其の伍 嫉妬

その夜、聖華市を覆った嵐は、その猛威を失わず荒れ狂っていた。

激しい豪雨が教室の窓に叩きつけられ、猛烈な音を立てていた。

そして稲光が暗い学園を影絵のように時折映し出していた。













聖良は、その悩ましい芽美の痴態を見させられていた。

力の入らない体を、男たちに支えられるようにして立たされ、顔を芽美と少年の方に強制的に向けさせられていた。その姿は、無惨なものであった。髪はぼさぼさに乱れ、白い修道服は下半身が赤く汚れ、また全体的に着くずれてもいた。スカートの中には手が突っ込まれ、まだ未成熟な胸も服の上からであるが男達に弄ばれていた。

だが、聖良の体もまた熱かった。

芽美の悩ましげな鼻にかかった声を聞くたび、聖良の体の奥がキュンと収縮するのが良くわかった。そして、その直後に熱い液体がジュクジュクと身体の奥底から湧き出してくるのである。男の指がその液体を体の内側になすりつけるたび、なんともいえない激しい快感が聖良の中を駆け巡る。

(・・・芽美ちゃん・・・・なんで・・・なんで・・・そんな声を上げるの・・・・だめ・・・・私・・・・またおかしくなってきてしまうわ・・・・。)

それでもその官能の波に呑まれまいと聖良は自分に言い聞かせる。

「シスターは本当に好きモノですねえ。あの子の様子を見ているうちにまたいきたくなってきたんでしょう?」

痩せ型が聖良のスカートの中をまさぐりながら言う。

「そ・・・そんな・・・・ち・・・・違います・・・・はあ!・・・ああ・・・・・。」

「何言ってるんですか。言葉はともかく、ここは正直ですぜ、シスター。」

痩せ型は指を聖良の中に再び侵入させ、くちゃくちゃと音を立てながらかき回す。

「ああ!あ!あ!あ!はあ!や・・・やめてくだ・・・・はあ!」

(お願い・・・芽美ちゃん・・・・そんな声出さないで・・・・。何で、そんな声出すの・・・。)

聖良には鈴代少年が芽美の耳元で囁いているアスカJr.の声色は聞こえてこない。だから芽美が悩ましいだけでなく嬉しげな声を上げているのが良く理解できなかった。

先ほど自分がした屈辱的な経験から、聖良は男に貫かれることをどんなに嫌悪していても、体が反応し悩ましげな声を出してしまうということはおぼろげに理解できた。しかし今の芽美は、心の底から喜んでいるような声を出しているのだ。

(何で・・・・何で・・・・そんな声を出すのよ・・・!芽美ちゃん!だめよ!・・・・・)

聖良は、先ほどまでの快楽とは違った熱くドロドロしたような何かが、胸の奥の方で生まれて来るのを感じていた。それは息苦しさも備えていた。

鈴代少年が体制を変え、いよいよ芽美の中に入ろうとしていた。

聖良の位置からはその結合部がはっきりと見えた。ゆっくりと少年が芽美の中に侵入していくのが見える。

「ああ!はあ!ああ!ああああああああああ!」

芽美が歓喜の声を上げる。

聖良はその様子から目が離せない。

(だめ!だめよ!芽美ちゃん!だめえええ!)

聖良は呼吸が出来なくなるかと思うような息苦しさを感じた。胸がとても苦しかった。

聖良の体を悪戯していた痩せ型が、聖良のその反応に気が付く。そしてニヤリと笑う。

「シスター、やっとわかりましたよ。」

痩せ型が言う。聖良は声をかけられたのはわかったものの、意識が芽美と鈴代少年の行為に集中しているので、何を言われたかは理解できない。

「シスターがこんなに淫乱なのに、何故今まで男を全く興味ないかのように近づけなかったわけが。」

痩せ型が続ける。

聖良がやっと(どういうこと)と言いたげに痩せ型の方を見る。

「シスターはあの子が好きなんでしょう。」

「え?」

「ふふふ。敬虔なシスターが実は女の子が好きだったとはね!」

聖良の顔が恥ずかしさで真っ赤になる。

「そ・・・・そんなこと・・・・ありません。」

聖良は一生懸命否定した。自分の人格までもが汚されたように感じた。

(そんな・・・私が・・女の子を・・・しかも芽美ちゃんのことを・・・・。)

「何言っているんですか。さっきから鈴代のことを嫉妬に狂った目で睨んでいるじゃないですか!」

痩せ型が言う。

(え・・・!?・・・嫉妬・・・!?この息苦しさは嫉妬なの?・・・そんな・・・そんなことない!)

聖良は再び鈴代少年と芽美の痴態に目をやってしまう。何かどろどろとした黒い憎悪のような気持ちが湧き上がってくる。胸の奥が苦しくなる。

(違うわ・・・。違う!違う!)

聖良はその気持ちを否定したかった。同姓にそんな感情を持つなんて、それは神に対する背徳の気持ち以外の何物でもなかったからである。

「シスター・・・。あの子を鈴代に代わって抱きしめたいと思っているんじゃないんですか?」

痩せ型が聖良の女芯を軽く刺激しながら、耳元で囁く。

「そ・・・・そんな・・・。」

聖良はその言葉に刺激されたか、芽美と少年のその痴態を見入ってしまう。芽美が嬉しそうな、そして気持ちよさそうな声を出している。痩せ型の言葉に誘われたか、思わず自分が少年に代わり、芽美を抱きしめている想像をしてしまう。それは聖良にとって刺激的な想像であった。

