第8話


 薄暗い部屋の中、三人の男達が向かい合い、何事か話し合う。男達の前に置かれたテーブルの上には新聞や雑誌が何冊も積み重ねられている。そのどれも先日起こった暴力団の一斉摘発の記事が載っていた。男達はそれを指差しながら話し合い、時には溜息も漏れてくる。
 「我々の存在まで明るみに出なくて幸いでしたね・・・」
 「まったくだ。まあ、これで我々を嗅ぎまわるものはいなくなったわけだが・・・」
 「その代わり、薬の入手が困難になりましたな・・・」
 ○×会一斉摘発の引き金になった事件、○×会系組員大木春鷹の刺殺はこの男達にも深刻な影響を及ぼしていた。その一番の影響は大木が流してくれていた覚せい剤が手に入らなくなったこと、もう一つは厄介者の始末をつけてくれるものがいなくなったことである。これまではこの二つの仕事は大木が担当してくれていた。その彼がいなくなったことは彼らに深刻な影響を及ぼしていることは間違いなかった。
 「薬のほうは私が何とかしてみましょう・・・」
 「頼みますよ、浅沼教授・・・」
 男達の一人、浅沼近衛が薬を集めることを約束すると、残りの2人、内海孝三と大小森総氏は満足そうに頷く。薬大の教授の彼なら合法的に薬をまわしてもらえる可能性は高い。はっきり言って彼らが率いる買春倶楽部の女性の中にはすでにヤク中であるものもいる。その薬を買うために買春倶楽部を抜けられないのも事実である。その彼女たちが薬を手に入れられないとわかったときどうなるか、それを回避するためにも是が非でも覚せい剤の入手は急務であった。
 「あとは厄介者の始末ですが・・・」
 「こればかりは・・・ねぇ・・・」
 「そのことですが、先生からご連絡が・・・」
 もう一つの影響をどうするかを話し合っていた浅沼と大小森は深い溜息をつく。人間の始末など彼らには向かない仕事である。すると内海が手を上げて発言してくる。このメンバーの中でも一番若い内海の発言は極めて珍しかった。そして、彼の口から出た”先生”という言葉に浅沼も大小森も反応する。
 「先生が??なんと??」
 「新しいルートは用意するとのことです。ですが、その確保ができるまで一月ほど欲しいと・・・」
 「その間は我慢するしかないと、そう言うことか・・・」
 中毒患者へは今手持ちの残りで一月まかないきれる可能性は高い。あとはその一月の間になにごとも起こらなければいい、自分たちに繋がるような不祥事、自分たちのことを探るものが出てこなければいい。浅沼も、大小森も、内海もそう考えていた。せっかく自分たちのことを探っているものの始末ができたばかりでまた出てこられるのは困りものではあるが。そんな話をしていた三人はさらに顔を近づけると話を進める。
 「それで先生はいつこちらに??」
 「来月には戻ってくると・・・あれもありますから・・・」
 内海の説明に浅沼は大きく頷く。薬の問題は時間は掛かるものの確保可能になり、自分たちのことを探っていたジャーナリストは死亡した。これで彼らの頭を痛めるものはなくなったといえる。あとは今後の後始末をできるものが出来上がればいい。そんな安堵感が彼らの間に漂い始める。
 「まあ、立花君と小牧君は不幸だったねぇ・・・」
 「しかし、本当に彼らは心臓発作だったのかね?」
 「ええ。自分も検死に立ち会いましたが、間違いなく外傷や薬物反応はありませんでした」
 まだ不安そうな顔をする大小森に内海は詳しく説明する。雄幸大付属病院の若手医師、将来性豊かで有望株。それが内海の表向きの肩書きであった。その肩書きを使って立花と小牧の検死に立会い、不信な部分がないかを調べ上げてきたのである。幸いにも彼の目にはそれは映らなかった。
