第壱拾参幕〜発動(其之弐)〜



アの国・ドレイク王の旧居城、ラース・ワウ。

その城のはずれに、地上人ショット・ウェポンが作り出したオーラ・バトラーの開発拠点である“機械の館”がある。

今、その機械の館の上空では、これまで見たことのないようなおぞましく恐ろしい戦いが展開されていた。

黒きオーラに包まれた漆黒のオーラ・バトラー“ビルバイン”は、その黒きオーラを触手の形に変化させ、それを用い、マーベル・フローズンの愛機“ダンバイン”に襲いかかっていた。

意志の力でその触手を自在に物質化させ、“ダンバイン”を、そしてその操縦者であるマーベル・フローズンを思いのままに蹂躙していく・・・。













「はあ・・・・・・ああ・・・・・もう・・・いやあ・・・・・・・・やめ・・・・・・はあああああ!!」

“ダンバイン”のコクピットの中で、マーベルの弱々しい、しかし悦楽に満ちた声がこだまする。“ダンバイン”の中に侵入したオーラの触手は彼女の革鎧を透過し、体のあらゆるところに纏い付き、彼女に快感を与え続けていた。

「はああ!ひゃああ!だめえええ!動いちゃ!は!ひ!いいいいいいい!!」

彼女の膣の中で太い触手がずりっと蠢く。それにあわせて痺れるような快感が身体の奥底から一気に湧き出してくる。

「はあああ!だめええええええ!いやあああああああああ!!!」

巨大な快楽の波が再び彼女の全身を包む。

「ひいいいいいいい!!」

マーベルは全身を痙攣させ、目を剥き、口からは涎を垂らしながらその圧倒的な快感に耐える。

「はあ・・・・・はあ・・・・・もう・・・・・・・やあ・・・お願い・・・・・・助けて・・・・・・。」

マーベルの体を絶頂の余韻が包み込む。目からは涙が次々と溢れ出す。

も う、何十回いかされたのだろうか。マーベルの身体は心身ともに疲れきっていた。が、何度彼女をいかそうとも、この無情なオーラの触手は飽くことのない力強さで彼女に悦楽を与え続ける。触手自体はそれらのどの一本も、まだ一回も絶頂に至っていない。力強い太さを保ったまま、彼女の身体の中で、また敏感な部分で、変わらず蠢いていた。

「はあああ!いいい!!」

細かい触手が彼女の亀裂の上部にある敏感な芽を再び嬲り始める。

「やあああ!いいい!ひい!!」

包皮の剥けたその芽に絡みつく。そして口状になったその先っぽがその芽に噛み付く。

「ひゃあああああああ!!」

凄まじい、そう高圧電流のような刺激が一気に彼女の脳天まで駆け上がる。

その動きにあわせるかのように、彼女の身体の中のものがグイッと強く彼女の奥を突き上げる。

「いいいいい・・・・・・・・・・!!!!」

マーベルの息が一瞬止まる。

「あ・・・ああ・・・・・・!!」

信じられないような強い快楽の刺激が再度彼女の身体を包み込む。彼女は絶頂の中で再び気を失う。

力が抜け、コクピットのシートに横たわるマーベルの美しい顔に向けて、新たな触手が迫ってくる。涙に濡れた頬をナメクジのような触手が撫で上げる。

「ああ・・・・・う・・ううん・・・・・・・。」

意識を失いつつも身体は微妙にその動きに反応している。

触手はそんなマーベルの様子を楽しむかのように、彼女の胸や下半身への攻撃を緩やかにしていた。優しく、というか、静かに彼女の身体を這わすような動きをしている。

マーベルの顔の上を這う触手は、彼女の柔らかい頬の感触を楽しむかのようにゆっくりと、そして不気味に撫で上げる。そして彼女の涙を優しく撫でるかのように拭き取っていく。まるで、優しい恋人が“泣くんじゃないよ”と涙を指でぬぐってあげるかのように。

「ああ・・・・・・はあああ・・・・・・。」

マーベルは快楽の余韻に浸りながら、夢うつつでその感触を感じていた。

(はあ・・・・・誰・・・・・・?私・・・・助かった・・の?)

触手はゆっくり彼女の厚く魅力的な口元に移動していく。激しい情事の後のようにそこは、少し開かれ熱い息を出していた。

触手が彼女の魅力的な唇に軽く触れる。彼女は誰かに軽くキスをされたような気がした。

(あ・・・・いや・・・・。キスなんて・・・。)

マーベルは自分のキスの相手をおぼろげに想像しつつ、全身を覆う気だるい快楽を楽しもうとした。

と、そのとき、その触手は乱暴に彼女の口の中に侵入した。

「んん!!むっぐうううう!!」

マーベルの意識が一気に現実に引き戻される。

(や!何!)

彼女は自分の口の中におぞましい触手が侵入しているのを理解する。

自分がこの触手群に陵辱されているという現実の記憶が甦ってくる。下半身の、自分の膣の中にも、まだ熱く硬いモノがしっかり入っていることも感じられてくる。

口の中に侵入したものと歩調をあわせるかのように、下半身の中に入り込んだモノ、彼女の亀裂の上にある敏感な芽に巻きついたモノ、彼女の量感のある胸そしてその上にある敏感なピンクの突起に纏わりついたモノ、それぞれが激しく活動を再開する。

(いやあ!ああ!だめ!ああ!壊れちゃう!!)

マーベルの口の中に侵入した触手が激しく彼女の喉を突く。マーベルは息苦しさにむせ、何とかその触手を口中から押し出したいと考えるが、体中が触手群に拘束されている身では何の抵抗も出来ない。

(ああ!いや!いやあああ!!)

