第1章


「んくっ、ここは・・・」
 目を覚ましたいつきは辺りの様子を伺う。あたりは薄暗く、ここがどこなのかよくわかりづらい。しかし少なくともいつ気が見知った場所でないことだけは確かだった。薄暗い部屋の中には鎖や拘束具の類がいくつも見える。そんなものを置いてある部屋に覚えなど或るはずがなかった。
「そうか、わたし・・・」
 自分がどうしてこんなところにいるのかわからずにいたいつきだったが、すぐに意識を失い直前のことを思い返す。レオパルドの命令で彼の欲するパーツを探しに出た先で事故に巻き込まれて意識を失ったところまで穂も出だすことが出来た。周囲を見回すが、同じように巻き込まれた秋葉やほのか、妹子はもちろん、同じ機体に乗っていたはずの売るまでも姿が見えない。何よりもここは自分の機体ではない。
「誰かにここまで連れて来られた、ということでしょうか?」
 少なくとも自分の意思でここまで来た記憶がない以上、誰かにここまでつれてこられたと考えるのが妥当であった。そしてその誰かは自分に友好的とは言いがたいといえた。その理由は両手を拘束している手かせであった。友好的な人間がこんなものを相手に嵌めるはずがない。少なくとも相手は敵であると認識したいつきは警戒を強める。
「今のところは誰もいないようですけど・・・」
 周囲を見回した限り人影は見当たらない。ここに自分を連れてきた主はどこかに出かけているのだろうか。しばし考え込んだいつきは手かせを破壊しての脱出を試みる。まずは自分の力で外れないか試みるが無駄な足掻きであった。
「どうしたら・・・」
 どんなに足掻いても脱出できないと分かったいつきは、思わず身震いしてしまう。武器も何もない今、自分の身を守る術は何一つないのが現実であった。その現実でどうやってこの場から逃げ出すかを必死になって考える。しかし拘束され身動き1つ取れない現状では逃げるどころか、抵抗することすらむずかしかった。この現状をどうにか打破できないか必死になって考えるが、どうにも妙案は浮かんでこない。せめてウルがこの場にいてくれればと唇を噛み締める。
「んんっ?目を覚ましたようですね~〜〜」
 唇を噛み締めるいつきの耳にどこか下品な口調の声が聞こえてくる。それと同時に部屋の一角が開き、一人の長身の男が中には言ってくる。その声が野太かったので男と判別できたが、姿形もすぐに男とわかるそれであった。上半身裸で浅黒い肌に筋肉質の体付き。胸に女性特有の脂肪がないところから相手が女でない事はすぐにわかる。そして何よりも下半身、真っ赤なビキニに包まれた下半身は大きく膨らみ、男性の象徴をこれでもかといわんばかりに誇示していた。だが男の顔立ち、表情だけはどうしてもうかがうことが出来なかった。その頭には大振りのダンボールが載せられていて、男の顔を覆い隠していたからだった。しかしその箱男を見た瞬間、いつきの表情が変わる。
「うふっ、いい、いいわねぇ」
 いつきの幼い頃の記憶が呼び覚まされ、それが表情に表れていたのかもしれない。それを読み取ったのか、男は嬉しそうな声をあげて悶えている。その姿がどこか空恐ろしく感じられる。何よりも箱の隙間からのぞく真っ赤な長い舌先が何よりも恐ろしいものに感じられた。
「神凪いつき、17歳。ICP怪奇課所属・・・」
 自分の冠する素性を口にされたいつきはまた恐怖を覚える。どうしてこの男が自分のことを知っているのかはわからなかったが、どこか恐ろしくてたまらなかった。それでも気丈に振舞い、相手を真正面から見据える。そのいつきの眼差しを受けると、男は嬉しそうに身震いをし、悶え始める。どこかこの男はおかしい、そう感じずにはいられなかった。
「ふふふっ、いい表情よ、神凪いつきちゃん」