「あの子の体に手を回し、・・・・そしてそのやわらかい唇にキスをしてみたいのでしょう。」

痩せ型の囁きに載せられたかのように、聖良は頭の中で芽美とキスを交わす。と、聖良の体はそれに反応したかのように、熱くなってくる。

「そ・・・・そんなこと・・・・・あ・・・ありませんわ・・・・。」

聖良の語気は先程より弱くなっている。

あわせて、聖良の身体の奥からは、熱いものが新たに湧き出してくる。

「シスター、想像して身体が熱くなってきたんじゃないんですか?」

痩せ型が再び指を聖良の中に入れ、軽くかき回す。中は再び愛液が溢れ、ドロドロになっていた。

「あっ!や・・・やめてください・・・。わ・・私は・・・・。はあああ!」

「シスター、正直になったほうが良いですよ。その方が楽になる。あなたはあの子が好きなんでしょう!あの子を自分のものにしたいんでしょう!」

「ち・・・・違います・・・わ・・私は芽美ちゃんのこと・・・・・あ!・・・は!あ!あ!はあああ・・はひいいい!。」

(芽美ちゃん・・・・。芽美ちゃん・・・・!)

言葉とは裏腹に、聖良の頭の中では芽美を抱きしめる自分のイメージが離れない。その中で聖良は芽美の名を呼び、芽美の体を愛撫し続ける。

(何を考えているの、私は・・・。こんなこと、こんなこと・・・いけないことですわ・・・。私と芽美ちゃんが・・・・。はああ!)

その想像に刺激されるのか、聖良の体はさらに火照り、聖良の女性の部分は絶え間なく愛液が溢れ出していた。聖良の腰がもどかしげに振られる。

「また感じてきましたか、シスター。彼女と一緒にいきたいんでしょう?」

痩せ型が言う。

(芽美ちゃんと・・・芽美ちゃんと一緒に・・・!?)

芽美と結ばれているイメージが聖良の頭の中で湧きあがってくる。それは刺激的であり、聖良の本心が今求めているもののように感じられた。

(ああ、鈴代君のように、芽美ちゃんを・・・芽美ちゃんを・・・ううん!ちがうわ!いけないわ!私は・・・・。)

官能の波に流され、再び朦朧としてくる頭の中で聖良のわずかに残った理性がその背徳的行為を否定する。

「彼女を、セイント・テールを抱きたいんでしょう?」

痩せ型がその最後の理性に向けて追い討ちをかけるかのように囁く。そのとき、少年に抱かれている芽美が上げる歓喜の声が、聖良の耳の中に飛び込んでくる。

(だめ!芽美ちゃんは・・・・芽美ちゃんは・・・・・・。私の・・・・私の芽美ちゃんにそんなことしないで!)













芽美は至福の中を漂っていた。

今自分は大好きなアスカJr.・・・いや飛鳥大貴の腕に抱かれている。しかも体は一つに合わさっている。その実感が、芽美を幸福の絶頂に導いていた。

そして、彼、飛鳥大貴がやさしく動くたび、痺れるような快感が芽美の中を駆け巡る。

(ああ・・・!アスカ!アスカ!いいの!いいの!もっと!ああ!そこ!)

芽美も自ら腰を動かし、そして快楽を貪った。

少年が芽美の両足を抱え込む。その足を芽美の体の上に折りたたむように曲げさせ、体を屈曲させ、上からのしかかるように自分のものを芽美の体の一番奥まで挿入させる。

「うう!あ!ああああ!はああああああああ!!!!」

奥の奥までの侵入に芽美の身体はさらに反応する。

「はあ!いやあ!あ!すごい!あ!あ!はあ!やだ!わかんなくなっちゃう!!!あああ!すごっ!あ!ひいいいいいい!」

芽美自身、自分が何をどう感じ、そしてどんな声を上げているか、全くわからなくなっていた。この満たされた幸福感の中で、苦痛でもあるようなこの快感を、ただひたすら貪ることしか求めていなかった。













聖良は激しく息苦しさを感じていた。動悸がどんどん早くなる。

それでも、二人の痴態から目を離せない。

(お願い・・・・。もう・・・やめて・・・。芽美ちゃん・・・・やめて・・・・。)

聖良の下半身は熱く、その秘部からは絶え間なく熱い液体が流れ出ていた。

芽美を抱きしめたいという欲望が、聖良の身体の奥から滾々と湧き出してくる。

聖良の秘部と乳房に刺激を与えている痩せ型の手の上に、聖良はねだるように手を添える。

そして、男の手が芽美そのものであるかのように強く掴む。

痩せ型が聖良の耳元で囁く。

「シスター。彼女を欲しいんでしょう?」

(そうなの・・・。ううん、違う・・・。でも・・・ああ・・・芽美ちゃん、芽美ちゃん・・・。ああ!芽美ちゃんが欲しい・・・・!違う!そんなこと!そんなことない!)

激しく首を振り、誘惑に耐える聖良。

「シスターが嘘なんかついてはいけないですよ。」

痩せ型が聖良の中を音を立てさせながらさらにかき回す。

「あ!あああ!」

抱きしめるものを求めるかのように、聖良の手に力が入る。

「欲しいのでしょう?」

(私は・・・・私は・・・・。)

聖良の頭が縦にコクッと動く。

その瞬間、自分の欲望を認めてしまった瞬間、聖良自身の中で芽美への渇望に似た感情が満ち溢れてきた。もう、芽美を抱くことしか考えられなくなっていた。

(ああ!芽美ちゃん!芽美ちゃん!)

そんな聖良の様子を、楽しげにのぞきこむ痩せ型。

「シスター。女性同士でも愛しあえるものっていうのもありますよ。」

痩せ型の魅惑的な誘惑が聖良をさらに欲望の世界に堕とし込んでいく。













続く


→進む

→戻る

→堕ちた神の御使いたちのトップへ