口中に性器を模したものが入っている感覚はマーベルをさらに狂わせた。

彼女は地上にいた頃は何人もステディなボーイ・フレンドがいた。そのどの彼とも肉体的な関係を持ったりはしても、彼女は決して口では、そうフェラチオを彼らに許したことはなかった。

彼女はどんなボーイ・フレンドとも対等な関係を築きたかった。フェラチオという行為は知ってはいたが、それは単に男性が女性を支配したいがための、男性性を満足させるためだけの、女性に対して冒涜的な行為とマーベルは思っていた。性行為はマーベルにとって愛する男性との崇高な行為であった。性的におおらかに育った彼女も、愛の崇高さを侮辱する快楽追及型の性行為は許せるものではなかった。

彼女の付き合ったボーイ・フレンドの中には彼女に口での行為を求める者も多くいた。どんなにマスクが良く知的な一見非の打ち所のないような男でも、そういった冒涜的行為を求める精神的に未熟な男は、彼女は嫌った。そうして別れたボーイ・フレンドも何人もいた。

(ああ!いやあああ!こんなこと!こんなことを!私!あああ!いやあああああ!!)

普通の男のモノでも嫌悪感はなはだしいのに、それ以上におぞましい触手型の性器に口腔を犯され、マーベルは気が狂いそうであった。

彼女の舌が熱く固い、しかしナメクジのような感触の触手に触れるたびに、死んでしまいたくなるような強い嫌悪感が彼女の身体を覆いつくす。が、それと同時にその感触はマーベルをこれまで彼女が知りたくもなかった倒錯した快感を強く感じさせもした。

(はあああ!だめええ・・・・あああ!いやあああ!もう、わけわからない・・・・・はあああ・・・ひいいい!!)

そんな彼女をさらに追い詰めるかのように、膣の中の触手が彼女を激しく突き上げる。

「んんんん!!いいいいいい!!」

塞がれた肉感的なマーベルの唇の間から、苦悶とも快感ともつかない声が漏れて聞こえる。

(はああああ!変!変なの!あああ!熱いい・・・いいい!!ひい!)

マーベルはいつしか自分の舌を激しく嫌悪する口中の触手に絡めていた。そして、舐め上げる度に得も言えぬ気持ち良さを感じていた。

(はああ!もっと!ああ!だめええ!もっと!もっと!ああ!いい!!ひいいいいい!きてええ!!あああ!いいいいいいいい!!)

マーベルは“ダンバイン”のコクピットに縛り付けられた不自由な腰を激しく動かし、自分の中のモノをしっかりと掴もうとする。彼女の中の襞が激しく蠢く。そして、口の中のモノの全てもその舌で感じ取ろうと激しく絡ませる。

(ああああ!もっと!ああ!つよくうう!!ひいいいいい!!いいの!ああああ!きてえええ!へえええええ!!!)

マーベルの胸に絡みついた触手が激しく彼女の乳房を絞り上げる。乳首を触手が強く噛む!

(ひいいいいい!!)

強い電流が彼女の身体を駆け巡る。

(だめえええ!もう・・・・はあ・・・死んじゃううう・・・・・ひ!いいいいい!!)

マーベルの女芯に絡み付いている細い触手が、彼女のその剥き出しの芽に噛みつく。

「ぎいいいいいいいいいいい!!!」

マーベルが信じられないような声をその喉の奥からほとばしらされる。

彼女の身体が激しい痙攣を始める。

(だめえ!だめ!だめ!だめ!ああ!いい!ひ!あ!おねがい!だめだめだめだめ!いい!ああ!いくうう!!)

彼女の身体が再び激しい絶頂を迎えようとしていた。そのとき・・・。

ぞりっ・・・・。

彼女の下半身の辺りを蠢いていた別の触手が彼女の膣の後ろにあるもう一つの穴に狙いを定めた。

(え?)

絶頂の直前であっても、彼女は敏感なそこに感じる新たな感触を強く感じ取っていた。

(あああ!だめええ!そこは!ああ!ちがうううう!!)

次の瞬間、激しい痛みと共にその中に触手が入り込んできた。

「ぎゃああああああああああ!!!」

マーベルはとても生き物が出せないような断末魔の声を上げる。

膣が激しく収縮し、熱い液を迸らせる様に放出する。

「ひゃああああああああ!!!」

身体を引き裂かれるような激しい痛みと、これまで味わったことのない身体を開放させるような強い快感とが同時にマーベルを襲う。

コントロールの効かなくなった別の穴からも黄色い液が滝のように溢れ出す。

身体の痙攣はまだ止まらず、激しい快感を生み出し彼女の精神を崩壊させていく。

締め付けられた彼女の体の中の触手がビクビクっと跳ねる。

「ああああ!!。」

彼女の体の中で熱い液が迸る。

「ひゃあああああああ・・・・・・・・。」

自分の体の奥深くに熱い液が満ちていくのを、マーベルは絶望的な感覚で受け止める・・・。

と、口中で、彼女の胸の上で、そして後ろの穴の奥でも同じく熱い液が大量に放出される。

「あああ・・・・・・はああああああああああ・・・・・・・・・・。」

マーベルは自分の身体が、そして心が、確実に壊れていくことをおぼろげになっていく意識の中で感じ取っていた。













「・・・・・シーラ様・・・・シーラ様、しっかりして・・・・。」

シーラ・ラパーナは遠くの方で自分を呼ぶ声が聞こえてくる気がした。

(・・・・私は・・・・一体・・・・・。)

