其の八 宴

鈴代少年は少し離れたところで、その二人の痴態を眺めていた。その目は醒めた目であり、感情が出ていない。その光景を楽しんでいるのかどうなのか、心のうちを全く見せない、そんな目つきであった。

「堕ちたかな・・・。」

痩せ型が少年の背後に近づきながら、話しかける。

「いや・・・。」

少年は痩せ型に一瞥をかけ、ぼそりと呟いただけで、二人の方に視線を戻す。

「・・・そんな簡単に堕ちるようじゃ面白味がないですよ・・・。」

少年が呟きながら、ニヤリと笑う。

その少年の前で小太りがビデオを廻している。少年に代わって、先程から二人の痴態を録画しているのである。小太りは少女たちの様子に興奮していた。

「シスターの奴、さっきまで処女だったとは思えないようなテクニシャンぶりだな。全くたいしたタマだぜ!」

小太りはローアングルから聖良の様子をカメラに収めていく。

「ちょっと教えただけで、こんなふうにツボを抑えた責めが出来るなんて、すげえ才能だぜ。なあ兄貴?」

小太りが痩せ型に話しかける。

痩せ型はそうだなって顔を小太りに送りながら、少年の様子を見ている。

「なあ、兄貴。俺だんだん我慢できなくなってきたぜ。こいつらの中に混ざってもいいかな?」

小太りがリーダー格の痩せ型の方に振り返り、尋ねる。

「もうちょっと待ってくださいよ、先輩。深森が何処までやるのか、俺、興味あるんすよ!」

痩せ型が何か言う前に、少年が軽い感じで小太りを牽制する。その様子は先ほどまでの冷たいまなざしの少年とは違う人物のように軽かった。

小太りは"なんだ、この野郎"というような顔で少年を睨みつけた後、痩せ型の方を見る。

「まあ、鈴代の言うことも一興だろう。ちょっと我慢しな。」

痩せ型に言われ、小太りは不服そうな顔をしながら、撮影を再開する。

少年は、再び能面のような表情に戻りクラスメートの痴態を観察し始める。













「はああ、芽美ちゃん、かわいいですわ。こんなになってしまって・・・。」

聖良は、奥から湧き出してくる愛液を舌ですくいながら呟く。

聖良は左手の指で芽美の女性自身の部分を開かせ、その奥に舌を這わせていた。

「あ!あああああああ!・・やあ・・・・聖良・・・もう許して・・・は!はひいいい!!」

奥の方まで舐められる、その不思議な感覚、奥にものを挿入されたときとはまた違うその気持ちの良い感覚に芽美は翻弄されていた。

(ああ・・・。いや・・・・聖良・・・そんなとこ・・舐めないで・・・・はあ!!)

芽美は体がどんどん熱くなり、自分の気持ちとは関係ないところで、快楽の波がどんどん膨れ上がっていくのを感じていた。

いつしか、女性に責められている嫌悪感も、またそれが大親友の聖良に責められているという信じ難い事実の認識も、芽美の中で消えつつあった。

(ア・・・熱い・・・はああ!!やだ!・・・また変になってきちゃう・・・はう!)

聖良は芽美の様子を見ながら、膣の中から舌を抜き去っていく。

(はあ・・・・はあ・・・ああ・・・・・あ・・え・・・・聖良・・・終わるの・・・・。)