 「そうか。では、いつものように・・・」
 「うむ。で、今宵は???」
 「くくっ、先日旦那さんを亡くしたばかりの未亡人などを・・・」
 安心しきった表情を浮べる浅沼と大小森に内海はほくそえむと、顎でベッドの上を示す。下卑た笑みを浮べた2人はその上のシーツをはがす。そこには一人の女性が寝かされていた。深い眠りについているのか、安らかな寝息を立てている。その女性の顔を見た浅沼は驚きの表情を浮べる。
 「おい、この人は・・・」
 「んっ?なんだ、小牧君の奥さんじゃないか??」
 浅沼の言葉に女性の顔を覗き込んだ大小森も驚きの表情を浮べる。そこに寝かされていたのは紛れもなく小牧の妻、小牧あおいであった。年は確か40前後のはずだが、さすがにアリア、マリアの母親というだけあってとてもそうは見えない肌の張りをしていた。
 「小牧さんがなくなって一人ぼっちで淋しそうになさっていたもので」
 「一人ぼっち?確か小牧くんには双子の娘さんが・・・」
 「そうだ、確かアイドルの、彼女たちを呼んでくれたほうがよかったんだがな!」
 「申し訳ないです。二人はすでに家を出てしまっていて・・・」
 内海はそう申し訳なさそうに頭を下げる。アリアとマリアを抱く機会を逸した浅沼と大小森は少し不機嫌そうな顔をした。だが、喪服を着たあおいが寝返りをうつと、その裾から除く白い腿や、襟から覗く鎖骨を見ていると、下半身に血液が漲ってくる。二人のはない気は荒くなり、あおいも悪い相手ではないと思い直し始める。そしてまた下卑た笑みを浮べるのだった。
 「しかし、よく彼女を落せたね・・・さすが女殺し!」
 「まったく、きみのような男とうちの娘を結婚させるべきではないのかもしれんな」
 「麗美さんにはご内密に・・・」
 浅沼と大小森の言葉に内海は唇に指をやって合図する。浅沼の娘と内海の婚約は関係強化を狙ってのことだったが、浅沼の娘、麗美は内海にぞっこんであるらしい。内海も麗美の前では好青年を演じている。その裏では女を買いあさる倶楽部の一翼を担っていた。
 「まあ、いいでしょう。今宵はあおいさんで存分に楽しませてもらいましょう!!」
 「そうしましょう、そうしましょう!!」
 そう言いながら服を脱ぎ捨てた浅沼と大小森はまだ意識がはっきりとしないあおいに覆いかぶさってゆく。内海も乗り遅れまいと服を脱ぎ捨てあおいに覆いかぶさる。三人は喪服の襟元を左右に開き、その大きくなくとも形のいい胸を露にする。その頂点では赤みがかった乳首がフルフルと震えている。
 「大きさはそうでもないですが、形は綺麗ですな」
 「まったく。こちらの方は?」
 大小森はそう言って喪服の裾を広げる。二本の白い太股が露になり、その集合地点には喪服と同じ黒の下着がその白い肌を強調していた。大小森はその下着に顔を近づけそこの匂いを鼻を鳴らして嗅ぐ。かぐわしいメスの匂いが鼻をくすぐる。その匂いがケダモノの心をさらにくすぐる。
 「うむ。いい匂いだ・・・・」
 しばし匂いをかいでいた大小森は満足そうに頷く。そしてその白い太股に舌を這わせ始める。それに合わせるように浅沼も内海もあおいの白い肌に舌を這わせる。舌先が白い肌をすべると意識のないはずのあおいの体がピクリと反応を示す。だが、少し震えるだけで、それ以上の反応は示さない。そんなあおいの反応を浅沼も大小森も不満そうな表情を浮べる。
 「うっ・・・あっ・・・あっ・・・」
 「う〜〜む、反応が鈍いようだが・・・」
 「ここに来る前に薬で眠ってもらいましたから。そろそろ意識も戻る頃でしょう」