シーラは重い瞼をゆっくり上げていく。身体は重く、そんな行為だけでも重労働のように感じていた。

「ああ!シーラさまあ!ああ・・・・良かった・・・。」

目の前にミ・フェラリオのチャム・ファウの愛くるしい姿が飛び込んでくる。

ピンクの髪を振り乱し、美しい透明の羽を震わして彼女の顔に抱きついてくるその身体は、シーラと同様に一糸纏わぬ姿になっている。

「ああ・・・・チャム・・・・・。私は・・・・一体・・・・・。」

記憶がおぼろげだった。シーラは頭を抑えながらゆっくりと起き上がる。

周囲は瓦礫の山であった。

「ここは・・・・。」

シーラはゆっくりと周囲を観察する。

(そうだ・・・。私はミュージィを助けようとして、瓦礫と共に落ちたのだ・・・。)

おぼろげながらも記憶が戻ってくる。シーラはゆっくり頭上を見上げる。自分の落ちてきた穴が天井に開いていた。その穴の上にも大きな穴があり、その向こうに暗い夜の空が見えていた。

「もう・・・気が付いたらシーラ様が裸で倒れているし・・・、周りは崩れていて・・・、もうホント何が起きているのかわからなくて・・・・・。シーラ様もなかなか気付かないし、死んでたらどうしようって、私もこんな格好になってるし・・・。」

シーラが気が付いたことに安心したのか、チャムがこの間感じていた不安を一気に喋り捲る。

シーラが改めてチャムの存在に気付き、彼女の方を見直す。いつもの愛くるしい顔のチャムが不安な様子で喋っている。その顔を見ながら、シーラの頭の片隅に先程までの妖艶なチャムの横顔がふとよぎる。

「・・・チャム・・・。あなた、今までのこと覚えていないのですか?」

シーラがゆっくりとチャムに尋ねる。

「え・・・?!ええ・・・・。ショウを助けようと黒騎士の頬を蹴っ飛ばそうとしたところまでは覚えているんだけど、その後は・・・・。気付いたら、ここでシーラ様と一緒に倒れていて・・・・・・。あ・・?何かあったの!ねえ!シーラ様!!」

チャムは自分が気を失っている間に、何か大変なことが起きていたのでは、そう感じていた。記憶はないものの、何かとてつもなく嫌な悪夢をその間見ていたような気がしていた。自分が自分でなくなっていくような、そして、自分の大好きなこのシーラを憎んでいってしまうような、そんな悪夢を見ていたような気がしていた。だから、チャムにはシーラの意味ありげな言葉がとても引っかかった。

シーラはそんなチャムの不安には答えず、ゆっくりと頭上を見上げ、噛み締めるように言う。

「気付きませんか?チャム?ここの上空を覆う力を・・・。」

「え?ええ!そう!何か嫌な感じ!何か世界を真っ黒に覆っちゃうような嫌な感じがするの!しかも、それがショウのオーラに似ているような気がして!ああ・・・そんなことあるはずないのに!でも、不安で・・・不安で・・・!その上、シーラ様がこんな格好で倒れているし・・・。私、もう何がなんだかわからなくて!!」

多少なりともオーラの力があるものであれば、この宙域を覆う悪しきオーラの力を感じないことはないほどに、その力は強大であった。チャムもそれを敏感に感じ、そしておびえていた。

「・・・それに・・・、マーベルのオーラもさっき一寸感じたんだけど・・・・、あっという間にあの悪いオーラの渦に飲み込まれて・・・・!!・・・もう、どうしていいか!!」

シーラはチャムを振り返る。

(そうか・・・。この弱っていくか細いオーラはマーベルか・・・。早く、早くショウを止めなくては!)

シーラはゆっくりと立ち上がろうとする。が、それまで陵辱の限りをつくされた彼女のか細い身体は体力を失っており、そのままふらっと倒れそうになる。

「シーラ様!だめよ!無茶しちゃ!!」

チャムがけなげにもシーラの顔のところにすばやく飛び込み、彼女を支えようとする。勿論体長30センチほどの小さな彼女にシーラを支えることなど出来ないのだが。

「そんなこと言ってられません!チャム!あの悪しきオーラを押さえ込まなければこの地域一帯は、いえ、バイストン・ウェル全体が邪悪な意志に取り込まれてしまいます!」

シーラは蒼白な顔を上げ、よろめきながらも立ち上がる。

「シーラ様・・・・。」

そこには身体こそ傷つき顔面蒼白にはなっているが、気力、いや、強いオーラに満ち満ちた聖女王の姿があった。数刻まで前の無力な少女の影はもうシーラにはなかった。

「それに・・・・、ショウをあんなふうにしてしまったのは私・・・。」

シーラはゆっくりと上空の果てにいる黒いオーラ・バトラーを見据えながら、噛み締めるように言う。

「え・・・?」

チャムがシーラの顔を覗き込む。

「やっぱり・・・・・あのオーラはショウのなの・・・・?」

チャムは自分でも感じていつつも、決して信じたくなかった事実を噛み締める。

「でも!何で!何でショウが!!そんなこと・・・・何で!!」

「私のせいです・・・。私のせいでショウは・・・・・・。」

シーラは表情を変えず、黒い“ビルバイン”を見据えながら、しかし悔いるような口調でチャムに言う。

「そんな!?シーラ様がそんなことをするわけ・・・・ああ、黒騎士ね!あの黒い騎士がショウをあんな風にしたんでしょ!そうよ!そうに決まってる!!!」

「ええ・・・・。でも、その黒騎士の陥穽にはまってしまったのは・・・・・・・私・・・・・・。私のせいです・・・・。」

「そんなの、シーラ様のせいじゃない!!私だって、私だって、ショウのために何かしようとして足をひっぱちゃうこともあるわ!まして黒騎士の罠にかかっちゃうことだってあるかもしれない!でもでも!!・・・・・?・・・・え・・・?もしかして・・・・私も・・・私も・・何かしたの・・・・ショウに・・・・・・?」

