(2)
まだ夏休みまで1ヶ月近くある私立聖桜学園に真夏のものと変わらない程の日差しが降り注いでいる。
先週、梅雨明け宣言がされてから毎日のように茹だる暑さが続いていた。
「あの先生ムカツクよなぁ。なにもあんな格好させなくてもいいのに」
6限目の授業をサボった夏美は学園の屋上の貯水タンクの蔭にいた。
そこは学園内からは決して見つかる事がなく、午後になり傾きかけた日差しも防げる絶好の昼寝ポイントだった。
「そりゃあ、私が可愛いからつい意地悪したくなる気持ちもわかるけどさ」
夏美はつい先程終わった5限目の体育の授業を思い出してイラついていた。
6月に入ると同時に体育で水泳授業が始まったが夏美は今日の授業で水着を忘れてしまったのだった。
そして夏美は担当の体育教師から下着姿で授業を受けるように言われたのであった。
夏美の下着は肌にぴったりとついて動きやすいスポーツブラと柄など全く入っていないパンティで色は両方とも白。
水に濡れれば当然透けてしまい一回プールに入って泳いだだけでわずかに突き出した乳首の色が薄く見えてしまう。
水を十分に吸い込んだパンティは陰毛の薄い股間に張り付いて秘所の凹凸までわかってしまいそうであった。
そのような屈辱の時間を終えた夏美は次の授業を真面目に受ける気にもなれずボイコットしたのであった。
「おい!こっちに来いよ!」
「また殴られてぇのか!」
気持ち良く眠っていた夏美の耳に男子生徒の声が聞こえてきた。
夏美は音を立てない様にタンクの上に登って少し顔を出して覗いて見ると数人の男子生徒が屋上に上がってきた。
聖桜学園のネームプレートの名前の下にはラインが引いてありその色で学年が分かるようになっているのだがその生徒達を見たところほとんどが2年生のようであった。
そしてその上級生達に囲まれて連れてこられた生徒にだけが夏美と同じく1年生を表す赤いラインが入っていた。
(あの子、確か同じクラスの・・・)
物覚えが悪い夏美は同級生の名前などはほとんど覚えていなかったが、その生徒の顔には見覚えがあった。
襟首を上級生に掴まれ引きずられている生徒は男の子なのにおかっぱのような髪型をしていた。
しかもその髪型が似合うくらいの整った顔立ちをしていて気の弱そうな表情は夏美よりもよっぽど女の子っぽかった。
その容姿と大人しい性格から一部の女子生徒達から人気があったようだが不良生徒にしてみると面白くなかった様である。
他人の喧嘩には口出しをしない夏美だったが数人の生徒に蹴られ踏まれている美少年を見ていて我慢できなくなってつい声を上げてしまった。
「ちょっと、あな・・・」
「ちょっと、あなた達!何をしているの!」
夏美が声を出そうとした瞬間、反対側へある屋上へ上がるもう一つの昇降口の方から一人の女子生徒が叫びながら走ってきた。
長身で細身のその女性は不良生徒達の前まで来ると気丈にも睨み付けた。
「あなた達、そんなに大勢で下級生をいじめて恥かしくないの」
ポニーテールにしている奇麗な黒髪は青空の光を吸収でもしているかのようにわずかに青味を帯びている。
切れ長な瞳から発せられる鋭い眼光を浴びて男子生徒達に緊張が走る。
「うるせぇんだよ!女はひっこんでろ!!」
女子生徒からのプレッシャーに我慢できなくなった男達は突然現れた邪魔な存在を排除する為に一斉に殴り掛かった。
「!!」
一瞬の出来事に夏美は目の前で起きている事が信じられなかった。
ポニーテールの女性は瞬く間に男達を蹴り飛ばしていたのである。
夏美も喧嘩には自信があり1対1なら男子を相手にしても負ける気はしないが5人同時に相手をするとなると魔法を使わない限り勝つ事は出来ないだろう。
夏美は隠れていたのを忘れて拍手をしながら立ち上がっていた。
突然起こった拍手にいじめられていた男子生徒は何事かと驚いて振り向いたが黒髪の女子生徒は初めから夏美の存在を知っていたかのように既に視線を向けていた。
しかしすぐに二人は顔を赤らめて気まずい表情をすると夏美から視線を逸らしてしまった。
