プロローグ


(葉奈視点)

私にはお兄様が4人いる。
上から、二十六木(トドロキ)一葉(カズハ)・双葉(フタバ)・三葉(ミツバ)・四葉(ヨツバ)…そして、私、葉奈(ハナ)
父親は私たちが住んでいる日本はもちろん、世界にも進出している、大きな会社の社長。
母親は女優。
家には当然ほとんど帰ってこないし、メイドや執事、運転手もそろっている。
それこそ家の中でひとつの世界を作り上げているといっても過言ではない。

周りはこの家で唯一の娘の私を溺愛している。
お父様もお母様も、それこそお兄様たちも。
私は何も言わなくても、ただ、欲しいものがあればそれを見るだけでよかった。
富と権力、そして美貌。
私の手元にはすべてがそろっているのだから。




「葉奈」
「四葉お兄様」

夜にはメイドはメイドたちのために、家長でもあり、雇い主でもある二十六木社長が建てた敷地内のマンションへと戻る。
執事や運転手も同じ。
広い屋敷の中にいるのは兄妹だけ。もちろん、警備システムは万全だし、何か異常を察知すれば庭に放し飼いになっている訓練された犬たちが一斉に襲いかかる。

「まだ起きてたのかい?」

その言葉に葉奈はこくりと頷く。
時間は確かに夜も11時を過ぎている。高校に入ったばかりで多少疲れてはいるけど、明日からは学校も連休に入る。

「夜更かしは」
「身体の毒。…わかってますわ、四葉お兄様」
「わかってるなら早く眠ることだね?僕たちの可愛い葉奈が体調を崩すなんて見ていられない」

メイドの用意した、ピンク色のネグリジェの上から葉奈の胸に目をやる。
寝る前だったからだろう。
ブラジャーはなく、程よく膨らんだ胸が存在をアピールしている。

「葉奈」
「はい?」
「おやすみ」

これから自室へ戻った四葉が葉奈の身体を妄想して、一人オナニーにふけるのを葉奈は知っていた。
ばたん、とドアのしまる音を聞きながら、これから自分が巻き起こすであろうことを思って、葉奈は楽しそうに笑いながら廊下を歩いていった。


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