チャムの中に記憶をなくしている間に見たらしい「悪夢」の感覚が甦ってくる。言い知れようのない不安が彼女の中に広がっていく。

不安は悪しきオーラにつながる。シーラはチャムのそんな気分を感じつつ言う。

「チャムは意識を失っていただけですよ。変な想像はおやめなさい。ショウをああしてしまったのは私・・・。私の・・・私の命に換えてもショウは・・・ショウは・・・助ける!!」

シーラの中に気力が、彼女本来の白いオーラが身体の中に充足をしていく。

(ショウ!必ず!)

シーラの中に満ち溢れた白いオーラは彼女の身体をも包み込みだす。

それはシーラ自身がまばゆいばかりの光を放つように、チャムには感じられた。

「シーラ様・・・・・。」

シーラの姿は輝く白い光となっていた。

「どうするの?シーラ様?」

チャムは神々しく光り輝くシーラに恐る恐る尋ねる。

「“ビルバイン”の中に入ります。そして、あの悪しきオーラを、カ・オスから流れ込んでくるあの黒きオーラを祓います!」

シーラの強い気力ある言葉にチャムは一瞬身震いをする。しかし、その一方でシーラが言う様な事が可能とはチャムには感じられなかった。シーラが発している白き輝くオーラの力は確かに個人のオーラ力としては尋常ではない強さを放っていた。が、ショウのオーラ・バトラー“ビルバイン”を包む黒いオーラはバイストン・ウェル全域をも包み込む勢いの恐ろしい力であり、彼女個人のオーラ力でそれを祓うことなど出来ない圧倒的な力が満ち満ちていた。シーラ一人の力でそれを祓う事はどう考えても不可能であった。

「無理よ!シーラ様!そんなこと!!近づいただけでシーラ様もとりこまれちゃうわよ!!」

チャムは必死でシーラの無謀を止めようとする。

そんなチャムに対し、シーラは微笑みで応える。

「だから、チャムの力も貸してください。ショウを想うチャムのオーラ力を貸してください。」

「え?」

チャムは考えもしなかったシーラの返事に一瞬当惑した。

「今ならショウはまだ完全にあのカ・オスからの黒きオーラにとりこまれていないはずです。彼自身がとりこまれていなければ・・・・、まだ彼に“ショウ”としての意識があるのならば、きっと彼は自身の中の悪しき力を追い出すことが出来ます。私はその“ショウ”を目覚めさせに行くのです!だから、チャムにも力を貸してください。ショウを想うその“力”を・・・・、ショウを愛するその心がショウを目覚めさせられます。」

「ショウを愛する心・・・・。」

チャムは自分の中に刻み付けるかのように、シーラの言葉を繰り返す。

「ここで、ショウのために祈っていてください。その祈りは、きっとショウに届きます・・・。」

そう言うと、シーラは再び黒いオーラ・バトラーの方に向き直る。表情が険しくなっていく。そしてそれと同時にシーラの身体から発しられる白いオーラ光もさらに輝きを増していく。

「それから・・・・私が“ビルバイン”に接触すれば“彼”の標的はきっとマーベルから私に代わるでしょう・・・。そうしたら、貴方はマーベルを黒きオーラの束縛から解放してあげてください。」

「え?・・・解放って・・・?」

「彼女は今あの悪しきオーラにとりこまれつつあります。でもチャムがこちらから呼び続ければ、きっと彼女は戻ってこれます。そして戻ってきたマーベルの力は、ショウをこちらに呼び戻す力にもなります・・・。」

「ショウ・・・・。」

チャムは異様なオーラを発し続けるショウの黒いオーラ・バトラーを見上げる。ぞくっと背筋に寒いものが走り抜ける。

「でも!でもでも、もしショウが完全にあのオーラにとりこまれていたら・・・・!!シーラ様が行っても・・・・逆にシーラ様を・・・・!!」

チャムはどうしても払拭できない不安をシーラにぶつける。

シーラは再度チャムに振り返り、微笑みながら言う。

「大丈夫ですよ。・・・・・ショウを・・・ショウを信じましょう・・・・。」

シーラの微笑みは拡大する彼女のオーラの輝きの中に消えていく。真白い光の矢となったシーラは黒き“ビルバイン”に向かって消えていく。

「・・・・シーラ様・・・・・・・・。」

チャムは祈るような気持ちでそのシーラを見送るしかなかった。













シーラは暗い洞穴の中のようなところを歩いていた。カ・オスの黒きオーラを体中に取り込み巨大化したオーラ・バトラー“ビルバイン”の中は、その悪しきオーラのために全く別物に変化していた。機械部品のありとあらゆる部分に、そのオーラが物質化した“魔物”に取り付かれていた。暗い洞穴に見えるものも、実はその“魔物”が寄り集まったものであり、シーラの放つ白きオーラに近づけないため、シーラ自身を避けるかのように空間を作り出しているにすぎない。

