。翌日、早苗は胸元が広く開いた服を選び、いつもあまりしない化粧をしっかりとし、なるべく着飾ってゆく。そして待ち合わせのホテルに向かうと指定された部屋へと向かう。そしてドアの前で大きく深呼吸をする。
 (ここからが本番だ・・・一つのミスも許されない・・・)
 確実に相手を誘導して証言を引き出さなければならない。そのためにも相手を油断させなければならない。まずは好印象を与えるようにしなければと心がける。もう一度大きく深呼吸をすると、ドアを叩く。だが、部屋の中からは返事がない。もう一度叩くが、結果は同様であった。
 「早すぎた・・・の??」
 早苗が首を傾げながらドアノブを廻すと、ドアはすんなりと開く。オートロックであるはずのドアが開くということはすでにこの部屋の誰かいるということである。早苗はドアを開け、中の様子を伺う。薄暗い室内に人の気配はない。
 「失礼します・・・」
 早苗は脚を忍ばせて室内へと入り込む。案の定室内には誰もおらず、しんと静まり返っていた。ただ、椅子の上に荷物があるところからこの部屋に誰か来ていた事は間違いない。早苗は自分の腕時計をみる。約束の刻限を数分過ぎただけで、遅れてはいない。
 「どこに・・・・むぐぅっっっ!!!」
 早苗が首を傾げると、何者かが背後から彼女を羽交い絞めにしてくる。慌てた早苗が抵抗しようとするが、その口元を布のようなもので塞がれてしまう。何か甘い香りが鼻をつく。その匂いをかいでいると、意識が朦朧としてくるのがわかった。
 (クロロフォルム???まずい・・・)
 必死の抵抗を見せる早苗だったが、薬はすでに効き始めていた。体から力が抜けてゆく。意識もどんどん朦朧としてきて、眼の前が闇に染まってゆく。早苗の抵抗も空しく、彼女の意識は完全に闇に没する。意識を失い、床に倒れ伏した彼女を見下ろしながら、彼女を羽交い絞めにしていた男はほくそえむ。興も上手く行くとはこの男も思いもしなかった。だが、いつまでも笑って入られない。すぐさま次の行動に移る。まずは外の様子を伺うとドアを閉める。そして早苗をベッドに横たえると、その身を包んだ衣装を無理矢理引き裂く。
 「ほう、こいつはなかなかじゃねえか!!」
 黒い下着姿を晒した早苗を見下ろしながら男はニヤニヤと笑う。そしてカメラを取り出すとその早苗のあられもない姿を納めてゆく。下着姿を取り、下着を剥ぎ取って全裸を、さらには脚を開いてヴァギナと顔が丸見えの写真まで撮ってゆく。
 「さて、こっちの我慢はできねえからな・・・」
 男はニヤニヤ笑いながら服を脱ぎ捨てる。その背中には般若の刺青が彫りこまれていた。引き締まった体格の男は早苗に圧し掛かると、まるで濡れていないヴァギナにペニスを宛がう。そしてそこをカメラに収めながら、ゆっくりと押し込んでゆく。
 「ちっ!!濡れてねえから滑りがワリィ!!」
 なかなかペニスが奥に入らないことに悪態をつき、唾液をまぶしてさらに無理矢理押し進める。ギチギチと押し返すような感触を感じながら男はゆっくりとペニスを押し込んでゆく。準備の出来ていないヴァギナは痛みを訴え、徐々に早苗の意識を覚醒させてゆく。ぼんやりとした早苗の視界に男の顔が映る。それを呆然と見つめていた早苗だったが、襲っていた激痛に悲鳴を上げ、完全に意識を覚醒させる。
 「痛いっっ!!だ、だれ???」
 「あん??おめえの客だよ!!」
 目に涙を浮べて抵抗する早苗を抑え込み、さらにペニスを押し込みながら男はそう答える。早苗は何がなんだかわからなくなってしまう。確か、今日ここに面接をしに来るのは買春倶楽部の幹部のはずである。それがどうしてやくざの客が来るのだろうか。その意味がわからなかった。
 「訳がわからねえって顔してんな?いいぜ、幾つか教えてやる。まずはお前は嵌められたんだよ」
 「嵌められた?誰に??」
