盗賊妖魔ゴブリン


『魔獣博士メルト・バルガ』著 アルセリア生態研究録 
 盗賊妖魔『ゴブリン』に関する記述より抜粋

 形状:緑色の木の皮のような肌をした子供程度の人型の魔物
 生息地:アルセリア全域。人里近くの森や洞窟などに生息
 特徴:以下参照
 ゴブリン。アルセリアに住む人間なら誰でも知っている魔物であるが会えて記すのはその生態についてあまりにも我々は彼らはについて知らない。ゴブリンと聞くと盗賊や山賊といったイメージが選考するが、それが彼らの全てではない。ゴブリンはもとは妖精であったがあまりにも物質世界にいたため精霊界に帰れなくなった種族といわれている。彼らは部族単位で生活しておりなかには人間と取引をするなどある程度交流をもつ部族も存在する。だが、それでも盗賊を行うゴブリンは多い、それは彼らが短絡的でありそして目先の欲望に正直なのである。
 ゴブリンは他の魔物と比べると劣って見えるが、彼らはその実力が無いためにプライドも無く常に生き延びることを優先している。命の危機となれば一目散に逃げるだろう。そんな彼らが盗賊として生業が成功しているのは、常に自身と弱い者を狙っているからである。そのため彼らの被害は主に農村や、農村からの荷車などが対象となる。また、自身よりも力の強い妖魔などの手下として活動しおこぼれを貰っている。
 さて、劣っているとはいえ、ゴブリンにも優っているところもある。それは繁殖力だ。ゴブリンは人型の生き物なら、人、エルフ、ドワーフなどと交わることでも繁殖することが出来る。しかも多産であり、成体になるまでの時間も短いこれがアルセリア全域にまでゴブリンが生息している理由とも言える。
 次にゴブリンの種類だが、通常のゴブリン。知能がきわめて低いが通常のゴブリンの倍以上大きく力が強いホブゴブリン。かつて精霊だった名残を残し精霊の力を借りる精霊魔法をつかうゴブリンシャーマン。知能が高く極めて残忍なゴブリンの勇者レッドキャップス。そして、この世界のどこかに一匹だけいるといわれるゴブリンの王ゴブリンロードが存在するといわれている。
 もしもゴブリンの襲撃などにあったのならそれは逃げるべきであろう。なぜならゴブリンが襲撃するのは勝てるときだけだからである。



 農民・・・
 彼らは日々、明日の糧を得るために必死に農地を耕しそして作物を収穫する。そして自身の身の安全を守るために領主に作物を収めている。だが、彼らは時により権力者の食い物となり涙を流すことも多々ある。彼らなくして生きられぬというのに・・・・・・
 だが考え方を変えたのなら彼らこそ真の支配者なのかも知れない・・・誰もその真実に気づかないだけのこと・・・



 しくじった。まさか人間ごときにおくれをとるとはな・・・だが、たまにはいいだろう。しかし、参った居城も奴らに滅ぼされたし・・・代わりの城はあるが・・・奴との約束があったのだがな・・・奴はどう思うだろうな・・・・・・それはいいとして奴等から受けた傷を癒さなければ・・・さすがに魔力が込められた武器だ。傷がなかなか再生しない・・・クリムゾン・ムーン・・・真紅の月と呼ばれたヴァンパイアの王ノーライフキングともあろうものが・・・奴との戦い以来だが・・・だが、笑いがこみ上げてくるのはなぜだろうな・・・ふむ・・・このさい人間と交わって生きてみるか・・・・・・それも生きていればだがな・・・もう意識が・・・このままだと滅びるか・・・・・・それもまた定めか・・・・・・