 内海はそう言って、飲み物を飲むポーズを取る。その意味を読み取った浅沼と大小森は大きく頷くと二人揃って左右に開いた襟から覗くあおいの乳房にむしゃぶりつく。まだまだ張りのある乳房は二人を受け止める。乳首をころころと舌先で転がし、音を立てて啜り上げる。その乳首を虐める攻めに反応するようにあおいの呼吸が荒くなってゆく。やがて意識が覚醒し、目を開ける。
 「え・・・あっ!!いや!!なんですの!!??」
 自分の置かれた状況を悟ったあおいは悲鳴を上げて体を隠そうとする。しかし、三人の男に圧し掛かられていては身動きが取れない。それでもあおいは悲鳴を上げ、助けを求めて暴れる。そのあおいの無駄な足掻きを三人は面白おかしそうに見つめていた。
 「堪りませんな、この肌の張り。とても二児の母親とは・・・」
 「まったくですな。しかし、少々うるさすぎやしませんかな?」
 「こういう中でやるのもまたいいものなんですよ」
 暗に薬でおとなしくさせろと勧めてくる浅沼に内海はそう言って平然と答える。それを聞いた浅沼と大小森は顔を見合わせて醜く顔を歪ませる。ここでは自分達が王様である。ここに居る以上、どんな女も自分達の自由にできる。彼らはそう信じきっていた。
 「いや、やめてください!!いや!ふぐっっ!!!」
 あおいを膝立ちの状態にさせると、大小森はその顎を掴んで半立ちの自分のペニスをあおいの口の中に押し込もうとする。血管を浮かび上がらせて蠢く肉棒を見た葵はなにをされるかを察し、懸命に抵抗し、抗おうとする。しかし、力では大小森の方が勝っていた。結局口の中に熱い肉棒が押し込まれる。
 「ふぐっっ!!うううぅぅぅっ!!」
 涙を流しながら抵抗するあおいの胸を内海が舐めまわす。大きさはそれほどでもないが肌の綺麗さは秀逸である。その肌の美しさを堪能するかのように内海は舌を這わせ、硬くしこった乳首を唇で挟み込む。そして音を立てて啜ったり、軽く歯を立てたりもする。


 「うっ、うっ、うううっっ!!」
 口にペニスを咥えさせらたままあおいは言葉にならない声を上げて激しく喘ぐ。その股の下には浅沼が顔を埋め、彼女のヴァギナを嘗め回していた。指を、舌を使ってまだ色の綺麗なヴァギナを丹念に舐めまわす。その指と舌の動きにあおいは腰をくねらせ、うめき声を上げる。
 「いくら舐めても止まりませんな。いや、興奮する!!」
 「そうですか、ではまずは浅沼さんからどうぞ!」
 ヴァギナを舐めながら浅沼は嬉しそうな声を上げる。浅沼に舐められたヴァギナはネットリと濡れ、妖しくヒクついて浅沼を誘惑する。その誘惑に耐えられるほど浅沼は根性のある人物ではなかった。ペニスを限界まで張り詰めさせている。それを見た内海はまずは浅沼からやってはどうかと声をかける。
 「おおっ?いいのかね??」
 「どうぞ、どうぞ。お好きなだけ!」
 嬉しそうに答える浅沼の顔を覗き込みながら内海は大小森と一緒にあおいの両脚を抱え上げるような格好で持ち上げると、あおいのヴァギナの位置を浅沼のペニスの位置まで移動させる。ビショビショに濡れたあおいのヴァギナと、ビクビクと戦慄く浅沼のペニスの先端が軽く触れ合う。三人の意図を察したあおいは悲鳴を上げて激しく抵抗する。
 「やめて!!やめてください!!そこは・・・」
 「ここはなくなった旦那さんのものだとでも??その旦那は他の女の穴を掘りまくっていましたよ?」
 懸命にヴァギナを隠そうとするあおいの手を取ると、内海は妖しく笑いかけながらそう囁く。その言葉にあおいは激しく動揺する。そんなあおいの顔色を伺いながら内海は小牧がしてきたことを具にあおいに語って聞かせる。その話をあおいは呆然と聞いていた。
 「うそ・・・そんな・・・」
 「一緒にやってきた我々が言うのですから嘘はありませんよ。何なら証拠もお見せしますよ」
