第38話 天命〜壱〜


 ユトユラ。ホルネイスト大陸南東部に位置するこの国は古来より他国との交わりを少なくし、独自の文化を築き上げてきた。それはひとえにこの国の国境線に当たる川、セーリム側の存在が大きかった。その大河を渡らなくてはユトユラへは行き来することはできなかったためである。
 ユトユラ独自の文化であるが、それはこの百年余りで急速に発達してきたものであった。それまでは他国と貿易をすることで文化を取り入れてきた。しかし、その文化が根付き始めてからは他国と交流を持たなくなってしまったのである。他国もまた文化的に低いレベルのユトユラに興味を抱かず、大陸の一角にありながらユトユラはこの百年余り、ヴェイスのように大陸の人間が見向きもしない土地となっていた。
 そのユトユラを白い霧が覆い隠す。その先を全て覆い隠す霧はありとあらゆるものを拒んでいた。いまその霧を晴らさんとするものがいた。



 「いまだ霧は晴れず、結界は消えず・・・か」
 ユトユラと国境線、セーリム河岸に陣を引いたストナケイトはいまだ見えぬ対岸を見つめながら困ったようにぼやく。これまで何度となく偵察を出しているが、この霧を超えられたものはいない。空間を切り裂けば消えるかとも思い、ストナケイトが剣戟で切り裂いてみたが、一瞬にして霧は元の状態に戻ってしまった。
 「とはいえ、こちらから手を出すことはできませんよ?」
 「わかっているよ、アルデラ・・・しかし、こうもすることがないとな・・・」
 ここのところまともに体を動かしていないストナケイトは暇をもてあましていた。同じように暇をもてあましていた部下達は賭け試合を興じているが、ストナケイトはそれに参加することを断られている。理由はもちろん賭けが成立しないから。同様の理由でルカやダンたちも断られている。
 「エリウス様はフェイトを確保したとのこと。しばらくすればここまで来られるでしょう」
 暇そうにしているストナケイトを慰めるようにアルデラはその背中を軽く叩いてくる。そして霧のほうに視線を戻したアルデラはその異変に気づく。それまで見えなかった対岸がわずかながら見えてきたのである。それはストナケイトも気付いていた。
 「どういうことでしょう・・・結界を解く気・・・なのでしょうか?」
 「いや、そうではないようだ・・・」
 うっすらと晴れたきりの向こう側を見つめて致すとナケイトはアルデラの結界が晴れたという意見を否定する。その目には霧を越えてこちらにやってくる大型の船が見えていた。その船が霧を越えるとまた霧が濃くなってゆくのがわかる。
 「どう見ても和平の使者、ではないな・・・」
 船を見つめていたストナケイトはその船上を見てそう断言する。和平の使者ならば、やりや弓を持ったものが殺気を撒き散らして渡ってくることはない。どう見てもこちらへの侵攻、としか思えない。しかし、大型とはいえ百人も乗れないような船である。それでこちらを攻撃しようとは片腹痛い。
 「暇をもてあましていたところだ。アルデラ、後は任せる!!」
 「ケイト!!・・・まったく、本来の姿に戻ってからというもの、喧嘩早くていかぬ・・・」
 アルデラを助けるために魔族本来の姿になったストナケイトはそれ以来、元の鎧の騎士の姿に戻っても、好戦的な性格は直っていなかった。ある意味破壊衝動に駆られていた。だからここに現れた敵はちょうどいい遊び相手であった。船に向かって飛び込んでゆくストナケイトの後ろ姿を見送りながら、アルデラは不測の事態に備えて部隊を編成してゆく。もっともその不測の事態など起こるはずもなかったが・・・
 「まったく、この程度で何を考えているのやら・・・」
 戦いを終えたストナケイトは不満そうな口調でアルデラの元に戻ってくる。アルデラのそばには第三軍大将軍のシグルドとストナケイトの副官ルカ、ライカンスロープ族のダンとザン、協力者のミルドが集合していた。その中でザンが不満そうにストナケイトに声をかけてくる。
 「ひどいぜ、ストナケイト様!俺だって暴れたかったのに!!」
 「文句を言うな、ガン!」
 「そうよ、何事のなくてよかったじゃない!」
 不平を口にする弟をダンがたしなめると、ミルドもそれに同意する。シグルドも無言のまま頷き、ダンの意見に同意している。三人に窘められたガンは不貞腐れてしまう。そんなザンの顔を見ながらアルデラは笑みをこぼす。しかし、すぐに真剣な表情に戻り、今のことについて話し合いを始める。
 「ただの雑兵たちだけ?」
 「ああ。それが百人ばかり。それもたいしたことのないやつらばかりだ」
 「つまり、使い捨て、ということか?」
 ストナケイトの話を聞いたアルデラは首を傾げる。シグルドの言うとおり使い捨ての雑兵に違いない。しかし、そんな使い捨てをこんなところで、それも何の得にもならないようなことをする理由がわからない。そいつらにこちらの気をひきつけている間にまた結界を開いて別の部隊を送り込んでくるのかと思えば、それもしてこない。
