第2話 開戦?謹慎?特訓?凸凹姉妹がやってきた


 「それが・・・それがそなたの決闘機か・・・セイシロー・・・?」
 呆然と呟くシルヴァの目には精子朗が生み出した決闘機の姿が映っていた。抜けるような真紅のボディー、体の各部から噴出す炎、二本の角を生やした炎の鬼神。それがシルヴァの目に映っていた。
 「そう、これが俺の決闘機・・・シュテンカイザーだ!!!」
 精子朗の叫びに呼応して鬼神が咆哮する。己の誕生と戦いへの喜びを表すかのような咆哮があたりに響き渡る、その機体の雄々しさにシルヴァは目を細め、満足そうに頷く。
 「なんとも目の覚めるような赤色じゃの・・・」
 「昔からヒーローでも、ヒロインでも、彗星でも、蛙でも、トラクターでも赤はかっこいいんだよ!!」
 「なにを言っておるのかよく分からぬが。まあ、これで奴とも戦えるの!!」
 シルヴァは嬉しそうに言う。テレビ画面に映っているゴゴットの決闘機はいまだ暴れまわっておりこのままでは隣町が焦土と化すのも時間の問題であった。精子朗は自分が生み出したシュテンカイザーの手ごたえを感じ取りながら、隣町の方に機体を向ける。
 「それじゃ、まあ。あいつを止めてきますか!!」
 精子朗は隣町の方に進路を定めると、スロットルを全開にする。バーニアを全開にして飛び出したシュテンカイザーはあっという間に見えなくなってしまう。シルヴァはやや心配そうな表情をしながらも精子朗の勝利を願い、シュテンカイザーの消えた方向を見つめたまま祈ることしかできなかった。



 シュテンカイザーで飛び出した精子朗はどうやって戦ったものか思案しながら隣町を目指していた。勢いに任せて飛び出しては来たが、はっきりいって自分は戦いの素人である。そんな自分が戦いのプロとどうやって戦えばいいのか、それをいまさら考えていた。
 「まあ、ここまで来たらなるようにしかならないか・・・」
 ゴゴットの決闘機の位置まで数百メートルまで近付いたところで精子朗は腹をくくる。ここまで来たらなるようにしかならない。自分の運とゲームの腕を信じるしかなかった。
 「奇襲をかけて・・・って、なんだ???」
 奇襲からの連続技で一気にけりをつけてしまおうと狙った精子朗であったが、ゴゴットの決闘機の姿が見えたところでシュテンカイザーの動きが止まってしまう。なにが起こったのかわからないうちにシュテンカイザーは重力に従って落下し、地面に叩きつけられる。
 「何だよ?なにが起こったっていうんだ???」
 慌ててコントロールパネルを操作してみるがうんともすんとも言わない。何をどう動かしてもまるで反応がないのである。ここに来るまでは普通に動くことが出来たのだから、考えられる原因は一つしかなかった。
 「エネルギー切れか・・・?」
 勢いよく飛び出してきたというのにこれでは間抜け以外の何者でもない。これでは戦う前から不戦敗ということになってしまう。なんとも情けない状況に精子朗はため息をつく。
 「シルヴァもエネルギーのことくらい気にしてくれたっていいのに・・・」
 ぶつぶつと文句を言うが、いまさら後の祭りである。何とかできないものかとコックピット内でもがくが、何がどうなっているのか理解できていない以上どうすることも出来なかった。それでも何とかしようとする精子朗だったが、そのコックピット内に強烈な振動が伝わってくる。
 「な、なんだぁ???」
 ガクガクと揺れる振動に精子朗は何かに攻撃されていることを理解する。そして攻撃してきているのは間違いなくゴゴットの決闘機であろう。このまま何も出来ないままシュテンカイザーが破壊されれば、自分も地球も終わりになってしまう。それを考えると何がどうなっているかわからなくとも、何とかしようともがく精子朗であった。



 「何だ、この決闘機?何でこんなところ、こんなの、堕ちてる???」
 突然現れ墜落した決闘機の傍に近寄ったゴゴットは首をかしげながら、突然現れた決闘機を何度も何度も思い切り踏みつける。その行動にはまるで遠慮などという言葉はなかった。ただただ、思い切り、力任せに踏みつけ、破壊しようとしていた。
 「壊れろ、壊れろ。そうすればエンブレム、一個、俺のもの!」
 片言を叫びながらひたすら踏みつける。だが、なかなか壊れないことに業を煮やしたゴゴットは今度は武器で攻撃を始める。ゴゴットの決闘機バン・バン・バンの武器は巨大金棒である。それを振り回しシュテンカイザーに叩きつける。ゴンッ、ゴンッという音があたりに響き渡る。
 「こいつ、嫌い。なかなか壊れない!!」
 攻撃を開始してから一分もたっていないのにシュテンカイザーが壊れていないことに怒り出したゴゴットは、金棒を振り回して周囲を無差別に攻撃し始める。建物は崩壊し、道路は崩れ去る。自分が攻撃すれば本来こうなることを再確認したゴゴットはシュテンカイザーのほうに向き直る。
 「叩けば壊れる。何でこいつは壊れない?」
 首を傾げてシュテンカイザーを見つめる。おもむろにシュテンカイザーの頭部を鷲掴みにするとそれをじろじろと観察し始める。何がどう違っているかなどこの男には理解できないのだが、見れば何かわかるかもしれないというだけでの行動だった。
 「見たからってお前には分からんよ、このゴリラ男!」
 観察していたバン・バン・バンの横合いから何者かが攻撃を加える。強烈な一撃だったが、バン・バン・バンは数十メートル吹き飛ばされただけで無傷だった。ゴゴットはじろりと攻撃を加えてきた相手を睨みつける。