 まだ信じられないといたt顔をするあおいに内海はコントローラーを使って備え付けのテレビに接続してあったDVDを再生し始める。そこには激しく抱き合う男と女が映されていた。女の方はどう見ても中学生、半脱ぎのセーラー服を揺らしながら激しく痛みを訴える。少女の膣から出入りするペニスには少女が初めてであった証が痛々しく刻まれていた。涙ながらに嫌がる少女を男は容赦なく責め立てる。その顔は己の欲望を満たすことしか考えていない顔であった。そしてその顔にあおいは非常に見覚えがあった。
 「あな・・・た・・・」
 「お判りいただけましたか?ちなみに犯されている少女は今ではうちの稼ぎ頭の一人ですよ」
 呆然とするあおいに内海はクスクスと笑いながら話しかける。その様子を見ながら浅沼と大小森もおかしそうに笑い出す。、もちろんこの少女の調教には内海も浅沼も大小森も関わっている。しかし、あおいに見せているのは小牧が少女を犯すシーンだけを編集したものであった。しかし、今のあおいにはそんなことを考える余裕などまるでなかった。このおかしな連中も、今目の前で少女を無理矢理犯す夫もあおいには夢幻のようにしか思えなかった。しかし、現実に男達は存在し自分を犯そうとしているし、画面の中の夫は少女を犯している。
 「さあ、あなたも彼女の仲間入りしましょうよ」
 呆然とするあおいに内海は冷たく言い放つと、もう一度彼女を持ち上げ、浅沼のペニスの真上に連れてくる。そして間髪いれずにペニスの上にその体を落としこむ。狙いを定めたペニスは軽い抵抗感とともにあおいの膣を割り開き、ズブズブと埋没してゆく。あふれ出した愛液が潤滑油となってその動きを助ける。
 「うあっっ!!あああああっっっ!!!」
 膣壁を押し広げて入り込むペニスの感触にあおいは喘ぎ声とも悲鳴ともつかない声を上げて絶叫する。必死に抵抗して逃れようとするあおいを三人がかりで押さえ込み、激しくその膣をかき回す。その腰の動きにあおいの抵抗は少しおとなしくなってゆく。
 「おおっ、これは・・・なかなかいいオマンコじゃないか。絶妙に締め付けてきて・・・」
 「とても二児の母親と思えないオマンコ、ですか??」
 「ああ、すごい締め付けだ。小牧くんめ、こんないいものを独り占めしていたのか!」
 あおいのヴァギナをかき回しながら浅沼はそんな勝手なことを言う。そう言う自分だって自分の奥さんを買春倶楽部に差し出しているわけではない。あまりに身勝手な言い草だったが、それを咎めるものは誰もいない。浅沼はその膣の気持ちよさに奮起して、さらに激しく腰を動かす。
 「ううっ、もう我慢できそうにないな・・・薬は飲ませてあるのかい?」
 「いいえ。ピルなんて飲ませてませんよ!!」
 「そ、それでは妊娠の心配が・・・」
 「いいじゃないですか。身重の未亡人、ボテ腹の熟女、マニアには受けますよ?」
 内海の言葉に浅沼はしばし唖然としていたがすぐにニタリと笑い出す。このまま出して妊娠しても自分達には関係ない。孕んでもそのまま買春倶楽部に参加させればいいだけの話である。そう言うのが好きな連中も居るはずである。そしてあおいのお腹の子供は誰かなどわかるはずがない。ここにいる自分を含めた誰かの子供であるかもしれないが、それを認知してやる必要性はまるでないのだから。
 「それもそうだな、このまま膣内に出してやるとするか・・・」
 「いやっ!!それだけは・・・」
 「いまさら何を嫌がっているんだか。あなたが妊娠しても咎める旦那さんはこの世にもういないんですよ!?なら、膣内射精してもらって気持ちよくなりましょうよ」
