〜 続・用務員たち 〜



◆登場人物





◇小山 忠正(こやまただまさ)

 男性 44歳(用務員)

自堕落な生活を送っているが、後輩の面倒見はいい。

学院の男たちの中でも屈指の巨根。



◇遠藤 小夏(えんどうこなつ)

 女性 17歳(3年生)

聖水常用者、学院に改竄された偽リトリス教の熱心な信徒。

ルックスは歳相応で仲間想い。



◇田奈 真理恵(たなまりえ)

 女性 17歳(3年生)

聖水常用者、学院に改竄された偽リトリス教の熱心な信徒。

凛として大人びた印象、妊娠中。



◇福井 るみ(ふくいるみ)

 女性 17歳(3年生)

聖水常用者、学院に改竄された偽リトリス教の熱心な信徒。

小柄で性格にもやや幼さが残る。











先ほど輝彦と別れたあと、

忠正は『便所組』2人と共に校門周辺をうろついていた。



当然、お目当ては種付けを行う女生徒の物色だ。





「さすがにこの時間だと数が少ねェな・・」



「ま、さっさと決めちまおうや。

 もたもたしてたら誰もこなくなるぜ?」





寝坊した上、ゆっくり食事までとっていた忠正は当然、

他の便所組2人も何らかの理由で出遅れた面々だ。



女生徒たちの下校タイミングはピークを大幅に過ぎている。



霧の中から現れ、校門を通り抜けて、

また霧の中へと消えてゆく女生徒たちの姿も、

もうポツリポツリとしかいない。





「(おっ? ・・おい)」





便所組の1人が忠正たちにそっと目配せする。



立ち込める霧の向こうに獲物たちの影が見えていた。





「あのお嬢様方にしねェか?

 ほら見ろよ、あっちも3人だ」





霧の中から現れた女生徒たちは

取り立てて目を引くような美少女ではない。



しかし、愛らしく膨らんだ胸元や

ミニスカートの下に伸びる細やかで白い太ももは

牡の劣情を誘うに十分な魅力を備えていた。



また、近づくにつれて

内1人が『際立った体型』の持ち主であることも見えてくる。





「うっひょ。

 おい、あの左の髪の長いコ・・」



「うおっ!

 ありゃ、7ヶ月・・いや、8ヶ月ぐらいかァ?」



「だよな。

 あんな清純そうな顔して、もう少しでママかよ。

 ヒヒッ、たまンねェなァ・・」





下衆な笑みを漏らして盛り上がる便所組2人をよそに、

忠正だけは淡々と獲物を見定める目を崩していなかった。





「いつもご苦労様です」





忠正たちの傍らを抜けていこうとする3人組のそんな挨拶に、

便所組2人は我先にと食いついていく。





「オゥ、ちょっと待ってくれよ、お嬢ちゃんたちィ」



「はい、なんでしょう?」



「オイオイ、『なんでしょう?』はねェだろ?

 こちとら愛に飢えて、こんな時間にこんなとこ彷徨ってんだぜ?」



「そうですか、それは申し訳ありません」





それは相手を萎縮させるチンピラのような絡み方だ。



用務員の中でも便所組は特にガラの悪い者が多く、

この2人もまた例外ではなかった。





「ですが――」





しかし、彼女たちに動揺は見られない。



その虚ろな眼差しは聖水常用者のそれであった。





「苦しみ、救いを求めようとするのであれば、

 まずはそれを訴える努力をすることも大切です」



「あァん・・?」



「さぁ、手を合わせるのですわ。

 貴方々の祈りは必ずリトリスさまに届きますから」





これもまた、聖水の魔力に心奪われた者の1つの姿だ。



聖水に思考的負荷の大部分を排除された精神は、

恐怖や苦痛に屈することがない。



元が敬虔なリトリス信徒なのであれば、

如何なる時も教えを守ることを優先し、

そのためなら如何なる代償をも厭わない。



それはある種、理想の信徒像なのだ。





ただ1つの問題があるとすれば――



彼女たちの貫く教えは、

『魔都の汚れに染まり、大きく歪められたもの』

であるということだけだ。





「ほら、おじさまたち!