 「フォルゴ、何しに来た。これ、ゴゴットの獲物!」
 「はっ。てめえに姫様を取られてたまるかよ!それに楽してエンブレムが欲しいのはおれも一緒だ!」 
 ゴゴットの言葉を薄ら笑いを浮べて受け流しながらフォルゴは答える。フォルゴの乗る決闘機ジュゴーは愛用の槍を構えてバン・バン・バンを相対する。シルヴァがこの地球に逃げ込んだことを知ったのはゴゴット一人ではなかった。他の婚約者候補も同じようにこの星にやってきたのである。
 「動けない決闘機なんて、まずお目にかかれないからな。こんな楽な勝利はないぜ!」
 「これ、ゴゴットの!お前、邪魔!!」
 自分の邪魔をしたフォルゴに腹を立てたゴゴットは金棒を振り回して彼に攻撃を加える。ファルゴはその攻撃をかわしながら槍でバン・バン・バンを攻撃してゆく。片やその重みのある攻撃は空振りし、片やその鋭い攻撃はその重装甲に阻まれる。お互い攻め手を欠く攻防が続く。
 「なんじゃ、他にもこの星に来ておる奴らが居ったのか!!?」
 そんな叫び声を響かせながら上空から腕が異様に太い決闘機ブル・グルーンに乗ったナットルが地上に舞い降りる。その姿にゴゴットもファルゴも嫌そうな顔をする。ナットルは口うるさいくせに卑怯な手段で勝ち星を稼ぐものとして有名だった。そんな奴に出てこられては自分たちの勝ち星を持ち逃げされかねない。
 「ナットル、邪魔!帰れ!!」
 「そうだ、そうだ。後から出てきて狡い手で勝ち星を稼ごうっていうのかよ?」
 「やかましいわい!貴様らこそ、動けない奴をいたぶって勝ち星を上げるつもりじゃったくせに!!」
 真実をつかれたゴゴットとフォルゴは押し黙ってしまう。だからといってこのおいしい勝ち星を逃すつもりもない。お互いにお互いの隙を窺ってけん制しあう。三竦みの状態のままにらみ合いが続く。
 「いつまでもにらみ合ってな!この獲物と姫様は俺がもらってやるよ!!」
 突然横合いから声をかけられた三人はそちらの方を振り向く。そこには一体の異様に細い決闘機がシュテンカイザーの首を掴んで三人の方をけん制していた。
 「ファルファン!!」
 「センザ、てめぇ!!また横から手を出そうって言うのか、このこそ泥野郎!!」
 「けけけっ!間抜けなお前らが悪いんだろうが!悔しかったら俺に追いついてみな!」
 センザは自分を怒鳴りつける三人に侮蔑の笑みを向けると、その場からシュテンカイザーをつれて逃げ出そうとする。この中では一番の高速を誇る自分に追いつけるはずがないという考えからだった。この場を逃げ出し、どこかでシュテンカイザーを破壊し、エンブレムを獲得する。さらにシルヴァ姫を見つけ出せば言う事はない。
 「けけけっ!結局ここの差だよ!」
 頭を指しながらセンザはファルファンのスロットルを全開にして逃げ出そうとする。しかしそれは出来なかった。その眼前に剣が突きつけられていたからだ。下手に動けばその剣に串刺しにされる。さすがの高速を誇るファルファンも動けないのではその力を発揮できなかった。
 「まったく、貴方方には華麗さというものがありませんな・・・」
 「げぇ・・・ストーム・・・」
 「何しに来やがった、このナルシスト!!」
 ファルファンの動きを封じた決闘機を見たゴゴットたちは心底嫌そうな顔をする。これまでに出てきた奴らより性質の悪い奴が出てきたからだ。実力があるから嫌がっているのではない。その性格に問題があった。
 「まったく、騎士たる者、あくまで美しく、優雅に戦わなくては。そう、このボクのように!!」
 完全に悦に入ってしまったストームは溜息交じりに宣言する。自分の優雅さ、美しさに酔いしれてしまっている。こんな変態の相手をしたがる奴などいないのだが、ここで退けば姫も折角の勝ち星も捨てなければならない。そんなもったいないことだけはしたくなかった。
 「こいつ、見つけたの、ゴゴット!お前ら、下がれ!!」
 「はっ!この槍で串刺しにされたくなかったら、手前等、おとなしくしてな!!」
 「とやかく言う奴は、この筋肉が黙っておらぬぞ!!」
 「のろまはそこでおとなしくしてな!こういうのは早いものが勝ちってね!」
 「まったく、優雅さも美しさもないものは下がっていなさい!!」
 五人が五人勝手なことを口走ってお互い退こうとはしない。にらみ合い、けん制しあう。だが、いつまでもそんなことをしていては姫にまた逃げられる可能性がある。そうなれば本国での評価は格段に下がってしまう。お互いにそれは理解していたし、それだけは避けねばならなかった。
 「なら、こうしようぜ。こいつを上空に放り投げて破壊する。エンブレムが誰の元に行っても恨みっこなしだ!!」
 フォルゴの提案に他の四人も賛同する。ここで不毛なにらみ合いをしているよりも、この見たこともない機体を破壊して勝ち星を上げ、姫様を見つけたほうが得策である。もし、自分が勝ち星を稼げなかったら、他の四体を倒して勝ち星を稼いでしまえばいい。お互いにそんなことを考えて武器を構える。
 「よっしゃ、ナットル!空高く放り投げろ!!」
 「任せんかい!!どりゃあああぁぁぁっっっ!!!」
 ブル・グルーンの巨大な腕がシュテンカイザーを掴むと、思い切り上空へと放り上げる。そのシュテンカイザー目掛けて五体の決闘機が殺到する。我先にと武器を振りかざしシュテンカイザー破壊を目指す。しかし、その攻撃はどれ一つとしてシュテンカイザーに届くことはなかった。