 浅沼が頷くと、あおいは悲鳴を上げて逃げようとする。その彼女を押さえつけて内海はその耳元で平然と囁く。そんな言葉に納得できるわけもなく、あおいは激しく暴れるが、内海も、浅沼も、大小森も彼女を逃さない。浅沼は激しく子宮を突き上げ、極みへと登りつめてゆく。
 「くおぉぉぉっっ!!もう我慢できん!!」
 「いやぁぁっっ!!助けて、あなた!!」
 あの絶望的な映像を見てもなおあおいは亡き夫に助けを求める。そんなあおいを冷笑しながら内海はあおいの体を力づくで押さえつける。その瞬間、浅沼は短く呻き、あおいの膣内で思い切り射精する。お腹の中で何度も叩きつけるような感触を感じながらあおいは絶叫する。その絶叫も空しく浅沼はすべてをあおいの膣内に射精する。やがて満足した浅沼を押しのけるようにして大小森が割り込んでくる。
 「次は、わたしだ!!いいよな??」
 「ええ、構いませんよ」
 興奮してペニスを扱き上げながら叫ぶ大小森に内海は平然と頷く。そしてあおいの両脚を抱え込むようにしてひっくり返すと、ゴポリと精液があふれ返って来るヴァギナを大小森の方に差し出す。そのヴァギナを見た大小森はニヤニヤと笑いながらいきり立ったペニスをあおいのヴァギナに宛がう。
 「それじゃあ、頂きます!!」
 「いやぁぁぁぁっっっ!!」
 大小森は短くそう言うと、忙しなくペニスを押し込む。すんなりと潜り込んでゆくペニスの感触にあおいはまた悲鳴を上げる。暴れても、暴れても内海は彼女を逃さない。そのあおいの両脚を抱え込みながら大小森は激しく腰を動かし、ペニスを動かす。先ほど浅沼が放った精液がペニスの動きにあわせて溢れ出し、白い泡を立ててあおいのヴァギナにこびり付く。
 「おおっ、なんて心地いい絡みつき方だ。こりゃ、すぐにでもイきそうだぞ??」
 「おや、そうですか?でも、その前に一本打っておきましょうか・・・」
 内海はそう言ってあおいから手を離すと自分の荷物を弄り始める。しばし、中を探していた内海は一本の注射器を取り出し、何事か準備を始める。その様子を大小森に抵抗しながらあおいはチラリ、チラリと伺っていた。その視線に気づいた内海はニタリと笑う。
 「これですか?これはあなたを天国に誘う薬ですよ」
 「え??んんっっっ!!」
 「すぐに気持ちよくなりますからね・・・」
 内海の言葉に驚いた表情を浮べるあおいの腕を押さえ込み、注射器を宛がう。その様子に恐怖を感じたあおいは激しく暴れ、抵抗する。そのあおいを三人がかりで押さえ込み、身動きを取れないようにする。内海は注射の準備を進める様子を真っ青になって見つめていたあおいは弱々しく頭を振る。
 「いや・・・やめて・・・」
 「大丈夫ですよ、そんなに怖がらなくても。すぐに気持ちよくなって何回も欲しくなりますから」
 押さえつけられてt身動きできない状態でも弱々しく抵抗を続けるあおいに内海はきっぱりとそう言いきると、針をあおいの腕に突き立てる。そしてゆっくりとその中身を注入してゆく。震え、涙を流しながらその様子を見つめていたあおいだったが、やがて変化を見せ始める。
 「あっ・・・あっ・・・あああっっ・・・」
 ガクガクと小刻みに震えはじめる。口からはだらしなく涎があふれ出し、体を痙攣させながら、腰を振る大小森に縋りつく。まるで愛しい人に縋りつき、愛を求めるように大小森の首に腕を廻し、自分から腰を振って大小森を求め始める。そのあおいを攻める大小森も苦悶の表情を浮べる。
 「うぐっっ・・・こりゃ、万力で締め付けられているみたいだ・・・」
 「すごいでしょう?じゃあ、僕は後ろの穴でも頂きましょうか」