「ここは何処だ?・・・それに包帯を巻いただけで稚拙ではあるが一様手当てをされたようだ・・・」
 クリムゾン・ムーンが気がついた場所はあまり使われない納屋ような場所だった。クリムゾン・ムーンのいでたちは漆黒の黒髪、漆黒の瞳、鍛えられた肉体。至高の芸術品を思わせる面立ち。まさに王と呼ばれるに相応しい姿である。
 ―きぃぃ―安い作りである小屋の扉が開くと1人の少女が入って来た。年のころは15くらいだろうか?麻でできた衣服にエプロンを身につけていることから農村に住む少女ということが伺える。
「あっ戦士様。おめざめですか?すみません、このような場所で・・・」
(戦士様?まーいい利用できるなら利用させてもらおう・・・それになかなか美しいな田舎娘ではあるがこれほどの上玉は貴族や王族にもそうそういまい)
 少女は薄汚れてはいたが、つぶらな大きな瞳、長めのブロンドの髪はみつあみにまとめられ未発達ではある年齢ではあるがそれでも豊満な双丘、労働のために決して太りすぎではない魅惑的な体であった。
「あの、これよろしければ・・・」
「ああ、ありがとう。いただくよ」
(ちょうどいい、ついでにいただくとするか)
 クリムゾンは少女の瞳を見つめた。高位のヴァンパイアであるノーライフキングはただ見つめるだけで魅了(チャーム)の魔法と同じ効果がある・・・のだが・・・
「どうかしました?」
 チャームの魔法が少女にはまったく聞かなかったのだ。
(抵抗された!?ばかなこんな小娘?それとも力が回復してないのか)
 若干落ち込んだが
「いや、すこし傷が痛んだだけだ。」
「大丈夫ですか?本当は治癒魔法の使える方がいればよかったのですが・・・田舎の村ですから・・・」
「気にしないでくれ。こうやって手当てをしてくれただけで十分だ。ところでここは?」
「ここはドーレストの東に位置する村でアザラといいます。ところで戦士様はなぜこのような村のしかも森の中に?」
「ああ、ちょっと修行のつもりできたのだが少しドジを踏んでなこんな有様だ。それと戦士様はやめてくれないか?オレの名は、クリム=レギン。クリムと呼んでくれ、それで君は?」
 クリムゾンはすらすらとでっち上げ話をならべ話すと少女は疑うことなく微笑んだ。
「あっ私はミーシャです。ミーシャ・アルスターです。あっいけない・・・すみません。私は仕事がありますので・・・」
「すまないね。助けてもらっておまけに食事まで・・・ありがとう」
「そんな・・・では、失礼します」
 少女は礼儀正しくその場を後にした。1人納屋に残ったクリムゾンはおもむろに、納屋におかれていたボロ布を引きちぎると一滴血をたらし
『我が血を受けし物よ汝に仮初の命を与えん』
 短く呪文を唱えるとボロ布は蝙蝠へと姿を変えた。
「ミーシャとかいったか・・・少し様子を見てみるか・・・」
 なぜ取るに足らない田舎娘のはずなのに気になるのか・・・それは多分、魅了の魔法が効かなかった事だろうとクリムゾンはそんな言い訳を思いつつ使い魔を放った・・・



ミーシャが納屋から向かった先は大きな屋敷。そして裏口からこっそりと入っていった。
「ミーシャ!!どこいってんたんだい!!」
 しわがれた声、煌びやかな服を着ていながらもどこか貧相な・・・すくなくともこの家に住んでいること事体が場違いな女性がミーシャを怒鳴りつけた。
「ご、ごめんなさい・・・お義母さん・・・その納屋の掃除を・・・・・・」
「いいわけしんじゃないよ!!まったく死んだあの人の娘だから面倒をみてやってるんだ。立場をわきまえな。それから、とっとと仕事を済ませるんだよ」
「はい・・・」
 ミーシャはいわれるままに洗濯場へと足を向けた。洗い物の数は膨大であるがそれでもミーシャは一生懸命に仕事をこなし干し終えると『お義母さん』と呼んだ女とよく似た女性が近づき
「あら、まだやってたの?終わったらのなら早く掃除しなさいよ。まったく愚図なんだから」
「ごめんなさい・・・お義姉さん・・・」
「さっさとやってよね。」
 そして立ち去ろうするときわざと物干し台を蹴り飛ばし洗濯物を泥の中に倒し
「あら、ごめんなさい。洗い直しといて」
 言い残すとさっさと立ち去ってしまいミーシャは黙って洗濯物を洗いなおした・・・
 ミーシャの扱いは酷いもので常に嫌がらせを受けてはいたがミーシャはひたむきに働いた。それでもミーシャの食事は質素なものであり、与えられてる部屋もかび臭い屋根裏部屋だった。その扱いをうける見つめる蝙蝠が一瞬歯軋りをしたかのようであった。