不思議に思っている夏美に心地よい風が吹いてくる。
「ああっ!!」
夏美は二人がそっぽを向いた理由にようやく辿り着いた。
水泳授業で濡れた下着の上に制服を着るわけにもいかずノーブラノーパンのままでいたのである。
そんな格好でタンクの上で立ち上がった為に下にいる二人に丸見えになってしまったのであった。
女性の秘所を初めて見たためか気を失ってしまったいじめられていた男子生徒を二人で保健室に運んだが既に放課後になっていて誰もいなかった。
このまま置いていくわけにもいかず男子生徒をベッドに寝かせると保健室の先生が帰ってくるのを二人は待ち続けていた。
長身のポニーテールの女性は香織と名乗った。
夏美より2つ年上の高等部3年生である。
男達を一瞬に倒すほどの力がどこにあるのかわからない程の細い身体と反比例するように胸とお尻は大きく張りだしている。
そのアンバランスな体つきが同性の夏美にもエロティックに感じてしまう。
香織の大きな胸にコンプレックスを感じながらも二人で楽しく話しているうちに時が経つのを忘れてしまい気がつくと窓の外は暗くなり始めていた。
さすがに待ちきれなくなった夏美は保健の先生を捜してこようと立ち上がろうとした時、ドアが開いて数人の男が保健室に入り込んできた。
「あんた達、何の用なのよ!!またやられたいの!」
入ってきた男達の中に先程屋上で香織に倒された生徒を見つけて夏美は食って掛かった。
しかし香織はさっきとは全く違う暗い表情で男の方を見つめていた。
香織が見ているのは一緒に入ってきた3年生のピアスをした男の方だった。
その男は身長はそんなに高くないが意地悪そうな瞳から発せられる視線に夏美はとても不快な感じを感じていた。
「香織、今日の相手はこいつらだ。充分に相手をしてやれ」
ピアス男の意味不明の言葉を聞いて香織は顔は青ざめた。
香織は夢遊病者のようにゆっくり立ち上がってピアス男の前に立った。
「お願い、ここでは・・・夏美さんの前では・・・」
「駄目だ。ここで始めるんだ」
香織の訴えを即座に却下するとピアス男は近くにあった椅子に座って足を組んで視線を送っている。
香織は数分前の気丈な態度とは全く違う脅えて震える指でブラウスを脱ぎ始めた。
「ちょっと!香織さん、何してるのよ!!」
香織のとった行動に驚愕した夏美は思わず声を出した。
しかし香織は耳に届いていないかのように次々と衣服を脱ぎ下着だけの姿になってしまった。
香織は着痩せするのか下着だけになった胸は制服の上から見たもの以上に大きく見え夏美も声を呑んでしまう。
男達も香織の胸の大きさにヒューっと口笛を吹いている。
香織は少し躊躇いながらも両手を背中に廻すとブラのホックを外した。
腕を肩紐から抜いて薄いブルーのブラを取ろうとする姿を見てついに夏美も黙っていられなくなった。
「あんたいったい何者なのよ!香織さんもこんな奴の言う事きかないでよ!」
止めに入ろうとする夏美の前にピアス男が立ちはだかった。
ピアス男は構えを取らず隙だらけなのだが体中から発する異様なオーラに押されて手を出す事が出来ない。
そうしているうちにもピアス男の向こうにいる香織はパンティも脱ぎ去ると全裸になってしまっていた。
「あんた、香織さんとどういう関係なのよ」
ピアス男は夏美の質問には答えずにゆっくりと全身を舐めまわすように見ている。
身体に纏わり付くような視線に我慢できなくなった夏美は掛け声と共にピアス男に蹴りを入れる。
「でやぁ!」
夏美の鍛えられた太腿から放った蹴りは的確にピアス男の顔面に炸裂した。
しかし普通の人間なら気を失ってしまうほどの威力のある蹴りを食らってもピアス男は表情一つ変えていない。
それどころか逆に夏美の足を掴まれてしまった。
「フン、この女も香織と同じくただの痴女か」
ピアス男の視線が夏美の股間に注がれる。
肩の高さまで片足が上がっているために夏美の股は大きく広げられていた。
「キャァー!ちょっと見ないでよ!」
無防備の秘所を見られて悲鳴を上げると両手で捲くれあがったスカートの端を掴んで股間を隠した。