芽美は聖良の攻撃が弱まったことに、安心したような、でもちょっと物足りないかのように感じる。が、その次の瞬間。

「あ・・・はあ!い!はひいいいいいいいい!」

芽美は思わず絶叫を上げてしまう。

聖良が今度は芽美の女芯を舐め始めた。

「ひい!いや!だめえええ!そこ!あ!せ・・せいらああ!あん!あひいい!」

強い刺激に芽美は激しく悶える。

誰にも触られたことのないそこへの刺激は、芽美を狂乱させた。

「や!あ!ひいいい!は!ひゃああああああ!・・せ・・せい・・ら・・はひゃああいいいいい!」

「はあ・・・芽美ちゃん・・・ああ・・・凄い・・・かわいいわよ・・・・はあ・・・はあ・・・。」

聖良も自分の股間のものを動かしつつ、芽美をさらに責める。

芽美のそこは、それまでの濃厚なセックスですっかり肥大はしていた。そこを聖良は自分の舌で皮の部分をめくり、中を出させ、そしてそれを咥え込んだ。

「はああ!!!ひゃああああああああ!!!」

芽美が激しすぎる刺激に悲鳴をあげる。体が海老のようにのけぞる。

「ひゃだ!せいらああ!ひゃめ!お願い!はひいいい!」

芽美はもう失神寸前であった。

「ああ、芽美ちゃん!いいですわ!いいですわ!はあああああああ!!」

聖良も興奮してきていた。

自分の股間に挿入されているその道具を動かす右手も、いつしか激しくなってきていた。

聖良のかわいらしい太腿を伝い、彼女の愛液が滾々と流れ出していた。

「はああ!せ!聖良!聖良!・・・ふぁたし・・・ふぁあああ・・・はひいいいいいいいい!!!」

「ああ・・・芽美ちゃん!芽美ちゃん!!・・・・私・・・私・・もう・・我慢できませんわ!」

聖良は激しく右手で自分の中をかき回しつつ、芽美の股間から顔を上げる。

そのまま体を上にずらしつつ、自分の顔を芽美の顔の前まで持っていく。

芽美の顔を覗き込む聖良。その瞳は何かに憑りつかれたかのように、妖しく光っている。

芽美のかすかに残る理性は、そんな聖良の瞳を恐れた。

「・・せ・・・聖良・・・・。」

「芽美ちゃん!私の芽美ちゃん!・・・もう誰にも渡さない・・・。」

聖良は自分の唇を芽美のそれに重ね合わせる。

聖良の舌が芽美の口中に再び侵入していく。

(ああ・・・聖良・・・いや・・・いい・・・ああ・・・やだ・・・・ああもっと・・・はああ・・・・。)