 「俺たちにさ。お前の正体は前もって分かっていたからな。俺たちのことを嗅ぎまわっているジャーナリストってことは先刻承知の上だ」
 男の言葉に早苗は絶句してしまう。どこでばれたのかはわからない。しかし、男達にはすでに早苗が買春倶楽部に潜入することが知られていたのだ。その上で自分をここに誘い出し、この男が客として現れたのである。とはいえ、最初の行為は荒っぽすぎはしなかっただろうか。そんな疑問が早苗の頭の中に過ぎると、男は早苗の体を舐めながらその疑問に答えてくれる。
 「次に俺は買春倶楽部の特別顧問、○×会の大木春鷹ってもんだ。俺の仕事は薬を奴らに廻すこととその資金の回収、あとは・・・」
 大木はそう言って早苗の乳首を強くかんでくる。その痛みに早苗は実を強張らせ、小さく悲鳴を上げる。その上で大木はその乳首を嘗め回してくる。
 「女の調教、それも俺の仕事さ!!」
 大木はそう言ってニタ〜〜っと品の悪い笑みを漏らす。そして一気に腰を落としてくる。準備の出来ていない膣は引き裂かれるような激痛を訴えてペニスを完全に受け入れる。男性経験の少ない早苗から見ても大木のペニスは太く、ごつごつした感触がした。
 「どうだ、真珠入りのチンコの味は?癖になるだろう??」
 大木は早苗の顔を舐めあげながら面白おかしそうに笑う。そして遠慮も労わりもなく、腰を動かし、ペニスを抽送しだす。ごつごつした感触のペニスが膣壁を激しく擦り上げ、早苗は痛みとも、快感ともわからない悲鳴を上げる。ペニスが動く度に膣壁がごろごりと擦りあげられ、その絶え間なく捲り上げられる感覚が快感であり、まだぬれていない膣道をペニスが出たり入ったりすることは激痛であった。
 「ふぐっっ!!うううぅっっ!!」
 眉をしかめ、必死になってこらえる早苗に対して大木はさらに動きを加速してゆく。その動きに早苗の膣も答え、奥からとろとろと愛液が滴り落ちてきて、その動きを助ける。愛液の助けを借りてさらに加速したペニスはグチュグチュと淫らな水音を奏でながらさらにその動きを激しくする。
 「おう、どうだ、姉ちゃん?気持ちよすぎて失神しちまいそうだろう??」
 「き、気持ちよくなんかない・・・うぐっ!!この、へたくそ・・・」
 ニヤニヤと笑いながら腰を振る大木は愉快そうに早苗を見下ろしながら尋ねてくる。対して痛みに目じりに涙をたたえながらも早苗は気丈にも大木を睨み返し、罵りの言葉を上げる。その言葉を聞いた大木はその早苗の気丈な態度を鼻で笑うと先ほどよりも強く、早く腰を動かす。
 「おらっ!!これでも感じねえっていうのか、このアマ!!」
 部屋中に肉と肉がぶつかり合う音が響き渡り、勢いよく押し込められるペニスによって愛液が辺りに撒き散らされる。その激しい攻めに早苗は手で顔を覆い隠し、必死になって声を上げないように抵抗する。大木はそんな早苗の顎を掴むと無理矢理キスをしてくる。舌を絡め、素直になれといわんばかりに早苗の口内をかき回してくる。が、すぐに顔を離す。その唇の端から赤いものが滴り落ちる。
 「誰があんたなんかに・・・ふぐっっ!!!」
 大木の舌に噛み付き抵抗した早苗は彼を睨みつけながらきっぱりとそう言い放つ。舌を噛まれた大木はしばし無言のまま早苗を睨みつけていたが、無造作に拳を早苗の腹部に叩きつける。腹部の激痛、そしてこみ上げてくる嘔吐感に早苗はもんどりうって転げ回る。
 「たく、こっちが下手に出ていれば付け上がりやがって!!」
 大木は吐き捨てるように言い放つと、自分の荷物を探る。そして中から一つのケースを取り出すと、何事か準備を始める。その背中を見つめながら早苗は逃げようと試みるが、体が上手く動かない。ベッドから転げ落ち、何とか這いずって逃げ出そうとする。
 「誰か・・・助けて・・・」
 「どこ逃げようってんだ、こら!!」
