第16話 深緑


 「あんむっ・・・あふあぁぁ・・・もっろ・・・もっろ、しぇいえき・・・」
 ファティナの耳にいやらしく喘ぐ女の声が聞こえてくる。貪欲に男を求めるその声にファティナはようやく意識を覚醒させる。頭がずきずきと痛む。周りは真っ暗でほとんど何も見えない。ここがどこなのかも分からない。少しずつここにいたるまでのことを思い出してみる。
 「そうか・・・あのゼロとか言う奴に・・・」
 新型融合人間試作型零号と名乗った魔族に負けた自分はどこかに連れてこられたようだ。もう一度辺りを見回してファティナは絶句した。自分のすぐ傍で女が複数の男と馬鍬っていたからだ。大きく足を広げ、前と後ろの穴に男のペニスを飲み込み、腰を振ってそれを喜んでいる。
 「んんむっ、んんんっ・・・・あんむんんんっっ・・・」
 顔の前に突き出されたペニスをおいしそうにしゃぶりつきながら嬉しそうな声を上げる。余った手では他のペニスを扱いて射精を促している。と、しゃぶりついていた男の腰が震える。ビクビクと震えて、女の口の中に精液を大量に放出する。それを女はおいしそうに、ごくりと喉を鳴らして飲み下してゆく。
 「んっ、濃くって、どろどろしてておいひぃ・・・」
 口の端から余った精液をたらしながら女は嬉しそうにそう言うと、また男のペニスにむしゃぶりつき、尿道に残った液までも吸い尽くしてしまう。それから口を離すと今度はそれまで手で扱いていたペニスにしゃぶりつく。唾液とペニスの絡み合う音がファティナの耳にも聞こえてくる。
 「な、なんなの、これは・・・」
 ファティナは目の前で繰り広げられる淫らな宴に驚愕した。彼女が驚いたのはその淫らさからだけではなかった。男の上で腰を振り、精液を貪る女。その女の顔に見覚えがあった。それは確かにかつて自分と同じフィリップ男爵と男女の関係にあったシーゲランス帝国海軍将軍セリアであった。
 「なんなの、何の冗談なのよ!??」
 セリアの変わり様にファティナは驚きを隠せなかった。かつてはフィリップ男爵をめぐるライバルであった二人であったが、男爵と共に魔族を打つと誓い合った仲でもあった。その彼女が男根を貪り、嬌声を発して喜んでいるのである。とても信じられる光景ではなかった。
 「セリ・・・ア・・・え?」
 壊れたかつてのライバルの姿にファティナは悔しそうな顔をしてあるセリアの異常さに気づいた。大きく膨らんだ下腹部。まさに新しい命が生まれんばかりに膨らんだそこはまさに異常そのものだった。乳首の先端からも乳白色の液体が滴り落ちている。
 「ばかな・・・セリアたちが遠征したからまだ一月と経っていないのだぞ?」
 たとえ1月の間このセックス付けの生活を強いられたとしても、妊娠してアソコまでおなかが大きくなることなどありえないはずだった。だが、今ファティナが目にしているセリアの姿は懐妊し、子供が生まれるまさにその直前であった。そんな身重の状態でもセリアは男を貪ることをやめようとはしなかった。
 「ひゃうっ!もっと、もっと、もっとしぇいえき、ちょうらい・・・」
 うつろな瞳で男たちの射精を促す。我慢できなくなったのか男たちが一人、また一人とセリアの膣内に、直腸に、顔に、口に、体に射精してゆく。白い粘液がセリアの体を白く染めてゆくのだった。
 「ふむ、そろそろ壱号の誕生のようだな・・・」
 そんなセリアの姿を呆然と見つめていると、部屋に男が入ってくる。言わずと知れたドクターだった。じろじろとセリアの容態を見ると、下腹部に手を当てそんなことを言っている。ファティナは瞬時にこの男がセリアをこんな異常な状態にした張本人であると察した。
 「貴様か、セリアをこのようにしたのは?一体何をした?」
 「ん?なんじゃ、気づいておったのか?なに、新型融合人間の母体となってもらっただけの話よ」
 ファティナの問いかけにドクターは韓から笑いながら答える。新型融合人間、自分をここに連れてきたゼロも同じことを言っていた。そのこと思い出したファティナはセリアの方を見つめ息を呑んだ。セリアと肌を合わせていた男たち、彼らもまた異常であった。