 「な、なんだ・・・?」
 シュテンカイザーが起動したのかと上空を仰ぎ見た五人はドキリとする。シュテンカイザーは相変わらず上空でその動きを止めたままであった。しかしその体を宇宙船がビームを発し、バリアで包み込んでしまっているのである。そのバリアが彼らの攻撃を阻んだのである。
 「ちっ、監視委員か・・・」
 宇宙船の側面に刻まれた皇星連邦のエンブレムを見た五人は厄介なものが来たと苦虫を噛み潰したような表情を浮べる。そんな五人の機体に強制的に通信が入ってくる。
 『こちら、婚約者選抜大会大会本部監視委員アル=デロイです。No.019,No.031,No,033,No.042,No.047。あなた方は大会規定および皇星連邦法に違反しています。直ちに戦闘を中止しなさい!』
 通信してきた少女は毅然と五人に言い放つ。しかし、ここまで来て戦闘を中止する事など五人に出来るはずがない。五人は捲くし立てるように少女に抗議する。
 「その機体は決闘機!いくらエネルギーがないとはいえ決闘を監視委員が中止していいのか!」
 「この星に姫様がいることは間違いないんだ!それを放置しておくつもりか!!」
 口々に言いたい放題に少女に捲くし立てる。こちらが強気に出ればこんな小娘すぐにだまりこんでしまって、何も言えなくなってしまうだろうと考えてのことだった。しかし、目の前にいる少女はそんな柔な少女ではなかった。
 『いかなる理由があろうと監視委員の審判の下での決闘以外、決闘とは認められません!』
 『ここは皇星連邦法で無闇な接触が禁じられている星です。そこに決闘機や戦艦で乗り込んだ以上、早々に退去して頂きます!姫様は我々のほうで保護しますので手出し無用です!』
 いくら捲くし立てようとも少女は毅然とした態度で応対するためどうすることも出来ない。五人は悔しそうな顔で引き下がるしかなかった。そんな五人に少女は追い討ちをかける。
 『なお、違法行為をしたあなた方にはペナルティとして、今後3日間、決闘の禁止を宣告します!』
 ここは引き下がって別の手を考えようとしていた五人は文句を口にするが、少女に勝てるはずもなく、おとなしく引き下がるしかなかった。五人が後退したのを確認すると少女はシュテンカイザーを戦艦内に収納する。さらに艦内から見たこともない装備を降下させると、破壊された街の修復をさせてゆく。道が、建物が、みるみるうちに修復され、元の姿を取り戻してゆく。修復が終わると戦艦は降下させた装置を回収し、機体表面に不可視の処理を施すと、その場から消えてしまう。すべてが消え去った街はまるで先ほどまでのことが嘘のように静まり返っているのであった。



 「まったく、そなたに期待したわらわがバカであったわ!!」
 自宅に戻った精子朗を待っていたのはシルヴァの罵倒であった。幸い精子朗に怪我はなく元気そのものであった。しかし、そんな精子朗にシルヴァは容赦なく罵倒を浴びせかける。そんな罵声を浴びせながらも、シルヴァの目じりにはわずかながら涙のあとが残っていた。それを見ただけでも十分心が潤う思いであった。
 「もう少しでこの星から逃げられないで奴らに捕まってしまうところであったではないか、この愚か者!!」
 すぐに涙を浮べた理由が分かって逆に落ち込む羽目に陥ってしまう。もっともそんなに落ち込んでばかりいる精子朗ではなかった。すぐに立ち直りシュテンカイザーがやられた理由を思い返す。
 「まあ、そのなんだ・・・なんで機体が動かなかったんだ?わけがわからなかったんだけど・・・」
 頭をかきながら精子朗は首を傾げる。計器類もまともに読めない状態では、エネルギー切れと推測することは出来ても本当にそれが原因であるかを知る術はなかった。それはシルヴァも同じであった。シュテンカイザーが動かなくなった理由、それは別のところからかたられることとなった。
 「決闘前にエネルギー補給をしたんですか?」
 別のところから声をかけられ精子朗はそちらのほうを振り向く。そこには二人の少女が立っていた。そっくりな顔立ちなのだが、身長差がすさまじいまでにある。まさに凸凹といった感じだ。
 「なんじゃ、そなたらまで来たのか?」
 「シルヴァ、この子達のこと、知っているのか?」
 「もちろんじゃ。わらわの御付の侍女たちじゃ」
 そんなシルヴァの説明に答えるかのように少女たちは彼女の前に傅く。少女たちが傅く姿を見つめ、先ほどの決闘機が五体も現れたことから、精子朗はシルヴァがお姫様ということを改めて実感する。そんな精子朗をよそにシルヴァと侍女は話を進めてゆく。
 「まさか、そなたらもわらわを連れ戻しに来たのか?言っておくが、誰がなんと言おうと、わらわは帰らぬぞ?」
 「そんなことはわかってますよ。姫様がわがままなのはわかりきってますから!」
 シルヴァの叫びに小さいほうの少女があっけらかんと答える。敬語など一切使わず、とてもシルヴァを姫君として敬っているようには見えない。
 「姫様が不自由しないようにここに来ました。選抜大会が終わるまで身の周りの世話をさせていただきます」
 長身の少女のほうは深々と頭を下げて答える。こちらの少女のほうはシルヴァに敬意を表している。同じ侍女でも違うものだと精子朗は感心するしかなかった。すると小さい侍女が精子朗のほうに近寄ってくる。
 「貴方、ダメじゃないですか!エネルギーの補給がされているかのチェックは決闘前に必ずやらなくちゃ!!」