芽美は再び快感の波に呑まれつつあった。そのかすかな理性の抵抗も、もう儚いものでしかなかった。

聖良が唇を離す。

芽美はもう快感に押し流され、とろけるような目で聖良を見ている。息もあがっている。

「・・・はあ・・・はあ・・・聖良・・・聖良・・・・。」

そんな芽美を見て、嬉しそうに微笑む聖良。

「・・芽美ちゃん・・・・。いくわよ・・・。」

聖良は自分の中にささっているそのモノの逆の端の部分を、ゆっくりと芽美のそこに押し当てる。

「・・・あ・・・。」

芽美が軽く呻き声を上げる。抵抗はもうない。

聖良はそんな芽美の様子がかわいらしいと感じていた。

その芽美とやっと一つになれる。聖良は興奮してきた。

聖良はしっかりとそのものを右手で押さえながら、芽美に体重をかけていく。

「あはあ・・・。」

芽美が声を上げる。

芽美のそこは濡れて大きな口を開いているものの、聖良のものは途中で引っかかる。

「あ!はひ!」

途中で引っかかったため、今度はそのモノは聖良の奥の方に逆に押し込まれ、聖良がそれに反応し声を上げる。

「はあ・・・、芽美ちゃん、もっといくわよ・・・。」

聖良は呼吸を整えた上で、再度芽美の中に侵入を開始していく。

「ああ・・・あ!はああ・・!す・・すご・・!ああ!せ・・せい・・・はああああ!」

侵入にあわせ、芽美が悦楽の声を上げる。

侵入の衝撃は聖良の中にも伝わってくる。芽美の襞の中を抜けていくたびに、そのモノは聖良の体の奥、Gスポットと呼ばれるもっとも敏感なところを突き上げてくる。

「あ!は!はあ・・め・・芽美ちゃん、芽美ちゃん・・・いいで・・すわ・・はああ!」

聖良は体の力がともすると快感で抜けていってしまいそうなのを、必死で耐えながら、芽美の中にそれを押し込んでいく。

「は!せ・・聖良!あひ!はああひいいいいい!聖良!聖良!あはああああああああ!」

遂にそのモノは芽美の奥深くまで侵入を果たす。

芽美はそこがそのモノによって、満たされたように感じていた。凄まじいまでの快感が、芽美の股間から全身に広がっていった。

「はああ!聖良!聖良!凄い!凄い!はあ!ひいいいいい!」

「芽美ちゃん!だめ!まだいっちゃだめよぉぉ!これからなんだからあ!」

聖良は自分の下半身を芽美の女性に擦り付けるかのように、腰を動かしだす。

「はあ!ひゃ!聖良!だめ!そんな動いちゃ!ひゃあああ!」

芽美の中で激しくそのモノが暴れだす。奥の襞をかき回すたび、激しい電流が芽美の頭のてっぺんまで駆け抜ける。その快楽に翻弄され、芽美は何がどうなっているのか、またわからなくなっていた。

「はあ!ひゃあ!聖良!凄すぎる!ああ!熱い!もう!だめ!ひゃあああああ!」

芽美の女性からは滾々と愛液が流れ出していた。

そしてそれは聖良も同じであった。

「はあ!いいの!いいの!芽美ちゃん!いいわ!ああ!凄いわ!はひいいいい!」

芽美の体の上で聖良ものたうち回っていた。

聖良のそこも芽美に負けず劣らず、愛液が溢れ出していた。

二人はお互いその愛液を擦り付け合うかのように、激しく腰を動かしていた。

二人の愛液は混じりあい、そこに水溜りをつくり始めていた。

「はあ!ひゃあ!やだ!あひいいい!せ・・聖良!だめ!止め!はああ!ひいいいいいいい!!!」

芽美が絶叫する。

「はひい!いい!いいの!芽美ちゃ!ははああああ!ああ!好き!大好きよ!はあああ!!」

聖良はさらに腰を動かしながら、芽美の体の上に自分の体を重ね合わせる。聖良の尖った乳首が芽美の乳首にあたる。

「あ!はあ!」

芽美はその刺激に思わず声を出してしまう。乳首が軽く触れ合うたびに、信じられないような快楽の波が芽美を包み込む。

「はあ・・・!せ・・いら・・・。もう・・・だめ・・・。はあぁぁぁぁぁ・・。」

二人の乳首が触れ合う。

先程感じていたような背徳的な感情は芽美の中にはもうなかった。ただひたすら下半身から来る激しい刺激、乳首が触れ合うたびに湧き起こる甘い官能に、浸っていた。

聖良は再び芽美にその柔らかい唇を重ね合わせる。

舌が侵入する。芽美はその舌を自分の舌で受け止め、絡ませ始める。そうすることによって、自分の感じている快感をさらに増そうとした。

「・・・ん!むんんんんんん・・・・・・!」

聖良は芽美の思わぬ反応に声を漏らしてしまう。

(はああ・・・。芽美ちゃんが・・・芽美ちゃんが私に応えてくれる・・・・!)

聖良は至福の思いであった。唇を離し、芽美の顔を覗き込みながら言う。

「・・はあ・・・、芽美ちゃん・・好き。大好き・・・もう離さない!」

そして、そのまま彼女に強く抱きつきながら、腰の動きを早くする。

「は!あ!ひい!・・・せ・・聖良〜!!はああ!わ・・・私も・・・私も聖良のこと・・・す・・・好き!大好き!はああひいいいいいい!」

芽美も体の奥から湧き上がってくる強烈な快感に流されながらも、聖良に応える。

芽美の両手が強く聖良を抱きしめ、そして聖良の動きに呼応するかのように激しく腰を動かし始める。

芽美の頭の中はもう真っ白であった。女同士で抱き合っていることも、親友に犯されていることも、そしてそして、大事なアスカJr.の存在すらも。全てを忘れ、ただただこの快楽を貪っていた。