 早苗が逃げようとしていることに気付いた大木はその髪を鷲掴みにすると、引きずってベッドの上にもう一度放り投げる。それでも抵抗する早苗に圧し掛かると、片手で早苗の腕を抑え込む。じたばたともがく早苗だったが体重さ、体格差は如何ともし難かった。
 「ったく、無駄な抵抗ばっかりしやがって!!少しはおとなしくしてられねえのか!!」
 「貴方たちの言いなりになんかなるもんか!!」
 「ちっ!!くそ生意気な奴だぜ!まあ、それもこいつを決めちまえばおわりだがな!!」
 自分を射抜くような眼差しで睨みつけてくる早苗の顔を見ながら大木は舌打ちをする。しかし、その顔はすぐに下卑た笑みを湛え出す。その笑みに早苗は背筋が寒くなる。何かいやな予感がする。そんな早苗の予感は的中する。大木の手には注射器が握られていた。
 「っな・・・それは・・・」
 「お前もよく知ってるだろ?クスリだよ、それも高純度のな」
 注射器の先端から中身を押し出しながら大木はにやりと笑う。それを聞いた早苗はさらに青くなる。覚せい剤、そんなものを打たれたらどんなことになるか、それは誰に言われるまでもなく早苗が一番よく知っていた。最愛の妹がそれを打たれたがためにどうなったか、それは早苗の記憶に今も鮮明に刻まれている。弱々しく頭を振っていた早苗だったが、すぐに激しく暴れ出す。
 「いやぁぁっっ!!そ、そんなの打たないでぇぇっっっ!!」
 「うるせえアマだな!!今、こいつをマンコに直接打ってやるから待ってろ!!」
 悲鳴を上げて暴れる早苗にそう言い放つと大木は早苗の上半身に圧し掛かったままその下半身を大きく開かせる。じたばたと暴れる早苗だったが、抵抗も空しく、濡れそぼったヴァギナが全開にされてしまう。大木はそこに迷うことなく注射器を突き立ててくる。
 「いやぁぁぁぁぁっっっ!!やめて、やめてぇぇぇっっっ!!!」
ちくりとした痛みの後に、何かが自分の中に流れ込んでくるのを早苗は悲鳴を上げて抵抗する。しかし、大木はやめようとはしない。結局早苗の抵抗も空しく注射器の中身はすべて早苗に注入されてしまう。すべて打ち終えた大木は注射器をしまうと、早苗は大きく震え上がり、ガクガクと痙攣し始める。大木はそんな震えたまま抵抗しなくなった早苗の足首を掴むと、その脚を大きく開かせ、そのトロトロと蜜が滴り落ちてくる中心に己の肉欲を再挿入する。
 「うほっ!!さっきより締まりやがる!!」
 「うあぁぁっっ!!ああああっっ!!」
 ヒクヒクと戦慄くヴァギナにペニスを押し込んだ大木はその締め付けに顔を顰めながらも嬉しそうな声を上げる。そして締め付けてくる膣内を確かめるように、力強い動きで膣壁を擦りあげる。そのペニスの動きに早苗は悲鳴にも似た絶叫を上げて悶える。
 「くくくっ、もう薬が効いてきたみたいだな?効くだろう、こいつは?たいがいの奴が廃人だぜ?」
 ゲラゲラと笑いながら大木は激しく腰を動かす。そんな大木に犯されながら早苗は絶望の淵に立たされていた。薬によってもう体はまともに動かない。もう、大木の言いなりに動く人形のようであった。わずかに残った理性が自殺を思い浮かばせるが、まともに動かない体ではそれも難しい。
 (悔しい・・・妹の仇も取れないで・・・)
 妹の仇を取る。その一心で今日まで生きてきた。そのために被害者に聞いてはいけないようなことを聞いて白い目で見られたこともある。水をかけられて追い返されたこともある。それもすべては妹のためだった。しかし、その苦労もいまや水の泡と消えてしまった。後は妹と同じ道を辿るしかない。
 (こんなことで終わるのか・・・なんか切ないな・・・)
 諦めにも似た想いが沸き起こる。このまま流されるに任せて終わるのもいいかもしれない。そう思い始めたときだった。ふと動かした腕に何かが当たる。何か硬いそれに早苗は意識を取り戻す。大木に悟られないように手の甲でそれを確かめる。
 (これは・・・アイスピック???)