 「一体、何を考えている?」
 アルデラは首を傾げて考え込んでしまう。どう考えをめぐらせても先ほどの用兵の意図がつかめなかった。敵の意図が分からない以上、専守防衛。ここで守りを固めるほかなかった。またユトユラとのにらめっこが再開される中、兵士達の疲労とストレスが溜まってゆく。事態打開策が見つからないまま3日が過ぎ去っていった。
 「それはこちらの足止めのための部隊だよ・・・」 
 3日後ようやくセーリム川に到着したエリウスはアルデラから詳細を聞き、一言こう答えた。つまり、あの部隊が結界を越えて現れたため、こちらは何かあるのではないかと考え込んでしまった。そのためどうすることもできず、守りを固めてきた。それこそが敵の思う壺だったというのだ。
 「なるほど・・・しかし、あの結界がある以上、こちらから手を出せませんが?」
 「それをむこう側が心得ていればね?」
 今エリウスが言った策はむこう側がこちらが結界を越えられないことを知っていたら成り立たない策である。こちらが結界を越えられないことを知らないからこそ、雑兵を捨て駒にして自分達の足止めをしたのである。もし、結界がなかったとしてもアルデラは進軍をさせなかっただろう。向こう岸がどうなっているか分からない以上、無理な進軍は危険極まりない。こちらに渡ってくれば痛い目をみるぞという楔を自分達に打ち込んできたことになる。アルデラはエリウスの話から敵に相当な策士がいることを察し、ほくそえむ。
 「さてと・・・まずかあの邪魔な結界をどうにかしないとね・・・」
 エリウスはやれやれと肩を竦めながら結界と向かい合う。そして結界に向かって手をかざすと朗々と呪文を唱え始める。それに習うようにしてレオナたち巫女姫もその後ろに並び、祈りを捧げ始める。エリウスの呪文に答えて発動した呪文はレオナたちの祈りを吸収してさらに大きくなってゆく。
 「・・・・・・魔を裂き、我が前にある障害を全て取り除け!!」
 エリウスの呪文が最高潮に達して魔法が完全に発動する。エリウスの手から放たれた魔法は光を放ち、結界の霧の中に消える。そしてしばしの静寂ののち、ユトユラを覆い隠していた霧が徐々に晴れてゆく。それは先ほどまでのような部分的なものではない。全体が消滅してゆくものだった。
 「よし、これでいいだろう・・・ゾフィス、情報収集を・・・」
 ”畏まりました”
 消えゆく結界を見つめながらエリウスは足元の影に偵察と情報収集を命じる。それにゾフィスはいつも通り姿を隠したまま応じる。すぐさま無数の影がエリウスの足元から散らばり、セーリム河を越えてユトユラ陣内へと消えてゆく。その様子を見つめながらエリウスな大きな溜息をつく。
 「”マジック・キャンセル”なんて初級呪文、久々に使ったよ・・・」
 エリウスな『懐かしいな』などと言いながら腕組みをする。それを見ていたガンはすぐ隣に立っていたミルドの肩を叩いて質問をする。
 「なあなあ、いまの呪文って初級なのか?」
 「詳しくは知らないけれど、確かそのはずよ・・・」
 「初級であんな威力があるんだ・・・」
 ガンは感心しきった顔で何度もすごいすごいと繰り返し口走っている。そんなガンにミルドは思わず頭を抱えたくなってきた。大きく溜息をつくとその耳たぶを掴むとその耳元で囁く。
 「あんた、バカなの?初級魔法だからそんな威力あるわけないでしょう?」
 「でも、アルデラ様でも越えられなかった結界を消滅させたぜ?」
 「それは威力を何倍にも増大させたから!そのためにサーリア様たちがエリウス様の後ろで祈りを捧げていらしたの」
 「ああ。あれってそう言う意味があったんだ・・・」
 『どう意味があると思ったの?』と問い返そうかと思ったが、止めておくことにした。ろくでもない答えがかえってきそうな気がしたからだ。もう少しこの少年の頭を鍛えた方がいいかもしれないとミルドは真剣に考えるようになっていた。そんなことを考えながらミルドは大きな溜息をつくのだった。



 結局、結界は破壊したもののすぐには進軍せず、ゾフィスが情報収集を終えて戻ってくるまで数日間、さらに足止めをされることとなった。やがてユトユラ全域に散って行ったゾフィスの影たちがユトユラ中の情報を仕入れて戻ってくる。その報告を受けたエリウスはすぐさま軍議を召集する。
 「つまり今のユトユラは五つに分かれて争っているということか・・・」
 ゾフィスからもたらされた情報が書き込まれた地図を見つめながらストナケイトは何度も頷く。こんな小さな領土の何を争っているのかはわからないが、こちらには都合のいい話である。小国同士がお互いに連携を取らないのならば、それを各個撃破してゆける。
 「中央の”央天”には侵入できない。ここに侵攻する手段を他の四つが争っている、と言うのが正解だね」
 「侵入できない?また結界か?」