 「なんだ。こいつらは・・・」
 「お前らの元部下じゃよ」
 腕や脚が異形と化している男たちのことを驚いていると、ドクターは平然とした顔で説明してくる。セリアを犯し、異形となり、人離れしたペニスを持った化け物が元自分たちの部下。その事実はファティナを打ちのめすのには十分だった。驚きを隠せないファティナをドクターはからから笑っていた。
 「お前さんにも手伝ってもらおうかの。ジェニー、たのんだぞ?」
 「畏まりました、ドクター」
 ファティナの背後に控えていたジェニーが恭しくお辞儀をしてドクターの言葉に応じる。今の今まで感じなかった気配の登場にファティナはびっくりする。だが、ジェニーはそんな彼女を無視して、手にした液体をファティナに飲ませるのだった。
 「ふぐっ、がぶっあがあああっ!!」
 異様な液体を飲むまいと必死に抵抗するが、ジェニーの力はすさまじく動くことすら敵わない。どばどばと口の中に液体を流し込まれ、ファティナはむせ返りながらそれを飲むしかなかった。全て飲み干したファティナに異常が見られたのはそのすぐ直後だった。
 「ふああっ・・・な、なに・・・からだが・・・あつい・・・はうっ!!」
 全身が燃えるように熱く、股間がジンジンと熱くなってくる。触れてもいないのに、蜜があふれ出して来ているのがよく分かる。腿を擦り合わせる夜主手モジモジしていると、ドクターがその異変に気づきニタッと笑う。
 「効果が出てきたようじゃな。では母体タイプBの実験スタートじゃ。ジェニー、パーツのタイプBをここに連れてくるのだ」
 「畏まりました、ドクター」
 ドクターの命令にジェニーは頷くと部屋から出てゆく。ジンジンと股間からこみ上げてくる熱さにファティナは意識が朦朧としてくる。だが、それを必死にこらえ、耐え抜こうとする。しばらくするとジェニーが新しい男たちを連れて戻ってきた。皆先ほどと同じように体の一部が変化している。
 「え?おまえ・・・たち・・・」
 パーツに改造されたのはファティアの元部下たちだった。皆うつろな表情で、今自分たちの眼の前にいるのがファティアだと気づいていない。全員全裸でペニスを限界まで勃起させている。先端からは先走った液体がしててり落ちてきていた。
 「ジェニー、フィラデラ様から零号に関するデータを」
 「はい、ドクター」
 ドクターに命じられたジェニーはフィラデラから託された資料を手渡す。ドクターはそれに順次目を通してゆく。何度か頷き笑みを浮べる。
 「攻撃力に関しては問題なしですか。あとはジャンプ力と攻撃の汎用性との事ですが?」
 「接近戦にしか向いていないとのことでございます。遠距離にも対応した攻撃も欲しいとの事です」
 「なるほど、では今回は・・・母体ニはボディを蜂に固定。機動力を挙げますよ」
 ジェニーはドクターの指示に従い、新しい液体を手にしてファティナに近寄る。また何か飲まされるのかとジェニーを睨みつけるが、彼女はまるで動揺する様子はなかった。
 「これが貴様ら魔族のやり方か?捕虜を実験動物に使うなど、許されること・・・」
 「お前ら人間がそれを言うのか?」
 ファティナが罵りの言葉を上げるとジェニーはすさまじい形相で彼女を睨みつける。その迫力にファティナは押し黙るしかなかった。ジェニーはそのまま言葉を続ける。
 「貴様ら人間は何をしてきた。戦争をしかけ、相手に勝てば陵辱と略奪の限りを尽くす。それがお前たちの本性であろう?それが自分たちに返ってきたら相手を侮辱か、反吐が出る!!」
 それまで無表情だったジェニーの剣幕にファティナは完全に圧倒されていた。それを見ていたドクターがくすくす笑いながら補足説明をしてくれる。
 「ジェニーはシーゲランス帝国南部のエロル族の生き残りですよ」
 エロル族の名前を聞いたファティナの表情が凍りつく。二年前奇妙な術を使う絶滅した部族の名前だった。正確には絶滅させられた部族だった。その力を自軍に取り込めないと知ったフィリップ男爵の命を受け、軍を指揮したのはほかならぬファティナとセリアであった。