“魔物”たちはシーラに対し激しい憎悪と欲望の視線を浴びせかけていた。それは、凄まじいまでの想念であった。並の人間であれば、いや、いかなる覚者であってもこのような想念を浴びせかけられ続ければ、あっという間に気が狂ってしまうであろう。シーラ自身もおのれの発する強き白きオーラが彼女を包み込み守っていなければ、瞬く間にこの“魔物”たちに呑み込まれ陵辱されつくしてしまうであろう。

億千もあるであろう“魔物”たちの欲望と憎悪の視線がシーラの裸身に突き刺さる。それはもう視姦というレベルのものではなかった。彼女の身体を嘗め尽くし、彼女の中までも侵入してくるように感じられるほどの物理的圧力をかけていた。

(クッ・・・・・・・。)

シーラは歯を食いしばり、それに耐える。

少しでも気が緩み彼女の発する白きオーラのバリヤーに綻びが生じれば、この“魔物”たちはあっという間にシーラに群がり、彼女を陵辱しまくり、彼女自身を永劫の色欲地獄に堕とし込んでしまうであろう。

(こんな・・・こと・・ぐらいで・・・・!!こんなこと・・ぐらいで負けていては、ショウを、ショウを目覚めさせられない!!)

シーラは自分の気力を奮い立たせる。

彼女のオーラ光が一層の輝きを増す。

シーラに襲いかかろうとしていた“魔物”たちはその輝きを恐れ、激しい憎悪を彼女にぶつけながら、身体を引いていく。

(ショウは・・・、ショウはこの奥?)

シーラは“魔物”たちには構わず、ショウがいるであろう“ビルバイン”の中央に向かって進んでいく。

(ショウ・・・・ショウ、必ず・・・・・!!)

シーラは悲壮なる決意と共に、“魔物”たちの巣窟を、その中心部めがけて一歩一歩進んでいく。

“魔物”たちが発する悪しき想念は中心部に進むにつれ、どんどん強くなっていく。強い白きオーラのバリヤーで守られていても、その想念の強さはひしひしと感じられた。身体は白きオーラでこの上なく充実しているはずなのに、実際には身体はだんだんだるくなり、頭も痛くなり、足を一歩進めることさえもものすごい重労働になっていた。

(重い・・・・・なんて重いの・・・・でも、私は・・・・・私は、進まなくては・・・・!ショウ!!)

シーラの身体は蒼白になり、脂汗が滝のように流れ出していた。

もう立っているだけで精一杯であった。

(・・・・・・?・・・・あ・・・・・あれは・・・・・・・・・・!?)

シーラの目の前に、いつの間にか広い空間が出現していた。

その中央に、“魔物”で出来上がっている台座があった。そこに誰かが座っている。

(ショウ?・・・・なのか・・・?)

台座の“魔物”たちがシーラの存在に気付き、憎悪を含んだ目で睨み付ける。その視線はまるで鋭い矢のように身体に突き刺さってくる感覚をシーラは感じた。しかし、シーラはその“魔物”の視線には気をかけず、台座の人物をじっと見る。黒きオーラの濃度が濃く、全てが霞んで見え、はっきりとわからない。

(ショウ・・・なの?)

その男が台座からゆっくり立ち上がり、シーラの方に歩き始める。

「シーラ様。待ってましたよ。」

「ショウ!」

“ショウ”はゆっくりとシーラに向かって進んでくる。台座の“魔物”たちは、その竜のような身体を蠢かせながら、全裸の“ショウ”の身体に纏わりついている。

シーラはその“ショウ”をじっと見る。

“ショウ”の目は血の色のように赤く爛々と輝き、不気味な笑みを浮かべている。尋常な様子ではない。

「どうしました?私の腕の中に飛び込んできたかったのではないですか?」

“ショウ”は下卑た笑みを浮かべながら、両手を広げながら言う。

「あなたは・・・、ショウではないわ。」

シーラはその“ショウ”の形をしたものから発せられる圧倒的な悪しきオーラの波動に抗しながら、ゆっくりと応える。

「何を言います?シーラ様。俺はショウ、ショウ・ザマですよ。」

“ショウ”はニヤニヤといやらしく笑いながら話を続ける。シーラは自分の愛する者がおぞましきものにパロディ化され愚弄されているような、そんな不快感に包まれる。

「いいえ!あなたはショウではない!ショウにとり憑いたカ・オスのガロウ・ランのオーラ・・・!」

シーラは身を引き、ガロウ・ラン“ショウ”を睨み付ける。その発する白きオーラの波動にガロウ・ラン“ショウ”も一瞬怯むが、すぐにその嘲弄に満ちた笑みを口元に戻す。

「フフフ・・・。シーラ、あなたは何か勘違いをしている。この俺は“ショウ”。“ショウ・ザマ”ですよ。俺は自分の無力さを呪い、強い力を求めた。そして、この圧倒的な力を得た。それにより、俺の中の何かが変化したかもしれないが、俺は俺だ!これが今の“ショウ・ザマ”なのさ!」

「黙りなさい!そして下がるのです、地の底のカ・オスの世界に!!悪しきガロウ・ランよ!!」

シーラの眼光が鋭く光る。シーラの怒りは白きオーラとなり、彼女を包む光を輝かせる。ガロウ・ラン“ショウ”を包む“魔物”たちはその光にたじろぎを見せる。しかし、彼自身はそんな光はものともせず、変わらぬ嘲弄をその面に浮かべ立っている。