 もう一度確かめてみるが、間違いなくアイスピックであった。ベッドの淵に隠れるように置かれていたものに早苗は首を傾げる。前にここを使った人間が置き忘れたのだろうか。それなら清掃のときに気付くはずである。その清掃の人間まで忘れたのだろうか。そんな都合のいい話があるだろうか。しかし、今の早苗にはそんなこと、どうでもいいことであった。
 (でも、これがあれば・・・)
 これさえあればこの大木を始末できる。しかも薬の道具はそのまま放置されている。ここで騒動を起こせば大木が捕まり、そこから芋づる式に関係者が捕まるかもしれない。そこから買春倶楽部の存在が明るみに出て、それを潰せるかもしれない。妹の仇を討てるかもしれない。これはもう薬でまともな思考が出来なくなってきている自分に残された最後の反撃の機会であった。
 (それなら確実に・・・)
 確実に大木を仕留められる体勢をとりたい、そのときを早苗は懸命に薬に抗って待つ。快楽と薬によって沈みそうな意識を、理性を妹の姿を思い浮かべることで繋ぎとめていた。大木はそんなこととは露知らず、早苗が完全に抵抗できないものと思い込みすき放題に彼女を犯していた。
 「おら、今度はこっちだ!!」
 「ああっ!!らにを・・・??」
 何度目かの膣内での射精を終えた大木は早苗をうつ伏せに入れ替える。動くと、お腹の中はすでに何度となく放たれた精液によってタプタプと音を立てているように感じられた。。子宮から逆流してきた精液が膣口から溢れ出してきているのもわかる。大木はそんな早苗の腰を高く浮かせ、脚を大きく開かせる格好をさせる。ヴァギナが全開になる格好を大木に晒すことは早苗にとってこの上ない屈辱だった。
 「くくくっ、こんなにヒクつかせやがって!!今入れてやるからな」
 「!!やら!!そんらとこ、やめれ!!」
 大木はしばし精液があふれ出してくるヴァギナを眺めると、おもむろにその上でヒクついている菊門に指を突っ込んでくる。突然のことに早苗は悲鳴を上げて抵抗するが、体に力が入らない上に抑え込まれていてはどうすることもできない。大木は遠慮なく指をアナルの中に押し込んでくる。第二関節まで入り込んだ指は早苗の腸壁を指先でかき回し、刺激してくる。アナルの中に入り込んだ指がクニクニと動く度に早苗の体はピクピクと反応を示す。
 「へへっ、もうかなり柔らかくなってやがる。これなら入るな」
 「らめ・・・やめれ・・・」
 懸命に抵抗する早苗だったが、余計なことに力を使ってその一瞬を逃すよりはと歯を食いしばって耐えようとする。早苗が歯を食いしばるのと一瞬遅れてお尻から引き裂かれるような激痛が吹き上がる。それは初めての経験のとき処女膜を引き裂かれたそれに似ていた。
 「ひぐっっ!!ああああっっっ!!」
 涙と涎をたらし絶叫する早苗を押さえ込みながら大木はそのごつごつとしたペニスを早苗のアナルに押し込んでくる。引き裂かれるような激痛を訴える早苗だったが、大木には関係ない。すべて埋没すると腰をグラインドさせて早苗のアナルを堪能する。

 「ぎゃははははっ、こいつは前も後ろもなかなかの名器だぜ。鍛えれば相当数の客期待できるな」
 大木はげらげらと笑いながら腰を動かし早苗のアナルを犯す。その激痛に早苗はほとんどグロッキー状態であった。それでもかすかに残った意識はその瞬間を逃すまいと必死に耐えていた。その後も早苗の口を、ヴァギナを、アナルを犯し続けた大木は早苗を自分の上に跨らせて下から突き上げてくる。騎上位、まさに千載一遇の機会が訪れたのだ。この瞬間を早苗は逃さなかった。残る力のすべてを振り絞って、大木が動けないよな体勢に持ち込むと、すかさずアイスピックを握り締めて振りかざす。突然現れた凶器に大木は悲鳴を上げる。
 「て、てめぇ!!そんなのどこから!!??」
 「死ねぇぇぇっっっっ!!!」
