「くっくっく……どうやら限界か?」
 カーツの含み笑いも、もはや気にしている余裕はない。重く砂ががつまっているような身体に鞭打って男の攻撃をかわし反撃の機会をうかがうが、もはや大勢は決していた。
 ──手が上がらない。──くっ──まだ、まだよっ──!
 呼吸が苦しい。早く、浅い呼吸。すでに三人の男を床に這わせてきた女刑事のスタミナが尽きてきたのだ。ひとたび乱された集中力は無駄な動きを呼び、彼女の体力を奪っていた。
「あっ──」
 膝がグラついた瞬間、男の腕が伸びてきた。動きの鈍った身体でなんとかかわそうとするが、姿勢が悪かった。続く一撃をまともに受け、エミリーはバランスを失い、倒れたのだった。
「はあっはあっはあっ──くうっ──降参。私の負け──」
 受身はとったものの、ダメージは大きい。腕をとられてしまい、降参せざるを得なかった。関節をいためてしまっては、脱出など不可能だ。たとえ陵辱をうけようとも、今は生き延びてチャンスをうかがうべきだろう。
 女捜査管は自分に言い聞かせながら体力の回復をはかる。だが、腕をねじ上げる男の力は容赦ないもので、女刑事は今度こそ悲鳴をあげることになった。
「い──痛い! ──やめてっ──壊れちゃうっ」
 くっくっと腕の関節を極めている男が笑った。背筋に寒気が走った。この男は楽しんでいる。だが、もはや今の彼女には耐える以外の選択肢はないのだ。
 男はさんざんエミリーの腕を痛めつけてからようやく開放した。消耗し、腕の力を奪われた女捜査官に、今度こそ陵辱の手が伸びようとしていた。
 鈍く熱い痛みがしこっている両腕を後ろに回したまま、ロープで柱に繋がれる女捜査官。普段スクエアな衣装に隠しているのが信じられないほどに充実したボディがライトの光に照らされている。
 緊張と恐怖、そして怒りに固くこわばりながらも、その身体のあらゆる部分が強烈に女を主張し、成熟した女の香りが匂いたつばかりだ。女刑事本人は意識せずとも、そこにあるのはすでに、餓えた肉食獣にささげられた、熱く豊潤な肉汁のしたたる供物にすぎなかったのだ。
 布地におさえつけられながらもその高さとふくらみを主張する乳房 の間には深い谷間が形成され、肌にはり付いた布地がなんとも卑猥な眺めだった。
 下半身はもっとひどい。豊かに成長した太腿と下腹部にはさまれたちっぽけな布地も肌に張り付いて、その恥丘のふくらみと、その下の恥ずかしい形状までわかってしまいそうだ。もちろん、白い肌に鮮やかな漆黒のしげみもくっきりと浮かび上がっている。
「よくもまあ、こんなカラダで刑事なんかやっているよな」
「モデル、じゃねえな。やっぱりオレ達の店で働くのが似合っているぜ」
 腕は背中に回され、柱を回してロープでくくられている。背中に柱を抱かされたそのポーズは安定を欠き、うかつな行動をとると手首や肩を痛めるしかけになっていた。
「全部スケスケで、いい眺めだぜ、刑事さんよお」
「これなら、ウチの店でもいい給料でやとってたるぜえ」
 汗でじっとりと濡れ、恥ずかしい姿をさらしたまま、女刑事は唇をかみしめる。男の腕が肌に張り付いた布地に触れる瞬間、女刑事の身体がピクリと震えた。
「あっ──」
 下にブラジャーをつけていない肌着の結び目がほどかれ、前が開かれた。プルンと大きく揺れながらみっちりと魅惑的な感触のつまった乳房が弾けるようにして現れる。汗に濡れた肌がなまめかしい。男達はいやらしい歓声をあげ、エミリーの顔を屈辱に歪めさせた。
「んんー、いい匂いがするじゃねえか。香水か?」
「そりゃ、エリートさんだ、稼ぎもいいだろう、香水だって使うさ」
 クンクンと匂いを嗅ごうとする男達のしぐさに女刑事の身体が硬直する。若い女の身では想像すらできない、おぞましい経験だった。刑事として認められるようになったからといってそういった事柄に耐性ができるというわけではないのだ。
 ──我慢──我慢するのよ。怒ってはダメ。泣いてもダメ。耐えるの、じっと──。
 自分に言い聞かせる女刑事だったが、屈辱の時間はまだ始まったばかりだ。男の手が下腹部に伸びていくと女の身体に緊張が走った。
「やめなさいっ──ひ、卑怯ものっ」
 思わず口走ったせりふだったが、もはや男達の嘲笑を引き出すだけだった。無力な存在になり下がった女刑事の言葉などには、もはや一顧の価値すらないのだった。
「くっくっ──いい声じゃねえか。もっと鳴いてくれよな、刑事さん」
 ツツ──といやらしく曲げられた指が柔らかい下着をなぞっていく。そこは汗で完全に透けてしまい、その下のくさむらの形を露わにしている。半透明になった布地はぬめりをおびているようで、 繊毛の生え際の形まではっきりとわかってしまうのだ。
 ──くっ──こ、こんなやつらに──っ。
 ふっくらともりあがった恥丘の上で、鉤状に曲げられた指が行き来する。下着の上から繊毛をつまみ、ひっぱられると肉体の痛み以上に恥辱の熱さが心を焼いた。
「あっ──」
 指が太腿の合わせ目から下着の中に侵入した。敏感な秘められた場所をさぐろうとする。エミリーはうろたえながらも自分を落ち付かせようとしているが、とてもそんな状況ではない。
「どうした、おとなしくなっちまったじゃねえか?」
 意地悪な指が下着をひっぱり、ギリギリまで引っ張ってからいきなり離す。ゴムの張力で勢いのついた下着が若い女の下腹部でピシャリと小気味よい音をたてる。頬を張られたかのような情けない表情の女刑事を見て男達が心地よさげに笑う。
「だが、それじゃあ面白くないんだよっ」
 男の手が小さな布地をつかんで思いきり引き上げる。股間の柔肉に下着が食い込み、女が小さな悲鳴をあげる。女刑事がこらえる表情に気をよくした男は、ここぞとばかりにたたみ掛ける。
「そらっ──そらっ──いい顔するじゃねえか。それでいいんだよっ、ハハハッ」
 強制的に股間から持ち上げられる力がなくなった次の瞬間、下着は鋭い音とともに切り裂かれていた。男が指の間に隠し持っていた刃物で一気に切り裂いたのだ。


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