「わからん人ですな・・・・シーラ。お前の恋する男が、お前の気持ちに応えてやろうとせっかく待っていてやったのに。」

彼はシーラの方へゆっくり右手を伸ばす。まるで、恋人の手を優しくとろうかというように。シーラは彼の言葉とその行動にぎくっと身を引く。

「な・・・何を・・・・!!」

シーラの頬を羞恥でほんの少しピンク色に染まる。

シーラは自分が一糸まとわぬ姿にいることに今更のように気付く。彼女は自分の女性を現す部分と形よく膨らんだ胸とを彼の視線から隠そうと、反射的に身を捩る。

ガロウ・ラン“ショウ”はそんなシーラの恥じらいの行動が楽しいらしく、下卑た笑みを浮かべる。羞恥心により彼女の集中力が欠けたためか、彼女の白きオーラ光は少しその光量を落としてしまう。“魔物”たちはそれにあわせて、再びその好色な欲望の視線で彼女の視姦を始める。

「わからんのか?お前を抱いてやろう、というんだよ。お前はそれをずっと望んでいたのではないか?」

ガロウ・ラン“ショウ”は彼女を揶揄するかのように言う。

「ば・・馬鹿な!!」

シーラは羞恥のため、頬を紅く染める。その目は恥辱に耐え、涙目で彼を睨み付けていた。強い黒きオーラの波動は、白きオーラで身を守るシーラの精神を彼女が気付かぬ程度ではあったが、やはり犯していた。普段であればこの程度のことに動じないシーラの精神は、ガロウ・ラン“ショウ”の言葉に少なからず動揺してしまう。

「フフフ・・・そうだろう?お前はマーベルのあの姿を見て、嫉妬に狂い、俺に抱かれようと思ってここまでやってきたのだろう?」

ガロウ・ラン“ショウ”は続ける。

「だ・・黙りなさい!!」

シーラは激しく狼狽し、怒りに顔を紅潮させていく。彼女は怒りの想念が膨らみ、いつの間にか己のオーラの波動が変化していくことに気付いていなかった。

「図星だろ?」

ガロウ・ラン“ショウ”がニヤリと笑う。

シーラの頭の中に、ショウたちオーラ・シップ“ゼラーナ”の一行がシーラを謁見した後に彼女が自室でした行為の記憶が急に鮮明に甦ってくる。

ショウを想い、自分で自分を慰めたときのことを・・・。













「ああ!はああ!す!凄い!ああ!いけない!あ!ひいいいいい!」

声が部屋中に響いている。

(こんなこと・・・こんなこと・・・いけない・・・!誰かが・・・誰かが・・・来てしまう・・・・あああ!!)

その思いとは関係なく、両手は勝手に激しく自分の体を責め上げていく。

「ああ!凄い!ひゃあああああ!ショウ!ショウ!はひいいい!」

悲鳴と一緒に、つい愛しい男の名を口走ってしまう。

何か黒いものが身体の奥深くに生まれ、それが急速に育っていく。それは魔的な凄まじい快楽であり、自分をどこかに連れ去ってしまうように感じられた。

「はあ!はあ!ひい!ああああ!」

その行き先は、怖いような、気持ちの良いような、そしてとても魅力的なところのような気がした。

(だめ・・・そこに、行ってしまっては・・・!!・・・・はああ!ひいい!)

どんなにそう考えても、体は勝手に動き、止めることは出来なかった。

中に入った右手の指をさらに激しく動かしていく。

身体の奥の黒いものは、もう完全に身体を支配し、その高みの場所に私を連れて行く。

「ああ!いや!はひ!いい!だめ!は!・・・・は!・・・・・ああああああああああああああああああ!!!」

頭の中で何かが弾けた。体がきゅうううっと収縮する。

そして・・・、体中の力が抜けていく。

何か激しく登りつめ、そして登りつめたとたん奈落の底に落ちていく・・・・そんな感じが、身体の中に残った・・・・。













記憶が甦ってくるとともに、あの時の熱い何かが、シーラの中に再び現れてきた。

(何を・・・・!馬鹿な!!)

シーラはその身体の反応を打ち消そうと、必死になる。しかし、意識が自分の下腹部に向かえば向かうほど、彼女の身体はさらに熱く痺れたように反応していく。

(駄目!ああ・・・・おかしい!・・・はああ!静まるのよ!そう・・・・お願い・・・・く・・・ふう・・・・はあああ・・・・!!)

シーラの下半身はさらに熱くなり、両肢の力が抜けていく。

「うう・・・・・・あああ・・!」

シーラは短い吐息と共に遂に立っていられなくなり、その場にぺたりと座り込んでしまう。

(な・・・・何故・・・!こんな・・・・・!!)

シーラはそれでも絶望せず、闘志を持ち、ガロウ・ラン“ショウ”を睨み付ける。常人では考えられない強い精神力であった。

(ふ・・・!さすがは“聖女王”。この俺が堕したいと思った女だけのことはある!)

ガロウ・ランの意識と融合し屈折した“ショウ”の意識が思う。

“ショウ”は彼女の抵抗を愉快そうに笑いながら自分の頭上に弧を描くように右手を回す。と、そこにまるで新たな空間が現われるかのようにある映像が浮かび上がる。

「はああああ!ああ!!・・・うう・・・あああ・・・はあああああああ!!ひいい!!いいいいいい!!」

艶かしい女の声が響き渡る。

「ああ!マーベル・・・!!」

シーラは彼の頭上に現われた映像の中にマーベルの姿を見出した。思わず息を呑む。

マーベルは、彼女の愛機“ダンバイン”のコクピットに座っていた。そしてその彼女に黒い無数の触手が襲いかかっていた。しかし、着衣は乱れていない。黒い触手は生体エネルギーであるオーラで出来ており、巧みに物質化と非物質化を使い分けることによりマーベルの革鎧をすり抜け、彼女の生の身体に接触し、彼女を犯していた。