 呻く大小森にそう答えると内海はあおいをまたひっくり返して後ろに回りこみ、そのヒクヒクと戦慄くアナルに自分の欲棒を宛がうと、一呼吸の後中へと押し込んでゆく。アナルへの挿入、その激しい痛みを伴う行為だったが、今のあおいには激痛を感じなかった。逆に恍惚の表情を浮べて喜びの声を上げる。
 「あへっ、あへっ、あへっ!!」
 「おお、こりゃ、さらに締め付けが強くなって・・・」
 「ふふっ、同じ未亡人でもこの間とは違うでしょう?」
 「この間?それは自殺した湊沙耶子のことを言っているのかね?」
 内海の言葉に一人離れたところで煙草を吹かしていた浅沼が尋ねると、内海は無言のままうなずく。その言葉に浅沼も大小森も鼻を鳴らす。2人には非常に思い出深い人物であったのは間違いない。しかし、内海には自分が買春倶楽部に加わった時点で出来上がっていた沙耶子はあまり興味のある素材ではなかった。
 「あの胸は素晴らしかったですな・・・」
 「あのでかさはまさに芸術品でしたな・・・」
 「まあ、この小振りな胸もそれなりにいいものではありますが・・・」
 「いや、惜しい人を亡くしたものです・・・」
 自分達のしてきたことが沙耶子の自殺に繋がったというのに三人とも他人事のように沙耶子の死を惜しむ。いや、本当に惜しんでいるのではない。その体を貪れなくなったことを惜しんでいるのである。その場に修二がいたら撲殺しかねない暴言である。残念ながら彼らには沙耶子などその程度の存在でしかなかったということである。
 「しかし、彼女とのことを取ったテープが一本行方不明だったはずだが?」
 「ええ。僕も彼女が持ち去ったのかと思ったんですが、遺品からはそんなもの出てこなかったそうで」
 「なら、我々がどこかで失くした、ということですかな?」
 「そうなりますな。早く回収できるといいのですが・・・」
 人一人の命よりも、自分達が映ったテープの方の心配をする浅沼たちだったが、その間もあおいを辱めることをやめようとはしない。大小森がヴァギナを、内海がアナルを、浅沼はあおいの口にペニスを捻じ込み舐めさせる。三本のペニスを同時に攻められながらあおいは苦しそうに喘ぐ。しかし、それには歓喜の色が含まれていた。そしてその表情は嬉しそうにペニスを味わっている。すでに薬が廻り、脳が痛みも苦しみも感じなくなっていた。亡き夫に許しを請う気持ちもない。いまそこにあるのはただ快楽だけ。その果てることなき快楽の地獄にあおいはその身をゆだねるのだった。いつまでも、いつまでも・・・



 「母親と連絡が取れなくなった??」
 夜の樹家、いつものように応接間に集まった修二はアリアとマリアからの話に驚きを隠せなかった。自分の知らないところでそんなことが怒っていたとは想像もつかなかった。いつでも自分のところに来易いようにと、アリアとマリアには家を出ることを勧めはしたが、その実家に残された母親が姿を消すとは思いもしなかったのである。
 「はい、数日前までは連絡が取れていたんですけど・・・」
 アリアは心配そうに話す。その隣ではマリアが今にも泣き出しそうな顔をしている。話を聞いていた修二は首を傾げる。元々アリアとマリアを家から出したのは母親から遠ざけることが目的で、アリアとマリアの母親に手を出すつもりは毛頭なかった。だから彼女たちの母親が行方不明というのは修二には寝耳に水だったのである。考え込んでみるが、どこに行ったかなど修二にわかるはずがない。
 「お前達の母親はいなくなった日、何か用事でもあったのか?」
 「あの日はお父さんのお墓参りをしてその後わたし達と夕食を一緒に取ることになっていたんです」