羞恥心からピアス男への警戒が解けたところを狙われ夏美は腹部へ重い一撃を食らって意識を失ってしまった。
「ううん・・・ああぁ・・・あっ・・・」
夏美は女性の喘ぎ声で意識を取り戻した。
床に這いつくばっている夏美の視界の中に数人の男達に犯されている香織の姿が入ってきた。
今すぐに止めさせようと立ち上がろうとして夏美は自分の両手が縛られている事に気付いた。
そしてうつ伏せにされている夏美の背中の上にピアス男が腰を下ろし座り込んでいた。
見かけによらずピアス男は体重があり夏美は身動きを取る事が出来なかった。
「おら、お前もすぐに可愛がってやるからよく見ておけよ」
背中のピアス男に髪を掴まれて視線を無理矢理香織の方に向けさせられる。
視線の先にいる香織は秘所とお尻に男根を入れられていた。
小麦色にうっすらと日焼けしている夏美と違って香織の肌は透き通るくらい奇麗な白い肌をしている。
その肌が赤く火照るくらいに感じている香織は自ら進んで男達のペニスを掴むと両手に1本づつ持ってしごき始めた。
「ああっ・・・だめぇ・・・見ないで・・・夏美さん・・・見ないでぇ」
夏美に意識が戻った事を知ると同性に自分の恥かしい姿を見られているという屈辱感と羞恥心から香織の性感は更に高まっていく。
お尻を犯している男が香織の大きな胸を後ろから鷲掴みにすると大きく勃起している乳首を弄ぶ。
わずかに黒づんでいる薔薇色の乳首は奇麗で美しい白い肌とアンバランスな感じがして返って官能的である。
男は香織の顔を振り向かせるとピンク色の薄い唇を強引に奪うと舌をねじ込ませていく。
香織の方も抵抗する事無く舌を絡めると熱いディープキスをしはじめた。
知識としては充分に知っていたが夏美にとってセックスを直に見るのはこれが初めてだった。
先程まで凛とした感じの美しい香織が気が触れたかの様に嬌声を上げている。
その変わり様をみて夏美の股間も少しずつ熱くなりはじめてきていた。
「お前もやりたくなってきただろ」
夏美の身体の変化を知ってかピアス男は声を掛けてくる。
自分の心の奥に生まれた恥かしい気持ちを見透かされたと感じた夏美はいつものように勝気な態度に出る事が出来なかった。
ピアス男は立ちあがるとその華奢な体からは信じられない程の力で夏美を抱き上げると乱交に加われない男達の方へ連れて行った。
ピアス男は夏美を椅子の上に降ろすと肘掛けに両足を掛けて足を大きく広げさせられてしまった。
膝を肘掛けに、後ろ手に拘束されている両手は背もたれにそれぞれ縛られ逃げ出す事が出来なくなってしまった。
「やめろ!放せよ、この変態野郎!!」
夏美は精一杯虚勢を張るが男達に囲まれては何もする事が出来ない。
我慢できなくなった男が夏美のブラウスを引き千切ると夏美の胸が男達に晒される。
下着姿で体育授業を受けさせられてもあまり動じない夏美であったが同年代の見知らぬ男達に胸を見られるのはさすがに苦痛であった。
しかも男の手は女性の最も恥かしいところを露にするために丈の短いスカートの裾を持ち上げていく。
「いや・・・やめて・・・おねがい・・・」
本当は身体を揺すって抵抗したかったが少しでも大きく動かすとアソコが丸見えになってしまいそうに思え身体も声も小さく震わせる事ぐらいしか出来なかった。
それでも男の手は止まる事無く上へ持ち上げられる。
ついにスカートは全て捲り上げられ夏美の股間に外気の冷たい風と男達の卑らしい視線が集中する。
「もういやぁ・・・見ないでぇ・・・」
極度の恥かしさに夏美は泣き出してしまった。
丸出しにされた秘所はまだ口を閉ざしていたがわずかに熱を持ちはじめているのか少しずつ湿り気を帯びはじめてきた。
男達は夏美の無垢な秘所を強引に開くと指を入れて内部の肉壁をなぞる。
「あっ・・・だめっ・・・そこはダメよぉ・・・」
秘唇の内部のピンク色の肉を直接触られ強引に性感を高めさせられる。
指を深く入れずに入り口付近でネチネチと愛撫され乾ききっていた秘所はあっという間にグチョグチョに濡れさせられてしまった。