「ああ・・・・はあ・・・・・ひい!いい・・・・・はああああ・・・・・・・。」

マーベルの口から絶望の、いや、快感に身を任せた吐息がもれ聞こえる。

触手が忙しなく彼女の身体の上を這いまわっている。それが彼女の革鎧の下でどのように蠢いているのかは、窺い知る事は出来ない。だが、マーベルの様子から尋常ならぬ動きがあることは窺える。マーベルの様子はあながち着衣が乱れていない分だけ、妙に艶かしく妖しく見えた。

「マーベル・・・・・・。・・・・・・・・・・・。やめなさい!!」

シーラはガロウ・ラン“ショウ”に向き直り、鋭い視線を彼に浴びせながら言う。

「やめる?何をです?シーラ?」

“ショウ”はシーラを揶揄するように応える。

「マーベルを早く解き放ちなさい!このようなことをして、何が楽しいのですか!」

同じ性を持つ者として、シーラはマーベルに行なわれている冒涜的行為が許せなかった。いつの間にか性の快感はなくなっており、変わりに激しい怒りの感情が身体の奥底から湧き上がって来ていた。シーラは自分の精神がいつになくコントロールできずに暴走気味になっていることに気付いていなかった。

「何がいけないのです?マーベルも喜んでいるのに・・・?」

ガロウ・ラン“ショウ”がシーラを嘲弄するように言う。

「何を馬鹿なことを!!」

あんなおぞましい触手に犯されて喜ぶ女性などいない!考えただけでも身の毛がよだつ!そうシーラは感じていた。

「ああ・・・・・はあああ・・・・・いい・・・・・。」

マーベルの悩ましげな声がシーラの耳に入り込んでくる。その声色にはあまり悲痛さは感じられなかった。

「マーベル・・・!」

シーラの視線が、再びマーベルの映像を見る。

マーベルを襲っている触手が彼女を犯しながら寄り合わさり別の形のものに変化しようとしていた。

「・・・・!」

シーラが息を呑む。

それは人型に変化していく。それに合わせるかのようにマーベルが嬌声を上げる。

「あああ!はああああ!いいい!ああ・・・・ショウ・・・・!あああショウ・・・・!いいのおお!!ひい!はあああああああああああ!!!」

「ショウ!!」

シーラはその姿を見、思わず声を上げてしまう。

それはショウ・ザマの裸体に変化していく。

そのショウは腰を激しく動かし、マーベルを強く貫く。

「あああああああああ!!!いいいいいいい!あああ!もっと!!もっと・・強く!!ショウ!ショウ!!来てええええ!いいいいいいいい!!!」

マーベルはそのショウに強く抱きつく。触手のショウもそれに応えるようにマーベルを強く抱きしめる。

「はあああああ!ショウ!ショウ!いいいいわああああ!もっとおお!もっとおお!!」

マーベルも“ショウ”の動きに合わせるかのように、激しく腰を動かす。

「いいのおおおお!!いいのよおおおおおお!!ショオオオオオ!!」

シーラはそんな二人の映像から釘付けになったかのように目が離せなくなっていた。

喉がやたらに渇く。呼吸も荒くなってくる。

(だめよ・・・・。マーベル・・・・、そんなことをしては・・・・!)

シーラは激しく息苦しさを感じていた。

何やら胸のあたりが熱く苦しくなってきていた。

心臓の鼓動も激しくなっていく。

(マーベル・・・、だめよ・・・許さない、そんなこと!)

無意識にそこまで考え、シーラは自分の思考にはっとする。

(何、何考えているのか、私は!!あれは、ショウなんかではない!悪しきオーラが作り上げた偽者のショウだ!・・・でも・・・何でこんなに息が苦しいのか?胸が締め付けられるようなこの感覚・・・・私、マーベルに嫉妬してるのか?)

シーラは更なる喉の渇きを感じつつ考える。

「ああああああああ!ショウ!ショウ!きてええ!もっとおお!もっと強くううう!!」

マーベルの嬌声がシーラの耳を打つ。

(だめ!ショウ!やめて!そんなことしないで!マーベルとなんて!だめよ!だめええ!!)

シーラの身体の疼きが彼女の思考に変化していく。

(違う!あれはショウじゃない!シーラ、騙されてはいけない!)

シーラの理性が警告を発する。

(わかっている・・・・・。ああ・・・・でも・・・・だめ・・・・・。ショウ・・・・)

シーラの下腹部は熱くなり、心臓はドキドキと激しく打つ。シーラはその身体の反応に耐えられなくなっていく。胸を両手で押さえ、身体の疼きに耐えようとする。しかし、視線はどうしてもマーベルの映像から離せない。

「あああああああ!!!ショウ!はひいいいいいい!!いいいい!!のおおおお!!ショウ!ショウ!!もっとおおお!!」

マーベルはさらに激しく悶えまくる。

(ショウ・・・・ああ・・・・・・や・・・めて・・・・。ショウ・・・・・ショオオオオ!!)