 「あ・・・あ・・・あれは・・・」
 「私は恋人の目の前で陵辱された。何度も、何度も・・・その陵辱されている眼の前であの人はお前に指を切り取られ、腕を切り落とされ、脚をもぎ取られ、内臓を引きずり出されて死んでいった・・・あの時の貴様らの顔忘れるものか!!」
 エロル族の生き残りがいたのは意外だった。あのとき確かに全員の息の根を止めたはずだったからだ。当時エロル族への侵攻は反対派が多かった。しかしフィリップがそれを押さえつけ、出世を願っていたファティナとセリアの二人が志願したのだった。そして部下たちがやることに一切口を出さず、好きなようにやらせていた。
 「あの時、たまたま私はあの近くの遺跡の調査に来ていましてね。あなた方が撤退したあと、生き延びていた彼女を見つけたんですよ。もっとも虫の息でしたので体を改造しなければなりませんでしたが・・・」
 唯一生き延びたジェニーはドクターに拾われ、肉体を改造され一命を取り留めた。その後彼の助手として勤めてきたのである。そこに送られてきたのがにくき仇の彼女たちだった訳である。
 「お前たちは簡単には殺さない・・・ドクターや殿下のためにその身を酷使させてやる!!」
 ジェニーは憎しみに満ちた瞳でファティナを見下ろすと、彼女の口に手にした液体を注ぎ込む。口に入った液体は喉を下り子宮を変質させてゆく。子宮が疼き、もぞもぞと快楽を欲し始める。そんな自分の肉体の変化にファティナは驚き戸惑った。だが、とめどなく襲い来る欲望はそんな彼女から理性を少しずつ奪い去ってゆく。
 「さあ、お前たち、自分たちの元上官を犯しなさい。四号、八号、十号の順番に犯しなさい。そのあとは貴方体の好きにしていいわ」
 ジェニーの言葉に動かされるようにして元部下たちがファティナに襲い掛かる。わずかに残った理性はそれをやめさせようと悲鳴を上げる。
 「やめろ、おまえたち・・・やめろぉ!!!」
 そういわれてやめるように操作はされていない。部下たちのほうはすでに理性など取り除かれている。彼らにあるのは母体への性欲のみ。母体に精を放ち、受胎させる使命。ただそれだけだった。それ以外の理性は欠片も残されていなかった。
 「やめろ、やめてぇ!!」
 嫌がるファティナだったが、その両足は抵抗もむなしく大きく広げられる。そのまたの中心をペロペロと男が舐め始める。沸き起こる性欲を満たすような行為にファティナの体にはすぐに火がつく。ぽたぽたと愛液を滴らせ、男を迎え入れる準備が整う。
 「もういいわね、入れなさい!」
 ジェニーに命じられた四号は大きく反り返ったペニスをファティナのヴァギナに宛がうと、迷うことなくそのまま中に押し込んでゆく。常人を遥かに上回る大きさを誇る男のペニスがファティナの膣を押し広げ、引き裂いて子宮を目指す。
 「あぐっ!グあああっ・・・がああああ!!」
 体を弛緩させてファティナは絶叫した。膣を引き裂かれる激痛が彼女を苛む。だが男はまるでそれを気にしないで、腰を振り始めるのだった。傷ついた膣道をペニスが出入りする。痛みがファティナの意識を覚醒させ、そこから逃げることを許さない。気絶することも、欲望に逃げることも彼女には出来なかった。ただ男の欲望をその身に受けるしかなかった。
 「あぐっ、い・・あ・・・いや・・・たす・・・ああああっ!!」
 いくら拒絶しても溢れ出す愛液は男の動きを助け、体の中を蠢くペニスが快楽を与えてくる。逃れららない快感はファティナを苛む。そこへもう一人の男が近寄ってくる。いきり立ったペニスをアナルに押し付けてくるのがわかるとファティナの顔が恐怖に歪む。
 「らめ・・・そこは・・・そこは・・・」
 フルフルと首を弱々しく振るが許してもらえるはずがなかった。男のペニスはメチメチと音を立ててファティナの中に進入する。未通の直腸は引き裂かれ、激痛がファティナを襲う。パクパクと声にならない絶叫を上げてファティナは悶える。だが、男たちはそんな彼女を無視して思う様、ペニスを押し込み、引き出すのだった。太い雁首が傷ついた膣壁と腸壁をひっかり痛みを思い出させる。