 こうだよ、こう。

 ね、一緒にやってみよ?」



「オイオイ・・

 嬢ちゃんたちィ、俺たちはだなァ・・」



「わかっております。

 わたくしたちの体をお望みなのですよね?」



「おぅ、そォだよ!」



「なればこそ、祈りましょう。

 その祈りがリトリスさまに届いたなら、

 わたくしたちもリトリスの乙女としてお役目を果たしましょう」



「チッ・・仕方ねェな。

 オイ、ここは言う通りにしとこうや。

 これからたっぷりと愛を教えていただくんだからよォ」



「ヘイヘイ、わかったよ・・

 オラ、お前もやんだぞ? 小山ァ」





結局、女生徒たちのペースに呑まれて

祈りのポーズをする仲間2人に忠正はため息をつく。





「やれやれ・・昔、下界にいた頃、

 街角で出くわした新興宗教の勧誘を思い出すぜ・・」





だが、頭をボリボリとやる忠正の目は未だ冷ややかだ。



この女生徒たちは彼の興味を引く獲物ではないようだった。





「しっかし、こりゃ立派なお腹だなァ・・」



「ありがとうございます」





形だけの祈りをさっさと終らせた便所組2人の興味は、

早くも長髪の女生徒の大きく膨らんだ腹部に寄せられている。





「ヒヒッ・・真理恵ちゃんも、もうすぐママかァ」



「はい」





また、ここに至るまでの会話の中で、

この女生徒3人の名前も判明していた。



大人びた印象を受ける妊娠中の女生徒が田奈 真理恵(たなまりえ)。



小柄で中身もやや幼い印象の福井 るみ(ふくいるみ)。



3人の中で最も歳相応に見える遠藤 小夏(えんどうこなつ)。



同じクラスの3年生たちだ。





「ちょっと、触ってもいいよな?」



「あっ・・俺も俺も」



「はい、どうぞ」





頬をかすかに染め、流し目気味に俯く真理恵の姿は、

既に母性の片鱗を帯びたものだ。





「おっ、今ちょっと動いたぜ!」



「へへっ、すッげえよなァ・・」





一方で、その腹部を撫でさする中年の男2人には、

早すぎる女の使命と向き合おうとする真理恵への

共感や思いやりは全く見られなかった。



彼らの顔に張り付くのは、ただ醜い好奇心のみだ。





例えば、この胎児がヒトとしての形を得るに至った――その原因。



そこにはほぼ間違いなく、望まない相手とのセックスがある。



どんな場所で、どんな体位で、どんな男が引き当てた受精だったのか。



また、自らの妊娠を知った時の彼女の胸中はどのようなものだったか。





そんなことばかりに想いを馳せ、この男たちは愉悦に浸る。



際限なく膨張してゆく妄想は、彼らのズボン前をも膨らませていた。





「ねっ、すごいよね!

 35週目なんだよ」



「35ってぇと・・?

 大体8ヵ月半・・おう、やっぱそんぐらいか」



「んで、父親は?

 やっぱ・・わかンねえのか?」



「はい・・残念ですが、仕方のないことです。

 いえ、それもまた神の与え賜うた試練なのでしょう・・」



「大丈夫ですわ、マリエさん。

 わたくしたちがついています」



「うんうん、そうだよ!」



「おうおう・・美しい友情だねェ♪

 いいお友達に恵まれてるじゃねェか」



「はい、小夏もるみも自慢の友人です。

 ですから、わたくしに恐れなどありません。

 未熟者ではありますが、女としての責務は全うする覚悟です」



「ハハッ! いいじゃねえか、その意気だ!

 俺らだって応援してやるぜェ!」





親と子ほども歳の離れた若い娘の悲壮な覚悟に対し、

男たちは中身のない形だけの激励を送ることで話を締めにかかる。



ジワジワと、しかし際限なく人間のそれから離れ、

下衆なケダモノの色を帯びてゆく男たち2人の眼差し。



小夏はすっと目を細めた。





「それで、実は1つお願いがあるのですわ」



「んん〜、お願いィ?

 なんだィ?」



「マリエさんは、見ての通り・・今、とても大切な時期なんです」



「・・小夏」



「ですからどうか、

 体が落ち着くまでは、そっとしておいてあげて欲しいのです。

 その代わり、わたくしが真理恵の分までがんばりますから!」





小夏が切り出した言葉は、

友人として真理恵を守ろうとする決意の表れだった。





「オ、オイオイ・・そりゃないだろ!」



「こちとら、もうすっかり

 真理恵ちゃんとズッコンバッコンする心積もりになってんだぜ?」





だが、そんな涙ぐましい少女たちの友情など気にも留めず、

便所組2人はこの期に及んで反論の姿勢を露にする。



女性を欲望を満たす道具としてしか見ない。



それこそが醜い彼らの本性だった。





「ほら、まだ大丈夫だよなァ? 真理恵チャ〜ン」



「そォだぜ!