シーラは自分の身体の奥が熱くなり、バターのように溶け出しているように感じていた。

無意識のうちに彼女は自分の胸を両手で揉み解していた。

(あ・・・・だめ・・・・・。こんな・・こと・・・・・しては・・・・。奴の・・・思う壺ではないか・・・・・。)

シーラの理性が、今や身体を包み込む圧倒的な快楽の波に駆逐される寸前のか細い理性が、警告を発する。

(だめよ・・・・だめ・・・・やめなきゃ・・・。)

しかし、彼女の手はもう止めることは出来ない。身体の奥から湧き出した熱い液体が膣から溢れ出し、彼女の太腿を濡らし始めていた。

「あ・・・・・ああ・・・・・・。」

熱い吐息がシーラの口から漏れ出す。

(ああ・・・ショウ・・・・やめて・・マーベルとなんか・・・しないで・・・・。あああ・・違う・・・あれはショウじゃない・・・・わかっているのに・・・・でも・・・あああ・・・・・だめ・・熱いの・・・・止められない・・・!ああ・・・・あそこが・・・熱い・・・だめえ・・・。)

シーラの身体の奥は勝手に蠢きだす。

「あああ・・・・!いい・・・・・・・!!」

奥が収縮する度に彼女の理性を圧倒する快楽の波が彼女を襲う。

「あああ・・・だめ・・・・奥が・・・・奥が・・熱い・・・・・。」

シーラを守っていた白きオーラのバリアーはもうなくなっていた。彼女はガロウ・ラン“ショウ”の前に完全に無防備の状態になっていた。

「シーラよ。これが欲しいのか?」

今まで薄笑いを浮かべながら沈黙を守っていたガロウ・ラン“ショウ”がシーラに言う。

彼に纏い付いていた竜の形をした“魔物”たちはいつの間にか“ショウ”と合体していた。それは“ショウ”の下半身から生えるように伸びていた。そして、シーラの方にその鎌首を伸ばしていた。

その竜の頭が別のものに変化していく。角は引っ込み、のっぺりとしかし凶暴な、黒々と光る男根の形に変化していく。

「あ・・・ああ・・・・・。」

シーラの視線は今度はその長い蛇のような男根の群れに釘付けになる。

「・・・はああ・・・・・・・・ほ・・・・しい・・・・・・・。」

シーラの口からは彼女の意志に反する言葉が思わず漏れる。

彼女の女性自身はその言葉を体現するかのように激しく収縮する。電流のような快感が彼女の中を走りぬける。

「ああ・・!ち・・・違う!!・・・・私は!!」

シーラのわずかばかりの理性がその漏れた言葉を否定する。

ガロウ・ラン“ショウ”の股間から生えたその触手たちがシーラの身体に向かって迫ってくる。

「・・・あ・・・・ああ・・・・・。」

その男根の形をした触手たちは、シーラの手足に絡み、彼女の身体を開かせ自由を奪う。そして、彼女の胸や股間といったに敏感な場所に纏い付いていく。

「い・・・・!ひい・・・・・・・・!!」

彼女の体中のあちらこちらから、凄まじいまでの刺激が起こり、彼女の中をものすごい勢いで駆け巡る。思考が真っ白になってしまう。

「だ・・・・だめええ・・・・・・・・!!」

シーラの理性が激しく訴える。

(だめ!堕ちては!!私が堕ちれば・・・・、私がこの悪しきオーラに捕まれば、ナは・・・ナの国はこのオーラに包まれて・・・・・そして・・・・ナだけじゃない・・!バイストン・ウェル全体が・・・・悪しき世界に・・・なって・・・・!!負けてはだめ・・・・シーラ、負けては・・・・ああ・・・!!)

触手が彼女の敏感になっている乳首を撫で上げる。

「いいいいいいいい!!!」

シーラの激しく身体がのけぞる。意識が一瞬吹っ飛ぶ。

(ああ・・・・でも・・・・・もう・・・・・だめ・・・・。)

「そうだ、シーラ。お前は欲しいのだろ?この俺を?マーベルのように、俺の太く熱いモノで貫いて欲しいのだろう?」

ガロウ・ラン“ショウ”が、冷ややかな目でシーラに言う。

シーラは熱く潤んだ目で“ショウ”を見上げる。

「・・・・・はあ・・・・・・・ショウ・・・・。」

触手がシーラの腿と腿の間の最も敏感な部分を撫で上げる。そこにある敏感な芽をその頭でくりくりといじりあげる。

「いいいいい!!ひいいいいいいい!!」

拷問に近い激しすぎる快楽の波が彼女を襲う。


 
「フフフ・・・・。シーラ・・・・。マーベルよりもっとかわいがってやるぞ。俺はお前をアイシテルからな。」

その言葉は今のシーラにとって魅力的過ぎる言葉だった。シーラはこのままもうどうなってもいい、そう感じた。

「ああ・・・ショウ・・・・・。」

ガロウ・ラン“ショウ”の長く太い触手状の男根がシーラの濡れそぼった女性の入り口に当たる。

「ああああああ・・・・・・はああ・・・・・・。」

シーラは奈落の底に落ちていくような、悪魔的な快楽を全身に感じる。彼女の膣は“ショウ”を待ちきれないかのように、蜜を激しく溢れ出させ内壁をキュッキュッと蠢かせる。

「ああ・・・・もう・・だめ・・・・・ああ・・・・・・ショウ・・・ショウ、私を・・助けて・・・・・。」

シーラの最後の呟きは、彼女の理性の残照だったのか・・・。それとも、男を待ちきれない欲望が言わせたものであったのか・・・・・。シーラ自身わからなかった。













続く

















◎    用語説明



☆    バイストン・ウェル全体が邪悪な意志に取り込まれて・・・

異世界バイストン・ウェルは生体エネルギーであるオーラによって作られた世界である。世界を生成するオーラが良きものであるか悪しきものであるかで世界のあり様が変わってしまう。

☆    カ・オス

バイストン・ウェルの最下層の世界のこと。悪徳の限りをつくす種族ガロウ・ランが沸いて来るところと信じられている。


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