股間のワレメどころかその内部まで広げられ見られてしまった夏美にはもはや抵抗する気持ちはほとんどなくなっていた。
少しずつ赤らんできた夏美の頬に男の勃起した肉棒が押し付けられる。
友人達の会話から得た知識で男が何を要望しているのがわかった。
いつもは汚らわしくて見たくも無い男性器を望まれるままに口に含んでいった。
夏美の口の中が男の肉棒で一杯になり噎せてしまう。
男は夏美の頭を掴むと強引に前後に動かし喉の奥まで男根で汚す。
夏美も迎え入れるかのように舌を動かして初めて味わう肉棒を舐めまわした。
「うっ・・・出すぞ・・・ちゃんと飲み込めよ」
男は絶頂を迎えると夏美の口内で発射した。
精液で満たされた口から男根を引き抜くと夏美の唇の端から白い液体が零れ落ちる。
「おい!全部飲み込めって言っただろ!」
男はだらしなく開いた夏美の口を塞ぐと鼻を摘んで無理矢理飲み込ませた。
異臭のする生温かい液体が夏美の身体の中を汚していく。
全部飲み込んだのを確認して男は鼻を摘んだ指を放した。
夏美は口の中に残る異臭を吐き出そうと鳴咽を漏らす。
しかし夏美に対する陵辱はまだ始まったばかりだった。
香織はポニーテールの髪を男に引っ張られて犬のように四つん這いで夏美の前まで連れて来られた。
香織のお尻に入れられたバイブがまるで尻尾を振って喜んでいる犬のように暴れまわっている。
男に促されて香織は舌を出すと夏美の秘所を舐めはじめた。
男の指による乱暴な愛撫と違って優しく丁寧に秘唇を舐められ夏美の身体は今まで体験した事のない所まで一気に昇っていく。
「あっ・・・だめぇ・・・香織さん・・・いやぁ・・・変になっちゃうぅ!!」
初めて絶頂に達した夏美は体中から力が抜けて汗が滲み出してくる。
しかし夏美の身体には休む暇を与えられず香織の愛撫はまた再開される。
裸体だけでなく全てを晒した恥かしい姿を男達に見られる屈辱に耐えられず首を左右に振って秘所から広がってくる快感から逃れようとする。
その夏美の姿に欲情した男が四つん這いの香織を後ろから犯しはじめた。
男が腰を打ちつける度に香織を通して夏美にも刺激が伝わってくる。
卑らしく突き出した夏美のピンク色の可愛い乳首を左右にいる男達に噛まれたり吸われたりして夏美はもう何も考えれなくなっていた。
喘ぎ声を上げていた口も男にしゃぶりつかれ気持ち悪く舌に絡みつく。
夏美のファーストキスを奪った男は汚らしい唾液を夏美の口の中に流し込んでくる。
注ぎ込まれた唾液は行き場がなく夏美の喉の奥に呑み込まれていった。
香織を犯している男の腰の動きが激しくなり男が膣の中に発射するのと同時に香織も絶頂に達しそれに夏美も続いた。
2度目の絶頂に達した夏美の顔に抱きかかえられた香織の秘所が迫ってきた。
香織の秘唇は大きく口を広げ内部は何回も入れられた為か真っ赤になっている。
その膣の奥から白い腋体が溢れ出してくる。
夏美は後ろから頭を押されて香織の秘唇に口付けする。
香織の愛液と男の精液の混ざった白濁液を秘唇から吸い出すようにして全部呑み込んだ。
「今度はお前を女にしてやるぜ」
今まで黙って見ていたピアス男は夏美の拘束を解くと床の上に仰向けに寝かした。
ピアス男がズボンを脱ぐと他の男とは明らかに違う男根が現れた。
大きさも太さも他の男より何倍も大きかった。
しかし消えかける意識の中で夏美はピアス男の男根に異様な気を感じていた。
他の人間には感じられない魔族が発する独特の妖気を。
夏美は妖気を放つ男根から逃れようとするが両足を開かれ腰を捕まれて動く事が出来ない。
ピアス男の肉棒の侵入をわずかに動く腰で何とか免れていた。
しかしそれはピアス男がいつでも入れられるのを敢えてすぐに入れずに夏美の様子を楽しんでいるのであった。
夏美の抵抗も虚しくピアス男の肉棒が夏美の秘唇の入り口を捉えた。
「イヤァー!!やめてぇー!!」
ピアス男は肉棒の先端を入れただけの状態で大声で泣き出した夏美の表情を楽しんでいる。