 大木の問いに答えず、早苗はアイスピックを大木の胸に振り下ろす。引き抜かれた箇所から鮮血が吹き上がり、早苗の顔を赤く染め上げる。それでも早苗はアイスピックを振り下ろすのをやめない。何度も、何度も大木の胸に突き立てる。やがて大木の動きが弱まったところで弾かれたように彼から離れる。
 「やった・・・殺っちゃった・・・」
 真っ赤に染まった手をじっと見つめながら早苗は何度も何度もそう呟く。あとは警察をここに呼べばすべてが終わる。過剰防衛を取られるかもしれないが、状況は自分は被害者である。ここから買春倶楽部を壊滅に持ち込めれば数年間の罪などどうということはなかった。
 「警察を・・・警察を呼ばなく・・・ちゃ????」
 よろよろと立ち上がった早苗は電話機を使って警察を呼ぼうとする。受話器を持ち上げ、ダイヤルしようとした瞬間、脇腹の辺りが熱くなる。ゆっくりとそちらの方を振り返ると、そこには血で真っ赤に染め、顔を真っ青に染めた大木が起き上がっていた。その手にはアイスピックが握られ、それは狙い違わずに早苗の左脇腹に食い込んでいた。
 「てめぇ・・・なんてこと・・・しやがんだ・・・」
 息も絶え絶えといった大木は弱々しく叫びながら何度も早苗の脇腹にアイスピックをつきたててくる。アイスピックがつきたてられる度に早苗の意識が遠退いてゆく。遠退いてゆく意識の向こう側で、早苗は今は亡き妹の姿を見る。その妹がスッと手を伸ばしてくる。早苗は笑顔でその手を掴む。やっと解放されるときが来た、早苗はそう感じていた。光が、そして闇が早苗を包み込んでゆく。そこから早苗は逃れようとはしなかった。どこまでも妹と一緒にいる、もうその手を離さないと心に誓って・・・




 「死亡したのは○×会の大木春鷹とフリージャーナリストの堺崎早苗です・・・」
 翌日、ホテル側からの通報で駆けつけた警察はその陰惨な部屋の光景に言葉を失った。全裸の男女が折り重なりあうようにして絶命していた。男の手にはアイスピックが握られ、それが凶器であることは間違いなかった。お互いに心臓を突き合い、絶命したらしい。
 「まったく、だからやめろといったんだ・・・」
 近藤は仏となった早苗の顔を覗き込みながら溜息を漏らす。この一件追うのは危険だと教えておいた女性の死は近藤には苦々しいものであった。だからといってこの一件をこれ以上掘り返すつもりは近藤には毛頭ない。この一件は情事のもつれ都言うことで処理されることになるだろう。
 「近藤さん、こんなものが!!」
 若い刑事が近藤の名前を呼ぶ。その手には大木が持ってきた注射器が握られていた。それを見た近藤はやれやれと頭を掻く。どうやらこの一件、ただの情事のもつれで終わりそうにない。覚せい剤取締法違反で○×会を捜索することになりそうだ。
 「こりゃ、しばらく忙しそうだ・・・」
 このときの近藤のぼやきは現実のものとなる。○×会関連事務所などが一斉に強制捜査が入り、大量の覚せい剤を押収、関係者が次々逮捕されることとなった。この事件は大きく取り上げられ、早苗はこの事件の最大の功労者とされ、悲劇のヒロインとして報道された。
 「これで彼女も少しは浮かばれるかな??」
 そんな過熱する報道の記事を読みながら修二は鼻を鳴らす。今回の一件で買春倶楽部の影に隠れていた奴、正確にはやつらの存在を浮き彫りにできた。予想外だったのはここまで○×会が被害を被ったことだ。修二の立てた計画では、○×会の存在を早苗が報道してくれればそれでよかったのだ。それがここまでやってくれたのは予想以上の成果であった。これで彼らが買春倶楽部に加担することはしばらくできなくなる。ただ唯一の気がかりはこの一件を機会に買春倶楽部の存在が明るみに出るかもしれないことだったが、どうやらそれは杞憂に過ぎなかったらしい。
 「まあ、お陰で余計な役者がみんな舞台から居なくなってくれたがね」
 「ふあぁぁっっ!!先輩!!もっと、もっと突いて下さい!!」
