■偲芳歌(しほうか)■【3】
【私の可愛い人形 綺麗な帯もあげましょう
茜の珊瑚飾った 美しい帯よ】
珠晶は祥瓊に付けられていた首の鎖を緩め、天井から下がっている鉤状の金具に付け替える。
腕の鎖も同様に付け替えるが、祥瓊は抵抗することなくおとなしく従っていた。
珠晶が鎖を巻き上げると、祥瓊の上体が起き腕を真っ直ぐに天井に延ばした状態で固定された。
「今度は帯を着けてあげるわ、返事は?」
「…はい、お願い…します…」
珠晶は大卓(つくえ)から最も大きい箱からなにか赤い塊を取り出した。
それは、帯というよりは紅い鎧のように見える。
全体は革製で下乳から腰まで覆い頑丈な鉄で補強され、裏側は布で裏打ちされていて肌が傷つかないように作られていた。
中央の臍の部分には穴が開いていて、臍に埋め込まれた宝石細工が見えるようになっている。
背中にはいくつものベルトと金具があり、錠がかけられるようになっていて祥瓊が自分では脱げないような構造になっていた。
鮮やかな紅の拘束具はあまりに芸術的で、そして淫らだった。
「はぁっ……はぁっ……はっ………」
珠晶は拘束具の背中の割れ目を押し広げると、祥瓊の胴に巻き付けていく。
後ろにまわり拘束具の紐を締めはじめると、祥瓊は息を荒げて喘いだ。
少しづつ締め上げられ、背中の隙間がだんだんと細くなっていった。
「苦しい?限界かしら?」
「は…はい…もうこれ以上…」
珠晶は自分で問いかけながら祥瓊の返答を遮ってしまう。
「もっと締め上げても大丈夫よね?」
「…うう…は…はい……大丈夫です……続けて……ください……」
珠晶は自分で無理矢理言わせた返答を聞くと、容赦なく紐を締めあげた。
祥瓊の腰は限界以上に締め付けられ、胸を淫らに強調してそのまま無惨にさらけ出される。
珠晶の手が動き、拘束具の錠を上から順に止めていく。
珠晶が拘束具の錠を全て付け終えると、祥瓊の躰は堅い鎧の中へ閉じ籠められてしまった。
これで鍵を開けてもらわない限り、祥瓊は決してこの拘束具を脱ぐ事が出来なくなった。
それは普通の人間の躰では、成しえない美しい曲線を持った美術品のようであった。
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