 「ぎゃっ、ああっ・・・いぐああっ、も・・・もう・・・ゆる・・・ひて・・・」
 耐え難い激痛にファティナは音を上げる。するとジェニーに促された男たちが動きを止める。許されたと思ったファティナだったが、男たちはペニスを抜く様子がない。不安に駆られていると、前から挿入していた男が、ごろりと横になる。前倒しになりそうになるのを堪えようとするが、後ろからも力を加えられあえなく跪くこととなった。
 「な・・・なにを・・・」
 獣のように四つん這いにされたファティナは不安そうに周りを見回す。その体勢になると男たちはまた抽送運動を再開する。先ほどよりも動きやすいこともあってか、二人ともぎりぎりまでペニスを引き抜き、最奥まで叩き込む動きを繰り返した。
 「あぐっ、もう・・・だめ・・・いあ・・・いたい・・・もう、許して・・・」
 激しい動きに耐え切れず、ファティナはまた悲鳴を上げる。そんな彼女を嫌悪感丸出しの顔で睨みつけると、ジェニーは別の男にファティナを指差して指示を送る。それに従うように男はのそのそと彼女の前に立つと、その顎を掴み悲鳴を上げる口にペニスをねじ込むのだった。
 「ふぐっ・・・むぐぅぅっ!んんっ、んんううううっ!!」
 息苦しさにファティナは悲鳴を上げるが口をふさがれていては声にならない。三本のペニスがファティナを犯しまわす。小さいが形のいい乳房を後ろから揉み解し、つんと勃起した乳首を下から舐めまわす。溢れ出す懲役と愛液がペニスを伝って床にしみを作ってゆく。

 「彼らももう限界みたいね。早々、いい事を教えてあげるわ。セリア将軍が妊娠しているのは分かるわよね?」
 ジェニーが指差した先にはセリアが男たちのペニスを貪っている。その下腹部は間違いなく妊娠の証だった。
 「貴方も彼女のように射精されたら一発で妊娠できる体質に変換されたの。それも新型の融合人間をネ。様々な因子を一つに纏め上げるマザー、母体となるもの。それが貴方よ」
 ジェニーの言葉はファティナには衝撃的なものだった。自分をここに送り込んだものは新型の融合人間零号と名乗っていた。自分もあのような化け物を産む道具とされるというのか。恐ろしさに身震いしてくる。だがジェニーの言葉はそこで終わらなかった。
 「射精はどこから出されても妊娠するわ。膣でも、アナルでも、口でも・・・どこで出されても子宮に到達し妊娠させるの。そして貴方のエネルギーとなるのもこの男たちの精液。貴方も彼女のように四六時中、こいつらの精液を啜って生きるのよ」
 ジェニーの言葉はファティナに絶望を与えた。このまま魔族の道具になるくらいならと自害も考える。だが、その考えはジェニーによって打ちのめされるのだった。
 「言っておくけど、自害など出来ないから。無限の再生能力がある貴方を殺せるのはドクターか殿下、姫様、将軍の方々くらい。ここにはドクターしかいないから永遠に死ねないわよ?」
 死ぬことすら許されない自分の運命にファティナは涙した。このまま生きた兵器開発の道具となるしかない自分を呪った。だが、もうどうすることも出来なかった。男たちが最後に向かって動きを早くする。近付く最後のときをファティナは全てを呪った。
 「うぐっっっ!!」
 男たちが大きく震えてファティナの膣内に、アナルに、口に射精する。大量の精液が放出され、むせ返るが、逃げることは出来ず、全て流し込まれる。全ての精液を飲み干しながらファティナの瞳から光が失われるのだった。そんな彼女に改造されたほかの兵士たちが圧し掛かり犯してゆく。もはやファティナは抵抗すらしなかった。
 「もう壊れたの?意外にもろいのね・・・」
 ジェニーは男のなすがままになっているファティナを笑いながら見つめる。自分たち一族を襲ったファティナも、セリアも犯し、復讐した。フィリップもまた、エリウスに討たれ死んでいる。自分の復讐は終わったはずだった。心が満たされるはずだった。だがどこか心に隙間があるような感じがする。そんな感じがして仕方がなかった。
 「ドクター、なんなのでしょう・・・この気持ちは・・・」