「あああ。嬉しい・・・。嬉しい、芽美ちゃん・・・。はあああ、はああ!」

聖良の目から一筋涙が流れた。聖良はその喜びを体現するかのように、自分の腰を強く芽美に押し付けた。

「は!ひいいいいいいいいいいいいい!!!!!」

「ひゃあああ!はひいいいいいいいい!!!!!」

二人が同時に悲鳴をあげる。

二人の中のモノが、二人の奥深く、Gスポットを同時に直撃した。

「はあ!せ!聖良!だめ!もう!は!は!ひ!いや!あ!あ!あ!」

「芽美ちゃん!いくわよ!ああ!ひ!一緒に!はひ!ああ!」

それを合図に二人の腰はより一層激しく動かしだす。お互いの体を強く抱きしめながら。

「はあ!や!怖い!ああ!聖良!!」

「大丈夫!芽美ちゃん!芽美ちゃん!はああ!あああああああああ!」

「はあ!あ!せい・・ら!ああああああああああ!」

「はあああ!いくわ!いく・・・めいみ・・・ひ!ひいいいいいいいいいいいい!!!」

「ひゃあああああひいいいいいいいいいいいいい!!!」

 
二人は強く抱きしめあったまま登りつめる。二人の体がピクピクと痙攣する。

「はあ!・・・・・・・ああぁぁ・・・。」

激しい痙攣がおさまると、芽美と聖良は糸の切れた人形のようにその場に倒れこむ。

芽美はそのまま気を失っていった・・・・。













「さてと。」

今まで見学者に徹していた少年が動き出す。

「少女漫画のような甘い女の子二人の宴は終わりですね。これからは逞しい男たちも混じったハードボイルドな宴といきましょうか、先輩。」

少年はリーダー格の痩せ型と、我慢しきれなくなっていた小太りに声をかける。

「そうだな。」

ニヤニヤと笑いながら倒れこんだ芽美と聖良に近づく三人。













いつの間にか雨は止んでいた。

聖華市の上空に美しい月が戻ってきていた。

先程まで、この世の終わりのような激しい嵐がこの街を包んでいたとは思えないような、美しさである。

その美しい光が、聖ポーリア学院の教室にも注いでいた。

教室のカーテンはいつの間にか空いていた。電気の消えた暗い教室に美しい月の光だけが注ぎ込まれている。













「・・・・・・・・」

芽美は重い瞼を開ける。

(・・・・学校・・・・教室・・・。)

記憶が定かではない。何故自分が教室の床に、しかもこんな深夜に倒れているのかも良くわからない。

体が重い。

思うように体が動かない。自分の足元の方に誰かが倒れているような気配を感じるが、そちらの方を見ることも出来ない。

(・・・わ・・・わたし・・・・どうしたんだっけ・・・・・。)

カサッ。

自分の視線の先の方で何かが動く音が聞こえた。

芽美は首を少し動かし、その音のした方を向く。

誰かがいる。カバンに何かを入れ終え、それを背負おうとしていたところのようであった。

その少年が、芽美に気付き、顔を向ける。

(・・・・だれ・・・・。)

クラスメートの少年だった。

(・・・・す・・・・すずしろ・・・・く・・・ん・・・・・?)

「やあ、羽丘。」

少年は明るい屈託のない声で芽美に話し掛ける。

「今日は楽しかったよ。」

少年はニコニコしながら言う。

芽美は何か非現実的なものを感じながら、ただ少年の言葉を聞いている。

「俺は先帰るけど、あとはよろしくな。」

そう言いながら、教室のドアの方に歩き始める。芽美は放心状態のまま、少年を目で追っていく。

ドアのところで、少年は振り返りながら芽美に言う。

「じゃあ!また明日、学校で!」

少年は教室から出て行く。

「・・・・また・・・・あ・・した・・・・。」

芽美は少年の言葉を何気なく反復する。

芽美はゆっくり体を起こしながら、そして自分が何故ここにいるのかを思い出そうとする。

芽美の長い髪が肩から胸の方に流れてくる。髪が直に肌に触る。

その髪の感触をいぶかみながら、芽美はもう一度少年の言葉を繰り返す。

「・・・・明日・・・・学校で・・・・。」

芽美の新しい学校生活が今始まろうとしていた。















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