「どうして私のことを知っているのですか?」
「んんつ?それは『宇宙をかける少女』を調べているうちに、ね」
「『宇宙をかける少女』?」
 その言葉に聞き覚えがあった。自分に親しくしてくれた少女、獅子堂秋葉の別称である。つまりこの男は秋葉のことを調べているうちに自分のことを知ったのだと理解する。しかし秋葉を調べていて何故自分を捕まえたのかがわからない。その答えは男の口をついて知ることが出来た。
「気に入っちゃったのよ、あなたのこと・・・そう、めちゃくちゃに壊したいって思うほどに」
 そう口走った男は同時に獰猛な視線をいつきに向けてくる。男の嘗め回すような眼差しはいつきの体を隅々まで眺めてくる。何よりも今の自分はQテクターを身につけている。いやが上にも体の線がくっきりと浮かび上がってしまっている。その凹凸がはっきりと浮かび上がったいつ気の体を男は豆回すように見つめてくる。
「くっ、見ないでください!」
 体を嘗め回すように観察されていると感じたいつきは恥ずかしそうに身を屈め、拘束された手でその形のいい胸を覆い隠し、必死になってその視線から体を隠そうとする。そんないつきの抵抗を楽しむように男は動き回り五木の体を観察し続ける。見られまいと抵抗して動く度にその形よく大きな胸が恥じらいもなく揺れる。
「いいね、そのおおきなおっぱい・・・何よりまだ生娘みたいだし」
「!!あなたには関係のないことでしょう?」
「関係あるね。キミのその処女膜を俺ので汚せるんだから」
 男の端も外聞もない言葉にいつきは思わず激昂してしまう。そんないつきの怒声にも男は怯えることなく、逆に嬉しそうに腰を振ってくる。その小さなビキニに納められた肉棒が腰の動きにあわせてビキニとともに揺れる。その卑猥な動きにいつきは思わず目をそむけてしまう。その様子からいつきが何を見て、何から目を背けたのかを察した男はわざと見せ付けるように腰を振りながらいつきのそばまで近寄ってくる。
「そんなに見たいならじっくりと見せてあげたのに!」
「そんな汚らわしいもの、見たくありません!」
 鼻先に触れそうなほど近づけられた肉棒から必死に目を背けながら、いつきは男の言葉を必死に否定する。否定しても男はそれを引っ込めようとはしない。さらにいつきにそれをこすり付けるように近づけてゆく。生暖かい体温と、鼻をつくような匂いが嫌でもいつきの顔に感じられる。
「やめて・・・ください・・・」
「ああ。いつきちゃんの息が布越しに感じられて・・・これだけでもイっちゃいそうですよ」
 ビキニに包まれたもっこりを顔に擦り付けるように近づけられたいつきは激しい嫌悪感を露にしながら必死に逃げようとする。そのいつきの息が盛り上がった箇所に掛かると、男は嬉しそうな声をあげてさらに腰を振る。男は一頻りいつきの嫌がる姿を堪能すると、ようやく腰を離す。卑猥なものが離れたことでいつきはようやく安堵の息を漏らす。
「あとで直接舐めてもらうとして、いつきちゃんにはまずはこれを」
「えっ?な、なんです?」
 いつきから少し離れた男は片手を少し挙げる。するとその手の動きにあわせるようにいつきの体も見えない力によって持ち上げられるように引き上げられる。何が自分の体に起こっているのかはわからないが、よくないことが起こる気がしたいつきは必死に抵抗する。しかし持ち上げる力はいつきの力よりも遙に強大で、抗うことは出来なかった。拘束された両手は頭上高く持ち上げられ、自由だった両脚も爪先立ちの高さまで持ち上げられる。さらに両足は肩幅まで広げられ、そこでピクリとも動かなくなってしまう。まるで目に見えない拘束具に体を拘束されているような感覚だった。
「まずはいつきちゃんにはその気になってもらわないと」
「何をする気なんで・・・んぐっ!」