 説教口調で捲くし立てる。それを聞いた精子朗は首を傾げるしかなかった。
 「あの・・・決闘前のエネルギー補給って?」
 「そんなことも知らないんですか?姫様も姫様です!決闘前にエネルギーをチェックするのは・・・」
 「わらわも知らぬぞ?どうやるのじゃ、それは?」
 シルヴァのほうを向いて説教をしようとした少女の動きが止まる。まさかそんな風に返されると予想していなかった少女は言葉に詰まってしまう。代わって長身の少女がシルヴァと精子朗に説明をしてくれる。
 「本来パートナーを組んだ方とxxxをして、姫様がxxxxxを感じれば自動的にエネルギーがたまっていく仕組みになっているのです。それを決闘前に溜まっているか確認するのは常識と申しているのです」
 「ちょっと、待った・・・そのxxxとかxxxxxって、何?」
 肝心のところが小声で聞き取りにくかったので精子朗は長身の少女に聞きなおしてみる。しかし、長身の少女は顔を真っ赤にしてモジモジするだけで答えようとはしなかった。そこの部分は小柄な少女のほうが答えてくれる。
 「この子、そう言うのに免疫ないからね・・・姫様、そこの貴方。セックスはしたんでしょ?」
 そのものズバリを聞かれて今度はシルヴァのほうが真っ赤になってしまう。精子朗のほうは素直に頷く。それを見た少女はニヤリと笑う。
 「早い話、セックスして姫様がエクスタシーを感じると、それが指輪を通してエネルギーに変換されるわけ。やればやるほど、エネルギーが溜まって行くって仕組み」
 「へえ、そんな仕組みだったんだ。でもさっきのはどうしてエネルギー切れに?」
 「ちゃんと指輪をしてやったんでしょうね?指輪をしていないとパートナーと認められないで、いくらエクスタシーを感じてもエネルギーに変換されないわよ?」
 小柄な少女の説明をうけた精子朗は手を叩いて納得する。先ほどまでシルヴァを思い切り堪能していたが、それは契約執行前、すなわち、いくらシルヴァがエクスタシーを感じてもエネルギーに変換されることはなかったのである。その状態でシュテンカイザーを動かしてもすぐにエネルギー切れを起こすのは当然であった。
 「まったく・・・それくらいの事、知ってなさいよ!!」
 「いや、そうはいっても・・・異星人に会う事自体初めてだし・・・」
 説教をしようとした小柄な少女だったが、精子朗のその言葉を聞いて固まってしまう。ちらりとシルヴァのほうをみる。シルヴァのほうも顔を赤くしてこくりと頷いている。二人の少女は悲鳴を上げる。
 「げええっ!!姫様、それじゃあ皇星連邦法違反ですよ!!交流のない辺境の星の人間と性交渉を持つなんて!!」
 「そうです!いくら姫様でも、許されないことです!!」
 「いや・・・わらわも好きで交渉を持ったわけでは・・・」
 わめき散らす二人に言い訳をするようにシルヴァは余計なことを言ってしまう。そこまで言ってすぐにまずいと言葉を止めるが、すでに遅かった。二人の鋭い視線が精子朗に向けられる。
 「この鬼畜、姫様になんてことを!!」
 「チョッキン、しちゃいましょうか、その節操のないもの?」
 全身から殺気を漲らせた長身の少女と、ニコニコと笑いながらすごいことを言ってくる小柄な少女に精子朗は思わずたじろいでしまう。にじり寄ってくる二人の殺気は本気以外の何ものでもなく、手には武器まで構えている。マジでやばいと感じた精子朗は逃げ出したい気分だった。
 「やめぬか、そなたたち!そやつはもうわらわのパートナーぞ!そやつに勝って貰わねばわらわが困る!それに・・・それにそやつをパートナーにしたのはわらわの意思じゃ」
 「このような外道をお許しになると?」
 「うむ。こやつにはわらわの下僕として死ぬまで働いてもらつもりじゃ!」
 相変わらずの下僕扱いに精子朗はがっくりとしてしまうが、シルヴァに諭された二人が武器をしまってくれたのでホッとする。しかし自分への冷たい視線まで変わることはなく、相変わらず針のむしろだった。長身の少女は精子朗への警戒を緩めずに溜息をつく。
 「姫様がそう仰るならばこのものの処罰はなしにしましょう。ただし、姫様の望みが叶うように鋭意努力していただきます!!」
 「どうするつもりじゃ?」
 「シミュレーターを使っての特訓、機体性能の把握。やることは山ほどあります!」
 「姫様とのえっちもあるしね!」
 熱血教官よろしく拳を握り締める長身の少女とニヤニヤ笑う小柄な少女。この二人が精子朗には悪魔に思えてきた。思えたからといって逃げられるはずもなく、この二人のいいようにされるしか精子朗には道がなかった。
 


「すでにゴゴットたちから3日の謹慎があけた後の決闘が申し込まれています。それに向けて今日より特訓していただきます!まずは貴方の名前の登録から・・・」
 長身の少女、エル=デロイはテキパキと精子朗の名前やプロフィールを登録してゆく。さらにシュテンカイザーの名前が登録され、一月後の決闘がここに成立してしまった。精子朗としても避けては通れないことなので、進んでシミュレーターに乗り込み、操縦方法をマスターしてゆく。
 「ロックオンはもっと早く正確に!!レバー操作も的確にお願いします!!」
 精子朗が操作を誤るごとにエルから厳しい言葉が飛ぶ。それも自分のことを思ってのことと精子朗は耐え忍ぶ。手にマメを作りながら必死になって操縦方法をマスターしようとする。おかげで夜には動かし方、格闘戦のやり方は一通りこなせるまでに成長していた。その成長はエルの想像を超えるものであったが、エルはあえてそのことは伏せておいた。変に増長させないためである。
