敏感な素肌が直接外気にふれる頼りなさと、背筋に走る恐怖が若い女の身体をこわばらせていた。一瞬の空白の後、男たちの嘲笑が女の心に突き刺さる。
「ひゃっほお! いい生えっぷりじゃねえか。ハッハハハハ!」
「ちょっと濃い目か? いや、手入れしてねえのか クックック──」
「お手入れの心配はいらねえぜ! おれ達が念入りに処理してやるからなあっ」
 あまりの屈辱に一瞬血の気が引いたが、卑劣な男達の前に肌をさらす羞恥は、女刑事のミルクをこぼしたように白い肌を、さらに鮮やかな紅に染め上げていく。白さが際立つ肌ゆえに、紅潮している様は新鮮な眺めだった。
 男たちの表情は緩み、卑劣な喜びに瞳孔を開かせている。やけにギラギラしている目の光が不気味だった。
「ひゃはははっ! 目をつぶっちゃって、いい顔してるぜえっ」
 男たちは普段の冷静な、表情を押さえているエミリーの引き締まった表情しか知らない。こうして屈辱と恥辱に頬を染めている彼女の顔を見るのは、彼らにとっては文字通り溜飲を下げる思いだったのだ。
 音をたてて部屋着が切り裂かれて取り払われると、身につけているものは後ろ手に彼女を縛め、柱にくくりつけるロープだけだった。身体をこわばらせながら唇をかみしめて男たちの視線を受けとめている女刑事の肌に浮かぶ汗が、滑らかな肌を伝わり、滴となって落ちていく。
 すでに男たちの興奮はかなりのものだった。下腹部に隆々と盛り上がったものが衣服を持ち上げている。エミリーは喉の奥が恐怖と緊張でカラカラに乾いているのに気付いた。 身につけるものもなく肌をさらしたまま柱に後ろ手のままにくくりつけられ、反撃もままならぬ状態で自分に恨みを持つ男たちに囲まれている。この無力感。絶望するにはまだ早すぎるが、苛烈な陵辱を免れる術はもはやない。
 ──こ、こんなところで──っ。
 彼女にとっては、組織を追いつめていくために通る門の一つに過ぎないはずだった。彼女の戦いは、ようやく敵の姿を視界に捉えたにすぎない。だが自力での脱出の望みがほぼ消えた今となっては、彼女の十年を費やしてきた復讐も果たされる可能性を失っている。
 たとえ脱出したとしても、それ以降の組織相手の捜査にどれだけ参加できるのか。組織に誘拐されてしまうような愚かな捜査官に上層部が信頼を置くとは思えない。
「へへへっ──涙なんか溜めちゃって、可愛いじゃねえかよ」
 男達の言葉のとおり、女刑事の目に涙がたまっていた。屈辱や恥辱はもはや覚悟しても、少女のころから追い続けてきた組織を、あの男を追いつめることができなくなったことが悔しかった。母を、父を奪ったあの男にもはや近付くことすらできないのだ。

「そうだ、悔しがれ。そのお前の表情が、オレたちにとっては何よりの慰めなのだからな。クックック──」
 カーツはさがったところにどっかと腰を落とし、エミリーが衣服を剥がれその豊麗な肢体を剥き出しにされるのを面白そうに見つめていた。膝に手をおき、酒をあおるその目は陰湿な嗜虐の光に輝いている。
「ああっ──やめなさいっ、こんなっ──」
 男たちの手が美しくまろやかな曲線を描く乳房を、豊かなふくらみを見せる尻肉を這いまわる。そのぴっちりと閉じられた太腿をこじあけようとさし込まれていく指に、女の身体が必死に抵抗するが、痛めつけられ抵抗力を失っている身体は思うように動いてくれないのだ。
「へへっ……よく練れているじゃねえか」
 牝肉の扉に触れた男が嬉しそうに、ネチネチと女をいたぶろうとする。激しい運動で活発になった身体は膣内の動きも活発化させている。分泌物もふえ、心ならずも潤みを増している女体なのだった。さらに指をねじこんでこようとする男の指に、自らをまもろうとする粘膜は、じわじわと粘液をまとって傷から身をまもろうとしてしまう。
「こっちもいい反応だぜえ? すぐにピンピンだ」
 すでに激しい運動の中で布地とすれあって、固くなりかけていた乳頭は、男たちのいたぶりの中でさらに辛さを増していく。性的な反応ではないはずだが、「おんな」の体の反応がエミリー自身を追いつめていくのだ。
 何も応えることのできない女刑事の身体を思うさま蹂躙していく男たちの手と視線。男たちの視線のひとつひとつが、彼らの言葉のひとつひとうが、女刑事の心の殻にクサビとなって打ち込まれていくのだ。
「か、感じているわけじゃないわっ! いい気にならないでよっ」
 口に出してしまってから後悔した。今更男たちを挑発してどうするのか。ここは従順にすごし、男たちを油断させてチャンスをうかがうべきときだった。予想以上に焦っている自分自身に、女捜査官自身が驚いていた。
「くっくっく……感じていないだって? そうかなあ、刑事さん」
 耳元でささやかれる、低い声。その振動が耳たぶに伝わって耳から頭部全体に共鳴する。
「どうしたら、そんな恥知らずな言葉が出せるのかな? ほら……」
 ──にちゃっ──つぷっ──クチュッ──。
 クスクスと笑う男。いつのまにか太腿を割って牝肉の狭間に入り込んだ男の指がいやらしい音を響かせている。その、糸をひくような粘着質の水音は、確かに彼女の女の器官から響いていたのだ。


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