 「んっ?殿下ならこう仰るでしょう、”復讐などむなしいだけだ”と。だけどね、復讐もまた生きる道なのですよ、ジェニー。生きる道がなくなったのなら新しい道を見つけなさい」
 ドクターにそういわれたジェニーはふと視線をファティナたちに移す。この先も融合人間の実験をすることを生きがいにするのも悪くない。自分の復讐の上に成り立つものの行く末を見てみたい。それがジェニーの新しい生きがいとなるのだった。


 魔天宮。予定を一週間過ぎてもステラはダーク・ハーケン城に戻っていなかった。理由はレオナが遠征していたことだった。カルラ将軍を自らの手で打ってしまったレオナの落ち込みようはなかなか回復することなく、魔天宮に戻るのが遅れたのだった。そのためレオナを待っていたステラまで、待たされる羽目となったのだ。
 「では、殿下。レオナ様、アリス様、ステラ様を・・・」
 三人を連れたフィラデラがエリウスのもとに挨拶に来る。彼女は三人を連れてダーク・ハーケン城に一度戻り、執務に当たることとなっていた。エリウスが遠征している以上、城の執務は彼女の担当であった。
 「ああ、フィラ。頼むよ。レオナ、ゆっくり休んでおいで。アリス、レオナのこと頼んだよ。ステラ、いい子にしているんだよ」
 「申し訳ありません、エリウス様・・・しばし休みましたら、また・・・」
 「その間は私が姉様の面倒を見ますわ」
 「ステラもステラも!!」
 休養のためにダークハーケン城へと戻るレオナ、その介護に当たるアリス、約束どおり城へ戻るステラに別れの挨拶をすると、エリウスは手を振る。フィラデラが呪文を唱えると、四人はその場から姿を消すのだった。
 「さてと・・・これからどうするんだ、エリウス?」
 一緒に四人を見送っていたクリフトが四人の姿が見えなくなると、今後のことについて相談をする。すでにルオドール国境線にはシグルドの第二軍を配備し、その動きに警戒している。その間にエリウスはサーナリア攻略を計画していた。といっても計略らしい計略ではなかったが・・・
 「王都サルトルまで行ってみるつもりだ。シーゲランスが落ちたとなればかの国は無駄な戦いは好まないだろうから、国王に会ってみるつもりだ」
 「なら進軍先はサーナリア国王都サルトルって事でいいのか?」
 「いや、第八軍にはサーナリア国境線からルオドール軍が侵攻してこないように見張っていてもらいたい。アノ国にちょっかいを出されるのは得策ではないからね」
 「ならどうやっていくつもりだ、王都まで?」
 エリウスの提案にクリフトは首を傾げた。考えられるのは魔天宮でこのまま王都に進軍することだった。だが、エリウスの考えはまったく違っていた。
 「僕一人で行くつもりだよ。まあ、護衛としてエリザベートを貸してくれ。あと、アンとサーリアを連れて行く」
 「おいおい、正気かよ?敵の本丸にたった四人で行く気か?」
 正気の沙汰とは思えないエリウスの言葉にクリフトは目を丸くする。仮にも敵国にたった四人で行くなど正気の沙汰とは思えなかった。それがいかに一騎当千のつわものであったとしてもだ。だが、エリウスは平然とした顔でクリフトの言葉に答えるのだった。
 「サーナリアとは戦争にはならない。元々あの国は平和主義の国だ。こちらから手を出さない限り攻撃は仕掛けてこない」
 「だが、”九賢人”の奴らが・・・」
 「ふふっ、奴らにはこの国は居ずらいのではないかな?」
 クリフトの心配をよそに、エリウスは笑ってそう答えるのだった。
 「安心しろ、僕の傍には常にあいつがついている。もしものときは影の力で移動させてくれる」
 「ゾフィスか・・・まあ、あいつがついているなら問題ないか・・・」
 もし向こうが手を出してきてもエリウスさえ無事ならば、完膚なきまでに叩き潰し、この国を蹂躙してやろうとクリフトは考えていた。だが、エリウスの言葉どおりならばそんな必要はなさそうだった。
 「さてと、エリザベートには君から命令を出しておいてくれ。君の直轄なのだからね」
 「めんどくさいな・・・お前が言えば誰でも命令に従うんだから、お前がやればいいじゃないか・・・」