 「セイシロー、基本操作は以上です。今日はここまでにしましょう」
 数時間に渡るエルの特訓が終わり、ようやく精子朗は解放される。それなりに体力には自信があったが、さすがに数時間に渡る特訓は精子朗を疲れさせた。
 「さてと・・・夕飯の準備でも・・・」
 夜7時を過ぎて解放されたのだから、これから夕食の準備に掛からなければならない。とてもではないが凝ったものなど作っている余裕はないだろう。有り合わせと冷凍食品でごまかすしかない。またシルヴァに文句を言われそうだと溜息をつく精子朗をさらに悩ますものが家を訪れる。
 「こらー!!精子朗!!あんた今日学校サボって!!!」
 大声で怒鳴りながら倫が家の中に飛び込んでくる。こちらが今日一日ひどい目にあっていたとは知りもしないで、のんきなものだと、精子朗は閉口してしまう。居間に入ってきた倫は精子朗を睨みつけながら捲くし立てる。
 「まったく、隣町でUFO騒ぎがあったかと思えば、立ち入り禁止になったり、崩壊したり、元通りだったりとわけのわからないことが立て続けに起こっているときに、あんたは何うちでのんきにやってるのよ!!」
 胸倉を掴まん勢いで捲くし立てる倫だったが、周りが見えていないのか、シルヴァたち三人には気付いていない。しばらく精子朗に捲くし立ててからようやくシルヴァたちの姿に気付き、黙り込む。しばしの沈黙の後、今度は本当に精子朗の胸倉を掴んでくる。
 「あんた、学校サボって、何女の子を家に連れ込んでいるのよ!!」
 ガクガクと精子朗を揺さぶりながら問い詰める。精子朗はなんと言って説明したものかと考え込んでいた。素直に宇宙人のお姫様で、レイプしちゃいましたなどと答えたら”悪・即・斬”で八つ裂きにされかねない。うまい言い訳を考え込んでいた。
 「なんじゃ、セイシロー。この女子は誰じゃ?」
 考え込んでいると今度はシルヴァのほうが尋ねてくる。シルヴァにしても馴れ馴れしい倫の態度が気に食わないらしく少し不機嫌そうな尋ね方である。徐々にまずい方向に導かれていくような感覚に精子朗は背中に冷や汗を感じていた。そんな精子朗の窮状に気付いたのか、アルが心底意地の悪い笑みを浮べる。
 「セイシローさん。どなたか知りませんがちゃんと説明しないと。自分が姫様に手を出してその婚約者選抜大会に参加してしまったことはちゃんとお教えしないといけませんよ?」
 底意地の悪い笑みを浮べたままアルはストレートな表現でシルヴァたちのことを説明する。それを聞いた倫の動きが完全に止まる。胸倉を掴まれた精子朗は逃げ出したくても逃げ出せず、アルのほうを恨みがましく睨みつける。そんな視線が嬉しいのかアルは鼻歌を歌っている。
 「あんた、何てことやっているのよ!!切腹しなさい、今すぐ!!!!」
 思考を取り戻した倫は精子朗を揺さぶりながら叫ぶ。本気で自宅から小刀と、介錯のために刀を持ってきかねない勢いで捲くし立ててくる。下手をしたら本気でやるかもしれない。それほど怒っていた。そんな倫の怒りに油を注ぐかのようにシルヴァが口を開く。
 「何者か知らぬが、わらわの下僕に馴れ馴れしいのう!とっとと離れぬか!!」
 「げ、下僕ぅ???」
 「そうじゃ。わらわの婚約者となったからにはセイシローはわらわの下僕じゃ。わかったら・・・」
 「何勝手なこと言っているのよ、このチビ!!」
 精子朗から手を離した倫は今度はシルヴァを睨みつける。大切な幼馴染をどこの誰とも知らないやつに横取りされてたまるかという倫の意地がそうさせていた。シルヴァのほうも一歩も退かず、倫を見上げて睨みつける。お互い一歩も退かないにらみ合いが続く。
 「精子朗は私のです!横から手を出さないで!!」
 「何を寝ぼけておる。セイシローはわらわのものじゃ!そのナイナイと同じく脳ミソもないようじゃな?」
 「むぐっ!言ったわね?あんたこそ脳みそが全部胸に行っちゃったくせに!!」
 「羨ましいであろう?セイシローもこれが大好きでの・・・」
 胸のことを言われてさらに食って掛かる倫だったが、シルヴァはその大きな胸をわざと見せ付けるようにして反論する。精子朗の巨乳好きは倫もよく心得ている。じろりと精子朗をにらみつけると、まずいと思った精子朗は視線をそらす。胸にコンプレックスのある倫に対してシルヴァは勝ち誇ったかのように胸を張る。
 「シルヴァ様は胸は大きいですが、その分身長がナイナイですからね。あはははっ!!」
 二人の喧嘩を見ていたアルが横から口を挟む。余計なことを言ってきたアルにシルヴァと倫の鋭い視線が突き刺さる。
 「胸も・・・」
 「身長も・・・」
 「「ナイナイのくせに口出すな!!!」」
 2人のはもった反撃がアルの心をえぐる。涙目になったアルはエルに抱きついて泣き出す。そんな泣く位なら口をださねければいいのにと精子朗は思うがあえて口を出さないで置く。下手なことを言って巻き込まれたくなかったから。泣くアルの頭を撫でながらエルが優しく言葉をかける。
 「かわいそうな、アル・・・でもね・・・」
 「なに?」
 「自業自得よ、さっきの一言は・・・」
 エルにまで見放されたアルはショックを受ける。もっともそんなのは形だけで、本当は場を混乱させられて喜んでいるだけだった。それがわかっているからこそエルは冷たく見放したのである。