 「らしい。それを越えるためのアイテムを四国の当主が持っているためそれを奪い合っているらしい」
 央天を支配することはユトユラの支配者と同義である。だから四国の国主は結界を解くアイテムを奪い合っているらしい。それはエリウスたちにとって幸運なことであった。
 「独自の文化を持ったユトユラがどんな戦い方をしてくるか、まるでわからない」
 「大人数の消耗戦になると厄介と言うことか・・・」
 「ああ。どんな戦法で来るか読めないからな。被害が多大になる」
 正面からぶつかり合っても負ける気はエリウスにはしなかった。しかし、正面からぶつかり合えば、両軍に多大が犠牲が出る可能性がある。それはエリウスの望むところではなかった。
 「で、どうするつもりなんだ?」
 つまらなさそうに椅子に寄りかかりながらクリフトが尋ねてくる。そんな兄の態度にフィラデラは眉を顰めるが、クリフトの方は気にしている様子はない。ここのところ、戦いに出ていないクリフトは暇で暇で仕方がなかった。早く戦いに出たいとうずうずしていた。
 「僕は巫女姫さえ手に入ればこの国を支配する気はなったんだけど・・・」
 「その巫女姫はどこにいるんだ?」
 「どれがどうも央天にいるみたいなんだ・・・」
 エリウスの答えにクリフトは『そんなことだろうと思った』と笑い出す。結局、戦いは避けられないと言うことである。しかし、エリウスの考えは別のものであった。
 「それでだ。軍を四つに分けようと思う。部隊を展開して相手を威圧している間に少数精鋭で領主も元へ赴き、結界を解くアイテムを回収する。そうすれば被害を最小限に抑えられると思う」
 「なるほど。こちらが少数精鋭にも強い点をうまく使う、ということですね?」
 エリウスの案にアルデラはなるほどと頷く。正面からぶつかり合っても倒せる自信はアルデラにモある。しかし、それでは被害も大きいし、何より時間が掛かり過ぎる。このユトユラで大陸の支配が終わるならば問題はないが、まだ同じように結界の中で息を潜めているストラヴァイド光国が残っている。その結界が消える日までにユトユラを落とさなければならない。それを考えれば、あまりゆっくりとはしてはいられない。
 「で、今回はどういう風に分ける気だ?」
 「まず西にはレオナ、アンジェリカ、プリスティア、あとファーガントに向かってもらう」
 「畏まりました」
 エリウスはレオナを指差し、そう命じる。その命令を引き締まった顔でレオナは拝命する。
 「次に北にはクリフト、ダン、ガン、ミルド・・・」
 「おう!任せておけって!!」
 「南にはシグルド、ユフィナトア、ゼロ、オリビア、東にはアルデラ、ロカ、フェイトに向かってもらう」
 「了解しました」
 エリウスの命をクリフト、シグルド、アルデラが拝命する。残ったストナケイトたちは部隊を編成し、敵軍の足止めをすることになる。特にストナケイトには央天での戦いがあるので、よく休むように命じておく。
 「よし、作戦開始は明日の早朝!解散!!」
 エリウスが解散を宣言すると将兵たちは持ち場へと戻ってゆく。会議室に残ったエリウスは手元にある地図に視線を落としながらこれからの戦いで犠牲が出ないことを祈るのだった。



 「あふあっ!!ああああんんんんっっ!!」
 小柄な少女の幼い肢体が暗闇の中を怪しく蠢く。全裸の少女はその未成熟な胸を、まだ毛も生え揃わない股を抱きついた柱に快感を得ようと何度も何度も擦りつける。あふれ出した愛液、体を取り巻くきらめく汗、だらしなく口から滴り落ちる涎、それらが纏わりついた柱はテラテラと輝いていた。
 「ああっ、こ、こんなに・・・こんなに溢れてきている・・・」
 少女は柱の頂点をうっとりとした表情で撫で上げる。亀の頭のような形をしたそこからは半透明の液体が染み出し、柱を伝って少女の体まで垂れてきていた。少女はその液体を手で掬って受け止め、おいしそうに舐めあげる。その間も愛液が溢れ出す股を柱に擦りつけるのをやめようとはしない。
 「どう・・・?気持ち、いい?」
 少女がその濡れそぼった股間を擦りつけながらそう呟く。その呟きに答えるかのように柱に浮かび上がった血管はビクビクと脈打ち、その太さと大きさを増してゆく。そのさらに大きく、逞しさを増した柱、巨大なペニスをうっとりとした表情で見つめながら、少女はそれに絡みつく仕草をさらに激しくしてゆく。
 「ベンケイ、気持ちいい?気持ちいい?」
 うっとりとした少女は訴えかけるような眼差しで頭上を見つめる。その巨大なペニスの持ち主はペニス全体にからみつくような少女の動きに愉悦の表情を浮べて大きく頷く。ベンケイと呼ばれた巨人族の青年は自分のペニスに纏わりつき、刺激してくる少女を愛しそうな眼差しで見つめる。
 「ヨシツネ、ウマイ・・・キモチ、イイ・・・」
 「そう、よかった。もっと気持ちよくしてあげるね?」
 「オデダケ、キモチイイ、ヨクナイ。ヨシツネモ、キモチ、ヨクスル」