 クリフトは面倒くさそうに頭をかく。そんなクリフトにエリウスは目を細めて釘をさす。
 「クリフト、ここは軍隊だ。守らなければならない規律もある。将軍であるお前がそれを率先して破るようでどうする!!」
 珍しく怒気のこもったエリウスの口調にクリフトは数歩身を引く。こういうときのエリウスはやばい。早めに謝ってしまった方がいい。それが長年付き合ってきたクリフトの結論だった。だが時すでに遅く、エリウスはお説教モードに入っていた。こうなると耳にたこが出来るほど嫌味を言われる。クリフトは身から出たさびとはいえ、げんなりとした顔をするのだった。

 馬の嘶く声。男たちの怒声。女たちの悲鳴。剣と剣がぶつかり合う音。サーナリア国の街道。そこで幌馬車が炎上していた。六台の幌馬車の内二台から炎上し、残りの4台にも男たちが襲い掛かっていた。頬馬車を守る冒険者たちがこれに応戦するが、襲い来る男たちはかなりの腕前であった。
 「いいか、男たちは全員殺せ!若い女は捕まえろ!年寄りは邪魔だ、殺してかまわん!ガキは身代金が取れる、捕まえておけ!」
 幌馬車を襲った男たちのリーダーはそう叫ぶ。子分たちはその言葉に応じ馬車を守る冒険者たちに襲い掛かる。いかに腕の立つ冒険者であっても数が数だった。自分たちの五倍以上の男たちが斧や槍を手に襲い掛かってきたのだ。さらにその後ろには弓を持った連中まで控えている。
 「こいつらが最近街道を荒らしているという盗賊団か・・・」
 男たちの攻撃をやり過ごしながら冒険者のひとりは唸った。ここ最近テリウスの森沿いの街道に盗賊団が住み着いたといううわさは聞いていた。凶悪な連中で女子供以外は皆殺し。捕まった子供も身代金と引き換えに首が帰ってきたなどという例もある。女は陵辱され尽くしたあと、売春宿に売られていたところを保護されたという話も聞いたことがある。そんな連中に狙われたのである。
 「不運というしかないか・・・」
 こちらもそれなりの人数を手配したはずだった。しかしテリウスの森の街道沿いを通ると聞くと尻込みする連中、報酬を吊り上げてくる連中ばかりでさほど数が集まらなかったのである。それでも十人近い冒険者が集まったので大丈夫と思っていたが、相手はそれ以上の大人数だった。
 「くそ!予想外にも程がある!!」
 商人から払われる予定の報酬では割が合わない。その報酬もこの盗賊団から逃げられればの話である。冒険者は攻撃をやり過ごし、撤退を考えていた。どう考えても勝ち目は薄かった。同時に男にはある疑問が浮かんでいた。この盗賊団の戦い方である。
 「この組織された戦い方・・・どこかで訓練された連中としか・・・」
 斧を使う連中は間違いなく素人である。力任せに斧を振るい相手をなぎ倒す、その攻撃だけだった。だが、槍を使う連中は違う。訓練された槍の使い方だった。そして戦い方も組織立っていて、お互いの死角をかばいあい、相手を確実に始末する戦い方だった。
 「どこかかの戦士団か、あるいは・・・」
 今は戦争状態である。戦いに敗れた戦士団や騎士団が野盗と化す事はたまにある。だがそれは元騎士、元戦士がもとからある野盗、山賊に身を落とすだけの話である。こんなに多くの戦士や騎士がいるとは考えにくい。ならば、他国の戦士団、騎士団の残党がこのあたりに住み着き、野盗化したと考えるのが妥当だろう。
 「こんな連中いつまでも野放しにしておくわけには・・・」
 もとは名のある騎士団か、戦士団だったのだろう。それがこんなところで野盗となるとはどれほどの相手が彼らの自信を打ちのめしたのだろうか。いや、そんなこと、考えるまでもなかった。ここ最近、他国の戦士団、騎士団を打ちのめしているのは一国しかない。
 「ヴェイス皇国・・・か」
 圧倒的軍事力で他国の軍を打ち倒したあの国に戦いを挑んだものの成れの果てということだろう。彼らもまた被害者と思えなくもないが、かの国は侵攻した国を支配することはない。そのままの形を維持させているという。唯一変わったのは、ヴェイス皇国との交流が始まったくらいのことである。