 「でも、このままではいつまで経っても話が進みませんね・・・」
 いまだ言い争いを続けるシルヴァと倫の姿を見たエルは溜息交じりに喧嘩の仲裁に入る。
 「お二方とも、そこまでです。不毛な争いをいつまでも繰り返していては時間の無駄です」
 「不毛とは何じゃ、エル・・・わらわはこのナイナイ女に・・・」
 「邪魔しないで下さい!私はこのチビに・・・」
 エルの仲裁にエルの方を向いて食ってかかろうとした二人の言葉が途切れる。シルヴァよりも大きな胸を揺らして、倫よりも高いところから見下ろすエルの姿に2人は黙り込んでしまう。これでようやく話が進むだろうと思った精子朗は、その間に夕食の支度をするべく台所へと立ち去ってゆく。
 「今日の夕食は相当遅くなりそうだな・・・」
 そんなことを思いながら冷蔵庫の中を漁ってゆく。



 「まあ、エルさんの仰りたいことはわかりました。不本意ですが、このバカがシルヴァのパートナーに選ばれてしまった以上、戦いに参加しなければならないということですね?」
 「そうです。そして姫様に手を出してしまった以上、セイシロー殿には優勝していただかなければなりません」
 そうしなければ地球が滅びるといわれてはさすがの倫も納得するしかない。むすっとした表情のままご飯を口に運んでゆく。エルに状況を詳しく説明してもらっている間に精子朗が作った夕ご飯を皆で食しながら話が進んでゆく。
 「それから姫様とセイシローさんはえっちをしないと戦えないので、そこのところもよろしく!」
 立ち直ったアルが横から口を挟む。まだそのことには承服しかねる倫の眉がピクリと反応するが、アルはまるで気にしていない。むしろ場を荒らすために自身の妄想を繰り広げてゆく。
 「姫様の前から、後ろから・・・『ああ、だめ。そこは・・・』とか言って・・・」
 調子に持って話を進めていたアルの頭をエルが手にしたお玉で殴打する。鈍い音が今に響き渡る。
 「ちょっと、痛いじゃない!エル!!」
 「少し黙りなさい、アル!!」
 調子に乗っていたアルを一睨みして黙らせる。さすがのアルもエルに一切の反論は赦さないと言わんばかりの迫力に、口を閉ざすしかなかった。倫は怒りに震え、シルヴァは夜のことを想像してか、顔を赤くして俯いてしまっている。精子朗はなんとコメントしていいものやらと、そっぽを向いてしまっている。居間に嫌な沈黙が走る。それを感じ取ってか、アルはしてやったりの笑みを浮べ、もう一度エルに無言で殴られる。
 「精子朗!!仕方がないから少しの間だけ認めてあげる!!でも、本気になったらだめだからね!!」
 涙目で精子朗に注意する倫であったが、精子朗のほうはなんと答えていいものやらと考え込んでしまっていた。折角危険を冒して優勝してシルヴァとはそれまでよというのもなんとも寂しい。それにシルヴァのことははじめてあったときから気に入っている。それを手放すのは惜しすぎる。しかし、そのことを倫に言ったら死ぬまで殴打されそうで答えられずにいる。
 「最初からそう言っておればよかったのじゃ!」
 イスにふんぞり返ったシルヴァが勝ち誇った表情で倫に言い放つ。そんなシルヴァの態度に倫はギロリと彼女を睨みつける。また場が荒れそうな雰囲気を感じ取ったのか、エルが話を横から介入してくる。
 「では、セイシロー殿と姫様の干渉は夜のみということでよろしいですね?」
 「まあ、それくらいで十分動力源を確保できるんでしょう?」
 「通常は一日二回、週十回ほどで満タンと言われています」
 エルの説明をうけた倫は素直に頷く。一応過干渉を防ぐために一日三時間、夜のみという規制を設けさせている。さらに日曜日は倫とデートする日を設けることでもエルとの間で合意に到っている。完全に自分の自由が奪われていくことに精子朗は涙したが、倫もエルも取り合ってはくれないので黙っているしかなかった。
 「では、今宵はここまでということで・・・」
 「あ、姫様。すでにお床の用意は出来上がっていますので・・・」
 これで話し合いを終わろうとエルが切り出すと、アルが客間のほうを指差す。おそらくすでに布団が敷かれ、ティッシュの用意も完璧なのだろう。精子朗もシルヴァもなんとなく恥ずかしくなって顔を赤らめ、倫の方はプルプルと震えている。そんな三人の様子をおもしろおかしそうに見ているアルを、エルが思い切りしばき倒す。鈍い音となんともいえない悲鳴があたりに響き渡ってゆく以外、静かな夜だった。


 「ええっと、それで・・・」
 部屋に入った精子朗は床に正座でしゃがみこむ。湯上りで清潔になった体はこれからのことを思うと熱くなってくるのを感じる。それは眼の前のシルヴァも同様で薄手の寝巻きに包み込まれた体をモジモジさせて恥ずかしがっている。
 「その・・・セイシロー・・・やさしくするのじゃぞ・・・?」
 恥ずかしそうに顔を赤くしながら精子朗に訴えかけるシルヴァの姿に精子朗はドキッとする。なんともいえない色っぽさが感じられ、昼間以上にドキドキと鼓動が高鳴ってくる。同時にシルヴァの寝巻きの胸元からちらちらと見える胸の谷間が精子朗の自制心を瓦解させてしまう。
 「もう辛抱タマラーーーン!!!!」
 プールに飛び込むかのごとくシルヴァに飛び掛る精子朗の姿は、まさに伝説のル○ンダイブそのものであった。それはさておき、鼻息も荒くシルヴァに飛び掛った精子朗はそのまま彼女を抱きしめる。柔らかな胸の感触が寝巻き越しにその存在を主張してくる。