「ミーシャ、なぜあんな扱いを受けてるのにそのまま甘んじているんだ?」
 クリムゾンの手当てにこっそりと訪れるのがミーシャの日課になっていた。そんなある日クリムゾンは気になっていることを訊ねた。
「えっ?あの見てられたんですか?」
「ああ、ちょっとは体を動かさないとおもってこっそりとな・・・で、なぜだ?」
 すこし間を置いてから話し始めた。
「えっと・・・義母と義姉とは血が繋がってはいません。父が再婚をしてそれで・・・・・・その父も昨年亡くなってから、でも昔はやさしい人たちだったんですよ・・・私、小さな頃体が弱くて・・・それで重い病にかかって養生のために父の故郷に越してきたんです。父は、名のある冒険者で・・・えっと双剣のガイてしってますか?」
 その名を聞いたときクリムゾンの顔が一瞬強張った。
「あの・・・クリムさん?」
「あっ・・・ああ、しっている。大陸でも五指にはいると謳われた凄腕の剣士・・・二本の剣から繰り出される剣技は嵐の如く敵を粉砕するだったかな?それが君の父上か?」
 やや、悲しい瞳をしながら訊ねた。
「ええ・・・あの、父をご存知なのですか?」
「いや・・・ただ最高の力を持つ戦士がいなくなったのはやはり戦士としてはな。一度手合わせを願いたかったものだ・・・すまいなが、続きを聞かせてくれるか?双剣のガイのことを」
「はい。父はよく冒険にいくとき義母に私を預けていて・・・本当の母は私が赤ん坊の頃に病で亡くなっていてそれでその頃はもうお金も十分あったのでお手伝いとして雇っていたんです。父は私の病気を治すために霊薬と呼ばれる・・・」
「エリクシルか・・・いかなる病を癒す霊薬。それ一つで城を買えるとも言われてるものだな」
「博識なんですね。」
「まあな・・・」
「ええ、それを求めて冒険に出て・・・そんなときに吸血鬼と戦ったそうなんです。すごく強くてなんとか吸血鬼の片腕を切り落としたまではよかったんですけど父は剣を折られてそれでも私のために戦おうとしたき、吸血鬼が笑ったそうです。声をあげて嬉しそうに・・・そしたらいきなり霊薬と自身の使っていた剣を渡して『お前のことを気に入った。オレはここでいつまでも待っている。怪我が治ったらまた戦いにこい』て一方的にでも父はその話しをするときにどこか嬉しそうで・・・息を引き取るときもその約束が果たせなかったって・・・そんな戦いの後父の看病を義母と再婚してそのあとは今みたいに・・・あの?」
「いや、ありがとう。やはり偉大な人だったのだな・・・」
「はい、それで父は私に『受けた恩は必ず返せ』とだから・・・」
「そうか・・・」
「あの・・・すみません。そろそろ時間なので・・・」
 納屋を後に使用すると彼女に
「一つ恩を返すのとただ言いなりになるのは違うぞ。」
「えっ?」
「俺なりのアドバイスて所かな?それじゃお休み」
「あっはい。おやすみなさい」
 ミーシャは思わない一言に足をとめたかクリムゾンが床についたのでそのまま納屋を後にした。



「まさか・・・ここがあいつの・・・しかも、娘と会うとはな・・・因果なものだ。しかし、まさか奴が死んでいたとはな・・・さてと、ここに長居をするわけにも行かないしな・・・だが、何も・・・そうだな。とりあえず傷がいえたら連絡の一つも入れるか・・・」
 あの日・・・双剣のガイとの死闘を思い浮かべ自嘲気味に笑いを浮かべ。納屋を後にし満月の夜を飛翔した。夜風が頬に当たり心地いい。どれほど飛行したかわからないがふと振り返る赤々とした明りが見えた・・・
「あの方角は・・・まさか!!」
 クリムゾンはその明りを見える方向へと引き返していった。