 ベンケイはそう言うとペニスに絡みついていた少女をひょいと持ち上げると、両の手の平の上に乗せると、器用に親指でヨシツネの細い両足を広げる。その中心には愛液で潤い、キラキラと輝くヨシツネの秘部がヒクヒクと戦慄いていた。そこにベンケイは舌を這わせる。
 「あふっ!!ああああっっ!!」
 一舐めでアナルからヴァギナ、胸まで舐められるような舐め方にヨシツネは気持ち良さそうにもだえる。そんなヨシツネの気持ち良さそうな声をもっと聞きたくて、弁慶は何度も何度も、丹念に舐め上げる。その舌の動きにヨシツネはベンケイの手の平の上でその小さな体をくねらせ、快感に身を任せる。
 「んあっっ!!ひぐうぅっっ!!」
 ベンケイの舌がヨシツネの体を舐め上げる度にヨシツネは切なそうな声を上げて悶える。ベンケイの大きな舌はざらざらしていて、舐めるたびに心地よい快感と、擦り上げられるような痛みをヨシツネの体に与えていた。しかし、その痛みもヨシツネには心地よいものでしかなかった。
 「あうっ!あっ、あっ、あっっっ!!」
 かわいらしい声を上げて悶えるヨシツネをベンケイは大切に包み込むようにしながら愛撫する。丹念に丹念に舐めあげ、ヨシツネを愛してゆく。そんなベンケイの指に縋りつき、その幼いふくらみを擦りつけるようにしながらヨシツネはその何度も襲ってくる快楽の波に身を任せていた。
 「ああっ、だめ!!もう・・・ダメッッ!!」
 ヨシツネはビクビクと震え上がりながらベンケイの指に縋りつく力を強める。体の奥底からこみ上げてくる快楽が彼女を絶頂の極みへと押しやって行く。ヨシツネがイくのが近いと察したベンケイは今度は丹念にヨシツネの喜ぶところだけを舐めてゆく。
 「ベンケイっっ!!そこ、そこはだめ!!」
 チロチロと舌先で皮の剥けたクリトリスを舐めてやると、ヨシツネは悲鳴を上げてその舌の動きから逃げ出そうとする。しかし、ベンケイは彼女の体を押さえつけてそれを許さない。赤くポッチリと顔を覗かせたクリトリスを舐めるだけでヨシツネは悲鳴を上げてよがり狂う。
 「だめっ、だめっっっ!!イ、イっちゃうっっっ!!」
 一際大きな悲鳴を上げると、ヨシツネは体を大きく震わせてベンケイの指に縋りつく。イってからしばらく、ヨシツネはベンケイの指に縋りついたまま、その余韻に浸っていた。が、すぐに身を起こすと、嬉しそうな笑みを漏らす。
 「今度は、ベンケイの番・・・」
 「オレ・・・キニシナクテモ・・・」
 「我慢はよくないよ?大丈夫。すぐイかせてあげるから・・・」
 クスクスと笑いながらヨシツネはもう一度ベンケイのペニス目掛けて身を躍らせる。ヨシツネを愛撫している間もベンケイのペニスは、その大きさを増していた。一目でもう限界が近いことがわかるほどにまで膨らみ、血管を浮かび上がらせて、戦慄いていた。
 「すごい・・・こんなに熱い・・・」
 激しく脈打つペニスに抱きつくと、ヨシツネは全身を使ってそれを扱き出す。裏筋に股を這わせ、雁首を手の平で擦り上げる。ビクンビクンと震えるペニスの先端からはまた新しい半透明の液体が滴り落ちてくる。その液体を舐め取りながらヨシツネはうっとりとした表情を浮べる。
 「こんなに溢れさせて・・・」
 ヨシツネはそう言って先端に顔を近づけると、そのあふれ出した液体を音を立てておいしそうに啜り上げる。その尿道から全てを啜りだすような勢いの吸い方にベンケイは唸り声を上げて腰を浮かせる。
 「ヨシツネ・・・ソレ、キモチヨスギル・・・」
 「もう、イくの?」
 「ウン。ダカラ、ハナレテ・・・」
 「ばかね、このままかけていいのよ?」
 離れるように求めてくるベンケイにそう言うと、ヨシツネはまた音を立てて鈴口を啜り上げる。尿道からあふれ出してくる液体を全て吸い取るかのように。さらに体全身を使ってそのいきり立ったペニスを刺激する。そのヨシツネの愛撫にベンケイの我慢が限界を超える。
 「ヨシツネ、デル!!」
 ベンケイの巨体が大きく震え上がり、限界まで張り詰めた肉棒から大量の白濁の液体が放出される。ヨシツネはその液体を恍惚の表情を浮べて全身で受け止める。髪に、顔に。体に、腕に、脚に、全身に降りかかった大量の精液をおいしそうに舐め取りながらヨシツネはその場にへたり込んでしまう。
 「あっ・・・ベンケイにザーメン・・・濃くって・・・おいしい・・」
 うっとりとした表情のまま体中に附着した精液をヨシツネは丹念に指で掬って口に運んでゆく。そして、それをおいしそうに舐め取り、またうっとりとした表情を浮べる。へたり込んで大股に開かれた脚の中心ではヴァギナがだらしなく口を開いたり、閉じたりしている。ベンケイの精液を浴びてまた絶頂に達したのだった。
 「あはっ・・・すごい量・・・」
 ダラダラと体を滴り落ちる精液を指で掬ったヨシツネはおもむろにそれをおもむろに自分のヴァギナの中に流し込んでゆく。腰を叩く浮かせて指でヴァギナを大きく広げて奥へ奥へと精液を流し込もうとする。逆流してきた精液が噴出したりもするが、構わず流し込む。