 ちょうど男の顔と真正面から見詰め合う格好になったいつきは、男を激しく睨みつけながら男を問い詰める。しかし男は喉を鳴らして一頻り笑うと、いつきの腰に手を回してくる。細長い指先がいつきの細い腰や、肉付きのいいお尻をいやらしく撫で回す。そのおぞましい指の動きにいつきは悲鳴を上げる。悲鳴を上げた瞬間、箱の隙間から伸びてきた舌がいつきの口の中に侵入してくる。人のそれとは到底思えない長さの真っ赤な舌先は抵抗をするいつきの口の中にもぐりこむと、ウネウネといつきの口の中を動き回り、いつきの舌に絡み付いてくる。
「んんっ!んぐっ!」
 いくらいつきが抵抗しても口の中に潜り込んだ舌先はいつきを逃さない。逃げようとするいつきの舌を絡めとりながら舌先は歯の裏側や口の中を思う存分嘗め回してくる。まともな抵抗も出来ないまま口の中を犯されたいつきの口のなかは涎が溢れ、口内に収まりきらなくなった涎が、だらしなく口の端から垂れてくる。
「んんっっ!ちゅば、ひは・・・らめて・・・」
 男に口の中を犯されるいつきは体の奥が痺れるような感覚を覚えていた。その感覚がおぞましくて、恐ろしくて、必死になってその感覚を与える男から逃れようと試みるが、どう足掻いても逃れられない。それどころか男の舌は自分の唾液をいつきの口の中に滴り落として、いつきの唾液と混ぜ合わせてゆく。大量の唾液が口の中を犯し、男の舌が動く度にクチュクチュとイヤらしい音を立てる。その音が大きくなればなるほど、いつきの体の火照りは増してゆく。
「いつきちゃん、感じてる?感じているよね?」
「!しょんなこと・・・」
「嘘はダメだよ、Qテクターの上からでもわかるくらい乳首を勃起させておいて」
「!!ひんっ!!」
 男の舌の動きに体の火照りを抑えきれなくなったいつきに男は興奮しきった声でいつきの体の状態を尋ねてくる。自分の体の火照りを認めたくないいつきは必死にそれを否定するが、男はQテクターの上からでもわかるほどに盛り上がった、豊満な乳房の頂点を指先で弾く。敏感になりきったいつきの体はQテクター越しとはいえその刺激に敏感に反応し、思わず甘い悲鳴を上げてしまう。その甘い悲鳴に男は満足そうに頷く。
「もうすこし、もうすこしで・・・」
 いつきの体に灯った炎をさらに燃え立たせるように、男は自分の体をいつきの体に隙間なく密着させてゆく。男の熱がいつきの体に伝わり、体の心がどんどん加速度的に熱くなってゆくのがわかる。頭では必死にその熱を押さえ込もうとするが、体の真に灯ってしまった『欲情』という名の炎はいつきの意思を無視してどんどん燃え盛ってゆく。
「うああっ・・・だ、め・・・」
 頭では男を拒絶し、離れようとしているのに、体は男を求めて、自分から擦り寄って行ってしまう。そして口の中を貪る男の舌に、自分から舌を絡みつかせて男の唾液を貪ってしまう。汚らしいだけと思っていた男の唾液がいつの間にか喉の渇きを潤してくれる甘露な水となっていた。その蜜を飲み下せば飲み下すほど、体はさらなる蜜を求め、男を求めてしまう。
「ふあああっ、もう・・・だめ・・・獅子堂・・・さん・・・」
 闇に飲み込まれてゆくのを実感しながらいつきは最期に秋葉の名前を呟く。何故彼女の名前が口をついたのかはわからない。ただ無意識の内にその名前を口にしていた。しかしその理由をいつきが考えることは出来なかった。快感という名の鎖が完全にいつきの心を拘束してしまったからだった。わずかに残された意識が男の高笑いを聞いた気がした。しかし本当の快楽地獄はまだ始まったばかりであることをいつきが知る由もなかった。


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