 泣き出しそうな顔をしながらマリアが説明する。週に一度会うその日を母親も楽しみにしていて、その約束を反故にして行方不明になるなどマリアには信じがたいことであった。話を聞いた修二も同じ考えであった。そんな人間が娘達を残して失踪するとは考えにくい。
 「ほかにないか用事は?」
 「あとは・・・そういえばお母さん、病院にいくって・・・」
 「うん。最近夜眠れないからお医者様に診てもらうって・・・」
 「どこの病院だい?」
 「「雄幸大付属病院です」」
 双子は声をそろえて答える。その答えを聞いた修二はしばし考え込む。雄幸大付属病院、聞いたことのある名前がどこか引っかかる。しばらく考え込んでいると、ある人物とかかわりのある病院であることを思い出す。そしてそこからある答えが導き出される。その最悪の答えに修二は頭を抱え込み唸るしかなかった。
 「あいつら・・・そこまでやるのか・・・」
 「どうかなさったんですか、ご主人様・・・??」
 修二の様子に彼の後ろに控えていた奈々子と亜美が心配そうに尋ねる。どうやらここにいる娘達には自分が導き出した答えがわかっていないらしい。このまま黙っているのも手であったが、母親のことが心配で泣き出しそうなアリアとマリアのことを思うと、黙っているわけにはいかなかった。しばし俯いたままだった修二はアリアとマリアの顔をちらりと見ると、もう一度深い溜息を漏らす。そして、顔を上げるといま自分が思いついた答えをみんなの聞かせる。
 「おそらくアリアとマリアの母親を連れ去ったのは内海だ・・・彼女が通っていた病院は内海が勤めている病院でもある」
 「内海?買春倶楽部の??でも、どうして・・・?お母さんは買春倶楽部と何の関係も・・・」
 「おそらくだが・・・新しい商品にでもする気だったんだろう・・・」
 言葉に詰まりながら修二は答える。その答えを聞いたアリアとマリアは真っ青になる。まさか自分達の母親が買春倶楽部の被害者になるとは思いもしなかった。父親が加害者、母親が被害者ではこの双子もかわいそうでしかないと、修二は2人に同情する。しかし、雄幸大付属病院には内海がいることは間違いない。奴のことだから双子やその母親に目をつけていても不思議ではないだろう。ただこれまでは小牧がいたため手を出せなかっただけの話で、その小牧が居なくなったからこそ手を出してきたのだろう。
 「せ、先輩!!お母さんは???」
 「大丈夫なんでしょうか??」
 「多分、数日の内には帰って来ると思う・・・でも・・・」
 奴らに捕まって数日も帰ってこないということはろくなことが起こっていない証拠である。おそらく薬を打たれ、徹底的にレイプされ調教されているのは間違いない。そのことを覚えていて一瞬でも正気に戻ったとしたら・・・沙耶子のような結末を想像した修二は背筋に寒気が走る。もうあんなことは起こって欲しくない、あんな思いを誰にもして欲しくないと思っていたのに・・・それを平然と繰り返す内海たちに腸が煮えくり返るような想いだった。修二の表情から最悪のことが起こっていると感じ取ったアリアとマリアも青ざめて言葉を失っている。
 「とにかく、帰ってきたら強制入院させたほうがいい。奈々子、どこかいい病院の手配を」
 「わかりました」
 「できれば雄幸大付属病院と一切つながりのない、口の堅い病院がいい」
 修二の注文に奈々子は頷く。彼女の実家のツテを使えばそういった病院を見つけ出すことはわけないだろう。双子の母親はそこでゆっくりと療養させればいい。自殺という最悪の二文字が頭から離れないが、今できることをやっておこうと修二は思った。だが、修二の思いは最悪の結果という形で無残にも打ちのめされる事となるのだった。