 「ああっ・・・ベンケイの・・・暖かい・・・」
 体の中に満ちてゆく精液を感じながらヨシツネはそんなことを呟く。そんなヨシツネをベンケイは優しく抱き上げる。
 「御免ね、ベンケイ・・・お前を受け入れられなくて・・・」
 「オレヲウケイレル、ニンゲンデハムリ。キニスルナ・・・」
 「でも、大丈夫・・・貴方を必ず人間にしてみせる。央天にあるという望みが叶う地へ行けば!!」
 真剣な表情に戻ったヨシツネはベンケイの背後にある宝玉を見つめる。あの宝玉を四つ集めれば央天への道は開かれる。そこにあるといういかなる望みも叶う地へと行けば、ベンケイを人間にしてやることができるはずである。少なくともヨシツネはそう信じていた。
 「そのためにも残り三天、早く落とさなければ・・・」
 決意を新たにするヨシツネの耳に自分の名前を呼ぶ声が聞こえてくる。おそらく近従の一人だろう。何かの報告かと思い、体についた精液を拭い取ると、内掛けを羽織ってそのものの入室を許す。
 「何用だ?こんな夜更けに・・・」
 「はっ!わが国の外延に展開しておりました異国の部隊に動きがありました」
 「あれか・・・こちらの部隊を配してけん制しておけと申したはず・・・」
 「それが、何人かがこちらの監視を掻い潜って侵入した模様です」
 近従の報告にヨシツネは眉を顰める。ヴェイス軍をけん制するためにこちらの軍隊を正面に立てて何か策ありと思わせて、動けないようにしておくつもりでいた。しかし、相手はそれを逆手にとってこちらの軍隊を無視した少数精鋭でこちらを目指してきたのだ。
 「どうなさいますか、お嬢様?」
 「どうもこうもない!そやつらはいずこに?」
 「すでに城下町に侵入したとのこと。シズカ様とトモエ様が迎撃に出られた由・・・」
 血の気の早い姉上たちだとヨシツネは苦笑する。自分も認める武の持ち主であるあの二人ならば、もしやのこともないだろう。その間にこちらも迎撃体勢を整えてしまえばいい。ヨシツネはすぐさま近従に迎撃体勢を整えるように命じる。そして自らの具足を用意させる。
 「ヨシツネ、オレモ」
 「ああ。我らに手を出したこと、後悔させてやろうぞ!」
 具足に身を包んだヨシツネはベンケイと共に立つ。自分の幸せを守るために。本当の幸せを手に入れるために・・・



 「トモエ姉様、敵はいかほどでしょうか?」
 「四人と聞き及んでおる。うち一人は巨人だそうだ」
 煌びやかかな飾りの付いた鎧に身を纏った美女二人が西天の帝都の大通りを武器を手に走り抜ける。トモエは黒い髪を一つに纏め上げ、手には大振りの薙刀を持っている。シズカの方は同じく黒い髪を二つに分け、ツインテールにしている。その手には大振りの扇子が握られていた。
 「しかし、四人だけでこの帝都に潜り込むなど、命知らずな・・・」
 「それだけ相手も腕に自信があるのであろう。気を抜く出ないぞ?」
 帝都に潜り込んだ四人を捜し求めて二人は大股でかけてゆく。巨人がいるのならば、隠れながらの移動は不可能のはずである。それを探し出して追ってゆけばいい。そう考えていた。案の定、街に侵入した巨人族の足跡が所々に残されている。その進行方向からは地響きまでしてくる。
 「この先・・ですね」
 「足音も先ほどより大きくなっています。もうそれほど距離はない・・・」
 侵入者の位置を感じ取り、さらに追撃しようとした二人に何ものかが攻撃を仕掛けてくる。その攻撃を間一髪でかわしたトモエとシズカはすぐさま武器を構えて迎撃に移る。その視界には同じように武器を構えた二人の美女が待ち構えていた。明らかに追撃者の足止めをするために待ち構えているものたちであった。
 「すごいですね、アンジェリカ様。わたしのブーメラン、かわしましたよ、あの二人・・・」
 「わたしのムチもです、プリスティア様。これは面白くなりそうです」
 トモエとシズカを迎え撃ったアンジェリカとプリスティアは面白おかしそうにトモエとシズカを見つめる。そんな二人を睨みつけながらトモエとシズカは静かに、そしてすばやく行動に移る。
 「わたし達は妹を守らなければなりませんの」
 「そこを退いてもらいます!!」
 一気に距離を詰めるとトモエはプリスティアに、シズカはアンジェリカに襲い掛かる。トモエの薙刀が空を裂き、シズカの懐から取り出された呪符が呪を解放する。その必殺の一撃をプリスティアも、アンジェリカも手持ちの武器を展開することで受け止め、受け流す。
 「すごい攻撃・・・こちらも本気で行かないとやられてしまうますわね・・・」
 「本当です・・・気が抜けません・・・ね!!」