 「こ、こら!セイシロー!優しくしろと言うたばかりではないか!!」
 シルヴァがすぐに抗議の声を上げるが一度火の点いた精子朗はもはや止まらない。寝巻きの上から豊かなシルヴァの胸を弄る。プニプニとした心地よい感触を味わいながらやさしく、激しく揉みあげる。シルヴァが顔を赤くして何か言おうとしたが、それをすかさず口付けで封じてしまう。
 「ふぐっ!うううっっ・・・・んんんんっ・・・」
 口を封じられては何も言うことは出来ない。それでも何事か言おうとしたシルヴァであったが、精子朗の舌が口内に入り込んできて自分の舌に絡みつき、言葉を発しようにも言葉にならない。声を出せないまま必死になって抵抗しようとするが、体格差があるうえに、体の上に圧し掛かられているので抵抗もままならない。
 「ふむっ・・・んんんっ・・・!!!!んんんっっっ!!」
 そんなシルヴァの舌に精子朗の舌が絡みつく。舌先でつつき逃げる彼女の舌に絡みつく。たったそれだけのことなのに体が痺れ、抵抗する力が薄れてきてしまう。そんなシルヴァであったが、精子朗の手が寝巻きの中に入り込んできたときには反応を見せる。
 「んんんんっ!!んんむっ!!」
 激しく抵抗するシルヴァだったが、精子朗の手は巧みに彼女の胸を弄る。絹のように滑らかな肌を滑り指先で硬さを主張し始めた箇所をころころと弄ぶ。それだけでシルヴァの体から力が抜け、乳首はさらに硬さを帯び、勃起してくる。そこまでしてようやく精子朗は口をシルヴァから離す。
 「ほら、もうこんなに勃っちゃった・・・エッチな体だね、シルヴァ・・・」
 「バ、バカ者!!そ、それはそなたが弄繰り回すから・・・」
 「それに反応しちゃったのはシルヴァじゃないか・・・」
 恥ずかしいことを耳元で囁かれた赤面して怒鳴り返すが、さらに言葉を返されては何も言い返すことが出来ない。精子朗の言うとおり、彼の指に反応したのは自分である。それを否定することは出来なかった。
 「大丈夫だよ。シルヴァがどんなにえっちでも大切にしてあげるから・・・」
 精子朗は真顔でそう囁くとシルヴァの乳首を口に含む。コリコリとした感触を唇で確かめると、舌先でそっと舐めてゆく。たったそれだけなのにシルヴァの背筋にはゾクゾクとしたものが走り、小刻みに体を震わせる。それがわかる精子朗は彼女をしっかりと抱きしめ乳首に攻撃を集中させる。
 「ふあっ、セイシロー・・・そこは・・・ひああああっっ!!」
 硬くなった乳首を舐め上げるたびにシルヴァの口から甘い声が漏れる。そんなシルヴァの声に興奮した精子朗の攻めがさらに激しくなる。ペロペロと何度も舐めあげ、口に含んで啜り上げ、軽く歯を立ててかんだりもする。その度にシルヴァの体は震え、悶える様がなんとも色っぽかった。


 「こういうにはどうかな?」
 精子朗はそう言うと軽く歯を立てたまま啜り上げる。さらに舌先で乳首の先端をチロチロと舐めて来る。痛みの中に快感を感じながらシルヴァは小刻みに震え精子朗にしがみ付く。
 「もう・・・だめじゃ・・・なにかが・・・ああああんんんっっっ!!!」
 ビクンと大きく震えると、シルヴァの体から力が抜ける。ピクピクと体を震わせ、イった事を精子朗に教えてくれる。そんなイったばかりで呆けた表情を浮べるシルヴァの顔を精子朗は優しく舐める。
 「本当にシルヴァは感じやすい体をしているな・・・」
 ポツリとそんなことを囁かれたシルヴァは真っ赤になって精子朗の胸をぽかぽかと殴ってくる。
 「そ、そのようなことあるか!そなたの舐め方がいやらしいのじゃ!!」
 「そうかい?でもこっちは・・・」
 そう言うと精子朗の指がシルヴァの股の間に入り込んでくる。不意を付かれた手シルヴァは抵抗する間もなく割れ目の中に指を入れられる。すでに濡れているそこはクチュリといういやらしい音を立てて指を飲み込んでゆく。その濡れ具合とやわらかさを確かめるように精子朗の指がクニクニと動き回る。
 「ほら、ここはこんなに濡れているじゃないか・・・これでも感じやすくないと?」 
 「そう・・・じゃ・・・これもそなたが・・ああああっ!!」
 あくまで反論しようとするシルヴァだったが、それを阻止するかのように精子朗の指が膣内に入り込んでゆく。指で膣内をかき回しシルヴァの反論を遮ってしまう。それでも反論しようとするシルヴァだったが、指が自分の感じる箇所を的確に捉えてくるため何も言い返せない。
 「ふああっ、セイシロー・・・そこは・・・そこはぁぁぁっ!!」
 精子朗の指がシルヴァの感じる場所を掘り起こすたびにシルヴァの脚から力が抜けてゆく。無意識の内にやっていることとはいえ、まるでもっと奥のもっと感じる箇所をいじくってほしい彼女の願望の現われのようだった。それに答えるように精子朗の指が奥へと入り込んでゆく。
 「ひああっ、セイシロー!!そこ、そこじゃっっ!!ああああっっ!!」
 「ここかい?それともこっちかい?」
 「そっちではない・・・あああっ、そこ、そこじゃ!!」
 いつしかシルヴァは素直に精子朗の指を受け入れていた。そして自分の感じる箇所へと彼を導いてゆく。そんなシルヴァの仕草がかわいくて、精子朗も彼女を喜ばせようと激しく指を動かしてゆく。そんな精子朗の指の動きにシルヴァは二度目の高みへと上り詰めて行く。だがその極みには達することはなかった。突然精子朗が指を動かすのをやめ、それを引き抜いてしまったのだ。