 数日後、浜辺に一人の水死体が打ち上げられる。人気双子デュオの母親の自殺、その話題に事欠かない事件にマスコミはアリアとマリアを追い掛け回した。父親に続き母親まで失った双子に同情的な言葉を投げかけるものも居れば、夫婦仲のことまで調べ上げるものまで居た。
 「・・・・・最悪の結果になってしまいましたね・・・」
 「何でこんなことに・・・」
 連日報道される記事を読みながら奈々子も亜美も悲しそうに唸るしかなかった。アリアもマリアも報道陣に追い掛け回されてここ数日は修二のもとに来ることも出来ない有様であった。その記事を読みながら修二は表情を曇らせる。あおいの腕に薬物注射の後があったことがするされた記事であった。
 「犯人はほぼ間違いなくやつら・・・だな」
 「はい・・・」
 修二は記事の書かれた新聞を放り投げると悔しそうに呟く。あおいが大学病院に行き、内海によって拉致され、薬を打たれてレイプされた。そして監禁されて、心が折れるまで調教された。それは間違いないだろう。その上で自宅に帰し、客を取らせるつもりだった、薬を打たれている以上、薬を求めて自分達からは逃げられないと確信してのことだ。しかし、修二の最悪の予想通り、あおいは正気を取り戻し、錯乱状態に陥って自ら命を立つという結末を選んでしまったのだ。修二たちが彼女を保護するその前に・・・
 「アリアとマリアには悪いことをしたな・・・」
 「いえ。ご主人様はあの二人を救ったと思います」
 普段、積極的に話してこない亜美が今日は積極的に修二を弁護する。彼女の考えでは、もし修二がアリアとマリアを自宅から引き離さなかったら、今回の犠牲者に双子も加わっていた可能性を指摘する。その亜美の意見に修二は低く唸る。亜美の意見には一理あった。
 「確かにあの女好きどもが人気アイドルを逃がすはずないか・・・」
 「はい。薬漬けにして売り出せばかなりの客を取れると考えるはずです」
 亜美の的確な読みに修二は納得してしまう。確かにあの内海たちがアリアとマリアを見逃すはずがない。だが、修二が自分の手元に2人を連れ込んでしまったため手を出せなかったのだ。無理矢理誘拐などすれば自分たちのことが表沙汰になりかねない。だから2人の母親に狙いを変え、毒牙にかけたのだ。
 「だけど、妙だな・・・」
 「何がですか、ご主人様・・・??」
 「奴ら妙に強気すぎる・・・大木という後ろ楯を失ったはずなのに・・・」
 修二が気になったことを口にする。それを聞いた奈々子と亜美も顔を見合わせて頷きあう。修二の策にはまり、大木という彼らの後ろ楯はなくなったはずである。なのにやつらはおとなしくなるどころか、これまでとまったく変わっていない。いや、むしろより強気になっている印象すら受ける。
 「やつらの後ろ楯は大木ではなかった??」
 「そう言うことになるな。そいつが居るからまだ強気なんだろう・・・」
 「一体誰が・・・」
 「それは今度やつら自身の口から聞いてやるさ・・・」
 答えがわからない奈々子に修二はグッと拳を握り締めて答える。修二はどうやってアリアとマリアの母親の仇を討つか、沙耶子の無念を晴らすかを考える。やつらを最大限に苦しめて、産まれてきたことを公開するほどの屈辱と恐怖を味あわせてやる。その上でやつらの後ろ楯を吐かせ、それから始末する。それも生き地獄を感じるようなやり方で。最高に残酷な殺し方を何度も何度も頭の中でシミュレートする。
 修二の心はもう復讐の鬼に支配されていた。暗黒の闇にその身をゆだねていた。それが自分のみを滅ぼすことになるかもしれないとわかっていても修二は歩みを止めることは出来なかった。ただひたすらにまっすぐ歩み続ける。復讐という暗闇の中を・・・


→進む

→戻る

悪魔の微笑みのトップへ