「香織、この女、お前の妹と同じくいい顔で泣きやがるぜ。お前の妹は処女を奪ったらすぐに痴女になっちまったがな」
ピアス男は夏美の側で男達に犯されて続けている香織に向かって言った。
もうすでに誰の声も聞こえないような状態になって肉欲に溺れていた香織だったがピアス男の言葉を聞いて曇っていた眼光に輝きが戻った。
香織は犯している男達を一瞬で投げ飛ばし屋上の時と同じように瞬く間に男達は気を失ってしまった。
保健室の中には復活した香織と取り敢えず夏美から離れたピアス男が二人だけが立っていた。
「どういう事!妹には手を出さないって言ってたじゃない!!」
処女喪失から免れた夏美は保健室の隅で様子を窺っていた。
物凄い格闘家の香織がこんな男の言いなりになっているわけが少しずつ解ってきた。
「俺があんな約束を守ると本気で思っていたとはお前もめでてえ女だな。お前の処女を奪ったあとすぐに妹も同じようにしてやったんだよ。姉も妹もお互いを庇いあってたから簡単だったぜ。もうお前も立派な痴女になっちまったしなあ」
ピアス男の言葉に香織の顔は怒りで真っ赤になると素早い動きで襲い掛かった。
ピアス男の腕も凄かったが香織はその上をいっていた。
香織の拳や蹴りはピアス男の動きを上回り的確に命中していく。
そして大きく振り上げた香織の顔面蹴りとピアス男の腹部へのパンチが相打ちになった。
蹴りが入ったピアス男は吹っ飛び重いパンチを食らった香織もその場に崩れ落ちた。
香織は起き上がってこない敵を見届けた後気を失ったが、夏美は未だにピアス男から視線を外せなかった。
ピアス男から発せられる妖気が全く衰えていないのである。
夏美の嫌な予感は的中しピアス男は何事もなかったかのように立ちあがった。
「!!」
立ち上がったピアス男の姿は激変していた。
顔つきが凶悪になり腕や背中から触手を生やしている。
その触手を伸ばして夏美に迫ってきた。
人間相手に魔法を使う事は出来ないが魔族が相手なら話は別である。
夏美は呪文を唱えると無数の火の玉を作り出し襲いかかる触手を全て焼き落とした。
しかし無数に生えてくる触手に夏美は少しずつ押され気味になってきた。
そして対処しきれなくなり触手に絡み取られてしまった。
大の字に広げられた夏美に向かって魔族の男は言った。
「我々から魔力を奪った魔道士の末裔にしては大した事ないな。お前を犯して奪われた魔力を取り戻してやる」
魔族の男の男根に触手が絡み付きとても夏美の秘所に入りきらないくらいの大きさになる。
「お前を犯し殺して我々の復讐を果たしてやる」
大きく開いた股間が男根目掛けて降ろされていく
「いやよ!だれがあんたなんかに殺されるもんですか!!」
夏美は広げられた両手を合わせると大きな光を生み出した。
一瞬にして大きく膨れ上がった光の玉を魔族目掛けて至近距離で発射する。
「ぐぅぁぁぁ!」
魔族が最も嫌う光の魔法をくらい触手男は悲鳴を上げる。
しかし魔族の発する気でその光の玉を少しずつ押し返してきた。
「くっ・・・なんて力なの・・・この魔法で倒せないなんて・・・」
夏美と魔族の間に光の玉が留まっている。
全魔力を解放して放ったこの魔法を返されると夏美にはもう手が残っていない。
逆に魔族の方もこの大きな光の魔法を食らえば消滅してしまう。
お互いが力を振り絞って長い間保たれている均衡状態が少しずつ崩れ夏美の方に光の玉が押されはじめてきた。
「いやっ・・・こんな奴に負けるなんて・・・」
敗北を覚悟した夏美の背後から大きな力が後押ししてきた。
夏美が振り向くとそこにはベッドで気を失っていた美少年がいた。
その少年の魔力も加わり光の玉は魔族の男を飲み込んでいった。
「僕の名前は歩。夏美さんと同じく魔道士だよ」
夏美は歩から差し出された手を握り返した。
何とか魔族を倒した二人だったが香織を含めたこの三人に襲いかかる悪夢はまだ始まったばかりだった。
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