〜 霧の牢獄 〜
聖リトリス女学院、各校舎に存在するトイレットルーム。
ここでは教職員や用務員といった
生徒以外の学院関係者の9割近くが男性であるにもかかわらず、
男性用トイレはA棟校舎と体育館に一箇所ずつしか存在しない。
だが、男性職員たちがそこに不便を感じることはなかった。
◆
B棟の女子トイレ内。
そこに立ち並ぶ個室の多くは扉が閉められ、
現在使用中であることを示している。
《ぱんッ!ぱんッ!ぱんッ!ぱんッ!
ぱんッ!ぱんッ!ぱんッ!ぱんッ!》
《ズチュ!ズチュ!ズチュ!ズチュ!
ズチュ!ズチュ!ズチュ!ズチュ!》
だが、はばかることなくそこに響き渡るのは、
途切れることなき牡と牝の欲望の旋律。
女子用トイレにたむろする作業服姿の男性用務員たち。
そこは本来存在するはずのない光景に満ちていた。
もしこの閉塞的な空間に支配者が存在するとすれば、
それは天井に張り付いた寿命の近い蛍光灯たちだろう。
彼らだけが閉ざされた個室の扉たちにも遮られることなく、
今、その中で起きている全てを――
歳の離れた用務員たちに連れ込まれた女生徒たちが、
そこで淫らに咲き乱れ、潰えてゆく様を一望できるのだから。
『おつとめ』
ここでは、そう呼ばれる奉仕活動が女生徒たちに義務付けられている。
霧の牢獄に囚われた聖リトリスの乙女たちには、
『無償の愛で迷える者たちを導かねばならない』
という教えが徹底させられるのだ。
入学したての新入生たちは軽く聞き流すような抽象的な言葉だが、
すぐにその何たるか身をもって教え込まれ、
なす術なく学院の闇へと堕とされてゆく。
ここに広がる光景も、またそんな教えの一端に他ならない。
「ンオオォ・・ッッ♪」
洋風便器の前に立つ50代の男は、
目の前に差し出された女生徒の白い尻を目一杯掻き分け、
露となった柔らかな秘窟の奥深くに滾る獣液をぶちまける。
その鮮烈な一瞬を境に激しかったピストンはガス欠となり、
断続的な射精を続けつつも『ぱん・・ぱん・・』と
急速に勢いを失ってゆく。
また別の個室では――
ガタイのいい男が地面にへたっていた女生徒を
だるそうに抱き起こすと足を開かせる。
そこに滴る自らの白濁に再び獣の本能を呼び覚まし、
牝の柔肉に欲望の牙をズブズブと突き立ててゆく。
また別の個室では――
先ほどまで腰を酷使させられていた女生徒が力なく扉を押し開け、
ふら付きながらトイレを出ていこうとする。
しかし、向かいからやってきた別の男にあえなく捕まり、
また1つ扉の鍵が『カチャリ』と音を立ててかけられる。
そこで絶え間なく続けられるのは
愛のない単なる精液の排泄行為であり、
世の女子たちが望むようなものではない。
しかし、何故か
多くの女生徒たちには抵抗や拒絶の素振りはない。
校舎を多い尽くす濃霧のように、
その感情にも濃い霧をかけた彼女たちは、
虚ろな眼差しで男たちの要求に身を捧げるだけだ。
世間では度々、女性の排泄行為のことを
直接的な表現を避けて『お花摘み』と呼ぶことがある。
ここで行われているのは男性主動とはいえ、
文字通り、瑞々しい花々を摘み取る行為であるといえた。
霧に包まれた聖なる学び舎――聖リトリス女学院。
しかし、その最奥に広がるそこは
罪深き魔界の花園に他ならなかった。
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