 本気になったアンジェリカは身につけていた衣装を脱ぎ捨てる。その下からは黒いボンデージに身を包んだ魅惑の肢体が現れる。うっとりとした表情を浮べたアンジェリカは手にしたムチをぺろりと舐めあげる。並び立つプリスティアもそっと自分の指にキスをすると、それで自分の体に何事か描いてゆく。それに合わせて白い鎧が現れ、プリスティアの体を包んでゆく。さらにその背中からは純白の翼が広がる。ひらひらと舞う白い羽根が美しい。
 「”鞭の巫女姫”アンジェリカ=シールスト!わたしに跪きなさい!!」
 「”翼の巫女姫”プリスティア=ボーグナイン!参ります!!」
 「相手が噂の巫女姫とあらば不足なし!烈火の鬼姫トモエ=ミナモト、全てをなぎ倒す!!」
 「誰であろうとヨシツネの邪魔はさせません!氷雪の冷姫シズカ=ミナモト、行きます!!」
 お互いに名乗りを上げるとアンジェリカはトモエと、プリスティアはシズカとぶつかり合う。お互いに武器と武器がぶつかり合い、火花を散らす。そして組み合ったまま左右に分かれ、それぞれ離れて戦い始める。お互いにお互いの戦いの邪魔をさせないためである。
 「いやあああっっっ!!」
 強烈な気合ととものトモエが手にした大振りの薙刀を振う。まともに喰らったら真っ二つにされそうな一撃をアンジェリカは寸分の狂いもなく見切り、かわす。肌を撫でる斬撃の風にアンジェリカの髪が数本巻き込まれ、宙を舞うが気にしない。
 「さあ、いい声で鳴いておくれ!!」 
 お返しとばかりにアンジェリカが鞭を振う。アンジェリカの鞭が空を裂き、トモエに襲い掛かる。その鞭をトモエも目を凝らしてかわしてゆく。しかし、変則的に動くアンジェリカの鞭はトモエの予測もしなかった動きを見せ始める。すると、徐々にトモエに体に赤い筋が刻まれ始める。
 「ええい!!ちまちまかわすのはわたしの趣味に合わん!!」
 憤然としたトモエはおもむろに薙刀をぐるぐると回転させ始める。高速に回転し始めた薙刀は、変則的に襲い来るアンジェリカの鞭を弾き飛ばしてゆく。ならばとばかりにアンジェリカも鞭の動きを早くする。まるで無数の蛇が獲物に喰らい付くかのような動きでトモエに襲い掛かる。
 「そんな攻撃など!!」
 言うが早いかトモエは振り回していた薙刀を鞭が襲い来る方向に移動させてゆく。まるでそこに楯でもあるかのようにアンジェリカの鞭を全て弾き飛ばす。やがてアンジェリカの鞭は勢いを失い、その怒涛のような攻撃は止んでしまう。そこがトモエの反撃のチャンスであった。
 「今度はこちらから行くぞ!!」
 回転させていた薙刀を止め上段に構え直すと、そのまま勢いよく振り下ろす。そのときトモエは親指で薙刀の柄に何か文字を刻む。すると大振りの薙刀の柄がさらに長くなり、刃がさらに大きくなってアンジェリカに襲い掛かる。予想外の攻撃にアンジェリカの反応がわずかに遅れる。チリッとした痛みがアンジェリカの肩に走る。そこにはわずかながら切り裂かれた跡が刻まれていた。
 「そら、そら!もっと行くぞ!!」
 「いつまでも図に乗るな!」
 さらに大きくなった薙刀を軽々と扱いながらトモエはアンジェリカに攻撃を加えてゆく。その予想外の怪力に戸惑いながらも、アンジェリカはその攻撃をかわし、隙を窺って鞭を振う。力と技の戦いは正面からぶつかり合う。しかし、そのダメージの差は明らかにアンジェリカの方が受けていた。それは武器の質の違いだった。アンジェリカの鞭はトモエの肌を打ち据えるだけ、トモエの薙刀はアンジェリカの肌を切り裂いてゆく。その差は徐々に徐々に大きくなってゆく。
 「そらそら、どうしたんだい?」
 自分の優位を悟ってトモエは勢いよく薙刀を振ってくる。その鋭い打ち込みは大気を切り裂き、かまいたちとなってアンジェリカに襲い掛かる。鞭でそのかまいたちをはじくことは叶わず、一箇所、また一箇所とアンジェリカの肌は切り裂かれてゆく。さらにはボンデージも切り裂かれ、その美しい肢体も晒されてしまう。
 「やはりこのままではまずいか・・・」
 アンジェリカは自分の不利を悟ると、振り下ろされた薙刀を上手く掻い潜ると、そのまま大きく飛び退りトモエから距離を取る。トモエの追撃を鞭で制しながら腰に手を回し、一本のルージュを唇に引く。血のように赤いルージュを。ルージュを引き終えたアンジェリカはしばし俯いたままでいたが、すぐにその顔を表に上げる。
 「うふふふっ、いまたっぷりと虐めてあ・げ・る!!」
 先ほどまでよりもさらに残忍な笑みを浮かべらアンジェリカは鞭の先端に刃のついた金具を取り付ける。さらに柄の部分を捻ると、鞭の部分にも無数の刃が飛び出してくる。その変化した鞭を目にしたと目は顔をしかめる。もしあのような鞭に囚われたらその身が切り裂かれることは必至だったからだ。
 「さあ、たっぷりと遊びましょう?」
 くすくすと笑いながらアンジェリカは腰から太目の蝋燭を取り出し火をつける。赤々と燃え盛る蝋燭を見つめながらアンジェリカはまた笑みを浮べる。”来る”とトモエが身構えた瞬間、唸りを上げてアンジェリカの鞭がトモエに襲い掛かる。その鞭を薙刀の柄で受け止めたトモエだったが、その影に隠れて飛んできた蝋まではかわせなかった。