 「それが嫌で逃げ出してきたものたちか・・・」
 魔族との交流に嫌悪感を抱くものはまだ多くいる。祖国を捨てて他国に逃れてきたものもいるという。だからといって他国で盗賊行為を行っていい理由にはならない。しかし彼らの実力は予想以上のものだった。男は自分たちの見込みの甘さを悔いた。
 「もはやサーナリア国軍に任せるしかないか・・・」
 そのためにも一刻も早くここを離れなければならない。男は相手の斧を弾くと脱兎のごとく駆け出した。仲間たちが切り殺される声を背中に聞きながら男は走った。いかなる恥辱にまみれようとも逃げ切らなければならない。運は男に味方したようだ。野盗たちは逃げ出した彼を追ってくるようなことはしなかった。全滅させるよりも一刻も早くその場を離れることを選んだのだ。それは正しい判断であり、男にとっての幸運であった。その場を逃げ切った男は王都を目指し駆け出すのだった。


 盗賊団のアジト、それはテリウスの森の奥深くにあった。ヴェイス軍に敗れ、逃げ出してきた兵たちが集まって出来たこの盗賊団も100人に迫る大所帯となってきていた。食料に困ることはない。盗んだ品を換金することで食料を買い占められるし、森にも食べられる果物が多数あった。だが、何よりも一番の問題は性欲の捌け口だった。これだけ大所帯になると、その欲望を満たすだけの女が少なすぎた。これまでも多くの女を隊商や近隣の村から奪ってきたが、いまだに一人一人に与えられるまでにいたっていない。さらに壊れた女を残しておくことは出来ないので、放り出すことも何度かあった。しかも最近では女連れの隊商はめっきりなくなってしまっていた。その点今回はラッキーだったといえる。何せ女が冒険者も含めて8人もいたのだ。
 「今回はいい儲けになったな!!」
 げらげらとボスは笑う。隊商の持っていた商品は高価な品物ばかりだったし、何より女が多かったのは彼らにとってありがたいことだった。その捕まえた女たちを中心に盗賊たちは宴会を開く。なにをされるのかとおびえる女性たちは皆固まって震えている。
 「さてと、そろそろお楽しみに入るとするか!」
 ボスはニヤニヤ笑いながら立ち上がると女たちに近寄る。いやらしい目つきで女たちを物色すると、一人の少女に目を留める。それは他の面々よりも豪華な衣装を着た少女だった。まだ幼い少女で10歳くらいといったところだった。おびえてメイドらしき女性に縋り付いている。
 「よーし、お前にするか!!」
 他の狙いを持ってボスは少女の腕を握る。嫌がる少女を無理矢理女性の輪から引きずり出す。少女はがたがたと震え身を竦めていた。そんな少女にボスは顔を近づける。
 「お前を今から女にしてやる。ありがたくおもいな!」
 にたにた笑いながら少女にそう告げる。少女は意味がわからないままただがたがたと震えるだけだった。すると彼女が縋り付いていやメイドがすっくと立ち上がる。こちらも震えているがきっとボスを睨んでいる。15.6歳の少女ながら意志の強さが見て取れる少女だった。
 「わ、私が代わりをします!だからお嬢様には・・・」
 「んっ?いいぜ。俺を満足させられたらな。まあ、まずこっちに来て全部脱いで準備しな」
 ボスは狙い通りになったと内心喜んでいた。もともとボスの狙いはこの少女の方だった。だが、意志の強い彼女を屈服させる手段としてそのお嬢様を引き合いに出したのである。見事に彼女が自分の誘いに乗ったとボスは大いに喜んだ。そうとは知らない彼女はボスに近寄ると、メイド服を一枚ずつ脱ぎ捨ててゆく。下着姿になると急に動きを止めてしまう。脱がなければならないと分かっていても体が言うことを利かないのだ。
 「なんだ、できねえのか?ならこの子に・・・」
 ボスは催促するようにお嬢様に手を伸ばす。彼女が悲鳴を上げると少女は歯を食いしばって下着に手を掛ける。震える手で必死に下着を脱いでゆく。その様子をにたにた笑いながらボスは仲間たちと酒を飲みながら、少女のストリップショーを堪能するのだった。下着を全て脱ぎ終えた少女は胸を股間を手で覆い隠す。