 村の家々は燃え上がり人々は狂乱し散り散りに逃げていた。しかし、それをあざ笑うかのようにレッドキャップスは狩りを楽しんでいた。ホブゴブリン達は、牛を引きちぎると貪り喰らい、ゴブリンは、女を犯し高笑っていた。まさに地獄の宴。そう表して差し支えは無いだろう・・・そんな中1人のミーシャがなれない刃を振りかざし戦っていた。襲われた人々は一番大きな屋敷であるミーシャの家に避難していたが血気盛んな男たちはボロ雑巾のように殺されていた。ゴブリンは確かに魔物としては最弱だがそれでも訓練の受けていないものが勝てるはずもない。ミーシャが戦ってられるもゴブリン達の弱い者をいたぶるという特性のためである。それでもミーシャは必死に戦った。納屋にいたはずの戦士がいなくなったときは絶望を覚えたが、それは仕方の無いこととあきらめ助けを求める人のために・・・けして見返りを求めず、ただ救いたいという意志で剣を振るったが・・・
「ソロソロ終ワリダ」
 ゴブリンの凶刃が振るい下ろされ、鈍い音とかもに深々と突き刺さり赤い血が噴水のように噴出し小さな異形が倒れていた・・・
「えっ?」
「受けた恩は返さなきゃいけないんだったな?」
 ゴブリンの体を貫いた剣の柄に真紅のマントを纏ったクリムゾンが立っていた。
「あの・・・クリムさん?」
「ああ、さてと。そのカタナ、返してもらえるか?害虫駆除をしないといけないのでな・・・」
「えっ返す?それにカタナって?」
「お前のもってる剣だよ。それは東方のサムライと呼ばれる戦士が使う剣でな。切味が鋭く、しかも羽のように軽く、そしてなによりも堅い。極めれば鉄すらも断つことすら容易い。」
「あのあなたは一体・・・」
「くっくっく。それはゴミどもを消し去ってからゆっくりとな」
 ミーシャからカタナを受け取るとクリムゾンの動きは速かった。ゴブリンを紙切れを切るかのごとく細切れにし、大きさでは凌駕するはずのホブゴブリンを片手で持ち上げ投げ飛ばし、レッドキャップスは放たれて影の刃に串刺しにした。それは戦いというにはあまりにも凄惨・・・否、戦いという表現ですら適切ではない。それは劇のように、ゴブリン達はあたかも最初から決められていたかのようにクリムゾンの刃に切り伏せられていった。
 血の匂いがあたりを立ち込めるまでにクリムゾンが現れてからまだ星が一度か二度瞬いたくらいであった。
 クリムゾンは血の匂いに酔いしれ、漆黒だった瞳はその刃と同じく真紅に染まったように赤く空に浮かぶつきのように輝いていた。クリムゾン・ムーン。その名で呼ばれる所以である。
「歯ごたえも無い・・・」
「すごい・・・でも、一体あなたは・・・」
「オレか?オレの本当の名はクリムゾン・ムーンかつてお前の父双剣のガイと切り結んだ吸血鬼さ。」
「えっ・・・でも血を・・・」
「オレくらいになると血を貪る必要は無いのでな。たまに魔力補給が必要な時に血をすこしいただくがな。それでも吸血鬼にならないように処置はしてるがな。あとはたまに命を取りにきた人間の血をいただくことはあるな。」
「そ、そうなんですか?」
「ああ。さてと・・・それじゃー」
「えっちょっ・・・」
 ひょいとお姫様抱っこをすると夜空へと翔けていった・・・



