〜 霧の牢獄 〜






聖リトリス女学院、各校舎に存在するトイレットルーム。



ここでは教職員や用務員といった

生徒以外の学院関係者の9割近くが男性であるにもかかわらず、

男性用トイレはA棟校舎と体育館に一箇所ずつしか存在しない。



だが、男性職員たちがそこに不便を感じることはなかった。











B棟の女子トイレ内。



そこに立ち並ぶ個室の多くは扉が閉められ、

現在使用中であることを示している。





《ぱんッ!ぱんッ!ぱんッ!ぱんッ!

  ぱんッ!ぱんッ!ぱんッ!ぱんッ!》



《ズチュ!ズチュ!ズチュ!ズチュ!

  ズチュ!ズチュ!ズチュ!ズチュ!》





だが、はばかることなくそこに響き渡るのは、

途切れることなき牡と牝の欲望の旋律。



女子用トイレにたむろする作業服姿の男性用務員たち。



そこは本来存在するはずのない光景に満ちていた。





もしこの閉塞的な空間に支配者が存在するとすれば、

それは天井に張り付いた寿命の近い蛍光灯たちだろう。



彼らだけが閉ざされた個室の扉たちにも遮られることなく、

今、その中で起きている全てを――



歳の離れた用務員たちに連れ込まれた女生徒たちが、

そこで淫らに咲き乱れ、潰えてゆく様を一望できるのだから。





『おつとめ』



ここでは、そう呼ばれる奉仕活動が女生徒たちに義務付けられている。



霧の牢獄に囚われた聖リトリスの乙女たちには、

『無償の愛で迷える者たちを導かねばならない』

という教えが徹底させられるのだ。



入学したての新入生たちは軽く聞き流すような抽象的な言葉だが、

すぐにその何たるか身をもって教え込まれ、

なす術なく学院の闇へと堕とされてゆく。



ここに広がる光景も、またそんな教えの一端に他ならない。





「ンオオォ・・ッッ♪」





洋風便器の前に立つ50代の男は、

目の前に差し出された女生徒の白い尻を目一杯掻き分け、

露となった柔らかな秘窟の奥深くに滾る獣液をぶちまける。



その鮮烈な一瞬を境に激しかったピストンはガス欠となり、

断続的な射精を続けつつも『ぱん・・ぱん・・』と

急速に勢いを失ってゆく。





また別の個室では――





ガタイのいい男が地面にへたっていた女生徒を

だるそうに抱き起こすと足を開かせる。



そこに滴る自らの白濁に再び獣の本能を呼び覚まし、

牝の柔肉に欲望の牙をズブズブと突き立ててゆく。





また別の個室では――





先ほどまで腰を酷使させられていた女生徒が力なく扉を押し開け、

ふら付きながらトイレを出ていこうとする。



しかし、向かいからやってきた別の男にあえなく捕まり、

また1つ扉の鍵が『カチャリ』と音を立ててかけられる。





そこで絶え間なく続けられるのは

愛のない単なる精液の排泄行為であり、

世の女子たちが望むようなものではない。



しかし、何故か

多くの女生徒たちには抵抗や拒絶の素振りはない。



校舎を多い尽くす濃霧のように、

その感情にも濃い霧をかけた彼女たちは、

虚ろな眼差しで男たちの要求に身を捧げるだけだ。





世間では度々、女性の排泄行為のことを

直接的な表現を避けて『お花摘み』と呼ぶことがある。



ここで行われているのは男性主動とはいえ、

文字通り、瑞々しい花々を摘み取る行為であるといえた。





霧に包まれた聖なる学び舎――聖リトリス女学院。





しかし、その最奥に広がるそこは

罪深き魔界の花園に他ならなかった。


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