 「こ、これで・・・いいですか・・・」
 蚊の鳴くような声で少女はボスに訴える。しかしボスはいやらしい笑みを浮べたまま頷かなかった。
 「なに言ってやがる。俺は準備しろって言ったんだぞ?さっさと入れる準備をしろ!」
 それが何を意味するのか少女にもわかった。最近になってようやく知った一人遊び。それを人前でやれというのだ。そんなことできるはずがないと叫びそうになったが、ボスの手がお嬢様に向いたのを見て観念するのだった。おずおずとその場に座って、乳房を揉み回す。年の割りに大振りな乳房がムニムニと形を変える。
 「んんつ、あふっ・・・んくっ・・・」
 胸を揉みながら指先で乳首を優しく弾く。勃起し始めた乳首は敏感で背筋に走る快感に、少女は体を震わせる。片手で胸を弄びながらもう片手が下へと下ってゆく。茂みの中の感じる場所に指先が触れると少女はピクリと反応を示す。二度、三度擦り上げると蜜が指に絡み付いてくるのだった。
 「おいおい、何やってんのか見えねえぞ?もっと足を広げろ!!」
 ボスに怒鳴られた少女はびくりと体を縮込ませる。自分に拒否権がないことは分かっている。屈辱に顔を歪ませながら、ゆっくりと足を広げる。ボスの目にも濡れた貝がよく分かるくらいに広げさせる。少女は顔を真っ赤に染め上げて、指先で割れ目をなぞるのだった。
 「よし、そのまま左右に広げて見せろ!」
 ボスの命令に逆らえないまま少女は指割れ目を左右に開く。ニチャッと溢れた愛液が音を立てたように少女には思えた。それほど濡れているのが分かる。
 「おお、丸見えだぜ!なんだもうクリトリスが勃起してやがる。見られて感じたのか?」 
 罵声にも似た声が少女に浴びせかけられる。少女は顔を真っ赤にしたまま俯いてそれに耐えるしかなかった。するとボスがお嬢様から手を離し少女に近寄ると。その膣内に自分の指を挿入する。ごつごつとした感触が膣内に侵入してくる痛みに少女は悲鳴を上げる。
 「い・・いたい・・・」
 「きついな。こりゃ間違いなく処女だな」
 にたにた笑いながらボスは大声でそう言う。少女は顔を真っ赤にしたままうなだれ答えることが出来なかった。そんな少女を見下ろしながらボスは腰帯を外す。大きく反り返ったペニスが少女の眼前に差し出される。初めて見るペニスに少女の顔が青くなる。そんな少女にボスは抑揚のない声で命令をする。
 「舐めてオレを満足させてみな。全部飲めたら勘弁してやってもいいぜ?」
 少女はボスの顔と眼の前のペニスを見比べる。こんな男に処女を散らされるくらいならばとおずおずとペニスに手を伸ばすのだった。手の平に熱い感触が伝わってくる。躊躇いがちにゆっくり陰茎を扱いていると、ボスは不満そうな声を漏らす。
 「そんなんじゃあダメだな。舌を使って先を舐める。全体を口に含め!出来ねえならお嬢様にやってもらうまでだぜ?」
 少女に選択権はなかった。震えながら臭い匂いを放つペニスに舌で舐めるのだった。全体を舐め回し、口に含み、唇と頬、舌でペニスを刺激する。正直つたない動きだった打それが妙に刺激的でボスはどんどん高みへと上り詰めて行く。ペニスがヒクヒクと少女の口の中で動く。
 「よーし、そろそろイクゾ、全部飲めよ!!」
 ボスの言葉に少女はその瞬間が来るのを舌を這わせながら待ち構えた。ペニスとボスの腰が大きく振るえ、ペニスの先端から熱い液体が放たれる。粘着質なそれを必死に口で受け止めながら少女は懸命にそれを飲み干そうとした。しかし思ったよりも量が多かった上に、粘着質だったため喉に絡み、思わず咳き込んでしまう。同時に口に含んだ精液を吐き出してしまうのだった。少女はあわてたが、もう後の祭りだった。
 「吐き出したな?約束は反故にさせてもらうぜ?」
 ボスはいやらしい笑みを浮べて少女ににじり寄る。少女は大粒の涙を浮べて慈悲を願うが、盗賊のボスにそんなものあるはずがなかった。少女の絶叫がアジトじゅうに響き渡る。それが陰惨な宴の始まりの合図だった・・・


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