 誘拐とも言えるような行為のまま一晩飛び、ついたのは小さな島にある不似合いなほどの立派な城であった。
「・・・・・・」
「そう、ふてくされるな。可愛い顔が台無し・・・て、無理だな。」
 ミーシャは綺麗なドレスに着替えさせられどこから見ても一国の姫のようであったが、その顔は不機嫌でしかなった。いきなり誘拐のように故郷から連れ去られ、おまけに相手が父親の仇敵とも言える存在ならなおさらである。
「ああ、もうこういうときにどうすりゃいいんだぁぁぁぁぁぁ」
 しかも、犯人のクリムゾンはチャームが効かず右往左往し絶叫していた。1000年近くいきている化け物のはずがたった一人の少女に手を焼いている。あまりにも情けない姿ではある。しかも、ほんの半日前にゴブリンをあっというもに片手間で倒したはずなのにだ。
「機嫌直してくれよ〜」
 もはや情けないほど平謝りをし始めた・・・
「だれだって機嫌悪くなります!!いきなりこんなところにつれてこられれば!!」
「うっ・・・」
「まったく・・・そりゃすこしはカッコよかったですけどこんなことするなんて最低です!!」
 目の前にいるのが最強の化け物のひとりなのだがずばずばと言葉の刃でえぐり、がっくりと膝を突いていた。
「だって・・・あのままにしてたらそのアレだ。たとえ恩があるからといって継母や義姉に苛められるだろ?オレにはそれがガマンできなかったんだよ!!」
「だからってこういうことは・・・その困ります」
「ああ、考える止め。作戦変更!!こうなったら力ずくで!!」
 ベッドに押し倒そうとしたが・・・
「きゃぁぁぁぁぁ」
 ミーシャが手を突き出すと光弾が飛び出しクリムゾンの背後の壁に穴を開けた。
「え?」
「あぶねぇ・・・あれくらったら流石にヤバイな・・・なるほど・・・光の力を秘めていたのか・・だからオレの力にも対抗できたのか」
 妙になっとくしてしまい。結局、最強の魔神クリムゾン・ムーンは何も出来ず部屋を後にした。



 あれからクリムゾンはありとあらゆる手段を講じたがすべてが空回りしアプローチは失敗続きであった。
 そんなある夜。テラスで2人で星を見ていた。ミーシャも例え化け物とはいえここまで必死にされては邪険に出来ずある程度なら会話するまでにはなっていた。
「いい夜だな・・・」
「そうですね・・・あの父とは戦ったんですよね?」
「ああ、強かったぜ・・・・・・とびっきりにな。」
「エリクシルは・・・」
「それを賭けて戦ったからな・・・もう一度戦えるならとおもって・・・あとは深く考えてなかったな。なにせオレと互角に戦える位の人間なんてそうそうあえないからな・・・長く生きてると退屈になるんだよな。」
「そうですか・・・それはそれとして・・・私のことどう思ってるんですか?食料ですか?それとも奴隷ですか?」
「よくわからんが・・・たぶんに人間でいうなら恋をしているというものだろうな・・・好きという思いなんだろうな。だが、なぜ聞くんだ?」
「私も・・・たぶんあなたのことを好きになってるんだと思います。チャームの魔法は効かないんですよね?」
「ああ、それは間違いない。たぶんエリクシルの力かもしくは生まれながらの素質の所為だろうな」
「・・・だから一緒にいたいと思えて・・・」
「本当にいいのか?なんかさらっといて言うのもなんだが・・・まだ、今ならそのあれだ・・・」
「さらったのならちゃんと責任とってくださいね。」
 悪戯の微笑み、その微笑の前にあっさり最強の魔物は撃沈した・・・