 リトリスの乙女としての責務も、しっかり果たさねェとな!」



「あ・・はい、わたくしは大丈・・」



「お待ちになって、マリエさん。

 今だけは、絶対にご無理をなさってはいけませんわ」



「そ〜だよそ〜だよ!」



「オイオイ、聞こえなかったのかよ?

 今、『わたくしは大丈夫』って言いかけてたじゃねェかよ!

 なァ、真理恵チャ〜ン?」





間もなく母親の重荷を背負うこととなる友人を懸命に守る小夏たちから、

ただ妊婦という稀有な道具を使って肉欲を満たしたいがためだけに、

真理恵を取り上げようとする男たち。



それは形容しがたいほどに醜悪な姿だった。





「オイ、そこらへんにしておけ。

 お前らもいい歳こいて、いい加減みっともねぇぞ」





ここで争いあう誰もが思いもよらなかった所から、

真理恵に助け舟が出されていた。



――忠正だ。





「おっ前ら、さっき散々

 『美しい友情』だァ、『応援してやる』だァ

 らしくねェこと言ってやがったよなァ?」



「いや・・あれはよォ・・」



「さすがにそんな腹になった女はダメだ。

 俺らのヤリ方ァ、到底衛生的とは言えねえだろ?

 ・・最悪、産まれる赤子の命に関わる」



「う・・」





忠正の一言が場を制する。



『命』という言葉まで出されては、

便所組2人も引き下がらざるを得なかったのだ。





「あの・・なんとお礼を言えばよいか」



「なァに、気にしなさんな」





小走りにかけよってきてペコリと頭を下げる小夏に、

忠正は『いいってことよ』とばかりに手をひらひらさせる。



だが、そんな彼の眼差しが

先ほどまでとは全く異なる色を帯びていることに

場の誰もが未だ気づいてはいなかった。





「ほら、ちっこいお嬢ちゃん。

 お友達が大事な時期なんだろ? 送ってやんな」



「うん、ありがとね!」



「本当に、気を使わせてしまい恐縮です」





忠正の言葉に従い、

渋々顔の便所組2人の傍らをるみと真理恵が通り過ぎてゆく。





「あの・・では、誠にありがとうございました。

 本日のところは、わたくしもこれにて失礼させていただきますわ」





小夏はそう言うと、またペコリとお辞儀をする。



しかし、そのあと友人2人に続こうと身を翻す彼女を、

忠正の手が引き止めていた。





「おっと・・お嬢ちゃんはダメだ」





場の展開を読み間違えたのかと不思議そうな顔をする小夏は、

ここに来てやっと気づくこととなる。



最初は自分たちへ微塵も興味を示していなかった忠正が、

目当ての肉にありついた獣のような顔をしていたことを。





「お嬢ちゃんもさっき言ったよなァ?

