第四章・ノルダの奴隷市場

-2-

 貧困街の片隅に佇む薄汚い建物の地下には柵で囲われた円形のリングがあった。
 リングを囲むように並ぶ座席には奴隷市の時と同じように奇妙な仮面をつけた観客達がリングを眺めながら談笑をしている。
 その観客達が見つめているリングの片方には黒い覆面を被った大男が二人いて、それぞれが自慢の肉体を観客に見せ付けるかのようにポーズを取っている。
 その反対側にはまだ年端もいかない少年が5人いて、それぞれが手に剣を持っていた。
 ここは奴隷同士が殺し合いをする闘技場であった。
 そして観客達はその結果に莫大のお金を掛けているのである。
 ラングとの性交の後、シーダは娼婦が着るような如何わしいドレスを身に纏わされてこの闘技場を訪れていた。

 戦いの始まりの合図と同時に大男は子供達に飛び掛った。
 子供達の悲鳴と鮮血が飛び散り闘技場の中では凄惨な虐殺が行われていた。
 ラングから目を背けないように命令されたシーダは子供達が殺されていく姿に吐き出しそうになっていた。
 4人の子供が殺されリングの中には2人の大男と、一人の少年が残された。
 しかし、このターバンを巻いた少年は他の子と違って怯えておらず、瞳には強い光が灯っていた。
 その少年に向かって大男達は最後の獲物を捕らえようと左右から飛び掛る。
 しかしその少年は素早い動きで大男の攻撃を回避し、逆に勢いのついた大男は顔面から壁に突っ込んでしまった。
 だが少年の思いもよらない動きに観客席からは歓声ではなくブーイングが上がっていた。
 ここにいる観客のほとんどが大男達の勝利に掛けているのだ。
 しかし少年はこの罵声にもめげず、顔面血塗れになった大男の攻撃を次々とかわしていた。
 このままでいけば少年が勝利を収めるかもしれない。
 少年を応援していたシーダの願いは届くかと思われた。
 しかし、その思いはラングによって遮られた。
 ラングが床に落ちていた石を誰にも見つからぬように少年に投げつけたのである。
 大男の攻撃を避けようとした瞬間に飛んで来た石の為に動きが一瞬鈍った。
 「あ!」
 シーダは思わず声を上げたのだが、少年は投石による妨害など何でもなかったのように大男の腕の隙間から逃れていた。
 少年の無事を知り胸を撫で下ろしたシーダであったが、すぐに闘技場は大きな喚声に包まれた。
 何事かと目を細めて見るとリングの中央で少年が両腕で胸を隠して立ち尽くしていた。
 その両腕の下に隠された胸はどう見ても少年のものではなく、シーダと同じくらいの年頃の女性のものであった。
 少年の正体を知った大男達の表情も一変し下卑た厭らしいものになった。
 生命の危険とは違う別に意味で身の危険を感じ取った少女は初めて恐怖に怯える表情を浮かべた。
 恐怖の為か動きにキレを失った少女は大男の攻撃を何とかかわすものの、僅かに反応が遅れ避けるたびに衣服を破かれる。
 そして数分後には両手で陰部と胸を隠して恥かしそうに立ち尽くす栗毛の美少女の姿がそこにあった。
 「ギヒヒヒッ・・殺す前に可愛がってやるぜ・・」
 「女の悦びを俺達が教えてやる・・」
 極度の羞恥と恐怖で動けない少女はジリジリと追い詰められ次の攻撃でついに捕まってしまった。
 大男は少し力を入れれば折れてしまいそうな少女の細い両腕を掴むと身体から引き剥がした。
 「いやぁ!やめてぇ!!」
 大男は嫌がる少女の両腕は後ろに捻ると、ボロボロに破り裂いた衣服の切れ端で拘束した。
 観客達の仮面の奥から覗く沢山の眼差しに少女の小振りの胸が晒される。
 白いお椀のような胸の天辺に苺のように初々しい乳首が乗っかっている。
 「ギヒヒ・・こっちのほうも見せて貰うぜ・・」
 「えっ・・・いやぁ!それはやめてっ!!」
 大男に上半身をガッチリと抱かかえられて身動きできない少女に、もう一人の大男が近づいて両脚を掴むと力任せに大きく広げていく。
 身体を左右に振って大男達の腕から逃れようとするが少女の華奢な力では何の効果もなく、逆にその抵抗する姿が扇情的で大男の情欲を駆り立てた。
 「あああ・・・見ちゃダメェ・・」
 白く綺麗な太腿は大きく開かれ、その中央には少しくすんだ褐色のワレメが顔を覗かせている。
 男は少女の股間に顔を埋めると、ピッタリと口を閉じている肉裂に下を這わせた。
 「えっ・・だめっ・・やめて・・」
 上半身は両方の乳首を大きな指で捏ねられ、下半身は無垢な秘唇を愛撫され、未だにオナニーすらしたことがない少女の身体に少しずつ快楽の波が押し寄せてくる。
 その証拠に小さかった乳首は大きく立ち上がり、固く閉ざされていた肉裂も緩み未踏の処女肉が露になっていく。
 「ギヒヒヒヒ・・・どうだ?気持ちよくなってきただろ・・」
 「うぅん・・・気持ちよくなんか・・ないよ・・」
 少女は言葉では否定しているがその覇気の無い口調が感じていることを物語っていた。
 自分の身体の奥底から湧き上る熱いものが全身を駆け巡り、今まで感じたことの無いこの感覚に少女は戸惑っていた。
 (ああ・・恥かしいのに・・・皆に見られているのに・・・)
 「あぁん・・・やめてぇ・・・恥かしい・・・」
 こんな恥かしい行為は今すぐに止めて欲しいと思っているのだが、それ以上にこの感覚をまだ味わっていたいという思いが少女の気持ちの中を占めていた。
 何時しか太腿に入れていた力は緩み大男が力を抜いても少女の股間は大きく開かれたままであった。
 「ギヒヒ・・俺がおまえを女にしてやるぜ・・・」
 処女の肉壁を舌で穿っていた大男は股間から顔を離すとベルトを緩めて大きな肉棒を露にした。
 少女の腕くらいの太さのある肉棒を秘裂に宛がうと、肉襞から分泌された愛液に充分馴染ませてから一気に膜をぶち破った。
 「あああ・・・痛いっ!!」
 今まで恍惚の表情を浮かべていた少女の顔が痛みによって険しいものに変化した。
 しかし大男はその苦悶の表情を愉しむかのようにゆっくりと腰を動かし始めた。
 「ああ・・だめっ・・身体が裂けちゃう・・」
 今まで唾液と愛液で照っていた太腿が少女の一生に一度の血によって紅く染まっている。