 「ぐっ!!」
 肌を焼く熱さにトモエは顔をしかめる。しかし、動けなくなるようなことはない。すぐさま薙刀を構え直してアンジェリカに襲い掛かる。しかし、アンジェリカの方は悠然と構え、笑みすら浮べている。その余裕にトモエは少しいやな予感を覚えたが、このまま倒してしまえばいいとそのまま襲い掛かる。対するアンジェリカはぺろりと下唇を舐めると小声で何事か呟く。同時にトモエの体に付着した蝋が爆発する。
 「なにっっ!!?」
 「どう、エクスプロージョン・キャンドルのお味は?」
 くすくすと笑いながらアンジェリカはまた鞭を振ってくる。トモエは何とかその攻撃を回避するが、その攻撃に隠れて飛んできた蝋をまたまともに喰らってしまう。そしてアンジェリカが何事か呟くと、そこの蝋がまた爆発する。肌が裂け、激痛が走る。その激痛にトモエは厳しい表情を浮べる。
 「なんだ、その蝋燭は・・・?」
 「これ?わたしの神具の一つ。状況に応じて色々な使い方が出来る蝋燭よ?」
 「色々な使い方・・・だと?」
 「そう、例えば、こんな使い方・・・」
 そう言うとアンジェリカは下唇を小指で撫でる。するとその唇の色が赤から青に変わる。同時に手にしていた蝋燭の色も青に変わる。アンジェリカは色の変わった蝋燭をおもむろに振う。飛び散った蝋が踊るようにトモエに襲い掛かる。その蝋をトモエはなぎなたで弾くが、そこかしこに蝋が付着する。アンジェリカが何事か呟くと、蝋が激しく燃え盛る。
 「なっ!!?今度は燃えただと??」
 トモエは慌ててその炎を消そうとなぎなたを振るうが、なかなか燃え盛る炎は消えない。炎がようやく消えたころにはトモエのなぎなたはあちらこちら焼け焦げ、溶け始めていた。焼けた肌の痛みにトモエは眉をしかめる。そんなトモエの激痛に苦しむ表情を目の当たりにしながらアンジェリカな愉悦の表情を浮べる。
 「いいわ、その表情・・・もっと、もっと見せて・・・」
 愉悦の表情を浮べたアンジェリカが鞭を振う。トモエも痛む体を押してこれを迎え撃つ。しかし、トモエに襲い掛かるのは鞭ばかりではない。鞭に隠れて飛んでくる蝋もまた恐ろしい攻撃であった。これもかわしながら反撃の機会をうかがう。その二つがアンジェリカの攻撃と思い込んでしまったのがまずかった。
 「す・き・あ・り!!」 
 「!!!しまった!!」
 アンジェリカの鞭と蝋燭に意識がいていたトモエの左腕に縄が絡みつく。いつどうやって投げたのかはわからない。しかしそのロープは確実に自分の左腕を捕らえている。慌てて切り落とそうとなぎなたを振り下ろすが、薙刀の刃は切り落とすどころか、縄に食い込みすらしない。
 「切れないだと??」
 「ほらほら!隙ばっかり!!」
 薙刀で切り落とせない縄に驚愕するトモエの隙をアンジェリカは逃さなかった。さらにロープを飛ばし、トモエの自由を奪ってゆく。あっという間にトモエは複雑な縛り方で体の自由を奪われてしまう。ぎちぎちと締め付け、体に食い込んでくる荒縄にトモエは苦悶の表情を浮べる。
 「いいわ、その表情・・・ぞくぞくする!!」
 うっとりとした表情でトモエの苦しむ顔を見つめていたアンジェリカは人差し指をクイッと動かす。それにあわせてトモエを捕らえていた荒縄がさらにきつくなり、トモエの肌に食い込んでゆく。体を締め付ける力が強まり、トモエはさらに苦悶の表情を浮べる。
 「苦しい?でもまだ、終わりじゃないのよ?」
 アンジェリカは薄い笑みを浮べると、トモエの鎧の留め金目掛けて赤い蝋を飛ばす。赤い蝋は爆発し、留め金を吹き飛ばす。支えを失った鎧は剥がれ落ち、トモエの美しい肢体を外気に晒しだす。トモエは恥ずかしさよりも、悔しさに顔をゆがめ、歯を食いしばる。
 「うふふっ、そう言う強気な表情をした人、わたしは好きよ。そしてそういう表情をぶち壊すのも・・・」
 アンジェリカは言うが早いかトモエ目掛けて鞭を振う。先ほどまでの金具も、刃もなくなり元の形に戻った鞭は鋭い音を立ててトモエに襲い掛かる。振われた鞭は小気味いい音を立ててトモエの肌に赤いあざを刻んでゆく。二筋、三筋と赤いあざがトモエの白い肌に刻まれる。その激痛にトモエは必死になって耐え、悲鳴を上げずにいた。
 「ふふっ、強情ね。じゃあ、こういうのはどう?」
 嬉しそうにアンジェリカはトモエに語りかけると、手にした蝋燭の色をまた代える。今度は青ではなく、ピンク色に。そのピンク色の蝋を縛られたトモエの肌にたらしてゆく。高熱の蝋をたらされた熱さにトモエは顔をしかねるが、悲鳴だけは上げずにいた。必死になって痛みと熱さを耐え抜こうとするが、徐々に違う感覚がトモエの体に伝わってくる。 
 (な、なんだ・・・これは・・・)
 同じ体の熱さだが、それは体の奥底から生み出される。体の奥底からこみ上げてくる熱さ、それにトモエは言い知れない恐怖を感じていた。
 「どう?気に入ったかしら、プレゼント・・・」
