【2】


 ジュブっ! ジュブっ!! ジュブジュブっ!!
「ハウっ! ホウっ!! アアアっ!!」
 女の上げる嬌声が、薄暗い寝屋に響きわたる。仰向けに横たわった男の上にうち跨った女の、白い喉と豊かな胸が反り返り、男の眼の前に「さらしもの」になる。ツンと天を指した女の両胸を男の逞しい手が掴み上げた。
「ホウんっ! ホウん〜っ、ホウん〜っ!!」
ギュ! ギュイ!! モミっ! モミモミっ!!
 男が強く、さらに強くと女の乳肉を荒々しくこね回した。
「オオウっ! もッとォ! もッとォ!!」
ムニュウっ! プリっ! プルンっ! プリーンっ!!
 大きな手のひらに、それでも収まりきらない乳房の柔肉が、男の指の間からあふれてはみ出し、押し潰された水風船のようにプクプクと膨らむ。
「どうだ!? ホンモノのオッパイを付けてもらった感想は?」
 女の乳房の頂点にツンツンと突き立ち、固く筒のように勃起しきった乳首を指先でなぶりながら男は女に問いただす。
「オマンコもよっ! オマンコもぉ〜っ!!」
 ショートカットの栗毛を激しく打ち振り、大きな声で女が叫ぶ。
「くっくっくっ! おっと、そうだったな!!」
 男は、腰に力を溜め直すと真下から女の奥底に向けて大きく突き上げた。2度、3度、もう一突き! さらに一突き!!
「オオーっ! オギュっ! オギュ〜っ!!」
グイっ! ドンっ!! グイグイっ! ドンっドスンっ!!
 男が突き進む度に、女の括約筋が鋭く収縮し、男の逸物をキツく締め上げた。
「オギュ〜っ! もッと、もッと、もッとォ!!」
 女の身体が後ろにのけぞり、ついに結合点を軸に仰向けに倒れ込む。男の手は女の乳房を離れ、しなやかで強靱な女の腹を撫でさすり、新たに男の眼の前に「さらしもの」になった下腹やクリトリスを未練がましく撫でさする。手の下で熱くうねる筋肉は野生の獣のようだった。固く突き出したクリトリスが、指の腹でピンピンと跳ねる。
「くうっ! ちくしょう。このオンナたまんねえな……」
ジィーっ! ピっ!
 二匹の獣のように男女が絡み合う寝屋の隅で、監視カメラがフォーカスを合わせ直す。  ■    ■
「これからですよ。彼女の本領発揮は」
 監視モニターをのぞいていた白衣のドクターは、その後ろに控えた情報部高官たちに告げた。
「しかし、移植されていたサイボーグパーツは、すべて外したと聞いているぞ?」
 モニター内で展開する、激しいSEXショーに固唾を飲んでいた情報部高官は、軍服の襟元を緩めながら、白衣のドクターに問う。
「ええ、彼女にはクローン技術で造られた、ごく普通の筋力を持つ腕脚や、バスト、そしてヴァギナを移植し直してあります」
 モニター内では、身体を起こした女が、男の腰にうち跨ったまま、激しく跳ねるようにして、男を責め立てていた。
「オウっ! ホウっ!! ホウっ!! ホウっ!! まだよっ! まだよっ!!」
ギシっ! ギシっ!! ジュボっ! ジュボっ!!
「うくっ! くうっ!! ……くっ! くうっ!!」
 いつのまにか、完全に形勢が逆転していた。笑いの表情を取り繕いながら、明らかに男は押されている。
「やりたまえ。……レディ・ミューズ」
 白衣のドクターは、マイクを通じて女に呼びかけた。
「……イエス、ボス」
 ふいに女は、あれほど激しかった動きを止めると、深く静かに息を吸う。
「ど、どうした!? どうしたんだ!?」
 女は静かに上体を倒すと、男の頭をその白い胸に掻き抱く。
ムニュ。……プリプリっ! ムニュウっ!!
 男の鼻と口に、女の白く豊かな乳房が押しつけられ、柔らかい乳肉がすっぽりと男の顔面に覆い被さった。
「うぶっ! うぶぶ〜っ! うぶう〜っ!!」
 女の乳房に呼吸を封じられた男は、女の身体を跳ね退けようとするが、女のなかに挿入しままの逸物ごと腰を持ち上げられ、筋肉に溜めようとした力を削がれる。
「うぶ〜っ!」
ギュっ! ギュギュっ!! ギュウ〜っ!!
 女のなかで男の逸物がさらに締め上げられる。ねじ切られそうな「握力」で掴まれ、酸欠によって身体に力が入らない男には為す術は残されていなかった。
「わたしの胸のなかでお眠りなさいな。……永遠に」
 男の身体が断末魔の痙攣に襲われ、やがて静かになった後も、女はしばらく男の骸を解放せずに腕の中に抱きしめ続けていた。
プルっ! プルルルルっ!!
「……アっ! ハぁーンっ!!」
 女の唇から熱い吐息が洩れた。
 男の死と引き替えるように、女はようやくエクスタシーに達していたのだった。
  ■    ■
「なるほど、良い出来のようだ」
 情報部高官はテストを終え、待機ベッドに拘束されて運ばれてきた女、「ミレーヌ・ホフマンだったモノ」を感心するように見た。
「廃品利用というのがポイントだな」
 ちがう情報部高官は、冗談めかして言う。
「9課さん。良い素材をありがとうだ」
 白衣のドクターは、待機ベッドの上の女の上に屈み込み、ペンライトでその眼を覗き込む。
「どうした!? ドクター?」
 その真剣な様子に、笑っていた情報部高官が訊ねる。
「いえ、なんでもありません。……なんでも」
 白衣のドクターは、言葉とは裏腹に性急そうな様子で、女の身体にプローブセンサーや「性感デバイス」を取り付けはじめる。
 脳波センサーや、心拍数センサーに混じって、乳房にスッポリと被せられたバスト性感デバイスや、ヴァギナやアナルに突き入れた性感デバイスが異様だった。
「寝ている間も、いやらしい筋肉を鍛錬させるのか?」
「ハ、ハァ……、そ、その通りです……」
 白衣のドクターは、慌てて女に取り付けたプローブセンサーや「性感デバイス」を作動させる。
ブインっ! ブイブイっ!!
「……」
 無表情のまま拘束された女の身体で「性感デバイス」が低いモーター音を立て始めた。
「……はやく、……はやく連れていけ」
 白衣のドクターは助手たちに小声で告げた。その後ろでは情報部高官たちが祝杯を上げている。
「さっそく実戦投入を検討だ」
「送り出す前に、誰か彼女と「寝て」みないか」
「ハッハッハ……」
「ワハハ……」
「……」
  ■    ■
 拘束された待機ベッドごと「格納庫」に運ばれていく「ミレーヌ」の眼は通路の天上をうつろに見つめていた。
ブーンっ! ブブーンっ!!
 「オンナの急所」に取り付いた「性感デバイス」が淫らに唸り、無意識の闇から浮上しようとする「ミレーヌ」の意識を、海岸に寄せ打つ大波のように叩き突け、溺れさせようとしつづけていた。
「……アっ」
 小さな声が「ミレーヌ」の口から洩れた。だが、誰も聞きとめるものはいない。その眼に小さく涙が浮かんで、頬に流れ落ちた。


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