 今回の一件の報道に目を通しながら修二は自分の膝の上で踊るマリアにちらりと視線を送る。とろける様な顔で腰を振り、修二のペニスを味わっている。マリアの体が上下に動く度にその形のよいバストも一緒に上下に揺れる。人気上昇中のアイドルが全裸で男の腰を跨いで喘ぐ姿、それはマニアやファンであれば垂涎の光景が修二の目のまでで繰り広げられているのだ。そんな女を独占できることに修二は優越感を感じる。だが、いつまでもそんな気分に浸っているわけにはいかない。ペニスに熱中するマリアを無視して修二は視線を元に戻す。
 「しかし、ご主人様。人が一人犠牲になったことは・・・」
 「ああ。わかっている。こんなことになるとはそこも予想外だったよ・・・」
 修二の後ろに控えた奈々子が険しい顔でそう指摘してくる。その件については修二も同じ意見であった。アイスピックを用意したのはもちろん修二であった。早苗が逃げ出すときの助けになればいいと思い用意したものであった。スタンガンなどの意見もあったが、下手に警察やマスコミに調べられるのを嫌ってアイスピックを置いておくことにした。しかし、それがこの惨劇を引き起こしてしまったのだ。
 「彼女には悪いことをしたな・・・」
 マリアを攻め立てながら修二はそうぼやく。修二の立てた計画では早苗は覚せい剤中毒者として施設に入れられる、彼女が完治して出てくるまでにすべてを終わらせてしまう、そのつもりでいたのだ。彼女が記事を書けるようになる頃には買春倶楽部自体存在しないはずだったのである。
 「まあ、それでも彼女はその存在を書き立てただろうけど・・・」
 修二はそうなるであろうことは予測していた。奈々子たちには黙っていたが、アイスピックにしたのは賭けであった。運悪くても両者が舞台から退場、運がよければ両者ともこの世から退場してくれる。どちらに転んでも修二には都合がよかったからだ。もちろんこのことは奈々子たちには内緒にしてある。
 「はうぅぅんんっ、せんぱ〜〜い!!」
 「んっ?マリア、もうイくのか?」
 激しく喘ぐマリアのいっぱいいっぱいに張り詰めた乳首を軽く噛みながら修二が尋ねると、マリアは激しく首を上下に振る。もう限界ぎりぎりなのだろう。その証拠に腰の動きは早くなり、ペニスを締め上げる膣壁の力も増してきている。キュウキュウと締め付け、修二も限界へと締め上げる。
 「こっちもそろそろだな・・・マリア、どこに出して欲しい?」
 「お腹・・・お腹の中にいっぱい出してください!!お薬飲んできたからいっぱい出してください!」
 マリアはそう言って子宮の辺りを指差す。その望みを満たすように修二はマリアの膣内で思い切り己の欲望を解き放つ。子宮に満ちてくる熱いものを感じながらマリアは満足そうな笑みを漏らす。そして一際大きく喘ぐと、体を大きく震わせ、ぐったりとしてしまう。絶頂に達して力尽きたマリアは脱力しきって修二にもたれ掛かってくる。そのマリアを椅子に座らせると、修二はその隣にいた奈々子の腰に手を回し、自分の胸元に引き寄せる。
 「えっ・・・あっ・・・」
 「お前も抱いてやる、奈々子・・・」
 修二は奈々子の返事も待たずにスカートを捲り上げ、パンティーをずらし、ヴァギナに熱く滾ったペニスを宛がう。そして一呼吸の後にそれを奈々子の中に埋没させる。修二とマリアの痴態を見て体が熱くなっていた奈々子の膣は難なくそれを受け入れる。
 「ご主人・・・さま・・・」
 「安心しろ、奈々子。お前達は道具なんかじゃない。僕の大切な人たちなのだから・・・」
 喘ぐ奈々子の耳元で修二はそう囁く。その言葉を聞いたとたん、奈々子の双眸に涙が伝う。今回に一件をみて、自分も修二にとって駒か道具ではないかという不安が付きまとっていたのだ。しかし、今の一言でその不安は一掃される。修二の胸に抱かれて喘ぐ奈々子はこれからも修二についてゆこうと改めて心に誓う。そんな奈々子を抱きしめながら修二は薄く笑みを浮べる。その笑みにも、その笑みの意味にも奈々子もマリアも気づくことはなかった。ただ、新たな惨劇への扉が開いただけであった。


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