 あのコの分まで自分が頑張る・・ってよォ」



「あっ・・はい・・」



「頑張ってもらうぜェ?」





忠正は戸惑う真理恵とるみを半ば強引に帰すと、

便所組2人を伴い小夏を引っ張ってゆくのだった――











陽光がほとんど注がないにもかかわらず、

不思議と緑豊かな聖リトリス学院の敷地内には

校舎以外や寮以外にも多くの施設が存在する。



またそれらを繋ぐ遊歩道も整備されており、

所々にはちょっとした休憩所まで設けてある。



忠正たちに手を引かれ、小夏が連れ込まれたのは、

校舎や学生寮から遠く離れた休憩所にある公衆トイレだった。





「うぅ〜っ! こりゃ、さすがに冷てぇなァ」





外から霧の入り込むトイレの石床に全裸で背を投げ出し、

大の字になる忠正の姿がそこにあった。



作業服の上からだと中肉中背の小男に見える体躯は、

その実、分厚い筋肉の引き締まった牡の肉体だ。



しかし、その中でも更に圧倒的な存在感を見せるのが、

血管を浮き立たせてグロテスクにそそり立つ巨根だった。





「来いよ、嬢ちゃん。

 どうすりゃいいかぐれぇ、わかってンだろ?」





あまりの迫力に息を飲み、

胸元に手を添えて傍らに立ち尽くしていた小夏。



彼女が便所組の1人に肩を押されて跨ぐ一歩を踏み出すと、

忠正のヘソに生暖かい粘液がポタリと落ちる。



それは忠正の上に露となる膣口から溢れた新鮮な精液だ。





ここに小夏が連れ込まれてから約30分。



その可憐な牝の器官は、

既に便所組2人を相手に大仕事をこなしていた。





「ほら、モタモタしてっと、

 せっかくの潤滑油がカピカピになっちまうぜぇ?」



「・・はい」



「その華奢な腰で

 いきなり俺のを咥え込むのはきついんじゃねえかと、

 先にほぐさせてやってるンだからよォ」



「・・(ごくっ)」





忠正の豪壮な一刀を神妙な面持ちで眼下に見据える小夏。



そこに突き立った巨大なシンボルは、

それが排泄器官でもあることを全く感じさせなかった。



ただ牝を深々と貫き、鳴き狂わせ、大量の種を注入し――孕ませる。



そのためだけに存在するかのような、牡の生殖器そのものなのだ。



聖水の効能が持続しているため、

そこに本来感じる恐怖から目を背けることはできる。



しかし、あまりに強烈な視覚的インパクトが、

それでもなお脳内に違和感となって残り続けているのだ。





「ホレホレ、どうした小夏チャン?

 こいつのマラァ咥え込んで、

 また可愛い顔をおじさんたちに見せてくれよ」



「あ、はい・・では、失礼します」





再び自分の肩を掴もうとする先ほどの男の手をかわすように、

小夏は腰を下ろしてゆく。



サイズの関係上、片膝をつくことすらできないまま

受け入れを開始しなくてはならない巨大な切っ先。



それが今、小夏に真芯で捉えられ、ズブズブと飲み込まれてゆく。





「ぐ・・んんっ!

 はっ・・ぁ、あぁ・・ぅ・・っ!!」





しばらく続く、くぐもった牝の声と浅い吐息。



やがて、小夏の最奥を叩く小さくも重い振動が、

亀頭が終着点に達したことを示していた。





「はぁ・・はぁ・・

 は、挿入り・・ましたわ・・」



「そんなこたァわかるよ。

 でも、それで終わりじゃねぇだろ?」





だが、そこで一息つくことすら許さず、

忠正は小夏に次の終着点を指し示す。





《・・ぱん。・・ぱん。・・ぱん。・・ぱん。

  ・・ぱん。・・ぱん。・・ぱん。・・ぱん。》





申し訳なさそうに鳴り続ける肉のぶつかる音。



自分には見合わないサイズの生殖器を咥え込んだ小夏が、

そこで懸命に腰を振っていた。





「オイオイ、嬢ちゃんよ。

 こういうのを蛇の生殺しってんだ。

 こんなんじゃ、いつまで経っても終らないぜぇ?」



「あふ・・っ

 ・・も、申し訳、ありません・・っ」





《・・ぱん。ぱん。ぱん。ぱん。

  ぱん。ぱん。ぱん。ぱん。ぱん。》





急かされて腰のリズムを早める小夏。



しかし、それでも忠正を納得させるには程遠いものだった。





「・・仕方ねぇな。

 おいお前ら、悪いが嬢ちゃんを手伝ってやってくれ」



「あいよ」



「・・えっ」





また、先ほどの男だった。



ヌッと伸ばされた両手が、

忠正に貫かれて逃げ場のない小夏の腰をガッチリと掴む。





「ほォら、手伝ってやッから一緒に頑張ろうぜ?

 小夏チャンよォ」



「え、あ・・っ

 ・・そ・・そんな・・・・っ」



「ほォ〜れっ!」



「あ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!!」





夜の帳がおり、周囲から完全に人の気配の消えた僻地の休憩所に、

突如、絶叫が響き渡る。





「はぁッ!はふッ!は!はッ!

 い、いけませッ・・こんなッ・・

 こんな、激しくッ・・したらぁ〜〜っ!」





先ほどまで恐る恐る振っていた腰が今、

小夏を大きく超える男の力で振りたくられていた。





《ゴッシュ!ゴッシュ!ゴッシュ!ゴッシュ!