「本当に・・・」
「それから先は野暮だとおもいます・・・」
 ベッドに押し倒していうのは確かに野暮である。クリムゾンは彼女に優しく口づけをするとゆっくりと衣服を脱がし愛撫を始めた。
「ひゃうっ・・・くすぐったいです・・・」
「まだ、慣れてないからな・・・時期に気持ちよくなれる・・・」
「はい・・・・・・」
 若干頬を朱に染めながらミーシャはクリムゾンの愛撫に身を任せた。
「やっぱり、慣れてるんですね・・・」
「うっ・・・そりゃ・・・1000年くらいいきてるからな」
「ふーん」
 ミーシャの冷たい眼差しに吸血鬼はその動きをとめしろもどろになりながら
「い、いや・・・こういうふうにするは初めてだな。あの・・・えっと・・・だからチャームをかけてだな・・・いろいろとだな・・・えって・・・ああ、うぅぅ」
 無敵の化け物もたった一人の少女の前では手も足も出ないようである。
「つまりチャームかけて無理やりやってたんですね」
「うっ・・・」
「やってたんですね?」
「はい・・・」
「そういうのはダメですよ。まったく・・・」
「すみません・・・だが・・・その今回はその・・・」
「・・・すぎたことは許してあげます。でも浮気したら許しませんから・・・」
「はい・・・」
 力なく返事を返すと彼は再び少女に愛撫をはじめた。最初はただ未知の感覚に戸惑いを覚えていたがやがて・・・
「あぁっあっあぁぁん」
 その口から快楽の声を漏らし始めた。
「気持ちいいのか?」
「判りません・・・けど・・・不思議な・・・はぁっん・・・そんなダメです・・・そこはあぁっん・・・」
 秘裂を軽くなぞられただけで身もだえし愛液がじっとりと漏れた。
「入れるぞ」
「はぁ・・・いっ」
 クリムゾンは剛直をゆっくりと秘裂へと挿入した。
「はぐぅっ」
「だ、大丈夫か?」
「はい・・・あの・・・がんばりますから・・・その・・・」
「無理はしなくていい・・・それに・・・」
「きゃっ・・・」
 体位を入れ替え騎乗位にするとミーシャの頬を軽くなで微笑みかけ
「あの」
「痛くなくなったら・・・ゆっくりと動いてくれればいい」
「はい・・・」
 ミーシャはゆっくりと腰を動かし最初は少し動くだけで痛みで顔を歪めたがその動きは徐々に加速しその動きに合わせクリムゾンが腰を動かすと少女は
「はぁん・・・あぁん・・・あっあっあっ」
 短い喜悦の声をあげ今まで味わったことの無い刺激的な快楽に酔いしれた。
「熱くて・・・なにかあぁぁ・・・きもちよくて・・・溶けてしまいそうです・・・あっん・・・そんな激しく・・・なにかあっあっ来る・・・あぁぁぁぁぁ」
 ミーシャは絶頂を迎え弓なりに仰け反るとクリムゾンの鍛えられた肉体の上に倒れこんだ。

「初めてなのにずいぶん激しかったな・・・」
 彼女の髪をかきあげながら彼は微笑みかけると
「そんなこと・・・いわないでください・・・・・・」
「照れてる顔も可愛いよ・・・ミーシャ」
「あっあの・・・」
「というわけでもう一回な」
「えっちょっ・・・」
「今度はオレがリードしてやるからな」
 再び体位を入れ替えるとベッドに押し付けながらクリムゾンはゆっくりとミーシャの体を慈しみながら互いに何度も絶頂を迎えた・・・
 


 城に設けられた礼拝堂―
「あの・・・なんか変な感じなんですけど・・・なんで吸血鬼の城に礼拝堂があるんでしょ?」
「うん?ああ、別に俺たちは十字架とか苦手じゃないし、まー下級の連中のなかには熱心な教徒だった奴なんかは十字架に対して拒絶反応があるがな・・・それにほら人間は婚姻を結ぶさいに結婚式をとりおこなうのだろ?やはりこういうことはしておかないと思ったのだが・・・」
 ミーシャは純白のウェディングドレスに身に纏い、礼拝堂に立っていた。
「とりあえず2人だけの挙式だが・・・指輪も用意したし・・・えっと、儀式のやり方しらないのだが・・・」
「立会人もいませんからね・・・えっと・・・その・・・とりあえず誓いのキスだけで・・・その・・・」
「そうだな・・・神の名に誓ってお前を愛することをここに誓う・・・てっなんか変だな」
「そうですね。」
 2人は顔を見合わせ、そして声を出して笑った。こののち2人は子宝に恵まれ穏やかにすごしたという・・・


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