 少女の小柄な身体にとって大男の肉棒はサイズが大きすぎ、なかなか処女喪失の痛みが消えなかったのだが、何度も肉壁を抉るうちに少女の声が甘いものに変わっていく。
 「ああん・・あん・・あうん・・・うぅん・・・」
 「ギヒヒ・・ヒヒッ・・」
 少女の肉襞は初めて侵入してきた肉棒に強く絡みつき大男は更なる快感を求めて腰の動きが激しくなる。
 破瓜の痛みが消えた少女の身体は大男の荒々しい腰の動きに何時しか酔い痴れていた。
 「グォ・・出すぜっ・・」
 「ああん・・いいっ・・」
 限界に達した大男の肉棒から放たれた多量の精液が少女の子宮を汚していく。
 体内に熱い液体を注入され生まれて初めての絶頂を迎えた少女への陵辱はまだ終わらなかった。

 「くぅっ・・うっ・・ううぅ・・」
 交代したもう一人の大男に下の唇を犯され、可憐な上の唇には処女を奪った肉棒を咥えさせられていた。
 少女は両方の口を汚らわしい肉棒で塞がれ声を上げることも、快楽から逃れることも出来ずただ大男達に身を任せるしかなかった。
 しかし涙に濡れた頬は紅く染まり、拘束を解かれた両腕はフェラチオしている男の腰に抱きついているところから少女もこの陵辱をもはや抵抗していなかった。
 だが、この陵辱劇も二人の大男が同時に絶頂を迎えたときに終了の時を迎えた。
 それぞれが膣内に射精できたことで満足した大男達は本来の目的である勝利の為に少女の息の根を止めようとしたのである。
 二人の男に子宮を汚され惚けている少女に首に男の手が伸びた。
 首が絞められ息苦しくなったときに少女は初めて自分の命が危ういことに気付いた。
 しかし時は遅くこの場にいる誰もが少女に死が訪れることを悟っていた。
 ところがここで誰もが予想しない事態が起こった。
 少女の両手が奇妙な動きをしたかと思うと掌から蒼白い光が迸ったのである。
 その光は大男の身体に巻きつくと収縮し巨大な身体を一瞬で粉砕した。
 誰もが目を疑っている間にもう一人の大男も同じ魔法によって絶命していた。
 「しょ、勝者、リンダ。掛け金の倍率は30倍です。換金される方は・・・」
 場内に司会の乾いた声が響いたが誰にも聞こえていなかった。
 「あれは伝説の魔法オーラ・・・大魔道士ミロアしか使えなかった魔法を何故あんな小娘が・・・!!確かミロアには娘がいたはずだ・・・ハハッ、これはいいものを見つけたぜ」
 少女の逆転勝利に驚いていたラングであったがすぐに席を立つとシーダを連れて闘技場を後にした。

 それから数日後。
 パレス中心部にあるラングの館には二人の美少女が囚われていた。
 タリスの王女シーダと大魔道士ミロアの娘リンダ。
 高貴な家柄である二人の娘達はラング邸を訪れる貴族達の慰み者にされていた。
 二人の身体を与えることによってラングは何か善からぬことを画策しているようであったが、シーダ達の耳には全く届いてこなかった。
 アカネイアが攻められた時にドルーアに鞍替えするような性根の腐った貴族どもの好奇な視線の前で様々な痴態を晒さなければならなかった。
 そして饗宴が終わりに近づいた頃、ラングの元に衝撃的な報告が届いた。
 「アリティア軍がパレスに攻めて着ました!」
 ラングと貴族達は示し合わせたように頷くとラング邸を後にした。
 そして残されたシーダに向かってラングは思いもよらない事を言った。
 「準備しな。これからマルス王子に会わせてやるよ」
 シーダは信じられないものを見るような表情をしながら小さく頷いた。


→進む

→戻る

→紋章艶義のトップへ