  ゴッシュ!ゴッシュ!ゴッシュ!ゴッシュ!》





咥え込んだ巨根に膣壁を豪快にこすり上げられ、

よだれを垂らして喘ぎ狂う小夏の痴態に男たちはヒートアップ。



今にもパンクしそうな腰の動きに容赦なく鞭打ってゆく。





「あーーーーッ!

 あーーーーーーーーッッ!!

 す、少しッ、少しでいい・・やすませ・・てぇっ!」



「ヒヒッ、何言ってンだ。

 もうここまで来たら、イケるところまでイッちまいなァ!」



「そッ・・そんな・・

 ひィィィィ〜〜〜〜〜ンッ!!」





たとえそれが快楽であっても、

あまりに強烈過ぎる感覚をすんなり受け入れることは困難だ。



懇願を聞き入れてくれない男たちを前に、

とりあえずひと時でもこの感覚から逃れようと

小夏は快楽という情報にも聖水の霧をかけようとする。



が。



聖なる乙女を淫蕩な奴隷に仕立て上げる悪魔の薬は、

ただ快楽に対してのみは全く効果を発揮しないのだ。





「んぅぅぅ〜〜〜〜〜〜〜ッ!

 どぉか・・どぉかお赦しを・・

 わたくし・・壊れて、しまいますわぁ〜〜っ!!」



「んじゃ、

 ためしにいっぺん――壊れてみるかい?」





不敵に浮かべる忠正の笑いは、

小夏に次の終着点が近いことを告げていた。





「あぁ・・おゆっ・・おゆるし・・を・・っ」



「ハハッ、

 そいじゃ、イクぜぇ・・」





聖水という最後の頼みの綱にすら見放され、

小夏は決して届くことのない言葉を漏らし続ける。



全身に汗を浮き立たせ、涙の雫を散らし、

頭を激しく振り乱して必死に『イヤイヤ』をする。





しかし、そんな言動とは裏腹に

男の動きに合わせて自ら腰を振っている自分に気づいた時。



すぐ眼前に迫る快楽の津波を

呆然と見つめることしかできなかった小夏の口元に

不思議と小さな笑みが浮かんでいた。





「・・・うぅッ!

 〜〜〜〜〜〜ァァッ!!」



《――ドボォッ!!

 ゴポゴポッ! ドプ! ドププゥッ!!》



「ひィィ・・っ

 イク・・イク、イク、イクイクイクぅ〜っ!

 いやあぁぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っっ!!!」





そして、訪れた終着点。



聖水の霧に包まれているだけに、

他の情報がすぐに引き出せない小夏の脳は

何の堤防も築けないまま怒涛の快楽に飲み込まれてゆく。



ギュゥッと収縮する膣内に打ち上げられた恐ろしく熱い液体に、

小夏は全身の肌を粟立たせて甘い叫びをあげていた。











「はぁー・・はぁー・・はぁー・・」





魂が天に昇るかのような未知の快楽を超え、

少女の意識は漸くその肉体へと戻ってきていた。



たった数分だが、小夏は失神していたのだ。





「おんや、お戻りかい?」



「はぁ・・はぁ・・」





あの強烈な膣内射精を受け止めた後、

勢いに任せて忠正の胸元に倒れこんでいた小夏は、

けだるそうに頭を動かして声の主を見上げる。



好きでもないはずの相手だというのに、

今の小夏は忠正と視線を絡めあうことに恍惚さえ覚えていた。





「天使みてぇな寝顔だったぜ?」



「えぇ・・ちょうど天使の夢を、見ていました」



「・・あん?」



「いいえ、もしかしたらわたくし、

 マリエさんを少しだけ羨ましく思っているのかもしれません」



「あぁ・・

 そういう『天使』、ね」



「おっ、なんだァ?

 小夏チャンも、赤ちゃん欲しくなっちまったってか?」



「ふふっ、どう・・なんでしょうね?」





先ほど、小夏が経験した数分間の失神。



そのわずかな間に起きていた精神の小さな異変に、

小夏本人だけが気付いていなかった。





「ヒヒッ!

 なンだよ、なンだよ、もったいぶンなって!」



「小夏チャンの夢は、

 おじさんたちがガンバって、叶えてやッからよォ!」



「くすっ♪ では、おじさま方?

 もし、明日の朝に腰が立たなくなっていたら、

 お手数ですけれど寮までエスコートしてくださいね・・♪」





そう言って腰を持ち上げる小夏は、

小悪魔のように微笑んで見せるのだった――


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