 「なにを・・・した・・・」 
 「女の喜びを呼び覚ましてあげただけよ」
 アンジェリカはくすくすと笑う。その間にもトモエの体はどんどん熱くなる。体が敏感に反応し、体を締め付ける荒縄でさえ、心地よく感じてくる。そんな自分を否定し、拒絶する。拒絶しても体はいうことを聞いてくれない。奥底から止め処なく熱さがこみ上げてくる。
 「よせ!!これ以上の辱めは受けたくない!殺せ!!」
 「残念だけど、その決定権はわたしにも貴方にもないの」
 アンジェリカはくすくすと笑うと赤い蝋燭に火をつける。火に熱せられた蝋燭が溶け始め、トモエの肌目掛けて垂れてくる。トモエは身を捩って逃れようとするが逃れられるはずもない。溶けた蝋がヴァギナに、クリトリスに、乳首に触れた瞬間、トモエはこの世のものとは思えないような悲鳴を上げる。敏感になった体にたらされた蝋は熱さと快感をトモエに与える。それにトモエの精神が耐えられなかった。

 「あっああああっっっっ!!!!!」
 「あああっ、それ、それよ・・・その声よ・・・」
 その悲鳴をうっとりとした表情で聞いたアンジェリカはさらに鞭を振り下ろす。アンジェリカの激しい攻めは執拗に続く。戦いのために鍛え上げられた強靭な精神力がここでは仇となった。いつまでも気絶することの叶わなかったトモエは生き地獄をいつまでも味わうこととなるのだった。気を失うころには体中に無数の蚯蚓腫れが刻み込まれ、何箇所となく火傷を負っていた。それでもトモエの気絶した表情はうっとりとした満足感に満ち溢れていた。
 「うふふっ、なかなか楽しませてもらったわ・・・」
 ようやく気を失ったトモエを見つめながらアンジェリカは満足そうな顔をする。アンジェリカの股間からはとろとろと愛液が滴り落ち、露になった乳首もぴんと天を向いている。トモエを攻め立てながらその声と表情に気分が高揚し、何度か絶頂を迎えたアンジェリカも十分に満足していた。
 「あっちはどうなったかしら・・・」
 トモエを縛り上げ、逃げられないようにすると、アンジェリカはプリスティアのほうを気にする。彼女の方はまだ戦闘中であるらしく、遠くから大きな爆発音や、何かがぶつかり合う音が聞こえてくる。どうやらお互いに激しくぶつかり合い、戦っているのがよくわかる。
 「あちらもなかなかの方のようですね・・・」
 戦いの音がする方角を見つめながらアンジェリカは何事か考え込む。そしてニタリと笑みを漏らす。
 「そうですわ。プリスティア様の勝負が終わりになりましたら、わたしに下げ渡していただきましょう。この方と同じくらい強いお方なら・・・あっ、想像しただけで・・・」
 気を失ってぐったりとしているトモエに視線をやりながらアンジェリカは頬を朱に染める。体が熱くなり、気分が高揚してきているのだ。熱いと息を吐き出しながらぺろりと下唇を舐める。相手を攻め立てることを想像してまた体が火照ってきて、股間も濡れてきたのだ。
 「わたしの神具はまだ色々とありますからね・・・どれで遊んで差し上げましょうかしら・・・」
 アンジェリカが手を振うと、その背後から様々なののが現れる。ディルドーの付いた三角木馬、浣腸器、鎖と首輪、見ただけでは何に使うかわからないような道具まで含まれている。それらを撫でながらアンジェリカは捕まえたシズカをこれらの道具で甚振る事を想像して悦に入っていた。
 「そんな事を・・・していていいのか・・・?」
 「もう気がつきましたの?存外なほどタフですね」
 背後から聞こえてきた声にアンジェリカはあきれた口調で後ろを振り返る。荒縄に縛られたトモエが意識を取り戻し、話しかけてきたのだ。まさかもう意識を取り戻すとは思っていなかったアンジェリカは意外そうな顔をする。最もトモエに反撃する力など残っていないことはわかっていた。
 「まともに動くことも出来ないがな・・・だが、早く仲間を助けに行ったほうがいいぞ?」
 「アラ、何故ですか?」
 「シズカは・・・アレは私以上の戦上手だ・・・」
 「残念ですけど、プリスティア様に助けが必要とは思いませんわ」
 トモエの助言をアンジェリカはあっさりと拒否する。そして助けに幾素振りすら見せない。それはアンジェリカがプリスティアの勝利を疑っていないからに他ならなかった。
 「何故だ・・・シズカの実力がわからぬ貴様ではあるまい?」
 「わかるから言っているんです。本気のプリスティア様はレオナ様やユフィナトア様ぐらい強いんですよ?わたしなど足手まといでしかありません」
 そのアンジェリカの言葉にトモエは絶句した。自分をここまで圧倒した女が相手にもならない相手と妹が戦っている。どんな結末が待っているかわからないが、トモエは戦いが続く方向に視線を送りながら、せめて妹の無事を祈ることしかできなかった。


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