 「ふあぁっ・・・何故やめるのじゃ、セイシロー・・・」
 恨みがましい眼差しで精子朗を見つめるシルヴァだったが、その視界に精子朗は濡れた自分の指を入れてくる。愛液でビショビショに濡れ、タラタラと手首の方まで滴り落ちてきている。それを見たシルヴァは恥ずかしさに自分の手で顔を覆い隠してしまう。
 「ねぇ、シルヴァ。このまま指でイかせてほしい?それとも・・・」
 精子朗はそう言うと顔を隠しているシルヴァの手を取り、それを自分の股間へと導いてゆく。熱く硬くなったものがシルヴァの指に触れる。触れた瞬間、シルヴァはそちらに視線を落とす。精子朗の股間では彼の男性の象徴が限界まで張り詰め、大きく反り返っていた。シルヴァはおずおずとそれに手を伸ばす。
 「熱い・・・それに硬くてビクビクと脈打っておる・・・」
 「あんまり強く握るなよ、シルヴァ・・・」
 少しつらそうな表情を浮べる精子朗にシルヴァは思わず手を引っ込めてしまう。それでももう一度おずおずと手を伸ばしてきてペニスを軽く握り締める。その熱さと脈動を手の平に感じながら、ドキドキと興奮していた。
 「シルヴァ、どうしてほしい?」
 ペニスを握り締めていたシルヴァの耳元で精子朗はそっと囁く。それはどうして欲しいのか、何をしてもらいたいのかを尋ねるものだった。シルヴァはしばらく迷っていたが、やがて自分から足を広げ精子朗を迎え入れる準備をする。
 「・・・ここに・・・セイシローに来てほしいのじゃ・・・」
 恥ずかしそうに顔を背け、手で割れ目を隠して呟くシルヴァに精子朗は苦笑しながら体を彼女の股の間に滑り込ませる。自分のほうも我慢の限界でこれ以上耐えることは出来そうにない。シルヴァに口付けをしながらペニスの位置を微調節し、進入の準備を整える。
 「いくよ・・・」
 シルヴァの耳元で囁くと精子朗のペニスがヌプリとシルヴァの膣内に侵入して行く。熱い肉棒の侵入にシルヴァは体を硬くして悶えるが、徐々にそれに慣れ吐き出す息に甘い声が混じり始める。だが、まだ数えるほどしかやっていないためか、膣内は狭く、激しく動くと痛みがあった。それは精子朗も同様で、そのきつさに気を緩めればあっという間に言ってしまいそうだった。
 「んくっ、いい・・ああんっ、セイシロー、セイシロー!!」
 シルヴァは精子朗にしがみ付き快感を貪る。手を彼の背中に、脚を腰に絡みつかせて少しでも精子朗を感じようとする。精子朗は最初はゆっくりと徐々に激しく腰を動かしてゆく。雁首が膣道を犯し、亀頭が子宮口を叩く。その度にシルヴァの口から喘ぎ声が漏れ、快感を貪らせる。
 「ふあああっ、セイシロー・・・わらわはもう、もう!!!」
 先ほど高み近くで中断されたシルヴァはあっという間に絶頂近くまで登りつめてしまう。精子朗もまた、我慢の限界が近かったためもうほかの事をしている余裕はなかった。
 「ああああっっっ!!セイシロー、セイシロー、セイシロー!!!」
 彼の名前を連呼しながらシルヴァは彼に力いっぱいしがみ付く。赤い筋が精子朗の背中に刻み込まれる。それに答えるように精子朗もペニスをシルヴァの子宮口に叩きつける。そして子宮内に熱い精液をぶちまける。子宮の中を満たしてゆくその熱い粘液を感じながら、シルヴァも二度、三度、大きく震える。
 「・・・んんっ、あああんっ・・・」
 「・・・ふんんっ・・・んんんっ・・・」
 どちらからとのなく唇を求め合い、抱きしめあう。絶頂の余韻に浸りながら二人はお互いを求め合う。精子朗の唇を堪能していたシルヴァはようやく落ち着いてきたころになって精子朗のペニスがまだ自分の膣内に納められたままで、しかも元気を回復してきていることに気付く。
 「・・・セイシロー、そなた・・・」
 「一回じゃ、まだ満足できないからね・・・」
 精子朗はそう言うと、また腰を動かし始める。先ほどと同じくらい激しく腰をシルヴァに打ち付けてくる。まだ言ったばかりで感度の鋭いシルヴァはあっという間に三度目へと登りつめていってしまう。
 「ああっ、セイシロー・・・また、また・・・」
 「何度でもイっていいよ?好きなだけ感じていいよ?俺も好きなだけキミを感じるから・・・」
 「ふああああっっっ、セイシロー!!!」
 絶叫にも似た叫びをシルヴァが上げる。二度目、三度目とこの先も何度も精子朗の満足するまでイかされることだろう。それを感じながらシルヴァは三度目の極みへと登りつめてゆく。二人の夜はまだまだこれからであった。



 豪拳寺家地下。アルたちが作り出した空間にシュテンカイザーは収納されていた。格納庫のようなところに納められたシュテンカイザーは様々な機器を使って、昼間の戦闘の破損チェック、機体性能のチェックなどをアルが詳細に調べ上げてゆく。モニターに映し出されたシュテンカイザーのデータを見つめながらアルは大きな溜息をつく。
 「この機体・・・」
 その表情は険しいものだった。しばしモニターとにらめっこしていたアルだったが、すぐに思い直してコンソールパネルを操作して行く。
 「こうしておかないと・・・ダメね・・・」
 真剣な眼差しでモニターを見つめるアルはすばやく操作をしてゆく。そんな彼女の姿を見下ろしながら、シュテンカイザーは来るべき戦いのときを待ちわびているのだった。


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